企業経営と
メンタルアカウンティング
~管理会計で紐解く“ココロの会計”~
【第15回】
「選択は提案方法で変わる」
公認会計士 石王丸 香菜子
《登場人物》
PN社は、文具や雑貨の製造・販売を手がけるメーカーです。
カズノ君は社長と第1事業部長に誘われて、ランチに出かけました。
〈第1事業部長〉
今から行く店は、ピザのトッピングを自由に選べるんですよ!
たくさん食べるぞ~!
〈経理部のカズノ君〉
最近また太り気味っておっしゃっていましたけど・・・。
〈第1事業部長〉
たまにはいいじゃないか。
(ピピピピ・・・)ああ、こんな時に電話だ。
〈社長〉
じゃあ、カズノ君と先に店に入って、メニューを見ているよ。
・・・(店内)・・・
〈経理部のカズノ君〉
いろんなトッピングがありますね~。
第1事業部長、ソーセージやサラミばかりトッピングして野菜を選ばなさそうですね。
健康のために多少は野菜も食べてもらいたいですけど。
〈社長〉
アハハ。そうだなぁ、それなら私に良いアイデアがあるよ。
それはさておき、第1事業部で利用している設備について、第1事業部長と意見が分かれていてね。
実はカズノ君の考えを聞きたいんだ。
〈経理部のカズノ君〉
どうされたんですか?
〈社長〉
もうすぐ設備の買い替え時期になるんだけど、新しい設備として2つの候補があがっているんだ。
でも、2つの設備の耐用年数が違うから、単純には比較できなくてね。
どちらを選ぶべきか判断しにくいんだよ。
〈経理部のカズノ君〉
それなら、ランチから戻ったら僕が試算してみましょうか。
〈社長〉
悪いね、後でデータをメールで送るよ。
〈経理部のカズノ君〉
お二人が判断しやすいように資料を作っておきますね。
・・・あっ、第1事業部長、こっちですよ~。
〈第1事業部長〉
やれやれ、やっとピザが注文できる。
どのトッピングにしようかな・・・。
〈社長〉
店長オススメのトッピングは、玉ねぎとピーマンとオリーブらしいよ。
〈経理部のカズノ君〉
・・・!?
〈第1事業部長〉
なるほど。じゃあ、私はそのトッピングで!
すみませ~ん、オーダーをお願いしま~す!
〈経理部のカズノ君〉
(・・・さすが!)
*資料*
● 第1事業部で利用している設備は、まもなく買い替え時期になる。新しい設備として、以下の2つが候補にあがっている。
《2年タイプ》
◇取得価額:300万円
◇耐用年数:2年
[備考]
・年間300万円の収入が得られる。
・年間70万円のランニングコストが生じる。
《3年タイプ》
◇取得価額:480万円
◇耐用年数:3年
[備考]
・年間300万円の収入が得られる。
・年間40万円のランニングコストが生じる。
● どちらの設備も残存価額をゼロとする定額法で減価償却し、耐用年数経過後の売却価値はない。耐用年数を経過した後は、同じ設備を再購入する可能性が高い。
● PN社の資本コストは税引後10%、法人税率は30%として計算する。
* * *
1 「ナッジ」・・・そっと後押し
パソコンにソフトをインストールするときやパソコンの設定を変更する時など、『通常の設定(推奨)』と『カスタム設定』を選べるシーンがよくありますね。たいていの場合、『通常の設定(推奨)』にすでにチェックが入っているので、それをそのまま選ぶ方が多いはずです。
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