固定資産をめぐる判例・裁決例概説
【第31回】
「同族会社の行為計算否認規定が適用された2つの転貸方式の事例」
税理士 菅野 真美
▷同族会社の行為計算否認規定
同族会社の行為計算否認規定は、課税庁の伝家の宝刀といわれ、課税庁において、納税者の課税所得を想定で算定して税額を確定させてしまうことである。所得税法157条1項では次のとおり定められている。
税務署長は、・・・法人(筆者注:同族会社等)の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主等である居住者又はこれと・・・特殊の関係のある居住者(その法人の株主等である非居住者と当該特殊の関係のある居住者を含む。・・・)の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の・・・(確定所得申告)、・・・(還付等を受けるための申告)又は・・・(確定損失申告)に掲げる金額を計算することができる。
(以下省略)
所得税は申告納税が前提であるが、同族会社の行為計算否認は、例外的に課税庁に認められた権限であるため適用事例は限定される。将来、裁判等で争われる可能性が高いため、裁判で課税処分が覆されないように算定合理性の論理が積み上げられていく。
今回は不動産賃貸について、同族会社を介して転貸したことにより、通常受け取るべき賃貸料が著しく減少され、所得税の負担を不当に減少する結果になると認められるとして、同族会社の行為計算否認規定の適用を受けた2つの事案について、課税庁が示した算定根拠を検討する。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。