谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第28回】「国税通則法74条の2(~74条の6)・74条の7(~74条の8)」-狭義の質問検査と広義の質問検査-
国税通則法は第7章の2において、税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月)における「特定の税目に特有なものは別として、可能な限り、この制度に関する規定を整備統一して国税通則法に規定することとすべきである」という考え方(同「国税通則法の制定に関する答申の説明(答申別冊)」(昭和36年7月)82頁)を、約50年後の平成23年度[11月]税制改正によってようやく実現した。この点については、次の解説がされている(財務省「平成24年度 税制改正の解説」231頁)。
国際課税レポート 【第4回】「“第1の柱”の不在に備えよ」
OECD・G20「BEPS包摂的枠組み」は、約束していた2024年6月末までに第1の柱「Amount A」実施のための多国間条約の署名を開始するという期限を守ることができなかった。
第1の柱の核心である多国間条約には、①「Amount A」(新課税権)による市場国への課税権の配分と、②各国が独自に導入した「デジタルサービス税(以下「DST」)」の廃止という2つの重要な役割がある。国際協調の成功を象徴するはずの存在で、100年に一度とも謳われるOECDの国際課税改革の華であり、いわばフラッグシップだ。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第98回】「消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書に係る印紙税の取扱い」
東京高等裁判所令和5年10月18日判決において、消費生活協同組合における組合員と同一の世帯に属する者(以下、「家族組合員」という)は印紙税法上の「出資者」に該当する旨判示されました。
この判決により、消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の非課税文書の対象となる「出資者」の範囲に「家族組合員」は該当するとのことですが、判断内容及び今後の対応について教えてください。
令和6年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第2回】
研究開発税制の見直しについて、グループ通算制度における取扱いは以下のとおりとなる。下記(2)について下線部分が改正されている。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第99回】「IBM事件」~東京地判平成26年5月9日(税務訴訟資料264号順号12469)、東京高判平成27年3月25日(税務訴訟資料265号順号12639)~
X社が、その子会社であるC社に対してC社の株式の一部を譲渡することによって譲渡損失を生じさせ、その額を所得の金額の計算上損金の額に算入することによって法人税の負担を減少させたことは、法人税法132条1項にいう「不当」なものと評価できるか。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第44回】「外国会社株式等がある場合における法人版事業承継税制のみなし相続時における納税猶予税額の計算」
前回の設問において先代経営者甲は令和5年10月16日に後継者乙にA社株式40,000株(発行済株式総数の全て)の贈与を行い、法人版事業承継税制(特例措置)に係る贈与税の納税猶予の適用を受け、贈与税の申告を行いましたが、甲は令和6年6月1日に相続が発生しました。
この場合には、特例株式等の価額が相続財産に加算され、相続税の納税猶予の適用を受けることができますが、実際に納付すべき相続税及び猶予される相続税について教えてください。
monthly TAX views -No.137-「コワイのは選挙の後の「市場」の評価」
低迷する内閣支持率のもとで、秋の自民党総裁選挙まで解散はなくなったというのが大方の見方だ。
この間野党は、政権交代を目指して選挙公約を練ることになる。筆者のところにも相談があるので、次のように答えている。
令和6年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第1回】
令和6年度税制改正では、グループ通算制度独自の税制についての改正は行われていないが、単体制度及び通算制度に共通の税制について、グループ通算制度特有の取扱いの改正が行われている。
具体的には、令和6年度のグループ通算制度に係る改正事項は次のとおりとなる。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例64】「販売代理店を海外旅行へ招待する費用の損金性」
さて、わが社の業績はフランチャイズ店の頑張り次第で大部分が決まってくることから、わが社はフランチャイズ店の士気を高める様々な工夫を凝らしております。その工夫の主たる方法として、インセンティブプランがあります。その内容は、売上金額に応じたキャッシュバック(ロイヤルティー)が中心ですが、その上乗せとして、売上金額上位5位以内のフランチャイズ店と、売上金額の伸び率上位5位以内のフランチャイズ店を対象とした海外旅行プラン(シンガポール3泊5日)があります。しかしながら、当該インセンティブプランにつき、先日来受けている税務調査で問題視されています。すなわち、国税局の調査官によれば、キャッシュバックプランはともかくとして、フランチャイズ店を対象とした海外旅行は純粋に個人事業主に対する慰安や接待というべき性質のものであり、法人税法上は交際費等に該当することから、中小法人に該当しないわが社の場合、全額が損金不算入になるというのです。
キャッシュバックプランと同じ意図を持ったインセンティブプランであるにもかかわらず、一方は損金算入、もう一方は損金不算入というのでは、ご都合主義としか言いようがないように思えますが、国税局の解釈は正当といえるのでしょうか、教えてください。