公開日: 2017/10/12 (掲載号:No.239)
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税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第2回】「委任契約に基づく義務と付随的義務」

筆者: 米倉 裕樹、元氏 成保、橋森 正樹

税理士のための

〈リスクを回避する〉
顧問契約委託契約

【第2回】

「委任契約に基づく義務と付随的義務」

 

弁護士・税理士
米倉 裕樹
弁護士・ 関西大学法科大学院教授
元氏 成保
弁護士・税理士
橋森 正樹

 

X社は、税理士Yとの間で、税務代理、税務書類の作成、税務相談及びこれらの業務に付随する財務関係書類の作成、会計帳簿の記帳代行を行うことを内容とする税務顧問契約を締結していた。

ところで、X社の100%親会社であるZ社は、X社が行うべき業務のうち総務等のいわゆる本部機能に属する部分を行っており、X社は、その対価として、期末にZ社に対する特別管理費を計上した上で短期貸付金と相殺していたが、この特別管理費については、特に合理的な算定根拠を定めていなかった。

そして、税務調査の際に、X社はこの特別管理費の金額に関する裏付資料を提出できなかったことから、これが寄附金であるとの指摘を受け、最終的にX社はやむを得ずこの点に関する修正申告に応じることとなった。

X社はYに対し、このような特別管理費の計上が税務上不適切であることを知りながら、その計上に異議を述べず、また、他の処理を提案するなどの助言を行わなかったとして、その損害賠償を請求した。

実際には、YはX社に対して、「特別管理費を期末に一括計上するのであれば、事前にロイヤリティー契約を締結することが望ましく、また、実費相当額であることを明らかにしなければ費用として認められない可能性がある」との説明をしていたのであるが、それに対し、X社代表者はYに対して、「計上している特別管理費は実費相当額であるが、その多くは色々な費用の中に紛れ込んでおり、資料としてまとめるには時間がかかる」などと伝えており、それを信じたYは、特別管理費の内容をあえて客観的資料によって確認まではしていなかった。

このようなケースで、仮に、X社がYを税理士過誤で訴えた場合、Yはその責任を問われるのか。

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〈リスクを回避する〉
顧問契約委託契約

【第2回】

「委任契約に基づく義務と付随的義務」

 

弁護士・税理士
米倉 裕樹
弁護士・ 関西大学法科大学院教授
元氏 成保
弁護士・税理士
橋森 正樹

 

X社は、税理士Yとの間で、税務代理、税務書類の作成、税務相談及びこれらの業務に付随する財務関係書類の作成、会計帳簿の記帳代行を行うことを内容とする税務顧問契約を締結していた。

ところで、X社の100%親会社であるZ社は、X社が行うべき業務のうち総務等のいわゆる本部機能に属する部分を行っており、X社は、その対価として、期末にZ社に対する特別管理費を計上した上で短期貸付金と相殺していたが、この特別管理費については、特に合理的な算定根拠を定めていなかった。

そして、税務調査の際に、X社はこの特別管理費の金額に関する裏付資料を提出できなかったことから、これが寄附金であるとの指摘を受け、最終的にX社はやむを得ずこの点に関する修正申告に応じることとなった。

X社はYに対し、このような特別管理費の計上が税務上不適切であることを知りながら、その計上に異議を述べず、また、他の処理を提案するなどの助言を行わなかったとして、その損害賠償を請求した。

実際には、YはX社に対して、「特別管理費を期末に一括計上するのであれば、事前にロイヤリティー契約を締結することが望ましく、また、実費相当額であることを明らかにしなければ費用として認められない可能性がある」との説明をしていたのであるが、それに対し、X社代表者はYに対して、「計上している特別管理費は実費相当額であるが、その多くは色々な費用の中に紛れ込んでおり、資料としてまとめるには時間がかかる」などと伝えており、それを信じたYは、特別管理費の内容をあえて客観的資料によって確認まではしていなかった。

このようなケースで、仮に、X社がYを税理士過誤で訴えた場合、Yはその責任を問われるのか。

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連載目次

筆者紹介

米倉 裕樹

(よねくら・ひろき)

弁護士・税理士

【経歴等】
立命館大学法学部卒
1999年大阪弁護士会登録(第51期)
弁護士法人北浜法律事務所 パートナー弁護士
近畿弁護士会連合会税務委員会委員長(平成27年5月~同29年4月)

【著書・論文等】
相続税 税務調査[指摘事項]対応マニュアル」(清文社2018年出版)共著
弁護士と税理士の相互質疑応答集」(清文社2017年出版)編者・共著
税理士が実際に悩んだ相続問題の法務と税務」(清文社2014年出版)
有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行」(清文社2015年出版)
「弁護士は民事裁判をどう見ているか(調査結果の分析)」(日本弁護士連合会「自由と正義」共著、2013年8月号)
「Doing Business in Japan」(53版改訂版以降、執筆担当Consumption Tax(消費税)共著、LexisNexis社、2013年~)
そこが危ない!消費増税をめぐる契約実務Q&A」(清文社2013年出版)等

  
 


元氏 成保

(もとうじ・しげほ)

弁護士・関西大学法科大学院教授

【経歴等】
2001年3月  京都大学法学部卒
2002年10月 大阪弁護士会登録(第55期)
共栄法律事務所 パートナー弁護士
関西大学法科大学院教授(租税法、行政法)
近畿弁護士会連合会税務委員会 副委員長

【著書・論文等】
相続税 税務調査[指摘事項]対応マニュアル」(清文社2018年出版)共著
弁護士と税理士の相互質疑応答集」(清文社2017年出版)編者・共著
「固定資産税の台帳課税主義とその限界」(滝井繁男先生追悼論集 日本評論社2017年出版)
「新実務家のための税務相談 民法編」(有斐閣2017年出版)共著
「租税法判例実務解説」(信山社2011年出版)共著
「職務発明に関して従業者等が使用者等から受け取る金員の所得区分」(水野武夫先生古稀記念論文集 法律文化社2011年出版)

  


橋森 正樹

(はしもり・まさき)

弁護士・税理士

【経歴等】
早稲田大学法学部卒
2002年大阪弁護士会登録(第55期)
橋森・幡野法律会計事務所 所長
近畿弁護士会連合会税務委員会 委員長(平成29年5月~)

【著書・論文等】
相続税 税務調査[指摘事項]対応マニュアル」(清文社2018年出版)共著
「企業税務講座」(労働調査会発行2011年から連載)
弁護士と税理士の相互質疑応答集」(清文社2017年出版)編者・共著
「Q&A高齢者施設・事業所の法律相談-介護現場の76問-」(日本加除出版2015年出版)共著
「事例解説 教育対象暴力-教育現場でのクレーム対応-」(ぎょうせい2015年出版)編者・共著
「事例にみる遺言の効力」(新日本法規2011年出版)共著等

  

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