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会計上の見積り注記の事例分析

会計上の見積り注記の事例分析   RSM清和監査法人 公認会計士 西田 友洋   企業会計基準第31項「会計上の見積りの開示に関する会計基準」が、2021年3月決算より適用されている。2021年3月決算の有価証券報告書では、当該基準が適用された上で提出されているため、それらを元に今回は会計上の見積り注記の事例を分析し、解説を行う。今後の注記の記載にあたって参考とされたい。   1 事例分析 (1) 会計上の見積りの注記数 重要な会計上の見積りの注記の中で記載している項目の数は、以下のとおりである。最も多いのは1個の998社であり、平均は1.4個となっている。 (2) 項目別の注記数 重要な会計上の見積りの注記の項目別の数は以下のとおりである。 (注) 会社によって注記の記載方法は様々である。例えば、1つの注記で1つの項目を記載している場合や1つの注記で複数の項目を記載している場合、1つの項目について注記を分けている場合がある。そのため、上記(1)の表の数の合計と(2)の表の数の合計は一致しない。 なお、上表の項目別の数の集計のなかで以下のような特徴がみられた。   2 特徴的な事例 以下では、今後の注記の記載にあたって参考になると考えられる特徴的な事例を挙げている。 (注) 以下の事例は、2021年3月期の有価証券報告書から抜粋している。なお、各事例における下線は筆者が追記している。 (1) 固定資産の減損 【(株)AOKIホールディングス】 ◎将来の売上の仮定を数値で示している事例及び新店舗及び減損の兆候があったが減損損失を認識していない固定資産の帳簿価額を記載している事例 【(株)イエローハット】 ◎店舗数について詳細に記載している事例 (2) 繰延税金資産の回収可能性 【(株)きもと】 ◎来期の売上増加要因について増加率を数値で示している事例 (3) 退職給付 【古河機械金属(株)】 ◎割引率及び長期期待運用収益率が変動した場合に、どれくらい影響があるか記載している事例 (4) たな卸資産の評価 【森下仁丹(株)】 ◎処分見込価額の算定方法について、具体的な計算式を記載している事例 【(株)カチタス】 ◎たな卸資産の評価損の算出方法及び仮定を具体的に記載している事例 (5) 貸倒引当金 【セコム(株)】 ◎貸付金の回収可能性について、具体的に記載している事例 (6) 工事進行基準 【アイサンテクノロジー(株)】 ◎工事総原価及び進捗度の見積りの際のポイントを箇条書きで記載している事例 (了)

#No. 429(掲載号)
#西田 友洋
2021/07/21

〈事例から学ぶ〉不正を防ぐ社内体制の作り方 【第8回】「牽制と予防の仕組みの限界を考える」~共謀、非定型的な取引、経営者による内部統制の軽視等への対応~

〈事例から学ぶ〉 不正を防ぐ社内体制の作り方 【第8回】 「牽制と予防の仕組みの限界を考える」 ~共謀、非定型的な取引、経営者による内部統制の軽視等への対応~ 米国公認会計士・公認内部監査人 打田 昌行   はじめに 人は元来、間違う動物です。そのため、日常の業務のなかで起きる判断の誤り、不注意による人為的なミスや不正に対し、牽制や予防をするために、私たちはさまざまな仕組みや手続をデザインして周到に備えています。しかし、あらゆる仕組みや手続には、常に限界が伴います。つまり、本来の機能が有効に働かず、求められている目的を完全に達成できなくなることが起こります。 たとえば、不注意による人為的なミスや不正を予防する代表的な仕組みに相互牽制の仕組みがあります。合理的な意思に基づき、会社の利益のためにお互いの仕事を確認するという、みなさんご存知の身近で用いられる方法です。 しかし、たとえ相互牽制が図られても、複数の担当者による共謀にあっては、本来の働きが阻害され、不注意による人為的なミスどころか不正にも対抗することができなくなってしまいます。牽制の仕組みは、あらかじめ起こり得る多くの事態を想定したうえでデザインされます。しかし、想定すらしていなかった事態が起こり得るということは、原発事故、地震や洪水などの自然災害に遭遇してきた私たちが、経験から既に学んだことです。 では、こうした仕組みの持つ限界をきちんと理解したうえで、どのようにしたら仕組みの限界を補完し、可能な限り克服するためのヒントを手に入れることができるのでしょうか。以下、内部統制報告制度を例にとって考えます。   《1》 内部統制報告制度の固有の限界 財務報告の信頼性を標榜する内部統制報告制度に関し、詳細を定めている「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(企業会計審議会)(以下「実施基準」という)を参照してみると、内部統制報告制度という仕組みが持つ固有の限界を次のように説明しています。 以上のように明確にされた限界を踏まえたうえで、それらを補完し克服するためのヒントやアプローチが、ビジネスの現場にあるのでしょうか。   《2》 判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀 判断の誤り、不注意に対する対応として、複数人の眼によるチェックが考えられます。ある者が文書を作成すれば、他の者がその内容を確認する。一方がシステムにデータを入力すれば、他方が入力内容に漏れや重複がないかどうかを確認する。このようにして相互牽制の仕組みを用いることで、判断の誤りや不注意による誤りを相当程度、回避あるいは解消することができます。 しかし、相互牽制によって判断の誤りや不注意を回避することを期待される担当者や責任者が、お互いに通じ、自己の利益のために身勝手な行動をとったとしたら、本来の期待を裏切るどころか不正を予防することさえ困難となります。こうした共謀に対抗するためには、どうすべきでしょうか。   《3》 想定しない組織内外の環境変化や非定型的な取引 想定しない組織内外の環境変化や非定型的な取引に対抗するためには、あらかじめ緊急時の定めを用意しておく必要があります。   《4》 費用と便益との比較衡量 牽制と予防の仕組みを導入するにもコストを要します。また、会社が持つ人的な資源(リソース)も無限ではありません。そのため、会社が全てのリスクに対応することは困難です。 たとえば、想定される誤りや不正のリスクが実際に起きる可能性が低く、仮にリスクが現実になった場合に被る実害が僅少と判断されるような場合は、あえてリスクを甘受するという選択肢も考えられます。 あるいは、想定されるリスクに社内で対抗することが困難と判断される場合は、事業から撤退を図るという選択肢もあり得ます。会社が持つ人的な資源(リソース)が有限である以上、牽制と予防の仕組みに要するコストとそこから得られる便益を適切に比較衡量して対処を見極める経営判断が大切になります。   《5》 経営者が自ら社内の仕組みを無視ないし無効ならしめることがある 数年前、ある有名な自動車会社の経営者が、会社の制度や仕組みを自ら蹂躙するという事件が起こりました。その会社の内部統制報告書(上場企業が毎期、自社の内部統制の整備、運用の状況について評価した結果を広く表明する文書のこと)によれば、役員報酬等を調査した結果、代表取締役の役員報酬等が過少に計上されていたこと、会社の資金や経費が私的に流用されていたこと、予算外の支出を管理する制度を用いた不透明な支出の事実が明らかになったこと、経営者自らが内部統制を無効化させたこと、その背景には人事や報酬を含む権限の集中があり、経営者は適切な経営理念や倫理規程から逸脱する行動をとることのできる環境にあったと分析しています。 では、このような経営者の暴走に、どのように対抗したらよいのでしょうか。 全ての仕組みに限界があることを語るのは簡単です。しかし、仕組みにある限界を認識しつつ、他の仕組みを有機的に結びつけ、足りないところを補完して対応を図るというアプローチがあることを認識するのは、とても大切なことです。 (了)

#No. 429(掲載号)
#打田 昌行
2021/07/21

収益認識会計基準を学ぶ 【第9回】「履行義務の充足による収益の認識①」

収益認識会計基準を学ぶ 【第9回】 「履行義務の充足による収益の認識①」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 今回(第9回)は、履行義務の充足による収益の認識について解説する。 履行義務の充足により収益が認識されるので、どの時点で履行義務が充足されるのかを理解することが重要である。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 履行義務の充足 企業は約束した財又はサービスを顧客に移転することにより、①履行義務を充足した時に又は②充足するにつれて、収益を認識する(収益認識会計基準35項、38項、39項)。   Ⅲ 一定の期間にわたり充足される履行義務(収益認識会計基準) 次の(1)から(3)の要件のいずれかを満たす場合、資産に対する支配を顧客に一定の期間にわたり移転することにより、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する(収益認識会計基準38項)。 〈収益認識会計基準38項の要件〉   Ⅳ 一定の期間にわたり充足される履行義務(収益認識適用指針) 収益認識会計基準38項については、次のように収益認識適用指針において詳細な規定が設けられている。 1 顧客による便益の享受(収益認識会計基準38項(1)の要件) 企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受する履行義務(収益認識会計基準38項(1))の単純な例は、日常的又は反復的なサービス(例えば、清掃サービス)に関するものである(収益認識適用指針115項)。 顧客が便益を享受するかどうかを容易に識別できない場合には、収益認識適用指針9項の定めを考慮する(収益認識適用指針115項)。 収益認識会計基準38項(1)の要件に該当するかどうかを判定するにあたっては、仮に他の企業が顧客に対する残存履行義務を充足する場合に、企業が現在までに完了した作業を当該他の企業が大幅にやり直す必要がないときには、企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受するものとする(収益認識適用指針9項)。 他の企業が作業を大幅にやり直す必要がないかどうかを判定する場合には、次の①及び②の仮定を置く(収益認識適用指針9項)。 2 履行により、別の用途に転用することができない資産が生じること(収益認識会計基準38項(3)①の要件) 収益認識会計基準38項(3)①に定める資産を別の用途に転用することができるかどうかの判定は、契約における取引開始日に行う(収益認識適用指針10項)。 次のことに注意する(収益認識適用指針10項、116項~120項) 3 履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること(収益認識会計基準38項(3)②の要件) 収益認識会計基準38項(3)②に定める履行を完了した部分について対価を収受する強制力のある権利を有しているかどうかの判定は、契約条件及び当該契約に関連する法律を考慮して行う(収益認識適用指針11項)。 履行を完了した部分について対価を収受する強制力のある権利を有している場合とは、契約期間にわたり、企業が履行しなかったこと以外の理由で顧客又は他の当事者が契約を解約する際に、少なくとも履行を完了した部分についての補償を受ける権利を企業が有している場合である(収益認識適用指針11項)。 次のことに注意する(収益認識適用指針11項、121項~122-2項) 4 履行を完了した部分についての補償額(収益認識会計基準38項(3)②の要件) 履行を完了した部分についての補償額は、合理的な利益相当額を含む、現在までに移転した財又はサービスの販売価格相当額である(収益認識適用指針12項)。 合理的な利益相当額に対する補償額は、次の①又は②のいずれかである(収益認識適用指針12項)。 5 履行を完了した部分について対価を収受する権利(収益認識会計基準38項(3)②の要件) 履行を完了した部分について対価を収受する権利の有無及び当該権利の強制力の有無を判定するにあたっては、契約条件及び当該契約条件を補足する又は覆す可能性のある法令や判例等を考慮する(収益認識適用指針13項)。 当該考慮にあたっては、例えば、次の①から③を評価することが含まれる。   (了)

#No. 429(掲載号)
#阿部 光成
2021/07/21

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例61】株式会社東芝「定時株主総会の決議結果に関するお知らせ」(2021.6.25)

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例61】 株式会社東芝 「定時株主総会の決議結果に関するお知らせ」 (2021.6.25)   公認会計士/事業創造大学院大学准教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる開示は、株式会社東芝(以下「東芝」という)が2021年6月25日に開示した「定時株主総会の決議結果に関するお知らせ」である。同日開催された定時株主総会において、取締役候補者のうち永山治氏(以下「永山氏」という)と小林伸行氏(以下「小林氏」という)の2名の選任案が否決されたという内容である。 この連載で同社の開示を取り上げるのは【事例21】以来なので、かなり久しぶりである。それまでは【事例1】【事例11】【事例16】と取り上げていて(もちろん最多)、さすがにもう取り上げることはないかと思っていたのだが。   2 調査報告書 東芝は、2021年6月10日に「会社法第316条第2項に定める株式会社の業務及び財産の状況を調査する者による調査報告書受領のお知らせ」を開示している。会社法第316条第2項は、株主の請求により招集された株主総会では、その決議により会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任できるという規定である。同社は、2021年3月18日開催の臨時株主総会でその調査者を選任しており(同日「臨時株主総会の決議結果に関するお知らせ」を開示)、その調査報告書を受領したという内容である。 その調査の対象は、2020年7月31日に開催された定時株主総会が公正に運営されたか否かであり、議決権集計問題と圧力問題の2つの疑義について分析されている。議決権集計問題とは、定時株主総会の議決権行使の集計において不正があったのではないかという疑義であり、圧力問題とは、株主に圧力をかけて定時株主総会の議決権行使を断念させたのではないかという疑義である。 調査報告書は、議決権集計問題については同社の認識及び関与はなかったと結論付けているが、圧力問題については次のように結論付けている。   3 監査委員会 東芝は指名委員会等設置会社であり、企業統治優等生のように見えるのかもしれないのだが、以前この連載で同社の開示を取り上げていたときはそうではなかった。現在も変わっていないようである。調査報告書は、定時株主総会の不公正な運営に至った「原因の一端」として、監査委員会の機能不全をあげている。なんと監査委員長は圧力問題を認識していたという。調査報告書は、「そうであるにもかかわらず」として、次のように続けている。   4 選任されなかった2名 2021年3月18日開催の臨時株主総会に付議された調査者の選任案は、株主の提案によるものである。それに対して、東芝は2021年2月17日に「臨時株主総会の開催日時及び場所、付議議案並びに株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」を開示し、反対意見を表明していた。その理由は、監査委員会による調査の結果、圧力問題は認められなかったから(議決権集計問題についても更なる調査は不要)、というものだった。 同社は、調査報告書を受領した後、2021年6月13日に「調査報告書を受けた当社の対応等について」を開示し、役員候補者を変更した。2021年5月14日に開示した「役員候補者決定のお知らせ」では取締役候補者とされていた太田順司氏と山内卓氏が外されたのだが、両名は監査委員だった。 そして、定時株主総会で選任案が否決された2名のうち、小林氏も監査委員だった。もう1人の永山氏の選任案が否決されたのは、彼が指名委員会委員長だったからかと思われる。監査委員だった小林氏を取締役候補者から外さなかった責任を問われたのだろう。報道によると(2021年6月29日付日本経済新聞)、公認会計士が取締役に必要との理由で小林氏(公認会計士)を取締役候補者から外さなかったらしいのだが。   5 あのときも 【事例21】では、東芝の特設注意市場銘柄指定解除が公正な判断によるものだったのか、それとも、同社側に立った判断によるものだったのかについて検討した。本当のところはわかり得ないとしても、今回の圧力問題を見ると、「やはりあのときも」と思えてくる。 今回の事態は、あのとき上場を維持させた結果だろう。同社は、2017年10月12日に特設注意市場銘柄指定が解除となり、その約1月後の11月19日に「第三者割当による新株式の発行に関するお知らせ」を開示し、約6,000億円を調達した。同社と対立することとなる物言う株主は、その増資の結果、同社の株式を持つこととなったのである。 上場を維持し、大規模増資を行った場合にどういうことが起きるか想像できなかったのだろうか。相変わらず株主のことを、金は出しても口を出さない存在と見ていたのだろうか。それとも、いざというときは再び誰かが助けてくれる(今度は経済産業省?)とでも思っていたのだろうか。やはり、あのとき上場廃止になっていた方が、同社にとっては良かったのではないだろうか。 (了)

#No. 429(掲載号)
#鈴木 広樹
2021/07/21

2021年上半期(1月~6月)掲載分の目次(PDFファイル)をアップしました!

-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2021年上半期(1月~6月)掲載分の目次をアップしました。 2021年上半期(1月~6月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2021年 1月~6月(No.401~425)⇒[こちら] ★ 2020年 1月~6月(No.351~375)⇒[こちら] 7月~12月(No.376~400)⇒[こちら] 2019年 1月~6月(No.301~324)⇒[こちら] 7月~12月(No.325~350)⇒[こちら] 2018年 7月~12月(No.275~300)⇒[こちら] 1月~6月(No.251~274)⇒[こちら] 2017年 7月~12月(No.225~250)⇒[こちら] 1月~6月(No.201~224)⇒[こちら] 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]

#Profession Journal 編集部
2021/07/20

《速報解説》 国税庁、改正電帳法を受けた改正個別通達やQ&A等を公表

《速報解説》 国税庁、改正電帳法を受けた改正個別通達やQ&A等を公表   Profession Journal編集部   税務署長の事前承認制度の廃止や検索要件の緩和など大幅な見直しが行われる改正電子帳簿等保存制度の施行(令和4年1月1日~)まで半年を切る中、国税庁は7月16日に下記の情報を公表、改正後の制度について周知を図っている。 今回公表されたのは、まず本制度に係る個別通達の改正通達「「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」で、通達全体にわたって項目の追加削除等が行われている。また、この改正通達の趣旨説明「令和3年7月9日付課総10-10ほか7課共同「『電子帳簿保存法取扱通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)等の趣旨説明について」についても合わせて公表されている。 次に「電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係」「スキャナ保存関係」「電子取引関係」に分冊されている本制度の「Q&A(一問一答)」についても、それぞれ見直しが行われている。 なお本制度の様式関係の改正通達「「電子帳簿保存法関係申請書等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」も同日に公表されているが、こちらは押印義務の廃止による見直しが行われている。 冒頭のとおり新制度の見直しは来年からとなっているため、国税庁ホームページには現制度のQ&A等情報も引き続き公表されている。このため各資料の確認にあたっては新旧制度いずれのものか留意の上、本制度全般については「電子帳簿保存法関係」から、令和3年度税制改正関係の資料は「令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて」から、それぞれ閲覧されたい。 (了)

#No. 428(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/07/19

《速報解説》 会計士協会、監基報810「要約財務諸表に関する報告業務」の改正を確定~監査人にその他の記載と要約財務諸表の間の重要な相違の有無について検討を求める~

《速報解説》 会計士協会、監基報810「要約財務諸表に関する報告業務」の改正を確定 ~監査人にその他の記載と要約財務諸表の間の重要な相違の有無について検討を求める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年6月10日付で(ホームページ掲載日は2021年7月16日)、日本公認会計士協会は、「監査基準委員会報告書810「要約財務諸表に関する報告業務」の改正について」を公表した。これにより、2021年4月14日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、監査基準の改訂及び監査報告に関する国際監査基準(ISA)の改訂を受けた監査基準委員会報告書の改正を反映させるためのものである。 なお、公開草案に対して特段の意見は寄せられなかったとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 報告書は、一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を実施した監査人が、監査済財務諸表を基礎として作成された要約財務諸表に関して報告業務を行う場合における監査人の責任について、実務上の指針を提供するものである(1項)。 「要約財務諸表」とは、一定時点における企業の経済的資源もしくは義務又は一定期間におけるそれらの変動に関して、財務諸表ほど詳細ではないが、それと整合する体系的な情報を提供するために、財務諸表を基礎として作成された過去財務情報である(3項(4))。 1 「その他の記載」の定義 「その他の記載」とは、要約財務諸表を含む開示書類のうち、当該要約財務諸表と要約財務諸表に対する報告書とを除いた部分の記載をいう(3項(2))。 2 「その他の記載」の検討 監査人は、要約財務諸表及び要約財務諸表に対する報告書が含まれる開示書類におけるその他の記載を通読し、その他の記載と要約財務諸表の間に重要な相違があるかどうかを検討しなければならない(13項)。 そして、監査人は、重要な相違を識別した場合には、当該事項について経営者と協議し、要約財務諸表及びその要約財務諸表に対する報告書が含まれる開示書類の要約財務諸表又はその他の記載を修正する必要があるかどうかを判断しなければならない(14項)。 13項及び14項では、要約財務諸表及び要約財務諸表に対する報告書が含まれる開示書類におけるその他の記載に関連する監査人の責任を扱っており、ここでのその他の記載には、次のものが含まれる場合がある(A12項)。 3 要約財務諸表に対する報告書 監査基準の改訂及び監査報告に関する国際監査基準(ISA)の改訂を受けた監査基準委員会報告書の改正に対応し、「要約財務諸表に対する報告書」の記載内容を整理するとともに、「監査済財務諸表に対する監査報告書への参照」について詳細に規定している(15項~19項)。 18項は、監査済財務諸表に対する監査報告書において、監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」に従った監査上の主要な検討事項の報告が含まれている場合には、その旨を要約財務諸表に対する報告書に含めることを監査人に要求している(A21項)。 しかしながら、監査人は要約財務諸表に対する報告書において、監査上の主要な検討事項を個別に記載することは要求されていない(A21項)。 報告書の19項により要求される記述は、このような事項に注意を喚起することを意図したものであり、監査済財務諸表に対する監査報告書を代替するものではない。また、この記述は、当該事項の内容を伝えることを意図したものであり、監査済財務諸表に対する監査報告書の関連する文章を繰り返して記載する必要はない(A22項)。   Ⅲ 適用時期等 2022年3月31日以後終了する事業年度に係る要約財務諸表に関する報告業務から適用する。 (了)

#No. 428(掲載号)
#阿部 光成
2021/07/19

プロフェッションジャーナル No.428が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年7月15日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.428を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/07/15

日本の企業税制 【第93回】「産業競争力強化法等の改正法案成立」

日本の企業税制 【第93回】 「産業競争力強化法等の改正法案成立」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案が6月9日参議院本会議で可決成立した。この改正法の施行の日は、同法の公布の日(6月16日)から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日とされている。 今回の改正は、新型コロナウイルス感染症の影響、急激な人口の減少等の短期及び中長期の経済社会情勢の変化に適切に対応して、「新たな日常」に向けた取組を先取りし、長期視点に立った企業の変革を後押しするため、ポストコロナにおける成長の源泉となる①「グリーン社会」への転換、②「デジタル化」への対応、③「新たな日常」に向けた事業再構築、④中小企業の足腰強化等を促進するための措置を講じるべく、産業競争力強化法、中小企業等経営強化法、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、下請中小企業振興法、独立行政法人中小企業基盤整備機構法の6つの法律を改正するものである。 この改正法に関する税制上の措置としては、カーボンニュートラル実現に向けた事業者の計画の主務大臣による認定を前提とした、脱炭素化効果が高い製品の生産設備・生産工程等の脱炭素化を進める設備に対する設備投資税制、デジタル技術を活用した全社レベルのビジネスモデルの変革の計画の主務大臣による認定を前提としたDX投資促進税制、「新たな日常」に向けた事業再構築の計画の主務大臣による認定を前提とした繰越欠損金の控除上限の引上げ、事業承継に先立ち実施するデューデリジェンス等を経営力向上計画の対象とした中小企業経営資源集約化(M&A)税制(M&A後のリスクに備える準備金・設備投資・雇用確保の促進)、が措置されている。 税制上の措置の他、産業競争力強化法では、経済産業大臣及び法務大臣の確認を前提として上場会社がバーチャルオンリー株主総会の開催を特例的に可能とする措置、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律では、一部株主が所在不明であるため事業承継が困難となっている旨の認定を受けた中小企業者について、所在不明株主からの株式買取り等の手続きに必要な期間を5年から1年に短縮する措置、下請中小企業振興法では、発注者と中小企業との間に入り、中小企業の強みを活かした取引機会等を創出する事業者の認定制度を創設するとともに、金融支援等を行う措置も盛り込まれている。   〇繰越欠損金の控除上限の特例 今回の産業競争力強化法の改正を踏まえて、令和3年度税制改正では、同法の規定する「成長発展事業適応」を行う「認定事業適応事業者」(強化法21の28①)を対象に、繰越欠損金の控除上限の特例が講じられている(措法66の11の4)。 具体的には、青色申告書を提出する法人で、産業競争力強化法の改正法の施行の日から同日以後1年を経過する日までの間に、同法の事業適応計画について同法の認定を受けたもののうち、上記「認定事業適応事業者」であるものの適用事業年度(その認定事業適応計画に記載された実施時期内の日を含む各事業年度であって、一定の要件を満たす事業年度に限る(黒字転換後最大5年間(令和8年4月1日以前に開始する事業年度)))において欠損金の繰越控除制度を適用する場合において、特例欠損事業年度において生じた欠損金額があるときは、超過控除対象額に相当する金額を欠損金の繰越控除制度において損金算入することができる金額に加算することとされている。 なお、特例欠損事業年度とは、特例事業年度において生じた欠損金のうちこの制度の要件を満たすものがある場合の特例事業年度を指しており、特例事業年度自体は財務省令で定めることとされているが、その内容は今後定められる予定である。   〇事業適応の実施に関する指針案 上記からもわかるように、この特例の適用を受けるには、「認定事業適応事業者」であることが必須である。この「認定」を受けるための手続・要件は今回の改正法に提示されている。 経済産業大臣及び財務大臣は、事業適応の実施に関する指針(以下「実施指針」という)を定め(強化法21の13)、さらに主務大臣は、実施指針に基づき、所管に係る事業分野のうち、当該事業分野の特性に応じた事業適応を図ることが適当と認められるものを指定し、当該事業分野に係る事業適応の実施に関する指針(以下「事業分野別実施指針」という)を定め(強化法21の14)、主務大臣は実施指針及び事業分野別実施指針に基づき事業適応計画の認定を行う(強化法21の15④)。主務大臣の認定を受けた事業適応計画は「認定事業適応計画」と呼ばれ(強化法21の16②)、計画の認定を受けた事業者は「認定事業適応事業者」と呼ばれる(強化法21の16①)。 改正法の成立を受け、すでに実施指針案がパブリックコメントに付されている。欠損金の繰越上限の特例に関する実施指針は、「成長発展事業適応」の部分であるが、実施指針案では次の第1、第2の目標のいずれかを達成することが見込まれることが求められている。 第1(生産性の向上に関する目標) 第2(新たな需要の開拓に関する目標)   〇主務大臣による確認 税制上の措置の適用を受けるには、まずは「認定事業適応事業者」(強化法21の16①)となる必要があるが、それだけでは、適用要件のすべてを満たしているわけではない。税制上の特例措置の適用を受ける「認定事業適応事業者」(強化法21の28①)は別物である。 すなわち、主務大臣による計画の認定に加えて一定の事項に関する「確認」を得ることが求められていることに注意が必要である。繰越欠損金の控除上限の特例においては、経済社会情勢の著しい変化に対応して行うものとして主務大臣が定める基準に適合することについての主務大臣の「確認」が必要とされている(強化法21の28①)。この「主務大臣が定める基準」については、今後定められる予定である。 (了)

#No. 428(掲載号)
#小畑 良晴
2021/07/15

令和3年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第4回】「研究開発税制の拡充(その1)」

令和3年度税制改正における 『連結納税制度』改正事項の解説 【第4回】 「研究開発税制の拡充(その1)」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   [4] 研究開発税制の拡充 連結納税制度においても、厳しい経営環境にあっても研究開発投資を増加させる企業について、2年間の時限措置として、税額控除の上限を引き上げる(改正前:25%→30%)とともに、研究開発投資の増加インセンティブを強化する観点から、控除率カーブの見直し及び控除率の下限の引下げ(改正前:6%→2%)を行うこととしている。 連結納税制度における研究開発税制は、連結グループ全体を1つの計算単位として税額控除額が計算され、連結法人税額から控除し、その連結グループ全体の税額控除額を各連結法人の試験研究費の発生額の比で配分して個別帰属額が計算される。 具体的には以下の取扱いとなる(新措法68の9、新措令39の39)。 なお、令和3年4月1日以後に開始する連結事業年度から適用される(令和3年所法等改正法附則1、43)。 1 試験研究費の総額に係る税額控除制度(一般型)   (了)

#No. 428(掲載号)
#足立 好幸
2021/07/15
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