公開日: 2026/07/16 (掲載号:No.677)
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期中会計基準を学ぶ 【第1回】「基本的な考え方、構成及び範囲」

筆者: 阿部 光成

期中会計基準学ぶ

【第1回】

「基本的な考え方、構成及び範囲」

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2025年10月16日、企業会計基準委員会は、「期中財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第37号。以下「期中会計基準」という)及び「期中財務諸表に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第34号。以下「期中適用指針」という)などを公表した。

これは、「中間財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第33号)と「四半期財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第12号)などについて、統合した会計基準等である。

期中会計基準は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間から適用する(期中会計基準34項)。

本シリ-ズは、期中会計基準等について基本的な理解に資するように解説を行うものである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 基本的な考え方

期中会計基準は、金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等と、金融商品取引所の定める規則に基づく第1四半期及び第3四半期の四半期財務諸表の両方に適用可能となるように、「中間財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第33号)等と「四半期財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第12号)等を統合することを目的としている(期中会計基準BC13項)。

統合に際しての前提及び基本的な考え方は次のとおりである。

 金融商品取引法に基づく半期報告書制度に適用できるように、期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)として作成する第一種中間財務諸表等に適用可能な会計処理を定めることを原則とする(期中会計基準BC13項(1))。

 金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等と金融商品取引所の定める規則に基づく四半期に係る財務情報の会計処理が同一の結果となるように、企業の報告の頻度(年次、半期、又は四半期)によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとする原則を採用する(期中会計基準BC16項)。

 期中財務諸表の性格付けについては、企業会計基準第12号の考え方を取り入れた企業会計基準第33号における考え方を引き継ぐ(期中会計基準BC26項)。

 次の項目を除いて、基本的に企業会計基準第33号等と企業会計基準第12号等の定め及び考え方を引き継ぐ(期中会計基準BC17項)。

(a) 一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理(期中適用指針3項(2))

(b) 有価証券の減損処理に係る切放し法(期中適用指針4項)

(c) 棚卸資産の簿価切下げに係る切放し法(期中適用指針7項)

(d) 未実現損益の消去における簡便的な会計処理(期中適用指針31項(2))

上記のように整理したことから、期中会計基準の開発にあたり再検討を実施せずに考え方を引き継いでいるものについては、企業会計基準第33号等及び企業会計基準第12号等の結論の背景をそのまま引用する記載となっている(期中会計基準BC17項)。

 

Ⅲ 期中会計基準の構成

期中会計基準の章立ては次のとおりである(期中会計基準BC18項)。

 第一種中間財務諸表等及び四半期財務諸表に共通の取扱いと、四半期財務諸表のみに適用される取扱い(「6か月ごとより高い頻度で期中財務諸表を作成する場合の固有の取扱い」という)を区分し、独立した章とする。

 期中連結財務諸表と期中個別財務諸表で重複する定めは共通の取扱いとして定め、期中連結財務諸表又は期中個別財務諸表に固有の一部の取扱いと区分する。

上記のほか、次の事項にも注意する。

(a) 従来、企業会計基準第33号等及び企業会計基準第12号等以外の他の企業会計基準及び企業会計基準適用指針の一部において、四半期財務諸表又は第二種中間財務諸表等の取扱いが定められていた事項についての期中会計基準への取込みなど(期中会計基準BC19項、BC20項)

(b) 2025年会計基準の公表による他の会計基準等についての修正(例えば、「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号)、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(移管指針第4号)、「金融商品会計に関するQ&A」(移管指針第12号))

(c) <補足文書>「実務対応報告及び移管指針において定めている期中の取扱い」

 

Ⅳ 範囲

期中会計基準は、期中財務諸表を作成する場合に適用する(期中会計基準3項)。

「期中財務諸表」とは、期中連結財務諸表及び期中個別財務諸表をいう(期中会計基準4項(5))。

期中会計基準の適用対象となる期中財務諸表には、金融商品取引法に基づく半期報告書において開示される第一種中間財務諸表等が含まれる(期中会計基準BC21項、連結財務諸表規則1条1項2号、財務諸表等規則1条1項2号)。

次の事項に注意する。

 第二種中間連結財務諸表及び第二種中間財務諸表については、「中間連結財務諸表作成基準」、「中間連結財務諸表作成基準注解」、「中間財務諸表作成基準」及び「中間財務諸表作成基準注解」並びに「『中間連結財務諸表等の作成基準』の一部改正」(企業会計基準第38号)及び「『中間連結財務諸表等の作成基準』の一部改正(その2)」(企業会計基準第42号)を適用する(期中会計基準3項、BC22項)。

 臨時計算書類については、年度の途中において行った決算で把握された一定の金額を分配可能額に加算することを目的とするなど会社法上の目的に従い作成されるものであるため、期中会計基準の適用対象とする期中財務諸表には含まれない(期中会計基準BC22項)。

【参考】 ASBJホームページ

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

期中会計基準学ぶ

【第1回】

「基本的な考え方、構成及び範囲」

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

2025年10月16日、企業会計基準委員会は、「期中財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第37号。以下「期中会計基準」という)及び「期中財務諸表に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第34号。以下「期中適用指針」という)などを公表した。

これは、「中間財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第33号)と「四半期財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第12号)などについて、統合した会計基準等である。

期中会計基準は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間から適用する(期中会計基準34項)。

本シリ-ズは、期中会計基準等について基本的な理解に資するように解説を行うものである。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 基本的な考え方

期中会計基準は、金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等と、金融商品取引所の定める規則に基づく第1四半期及び第3四半期の四半期財務諸表の両方に適用可能となるように、「中間財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第33号)等と「四半期財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第12号)等を統合することを目的としている(期中会計基準BC13項)。

統合に際しての前提及び基本的な考え方は次のとおりである。

 金融商品取引法に基づく半期報告書制度に適用できるように、期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)として作成する第一種中間財務諸表等に適用可能な会計処理を定めることを原則とする(期中会計基準BC13項(1))。

 金融商品取引法に基づく第一種中間財務諸表等と金融商品取引所の定める規則に基づく四半期に係る財務情報の会計処理が同一の結果となるように、企業の報告の頻度(年次、半期、又は四半期)によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとする原則を採用する(期中会計基準BC16項)。

 期中財務諸表の性格付けについては、企業会計基準第12号の考え方を取り入れた企業会計基準第33号における考え方を引き継ぐ(期中会計基準BC26項)。

 次の項目を除いて、基本的に企業会計基準第33号等と企業会計基準第12号等の定め及び考え方を引き継ぐ(期中会計基準BC17項)。

(a) 一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理(期中適用指針3項(2))

(b) 有価証券の減損処理に係る切放し法(期中適用指針4項)

(c) 棚卸資産の簿価切下げに係る切放し法(期中適用指針7項)

(d) 未実現損益の消去における簡便的な会計処理(期中適用指針31項(2))

上記のように整理したことから、期中会計基準の開発にあたり再検討を実施せずに考え方を引き継いでいるものについては、企業会計基準第33号等及び企業会計基準第12号等の結論の背景をそのまま引用する記載となっている(期中会計基準BC17項)。

 

Ⅲ 期中会計基準の構成

期中会計基準の章立ては次のとおりである(期中会計基準BC18項)。

 第一種中間財務諸表等及び四半期財務諸表に共通の取扱いと、四半期財務諸表のみに適用される取扱い(「6か月ごとより高い頻度で期中財務諸表を作成する場合の固有の取扱い」という)を区分し、独立した章とする。

 期中連結財務諸表と期中個別財務諸表で重複する定めは共通の取扱いとして定め、期中連結財務諸表又は期中個別財務諸表に固有の一部の取扱いと区分する。

上記のほか、次の事項にも注意する。

(a) 従来、企業会計基準第33号等及び企業会計基準第12号等以外の他の企業会計基準及び企業会計基準適用指針の一部において、四半期財務諸表又は第二種中間財務諸表等の取扱いが定められていた事項についての期中会計基準への取込みなど(期中会計基準BC19項、BC20項)

(b) 2025年会計基準の公表による他の会計基準等についての修正(例えば、「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号)、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(移管指針第4号)、「金融商品会計に関するQ&A」(移管指針第12号))

(c) <補足文書>「実務対応報告及び移管指針において定めている期中の取扱い」

 

Ⅳ 範囲

期中会計基準は、期中財務諸表を作成する場合に適用する(期中会計基準3項)。

「期中財務諸表」とは、期中連結財務諸表及び期中個別財務諸表をいう(期中会計基準4項(5))。

期中会計基準の適用対象となる期中財務諸表には、金融商品取引法に基づく半期報告書において開示される第一種中間財務諸表等が含まれる(期中会計基準BC21項、連結財務諸表規則1条1項2号、財務諸表等規則1条1項2号)。

次の事項に注意する。

 第二種中間連結財務諸表及び第二種中間財務諸表については、「中間連結財務諸表作成基準」、「中間連結財務諸表作成基準注解」、「中間財務諸表作成基準」及び「中間財務諸表作成基準注解」並びに「『中間連結財務諸表等の作成基準』の一部改正」(企業会計基準第38号)及び「『中間連結財務諸表等の作成基準』の一部改正(その2)」(企業会計基準第42号)を適用する(期中会計基準3項、BC22項)。

 臨時計算書類については、年度の途中において行った決算で把握された一定の金額を分配可能額に加算することを目的とするなど会社法上の目的に従い作成されるものであるため、期中会計基準の適用対象とする期中財務諸表には含まれない(期中会計基準BC22項)。

【参考】 ASBJホームページ

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

期中会計基準を学ぶ

◆過去に取り上げた会計基準のテーマはこちら↓

【参考記事】
「連結会計を学ぶ(改)」(全24回)

【参考記事】
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準を学ぶ」(全4回)

【参考記事】
「税効果会計を学ぶ」(全22回)

【参考記事】
「企業結合会計を学ぶ」(全37回)

【参考記事】
「連結会計を学ぶ」(全24回)

【参考記事】
「金融商品会計を学ぶ」(全29回)

【参考記事】
「減損会計を学ぶ」(全24回)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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