林總の
管理会計[超]入門講座
【第3回】
「間接費の考え方(その1)」
公認会計士 林 總
林 今回のテーマは“間接費”だったね。
Q 前回の講義で、間接費を「直接的に給付(製品やサービス)に集計できない費用」って言われました。集計できない費用を集計する必要って、あるんですか。
林 良い点に気付いたね。
その必要はない、という考えもある。間接費は、製品を作らなくても、製品を販売しなくても、時間と共に生じるものだから、生じた期間の費用にすべきだという考えだ。
もう一つは、かかった費用は製品やサービスの売上金額で回収すべきとする考えだ。
前者をダイレクトコスト、後者をフルコストというんだけどね。
Q どちらが正しいのですか。
林 以前は、それぞれの論者が持論をぶつけあっていた。でも、次第にどちらが正しいというのではなくて、必要に応じて使い分けるようになってきたんだ。
制度会計、つまり会社法、金商法、税法に基づく会計は、間接費も製品原価に含めるべきとするフルコストの立場をとっている。そもそも会計は、700年も前から、使ったお金を回収し、結果としてどれだけの余剰があったか、を計算するためのツールとして発達してきたからね。
現実問題として、作るのに手間がかかる製品と、ほとんど手間がかからない製品とでは、間接費が同じということはあり得ない。だから、合理的と考えられる基準を探して、間接費を製品に配賦してきたんだ。
しかし、経営を重視する立場の論者は、そんなムダなことをする必要はないし、むしろ配賦をすべきではないとまで考えている。
Q どういうことなんですか。
林 第一に、そもそも直接的に集計する基準がないのに、無理やり作業時間などを使って配賦したら、製品原価が歪んでしまう。なぜなら、工場は製品を作るための製造部門だけで成り立っているわけではないからね。
材料を保管して必要量を工場に出庫する倉庫部、生産の計画や作業指示を出す生産管理部、工程で不良がないかチェ
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