税理士のための
〈リスクを回避する〉
顧問契約・委託契約Q&A
【第2回】
「委任契約に基づく義務と付随的義務」
弁護士・税理士
米倉 裕樹
弁護士・ 関西大学法科大学院教授
元氏 成保
弁護士・税理士
橋森 正樹
Q
X社は、税理士Yとの間で、税務代理、税務書類の作成、税務相談及びこれらの業務に付随する財務関係書類の作成、会計帳簿の記帳代行を行うことを内容とする税務顧問契約を締結していた。
ところで、X社の100%親会社であるZ社は、X社が行うべき業務のうち総務等のいわゆる本部機能に属する部分を行っており、X社は、その対価として、期末にZ社に対する特別管理費を計上した上で短期貸付金と相殺していたが、この特別管理費については、特に合理的な算定根拠を定めていなかった。
そして、税務調査の際に、X社はこの特別管理費の金額に関する裏付資料を提出できなかったことから、これが寄附金であるとの指摘を受け、最終的にX社はやむを得ずこの点に関する修正申告に応じることとなった。
X社はYに対し、このような特別管理費の計上が税務上不適切であることを知りながら、その計上に異議を述べず、また、他の処理を提案するなどの助言を行わなかったとして、その損害賠償を請求した。
実際には、YはX社に対して、「特別管理費を期末に一括計上するのであれば、事前にロイヤリティー契約を締結することが望ましく、また、実費相当額であることを明らかにしなければ費用として認められない可能性がある」との説明をしていたのであるが、それに対し、X社代表者はYに対して、「計上している特別管理費は実費相当額であるが、その多くは色々な費用の中に紛れ込んでおり、資料としてまとめるには時間がかかる」などと伝えており、それを信じたYは、特別管理費の内容をあえて客観的資料によって確認まではしていなかった。
このようなケースで、仮に、X社がYを税理士過誤で訴えた場合、Yはその責任を問われるのか。
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