企業経営と
メンタルアカウンティング
~管理会計で紐解く“ココロの会計”~
【第10回】
「デフォルトに振り回されるココロ」
公認会計士 石王丸 香菜子
《登場人物》
PN社は、文具や雑貨の製造・販売を手がけるメーカーです。
経理部のカズノ君が、社長室に呼び出されました。
〈経理部のカズノ君〉
(社長室に入るのは初めてだから緊張するなぁ。)・・・失礼します!
〈社長〉
やあ、カズノ君。
今日は君に相談があるんだ。その件で、第1事業部長にも来てもらったんだよ。
〈第1事業部長〉
さっそくだがカズノ君、第1事業部で製造・販売しているカードリーダーは知っているかな?
〈経理部のカズノ君〉
はい、カードをタッチするとドアロックが解除されるものですよね。
以前から扱っている商品だと聞いています。
〈社長〉
そうなんだよ。
カードリーダーは、モデルチェンジしつつ、創業当初から扱っているんだ。
〈第1事業部長〉
それが、最近、返品やクレームが少しずつ増えていてね。そのコストもかさんでいるんだ。
〈経理部のカズノ君〉
何が原因なんでしょう?
〈第1事業部長〉
大きなトラブルがあるわけではないんだが・・・。
以前から扱っている製品だから、品質管理活動や検査がルーチン化していて、すでに決まっている方法や設定通りの取組みしかしていないことが原因だと思う。
〈社長〉
作業や段取りが初めから決められていると、それをあえて変えることは、なかなかしないものだからね。
〈経理部のカズノ君〉
確かに、方法や仕組みがすでに決まっていると、そのまま漫然と受け入れがちになりますよね。僕もですけど・・・。
〈社長〉
このままでは我が社の信用にも関わるから、品質管理の見直しの必要があると考えているんだよ。
〈第1事業部長〉
そこで、カードリーダーの品質管理に関するコストを把握して、品質管理活動に役立てたいんだ。
カズノ君、そうしたデータを集めることはできるかい?
〈経理部のカズノ君〉
う~ん・・・。
一口に品質管理に関するコストと言っても、会計上はいろんな費目の中に混じっていますから、洗い出し作業が必要ですね。
〈第1事業部長〉
カードリーダーの品質向上とコスト削減のために、一緒によろしく頼むよ!
返品やクレーム関連の前期データは、もう集計してあるんだ。
*資料*
- 第1事業部で扱うカードリーダーの返品やクレームに関する、前期1月~3月のデータは以下の通りであった。
返品の補修費・運送費・処分費:1,300万円
クレーム対応費:400万円
- これ以外に、製品の品質管理のために生じるコストにはどのようなものがあるだろうか。また、データを集めることで、どのように品質管理に役立てることができるだろうか。
* * *
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