〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第19回】「使用人兼務取締役に係る役員報酬と事業報告」
役員報酬は会社法上の役員に支給するものと理解しています。そうだとすれば、上場企業である当社の特定の人材を使用人兼務取締役とし、当該人材の総支給額のうち使用人部分としての給与部分の割合を高めることで、事業報告に反映させる役員報酬の総額を抑えることができるのかもしれないと思っています。
このような案につき、可能かどうかを含め、税務上や会社法上の論点を教えてください。
組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第7回】「適格合併」
平成30年度税制改正により、従業者従事要件及び事業継続要件が緩和され、当初の組織再編成の後に完全支配関係のある法人に従業者又は事業を移転したとしても、従業者従事要件及び事業継続要件に抵触しないこととされた。
吸収合併を例に挙げると、被合併法人から合併法人に引き継がれた従業者又は事業が合併法人と完全支配関係のある法人に移転したとしても、従業者従事要件及び事業継続要件に抵触しないことになる(法法2十二の八ロ)。グループ法人税制が導入されていることを考えると、完全支配関係のある法人に従業者又は事業が移転したとしても、被合併法人から引き継がれた資産に対する支配が継続していると考えられるため、税制適格要件を緩和することについては問題ないと思われる。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第17回】「〔第4表〕複数事業の場合の業種区分の判定」
A社の直前期末以前1年間の取引金額の内訳は下記の通りとなりますが、この場合における類似業種比準価額の計算で使用する業種目は取引金額が最も多い不動産賃貸業の業種で考えればいいのでしょうか。
相続税の実務問答 【第52回】「遺産の一部が未分割である場合の相続税の申告」
今年の2月に父が亡くなりました。相続人は、母、姉及び私の3名です。
相続人間で遺産分割協議をした結果、A預金は母、B預金は姉、C預金は私がそれぞれ取得することとなりましたが、自宅土地建物を含むその他の財産については、協議がまとまらず、父の一周忌が過ぎてからあらためて協議をすることとなりました。
間もなく相続税の申告をしなければなりませんが、各相続人の課税価格はどのように計算すればよいのでしょうか。
基礎から身につく組織再編税制 【第21回】「適格分割(支配関係)」
前回は「完全支配関係」がある場合の適格分割の要件を確認しました。今回は「支配関係」がある場合の適格分割の要件について解説します。
なお、支配関係の定義については、本連載の【第3回】を参照してください。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第39回】
出版業、医薬品ないし化粧品の製造業又は卸売業など、一定の対象事業を営む法人のうち、常時、その販売する棚卸資産の大部分につき、「販売先からの求めに応じ、その販売した棚卸資産を当初の販売価額によって無条件に買い戻すこと」、「販売先において、販売元の法人から棚卸資産の送付を受けた場合にその注文によるものかどうかを問わずこれを購入すること」を内容とする特約を結んでいるものについては、返品調整引当金(繰入額)の損金算入が認められていた。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第92回】「法令相互間の適用原則から読み解く租税法(その2)」~形式的効力の原則~
続いて、形式的効力の原則を確認しよう。
形式的効力の原則とは、上位法が下位法に優先するという原則である。
すなわち、憲法が法律の上に立ち、法律は政令の上に立ち、政令は省令・規則の上に立つという上下の関係が法令にはあるが、仮に2つ以上の種類の法令の内容が矛盾するときには、上位の法令が下位の法令に優先するわけである。
したがって、憲法違反の法律は無効であり、法律違反の政省令は無効となる。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第45回】「租税法律主義の基礎理論」-課税要件法定主義と課税要件明確主義-
前回は、金子宏教授による租税法律主義の機能的考察について検討を加え、それを法の支配による租税法律主義のコーティングとして理解した上で、法の支配によるコーティングを租税法律主義の「総仕上げ」とみることができること及びそのような「総仕上げ」後の租税法律主義の内容として課税要件法定主義、課税要件明確主義、合法性の原則、手続的保障原則、遡及立法の禁止及び納税者の権利保護の6つが挙げられていることを述べた。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第22回】「増資時の「取引相場のない株式の評価」及び「会社の税額」に与える影響」
私は、40年前にA社を設立後、製造業を営むA社の社長として経営をしてきました。設立以来、私がA社株式のすべてを所有しており、株式上場を考えたことはありませんでした。
昨今の経営成績は、売上規模や業種を考えると収益性が低い状況が続いています。ただし、創業より無配当の方針であったことから純資産は潤沢です。
私は今年70歳を迎えましたが、息子が副社長として10年以上私を支えてくれていますので、近い将来、息子に全株式を贈与し事業承継しようと考えています。
そのような中、副社長の発案により、収益性改善を目的とした10億円超のIT事業投資が取締役会で決議され、ファイナンスについては私の手元資金から10億円の増資を行うこととなりました。
本件増資により、今後の事業承継等で留意すべきことはありますでしょうか。