公開日: 2021/05/06 (掲載号:No.418)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例29】「ガソリンスタンドに対する売掛金の減額処理の寄附金該当性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例29】

「ガソリンスタンドに対する売掛金の減額処理の寄附金該当性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、関西で石油製品卸売業を営むA株式会社で経理部長をしております。わが社が扱っている石油製品は主としてガソリンや灯油などの民生用エネルギーであり、特約店・販売店と呼ばれる石油販売業者を通じて一般消費者に販売されます。

わが国においては、少子高齢化の進行や人口減少、若者の自動車離れといった経済構造の変動に加え、昨年来の新型コロナウイルス感染症の蔓延という現象も相まって、わが社が扱っているガソリンや灯油の需要が低迷しており、その結果として、わが社の取引先である中小規模のガソリンスタンドの多くが経営危機に陥っております。そのような状況下において、取引先のガソリンスタンドの中には、わが社に対する債務の支払いが長期間滞っているばかりでなく、後継者難等で将来的にその経営状況が改善する見込みが極めて薄い特約店・販売店も存在することから、そのような特約店については、事業の継続を断念してもらい、代わりに廃業に伴い発生する様々な資金の援助を行うようにして、わが社が被る負担を最小限に留める方策を採っております。

ところが先日受けた税務調査で、経営危機に陥っている特約店等に対する売掛金について減額処理を行ったものにつき、回収可能性が消滅したわけではない当該売掛金を一方的に減額処理したとするわが社の税務処理が問題視され、単純な費用ではなく寄附金に該当することから、全額損金に算入することはできない旨言い渡されました。

わが社が売掛金を減額処理した特約店は、いずれも深刻な経営難に陥っており、経営者が高齢化して後継者も不在であることから、将来的にも経営が改善する見込みはないのであり、そのような特約店との取引をズルズル継続することは、更なる負担増につながることが懸念されるところです。そのような判断に基づき、特約店との話し合いにより行った廃業要請に伴う売掛金の減額処理は、わが社の事業遂行上、真にやむを得ない措置であり、税務上も寄附金に該当する余地はないものと理解しております。わが社の判断に問題がないか、アドバイスをお願いします。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例29】

「ガソリンスタンドに対する売掛金の減額処理の寄附金該当性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、関西で石油製品卸売業を営むA株式会社で経理部長をしております。わが社が扱っている石油製品は主としてガソリンや灯油などの民生用エネルギーであり、特約店・販売店と呼ばれる石油販売業者を通じて一般消費者に販売されます。

わが国においては、少子高齢化の進行や人口減少、若者の自動車離れといった経済構造の変動に加え、昨年来の新型コロナウイルス感染症の蔓延という現象も相まって、わが社が扱っているガソリンや灯油の需要が低迷しており、その結果として、わが社の取引先である中小規模のガソリンスタンドの多くが経営危機に陥っております。そのような状況下において、取引先のガソリンスタンドの中には、わが社に対する債務の支払いが長期間滞っているばかりでなく、後継者難等で将来的にその経営状況が改善する見込みが極めて薄い特約店・販売店も存在することから、そのような特約店については、事業の継続を断念してもらい、代わりに廃業に伴い発生する様々な資金の援助を行うようにして、わが社が被る負担を最小限に留める方策を採っております。

ところが先日受けた税務調査で、経営危機に陥っている特約店等に対する売掛金について減額処理を行ったものにつき、回収可能性が消滅したわけではない当該売掛金を一方的に減額処理したとするわが社の税務処理が問題視され、単純な費用ではなく寄附金に該当することから、全額損金に算入することはできない旨言い渡されました。

わが社が売掛金を減額処理した特約店は、いずれも深刻な経営難に陥っており、経営者が高齢化して後継者も不在であることから、将来的にも経営が改善する見込みはないのであり、そのような特約店との取引をズルズル継続することは、更なる負担増につながることが懸念されるところです。そのような判断に基づき、特約店との話し合いにより行った廃業要請に伴う売掛金の減額処理は、わが社の事業遂行上、真にやむを得ない措置であり、税務上も寄附金に該当する余地はないものと理解しております。わが社の判断に問題がないか、アドバイスをお願いします。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

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