公開日: 2019/07/11 (掲載号:No.326)
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税務争訟に必要な法曹マインドと裁判の常識 【第8回】「税務訴訟における法令適用(法令解釈)②」

筆者: 下尾 裕

税務争訟に必要な

法曹マインド裁判の常識

【第8回】

「税務訴訟における法令適用(法令解釈)②」

 

弁護士 下尾 裕

 

前回は、税務訴訟における法令適用の特徴の1つである「借用概念を通じた私法概念の影響」について検討したが、今回は、これに関連する議論である契約準拠法の問題、さらには会計上の概念との関係についても取り上げたい。

 

1 税務訴訟における契約準拠法

(1) 契約準拠法とは

契約準拠法とは、特定の契約から生じる法律効果等の根拠となる法律である。

契約準拠法は、例えば、契約当事者の一方が日本企業、他方がアメリカ企業である場合等、契約当事者が帰属する国が異なる国際取引において主に問題となるが、第一次的には契約当事者の選択に委ねられていることから(法の適用に関する通則法第7条)、例えば、日本企業同士の契約であっても、日本国外の法律を準拠法とすることが可能である。読者の皆様の中にも、契約書の中に「本契約の準拠法は●●法とする」という文言があるのを見られたことがあるかもしれない。

では、当事者が税負担を軽減する目的から、あえて日本法以外の準拠法を選択した場合、裁判所はどのように判断するのであろうか。

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「税務訴訟における法令適用(法令解釈)②」

 

弁護士 下尾 裕

 

前回は、税務訴訟における法令適用の特徴の1つである「借用概念を通じた私法概念の影響」について検討したが、今回は、これに関連する議論である契約準拠法の問題、さらには会計上の概念との関係についても取り上げたい。

 

1 税務訴訟における契約準拠法

(1) 契約準拠法とは

契約準拠法とは、特定の契約から生じる法律効果等の根拠となる法律である。

契約準拠法は、例えば、契約当事者の一方が日本企業、他方がアメリカ企業である場合等、契約当事者が帰属する国が異なる国際取引において主に問題となるが、第一次的には契約当事者の選択に委ねられていることから(法の適用に関する通則法第7条)、例えば、日本企業同士の契約であっても、日本国外の法律を準拠法とすることが可能である。読者の皆様の中にも、契約書の中に「本契約の準拠法は●●法とする」という文言があるのを見られたことがあるかもしれない。

では、当事者が税負担を軽減する目的から、あえて日本法以外の準拠法を選択した場合、裁判所はどのように判断するのであろうか。

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連載目次

筆者紹介

下尾 裕

(しもお・ゆたか)

弁護士・税理士

2006年10月弁護士登録。弁護士法人御堂筋法律事務所(2006年10月~2020年2月。2017年よりパートナー)、2012年7月~2014年7月東京国税局調査第一部調査審理課における国際調査審理官としての勤務等を経て、現在、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所)パートナー。

主な取扱業務は、税務、ウェルス・マネジメント、M&A・事業承継、訴訟・紛争解決等。

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