常識としてのビジネス法律
【第24回】
「会社法《平成26年改正対応》(その5)」
弁護士 矢野 千秋
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第1 総論
第2 株式
1 総論
(1) 株式、株主
(2) 株主平等の原則
2 株式の譲渡制限制度
3 自己株式の取得
(1) 株式の消却の概念の整理
(2) 自己株式の取得手続
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4 募集株式発行(持分価値&持分比率)
(1) 募集株式発行(新株発行および自己株式処分)の手続
(2) 出資を履行する期間の設定
(3) 株主割当
(4) 払込証明
(5) 新株予約権
(6) 支配株主の異動を伴う募集株式の発行等
5 株主
(1) 株主の権利
(2) 単独株主権、少数株主権、行使要件
(3) 基準日
6 株券と株主名簿
7 株式買取請求権
8 端株・単元株
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第3 機関設計に関する重点ポイント
1 会社の区別
(1) 大会社、非大会社
(2) 公開会社、非公開会社(株式譲渡制限会社)
2 株式会社の機関設計
第4 株主総会に関する重点ポイント
1 開催までの手続
2 招集通知
3 決議
4 非取締役会設置会社における株主総会
5 議決権行使書面
6 議長と議事進行
《(その4)はこちら》
7 質問と説明義務
8 動議
9 総会決議の瑕疵
10 総会議事録
(1) 作成時期、作成通数など
(2) 記載事項
(3) 署名・押印について
(4) 備え置き
第5 取締役・代表取締役・取締役会に関する重点ポイント
1 総説
2 取締役
(1) 取締役の資格、員数
(2) 任期
(3) 選任、解任
3 非取締役会設置会社の取締役
(1) 意義
非取締役会設置会社の取締役は、会社の業務執行および会社を代表する必要的機関である。
(2) 会社の業務執行機関
取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、非取締役会設置会社の業務を執行する(348条1項)。業務執行とは、会社の目的たる事業を遂行するのに必要な事務を処理することであり、法律行為のみならず事実行為も含まれる。しかし、定款変更、合併、会社分割等の会社の組織に関する行為は含まれない。
取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する(同条2項)。その場合には、取締役は、支配人の選任および解任、支店の設置、移転および廃止、株主総会の招集決定、取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備(内部統制システムの構築)、定款の定めに基づく取締役等による責任の免除についての決定を各取締役に委任することができない(同条3項)。また、大会社においては、取締役は、内部統制システムの構築に関する事項を決定しなければならない(同条4項)。
(3) 会社の代表機関
非取締役会設置会社の取締役は、他に代表取締役その他会社を代表する者を定めた場合を除いて、会社を代表する(349条1項)。
「会社を代表する」とは、取締役の行為がそのまま会社自体の行為として法律効果を生ずる関係をいい、その権限の範囲は、会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為に及び、それを制限しても、その制限を善意の第三者に対抗することができない包括的無制限なものである(同条4項5項)。
定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることもできる(同条3項)。
4 取締役会
(1) 取締役会設置会社の取締役の職務権限
取締役会設置会社の各取締役は取締役会の構成員にすぎないが、株主総会に出席するほか、会社の運営が軌道を外れた場合に各種の訴えを提起することができる。すなわち、株主総会決議取消の訴え(831条)、株主総会決議不存在・無効の訴え(830条)、会社の組織に関する行為の無効の訴え(828条)などの提起である。
さらに、取締役は単に取締役会の上程事項に限らず代表取締役の業務執行一般について監視し、必要があれば自ら取締役会を招集し、あるいは招集を求め、取締役会を通じて代表取締役の業務執行を適正に行わせる職責がある(最高裁昭和48年5月22日判決)。
(2) 意義
取締役会は、取締役全員によって構成される合議体であり、その会議における決議をもって業務執行に関する取締役会設置会社の意思決定をする必要的機関である。すなわち、取締役会は取締役会設置会社の業務執行の決定、取締役の職務の執行の監督、代表取締役の選定および解職を行う(362条2項)。取締役会を合議体にした理由は、取締役会の権限が広範であるので、取締役の協議によって妥当な結論に到達することを法が期待したからである。
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