常識としてのビジネス法律
【第20回】
「会社法《平成26年改正対応》(その1)」
弁護士 矢野 千秋
昨年6月27日に会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号)が公布され、その施行日は1月23日公布の政令により、本年の5月1日とされている。以下、改正部分も含め会社法について数回に分けて解説する。
〈目次〉
第1 総論
第2 株式
1 総論
(1) 株式、株主
(2) 株主平等の原則
2 株式の譲渡制限制度
3 自己株式の取得
(1) 株式の消却の概念の整理
(2) 自己株式の取得手続
4 募集株式発行
(1) 募集株式発行(新株発行および自己株式処分)の手続
(2) 出資を履行する期間の設定
(3) 株主割当
(4) 払込証明
(5) 新株予約権
(6) 支配株主の異動を伴う募集株式の発行等
5 株主
(1) 株主の権利
(2) 単独株主権、少数株主権、行使要件
(3) 基準日
6 株券と株主名簿
7 株式買取請求権
8 端株・単元株
第3 機関設計
1 会社の区別
(1) 大会社、非大会社
(2) 公開会社、非公開会社
2 株式会社の機関設計
第4 株主総会
1 開催までの手続
2 招集通知
3 決議
4 非取締役会設置会社における株主総会
5 議決権行使書面
6 議長と議事進行
7 質問と説明義務
8 動議
9 総会決議の瑕疵
10 総会議事録
第5 取締役・代表取締役・取締役会
1 総説
2 取締役
(1) 取締役の資格、員数
(2) 任期
(3) 選任、解任
3 非取締役会設置会社の取締役
(1) 意義
(2) 会社の業務執行機関
(3) 会社の代表機関
4 取締役会
(1) 取締役会設置会社の取締役の職務権限
(2) 意義
(3) 意思決定権限・特別取締役
(4) 職務執行の監督権限
(5) 取締役会の招集
(6) 取締役会の決議
(7) 取締役会の書面決議
(8) 代理人による決議
(9) 利害関係人
5 代表取締役
(1) 意義
(2) 選定
(3) 退任、解職
(4) 職務権限
(5) 専務・常務取締役
6 取締役と会社との関係
(1) 善管注意義務と忠実義務
(2) 競業避止義務
(3) 自己取引(利益相反取引)の制限
7 取締役の責任
(1) 取締役の責任
(2) 免責
(3) 役員等の責任追及の訴え(株主代表訴訟)
(4) 取締役の違法行為の差止め
8 取締役と第三者との関係
(1) 総説
(2) 第三者の損害
9 取締役の報酬
第6 監査役
1 監査役の資格、員数、任期、選任・解任
2 監査役の権限
3 監査役の責任
4 監査役会
5 監査役の報酬等
第7 会計参与
1 会計参与の新設
2 会計参与の資格
3 会計参与の選任等
4 会計参与の職務と責任
第8 監査等委員会設置会社
1 総説
2 取締役、取締役会
3 報酬等、責任
4 監査等委員会
第1 総論
株式会社は、社員(株主)の地位が株式と称する細分化された割合的単位の形をとり(株式の制度)、その社員は会社に対し各自の有する株式の引受価額を限度とする出資義務を負うだけで(有限責任性)、会社債権者に対しては責任を負わない会社である。したがって、「株式の制度」と「社員の有限責任性」とが、株式会社の最も根本的な2つの特質である。そしてこれによって会社の大規模化を果たさせようというのが株式会社制度の本来的なねらいである。研究開発にしても、逆に会社の倒産を見ても、企業規模が大きいほど利益追求に適している。それを狙って株式会社は「株式の制度」により誰でも会社に容易に参加できるようにし、「有限責任性」により万一の場合の責任を投資限度に限定することにより安心して参加できるようにしている。
このように容易かつ安心して参加できるようにすることで株式会社が大規模化するように図ったのである。
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