事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第49回】「会社規模の変更による株価対策」
私はオフィスビルの管理・清掃業を営むB社を経営しています。近い将来、長男のF専務への事業承継を考えているのですが、顧問税理士からは株価対策を行ってからB社株式を贈与した方がよいとのアドバイスを受けています。
当社は利益体質の会社ではないのですが、昔から保有している土地の含み益が非常に大きく、類似業種比準価額方式よりも純資産価額方式による株価のほうが高くなっています。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第67回】「売買契約中に相続が発生した場合における買主側に係る小規模宅地等の特例の適否」
被相続人である甲(相続開始は令和4年10月1日)は、甲とその配偶者である乙が居住の用に供していたA土地及び建物を所有していましたが、令和3年にA土地及び建物を売却しています。
その売却代金を基に新たにB土地及び建物を購入予定でしたが、令和4年8月1日に甲が売買契約を締結(売買契約日に手付金10%相当の支払いを行っています)した後に、引渡しを受ける前に甲が死亡しました。甲の相続人は乙1人のみであり、買主の権利義務を承継した乙は、残代金を令和5年3月1日に支払い、B土地及び建物の引渡しを受け、居住の用に供しています。
monthly TAX views -No.120-「財政へのコミットなければ金融正常化の出口は混乱」
今年のわが国経済最大の課題は、日銀の金融政策がいつどう変わっていくのかという点だ。昨年暮れ、クリスマス休暇でのマーケットのすきを突く形で、10年国債金利の上限が0.25%から0.5%へと拡大され激震が走った。今後はより本格的な政策変更であるマイナス金利の撤廃が課題となる。
令和4年分 確定申告実務の留意点 【第1回】「令和4年分の申告から取扱いが変更となるもの」
今回から3回シリーズで、令和4年分の確定申告に係る実務上の留意点を解説する。
第1回は、令和4年分の確定申告から変更となる次の①から③を取り上げる。
① 住宅借入金等特別控除に関する改正
② 申告書等の様式の見直し
③ 申告と納税の利便性の向上
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例48】「使途不明の商品券購入費用の損金性」
私は、近畿地方において医療機関向けの人材派遣や情報サービスの提供を行っている株式会社Y(資本金1億円)で総務経理部長を務めております。わが社は代表取締役であるZが10年前に創業した比較的歴史の浅い会社ですが、もともとソフトウェア会社のSEであったZが医療機関向けの情報サービス業に目をつけたところ大当たりし、最近では株式公開の準備を進めるところまで事業を拡大してきました。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第8回】
暗号資産の評価額の計算の基礎となる暗号資産の取得価額、すなわち年末時点での1単位当たりの取得価額の計算の基礎となる暗号資産の取得価額は、その取得の方法に応じて定められていることを本連載第6回で確認した。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第66回】「売買契約中に相続が発生した場合における売主側に係る小規模宅地等の特例の適否」
被相続人である甲(相続開始は令和4年10月1日)は、A土地及び建物を所有していました。A土地及び建物は、40年前に甲が購入し、甲とその配偶者である乙が居住の用に供していましたが、老人ホームに入居するためにA土地及び建物を売却することになりました。
売買契約は令和4年8月1日に行い、手付金として10%相当を受け取っています。その後、引渡しの前に相続が発生し、相続人である乙が全ての財産を相続しました。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第26回】「残余利益分割法における残余利益の分割要因とは」
残余利益(超過利益)をもたらした利益発生要因が必ずしも一つに限られるものではなく、重要な無形資産以外の利益発生要因が寄与していると想定し得る場合、残余利益分割法の分割要因はどのように考えるべきでしょうか。
日本の企業税制 【第110回】「令和5年度税制改正大綱のあらまし」
令和4年12月16日(金)、与党(自由民主党・公明党)は令和5年度税制改正大綱を取りまとめた。
今回の大綱は、NISAの大幅拡充、30億円を超える高額所得者への最低課税制度の創設、相続税・贈与税の見直し、インボイス制度の円滑な実施のための措置の導入、車体課税の見直し、研究開発税制の見直し、スタートアップ関連税制の拡充、新たな国際課税制度の創設など大きな改正項目が多数並んだほか、防衛力強化に向けた財源確保の一環としての税制措置の検討が行われたことで、ここ数年の税制改正大綱決定のスケジュールよりも1週間程度遅めの大綱決定となった(昨年及び一昨年はともに12月10日決定)。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第21回】「租税回避の法的評価とリベラルな租税回避観」-住所国外移転[武富士]事件・最判平成23年2月18日訟月50巻3号864頁-
前回は租税回避の意義と類型について検討したが、これに関連して今回はその法的評価(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」第24回参照)について検討することにしよう。筆者は租税回避の法的評価を、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義(前回Ⅱ参照)の中に、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【66】)という形で採り入れ、その定義を示している。