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《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2020」の追加を公表~あわせて「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」を更新~

《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2020」の追加を公表 ~あわせて「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」を更新~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年3月22日、金融庁は「記述情報の開示の好事例集2020」の追加を公表した。 これは、新たに「監査の状況」、「役員の報酬等」等の開示の好事例を追加するとともに、令和元年11月に公表した「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」を更新するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 重要な会計上の見積りに関する開示例 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(企業会計基準第31号)は、2021年3月31日以後終了する事業年度末に係る財務諸表等から適用される。 「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「開示府令」という)でも、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(MD&A)において、会計上の見積りに関する記載事項を規定している。 財務諸表等の注記に重要な会計上の見積りに関する記載がある場合でも、開示府令が求めている事項に関する記載がないときには、財務諸表等の注記に記載されていない内容についてはMD&Aへの記載が必要となるので注意する。 なお、開示府令では、MD&Aに記載すべき事項の全部又は一部を財務諸表等の注記に記載した場合、MD&Aにその旨を記載することによって、当該注記において記載した事項の記載を省略することができるとしている。 好事例のポイントとして、次のことが記載されている。   Ⅲ 監査の状況に関する開示例 好事例のポイントとして、次のことが記載されている。   Ⅳ 役員の報酬等に関する開示例 好事例のポイントとして、次のことが記載されている。   Ⅴ 政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例) 次の記載に関する事例が紹介されている。 (了)

#No. 411(掲載号)
#阿部 光成
2021/03/23

《速報解説》会計士協会、リモートワーク対応第6号「電子メールを利用した確認に関する監査上の留意事項」を公表~メールによる確認リスク対応として確認回答先への電話確認や電子署名の活用を示す~

《速報解説》 会計士協会、リモートワーク対応第6号 「電子メールを利用した確認に関する監査上の留意事項」を公表 ~メールによる確認リスク対応として確認回答先への電話確認や電子署名の活用を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年3月19日、日本公認会計士協会は、リモートワーク対応第6号「電子メールを利用した確認に関する監査上の留意事項」を公表した。 これは、電子メールを利用した確認に関する監査上の留意事項を記載したものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 電子メールを利用した確認 財務諸表監査では、紙面で確認状を送付しても回答が電子メールによって行われる場合や、確認依頼を電子メールで送付し、確認回答者が電子メールを利用して回答した確認回答データを監査人が入手するという方式により確認手続を実施することがある。 リモートワーク対応第6号は、監査人の実施する確認手続において、確認回答者が電子メールを利用して回答した確認回答データを監査人が入手するという方式(電子メールを利用した確認)について取り扱っている。 2 2つの方式 リモートワーク対応第6号は、次の2つの方式について述べており、いずれの場合も、監査人は、確認回答者が実際に回答を電子メールで送付したことを、電話などにより確認回答者に直接確かめるとされている。 次の事項が記載されているので、電子メールによる確認を行うかどうかの判断は慎重に行うべきと考えられる。 3 留意事項 電子メールを利用した確認に伴うリスクとして、次の4つのリスクを挙げている。 これらのリスクに対応する方法として、例えば、確認回答先への電話確認が示されており、可能な場合には、被監査会社から入手した確認回答者への直通電話ではなく、所属する組織の大代表に架電の上、当該回答者への取次を依頼することにより、当該回答者が、被監査会社から通知された確認回答先の組織(会社・部署)に実在することを確かめることが考えられると記載されている。 また、リスクに対応する方法の例には、例えば、電子署名の活用のように、被監査会社及び確認回答者の協力を得ることが重要となるものがあると記載している。 (了)

#No. 411(掲載号)
#阿部 光成
2021/03/22

《速報解説》 熊本局より「業績連動型譲渡制限付株式報酬」について文書回答事例が示される

 《速報解説》 熊本局より「業績連動型譲渡制限付株式報酬」について文書回答事例が示される   税理士 中尾 隼大   (1) 文書回答事例の公表 令和3年3月8日、国税庁ホームページにおいて、熊本国税局の文書回答事例「業績連動型譲渡制限付株式報酬の業績連動給与該当性について」が公表された(回答年月日は令和3年1月29日)。 本件は、先般導入事例が増加している業績連動型譲渡制限付株式報酬に係る損金算入時期について、そして対象取締役が当該株式を取得する際の所得区分を明らかにしたものである。   (2) 事前照会の内容 法人税法34条5項では、業績連動給与について と定めている。 事前照会を行った法人たる納税者は、業績連動型譲渡制限付株式報酬制度の導入に当たり、業務執行役員全てを対象として一定の方法により交付株式数を算定し、譲渡制限解除は役員の退任時とした上で、株式の無償取得事由を以下の通り定めることとしている。 本件は、この無償取得事由が上記に抵触しないこと、そしてその損金算入時期等について確認することを目的としたものである。 【本件における株式無償取得事由】 ➤対象取締役に一定の非違行為があった場合又は正当な理由による退任若しくは当社がやむを得ないと認めた事由による辞任以外の事由により退任した場合 (支給後の業績指標により無償で取得する株式の数が変動するものではない)   (3) 示された見解 本件について国税庁は、以下の納税者の見解で差し支えない旨を示している。   (4) 想定される税務上の処理 上記のように、特定譲渡制限付株式に係る損金算入時期については、会計上の費用計上時期と一致しないことから、当該制度を導入する場合には申告調整が必要となる。 この点、経済産業省「攻めの経営を促す役員報酬~企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引き~(2020年9月時点版)」58頁では会計処理が例示されており、当該会計処理例に税務上の損金算入時期の対比イメージを付け加えると、下図の通りとなる。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 411(掲載号)
#中尾 隼大
2021/03/19

プロフェッションジャーナル No.411が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年3月18日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.411を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/03/18

日本の企業税制 【第89回】「グループ通算制度に係る税効果会計の検討」

日本の企業税制 【第89回】 「グループ通算制度に係る税効果会計の検討」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   令和2年度税制改正で創設されたグループ通算制度は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされており、適用開始まで1年余りとなった。現在連結納税制度を適用しているグループにおいては自動的にグループ通算制度へ移行することができることから、大方の連結納税制度適用グループにおいてはグループ通算制度へそのまま移行するものと見られる。   〇当面の税効果会計の取扱い 本税制の創設に際して、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項(「決算日において国会で成立している税法に規定されている方法に基づき・・・見積額を計算する」)の適用をめぐっては、グループ通算制度の適用を前提とした税効果会計の適用を行い、繰延税金資産の回収可能性の判断を行うことは、当時の状況からして困難であるということで、これを適用せず、改正前の税法に基づくことができることとされている(2020年3月31日 企業会計基準委員会実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」)。 また、この実務対応報告第39号では、この取扱いは、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃を企業会計基準委員会が行うまでの間の措置とされている。 こうしたことから、企業会計基準委員会では、新たな実務対応報告の策定に向けた検討が行われているところである。もっとも、現時点で新たな実務対応報告の公開草案の公表もされていないことからすると、新たな実務対応報告が3月末までに確定することはなく、本年3月期決算については現行の連結納税制度の下での税効果会計の適用ということとなる。   〇グループ通算制度と連結納税制度の相違点 現行の連結納税制度では、連結納税グループをあたかも1つの法人であるかのごとく扱い、連結親法人がグループを代表して申告・納税義務を負うこととされているが、グループ通算制度では、グループ全体での損益通算については維持する一方、グループに属する各法人が個別にそれぞれ法人税額の計算及び申告を行うこととなる。 また、グループ通算制度の下での損益通算の方法は、各法人で計算した所得をベースに、赤字法人の欠損の合計額を、黒字法人の所得の合計額を限度に、黒字法人の(所得の金額で按分して)損金として算入する(損金算入された欠損は赤字法人の欠損の金額で按分し赤字法人側で益金算入する)。いったん損益通算が行われた後は、個別の法人において修更正が行われても、原則として他の法人の税額計算に反映させず、当該法人において処理されることとなる。 繰越欠損金については、グループ全体で損金算入限度額が計算されるが、繰越控除により損金算入する法人は損益通算後の黒字法人に限られることから、グループ内の繰越欠損金を有する法人とそれを控除する法人とが別々になる(繰越欠損金の授受が生じる)場合がある。なお、損益通算や繰越欠損金の通算によって減少する法人税等の額(通算税効果額)について、通算法人間で授受が行われてもそれは益金の額及び損金の額に算入しない。 グループ通算制度の適用開始やグループへの加入の際の時価評価課税及び開始・加入前の繰越欠損金の切り捨てについては、組織再編税制との整合性の取れた制度とすることで、現行の連結納税制度の適用開始や連結納税グループへの加入の際の時価評価課税や欠損金の切り捨ての対象を縮小し、組織再編への柔軟な対応が可能となるが、時価評価の対象とならなかった場合であっても、繰越欠損金及び資産の含み損等の引継ぎの制限や制度適用後の損金算入制限が課される場合がある。   〇グループ通算制度における税効果会計の課題 グループ通算制度はあくまでも個別申告制度であるという点が、連結納税制度との最大の相違点であり、税効果会計の取扱いを検討するにあたってこの点をどう考えるかが最も重要な点となる。 すなわち、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたって、通算グループ全体をベースとするのか、各通算法人をベースとするのかという問題である。 一方で、グループ通算制度の下でも損益通算や繰越欠損金の通算が行われることからすると、現行の連結納税制度と同様の考え方との親和性が高いという見方もできよう。 また、グループ通算制度の適用開始あるいはグループへの加入に際して、時価評価課税が適用されない場合であっても、繰越欠損金及び資産の含み損等の引継ぎの制限や制度適用後の損金算入制限が課される場合があることから、このような制度の適用がある場合には、対象となる繰越欠損金や含み損等に係る繰延税金資産の回収可能性はないということになろう。 (了)

#No. 411(掲載号)
#小畑 良晴
2021/03/18

これからの国際税務 【第24回】「デジタル課税の青写真公聴会の模様と米国の対応」

これからの国際税務 【第24回】 「デジタル課税の青写真公聴会の模様と米国の対応」   千葉商科大学大学院 客員教授 青山 慶二   1 はじめに 昨年10月に公表されたデジタル課税に関する新ルール案(「青写真」と呼ばれ、「第1の柱」と「第2の柱」に区分した諮問文書を公表)は、同12月までに書面によるコメントを求めていたところ、延べで約400団体から合計3,500頁に及ぶ意見が寄せられたとされている。 そのコメントを背景に、今年1月中旬に2日間にわたって実施されたOECD公聴会には、主要な多国籍企業(デジタル関連企業、製薬業界をはじめ主要製造業・サービス業企業を含む)のみならず、主要国の経済団体、コンサルタント業、学識経験者、NGOなどからの約430名がZoom会議に参加し、これを全世界で3,000人に上る同時視聴者が見届けたとされている。 本稿では、このOECD公聴会の概要を、ビジネスからの反応を中心に振り返るとともに、本年半ばまで政治決着が繰り延べられた青写真案の帰趨に大きな影響力を持つ、米国のバイデン政権の下での方針転換を示す最近の情報を紹介して、今後の展開を予測するものである。   2 OECD公聴会の模様 (1) 第1の柱 自動的デジタルサービスと消費者向けブランド製品がもたらす超過収益について、新しく市場国に課税権を付与する「利益A」を中心とする第1の柱については、ビジネスからは、提案趣旨を認めながらも、コンプライアンスコストなどの関係で、より簡素な方法にする必要があり、税の安定性の観点から紛争の予防・解決メカニズムにも関心があるとの意見が多く寄せられた。 なお各論では、利益Aに関して、損失の繰越の必要性や、市場国配分のキーとなる売上の「源泉地決定ルール」、更には、利益Aの二重計上の防止を図る「マーケティング・販売利益セーフハーバー」や二重課税リスクを縮小するための「支払事業体の特定」については、理念的な支持を得ながらも、技術的な仕組みの面では多くの要求が出されていた。 また、基礎的なマーケティング・販売活動事業体に対する一定の利益保証を目的とする「利益B」については、趣旨は理解するものの、具体化策に関しては、利益Aとの調整や更なる簡素化案など多くの見解が表明され、公聴会では検討の方向性を絞り切れない印象を残している。 (2) 第2の柱 法人税について、多国籍企業のタックスヘイブンへの利益留保というBEPS行動への最後の切り札であり、かつ、「底辺への租税競争」を防止する観点から提唱された親会社所在地国等での「ミニマムタックス構想」を実現する第2の柱については、その基本的アプローチに広い支持が集まった。 しかし、第1の柱と同様、アプローチの各段階での細目、例えば、閾値の判定のための実効税率判定の際の企業会計/税務会計間の調整方法や、実質ベースでの適用除外案などについては、多くの意見が提示された。 また、具体的な課税手法のうち、主力となる所得合算ルールの適用対象にかかわる「分割保有ルール」や、補完手段として提起されている「低課税支払いルール」と条約特典享受のための「課税対象ルール」については、重複課税や過剰税負担を訴える意見が出されており、各論全体としても簡素化を求める意見が目立っていた。なお、先行している米国のGILTI税制との併存に関しては、肯定的なコメントがあった。   3 米国バイデン政権の反応 トランプ政権の下で、デジタル課税に関する米国のスタンスは、昨年6月のムニューシン財務長官のEU4ヶ国蔵相への書簡にみられるように、①EUを中心に拡大するデジタルサービス税を、通商法301条により不公正な貿易慣行の観点から調査対象とするなど、圧力を加えるとともに、②G20/OECDが支持する上記青写真についても、利益Aの課税方式の選択を納税者の選択に任せるべきとする、いわゆる「セーフハーバー構想」を展開し、グローバルな合意達成の不安要因を提供してきた。 今年発足したバイデン政権は、目下のところこれらの不安を払拭する以下のシグナルを送っている。 これらの情報は、青写真に係る国際合意の達成に期待を抱かせるグッドニュースとして受け止められている。   4 今後の見通し 米国の方向転換を踏まえれば、これまでG20の支援の下、半年間の延期を得ても達成が困難と予測する向きが多かった青写真の行方に明るさが増したことは否定できない。ただし、まだ楽観は許されない。まずは、公聴会で確認された技術的な解決課題への処方箋の検討であり、次いで、最終的な政治折衝に残された主要な閾値の協議が待ち受けている。なお、これに加えて米国の国際課税幹部スタッフの人事と実質稼働が軌道に乗るまでの時間コストも不確定要因となろう。 コロナ禍という困難な環境下ではあるが、これらの克服に向けた関係者全員の努力が、デジタルサービス税などの暫定措置による国際的な不協和音を削減させ、市場国への適正な課税権配分という当初の目的を達成する力となると思われる。令和3年度の税制改正大綱で、この点についての国際貢献を宣言した我が国には、その合意に至るリーダーシップの役割が求められよう。 (了)

#No. 411(掲載号)
#青山 慶二
2021/03/18

相続税の実務問答 【第57回】「申告期限から5年を過ぎた後に評価誤りが判明した場合(過少申告だった場合)」

相続税の実務問答 【第57回】 「申告期限から5年を過ぎた後に評価誤りが判明した場合(過少申告だった場合)」   税理士 梶野 研二   [答] 相続税の申告書の提出期限から5年が過ぎていることから、相続税の追加納付をすることはできません。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 相続税の申告及び納付 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者(この被相続人に係る相続時精算課税適用者を含みます)は、この被相続人から財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者について相続税額が算出されるときには、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に課税価格、相続税の申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされています(相法27①)。また、申告書に記載した相続税額については、原則として、申告書の提出期限(法定申告期限)までに納付しなければなりません(相法33)。 相続税の申告書を提出した者が、申告書の提出後に、その申告書に記載した相続税の課税価格や税額が少なかったことに気づいた場合には、先に提出した相続税の申告書に記載した課税価格や税額を訂正するために修正申告書を提出することができます(通法19①)。また、その者から修正申告書が提出されない場合には、税務署長は、調査により相続税の課税価格や税額について更正する処分を行うこととなります(通法24)。   2 申告内容の訂正をすることができる期限 修正申告書を提出することができる期限については、国税通則法及び相続税法上に規定は設けられていません。 しかしながら、法定申告期限から5年(偽りその他不正の行為により相続税等の国税を免れた場合には法定申告期限から7年)を経過しますと、税務署長は、更正処分を行うことができないこととされています(通法70①一、⑤一)。 また、国税の徴収権は、その国税の法定納期限から5年間行使しないことによって、時効により消滅するとされています(通法72①)。なお、偽りその他不正の行為により相続税等の国税を免れた場合の時効は、当該国税の法定納期限から2年間は、進行しないこととされていることから(通法73③)、偽りその他不正の行為により過少申告を行った場合には、法定申告期限から7年間行使しないことにより消滅することとなります。ただし、更正の処分が行われた場合又は納税に関する告知や督促が行われた場合など一定の事由が生じた場合には、その事由に係る税額については、一定の期間、時効は完成せず、その期間を経過した時から新たにその進行を始めることとなります(通法73①)。 なお、一般的に時効を主張するためには時効の援用が必要ですが(民法145)、国税の徴収権の消滅時効については、その援用は必要ないこととされています(通法72②)。 以上のことから、偽りその他不正の行為がなく、また、上記の一定の事由がない場合には、法定申告期限から5年が経過しますと、税務署長は、不足している税額について更正処分を行うことはできません。また、修正申告を行ったとしても、既にその国税は時効により消滅していますので、国としては修正申告書に記載された税額を収納することはできません。   3 ご質問の場合 あなたは、法定申告期限である平成27年(2015年)11月までに相続税の期限内申告書を提出し、その申告に係る相続税額は期限内に納付したとのことです。その後、相続税の税務調査は行われず、したがって相続税の更正処分を受けておらず、また、国税の消滅時効を完成させない一定の事由は生じていないと思われます。さらに、相続財産である土地の面積が登記簿上の面積よりも広いことは、今回の測量によってはじめて判明したとのことですから、偽り又は不正の行為により相続税を免れたケースには当たらないと考えられます。 そうしますと、あなたの相続税については、既に法定申告期限から5年が経過していますので、あなたが修正申告を行って不足分の相続税額を納付することはできません。また、税務署長がこの不足分について更正処分をすることもありません。 (了)

#No. 411(掲載号)
#梶野 研二
2021/03/18

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第24回】「特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入特例の創設」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第24回】 「特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入特例の創設」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ 本件は、通常の税理士実務で触れるケースはほぼありえないマイナー論点ではある。 しかし、令和3年度税制改正大綱にて「国際金融都市に向けた税制上の措置」として触れられ、その後、令和3年1月26日付で第204回国会(令和3年常会)に提出された「所得税法等の一部を改正する法律案」に、「租税特別措置法66条の11の2(特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入の特例)」の新設案が盛り込まれているため(※1)、若干の解説を加えておきたい。 (※1) 同様に、連結法人を対象とした内容も改正案が盛り込まれている(租税特別措置法68条の95の2)。   (1) 現状の税制と改正の経緯 現状の法人税法は、業績連動給与の損金算入要件につき、給与の算定方法を有価証券報告書等に記載して開示すること等を求めている(法法34①三イ)。したがって、役員給与に係る3類型のうち、業績連動給与については、適用できる法人が事実上、上場企業に限られることとなる。 業績連動給与(旧・利益連動給与)は、これを認めると安易な課税所得の操作余地があると考えられていたところ、支給の透明性・適正性を確保する一定要件を定めることで多様な役員給与の支給形態により中立的な税制を実現し得るとして創設されたものである(※2)。 (※2) 佐々木浩・長井伸仁・一松旬『平成18年版 改正税法のすべて』(大蔵財務協会、2006)327~328頁。 支給の透明性・適正性の確保のため、有価証券報告書やEDINET等で算定方法等が開示されることが要件とされたことで、事実上、その適用は上場企業に限られたという経緯がある。 この点、非上場企業は業績連動給与の活用ができないため、人材・企業・資金を呼び込むことで国際金融センターの地位確立を目指したい金融庁・経済産業省から税制改正要望が提出された。これには、昨今の香港における政情不安が背景にあると思われる。   (2) 特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入の特例 上記を受け、令和3年度税制改正大綱にて手当がなされることが明記された。すなわち、青色申告法人であることを前提に、特定投資運用業者が、令和3年4月1日から令和8年3月 31日までの間に開始する各事業年度につき、業務執行役員に対して業績連動給与を支給する場合において、投資家の事前承認要件を満たし、業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイトへ掲載等した場合には、当該業績連動給与の損金算入を認めるという制度が創設されることが示された。金融庁・経済産業省は恒久措置として要望していたが、5年間の時限措置となる見込みである。 その後、国会に提出された法律案では、以下の内容が明らかにされている(新設・措法66の11の2)。 現状は、法律案で政令委任とされた「投資家への事前承認」の要件(※3)や、法人税確定申告書に添付することが要件とされた「特定業績連動給与に係る明細書」の内容が不明ではあるため、今後明らかになる詳細情報に注目である。特に、法律案には当該明細書添付に当初申告要件が設定され、宥恕規定が設けられていない点が注意点ではないかと考える。 (※3) 令和3年度税制改正大綱では、以下の要件が示されている。 ① その運用財産に係るファンド契約書等においてその業績連動給与を支給する旨及びその算定方法を記載すること。 ② 本制度の適用を受けようとする事業年度開始前にその運用財産に係る投資事業有限責任組合の組合員の集会等においてその業績連動給与を支給する旨及びその算定方法についての報告が行われ、かつ、その議事録にその報告につき組合員等から異議があった旨の記載又は記録がないこと。 (3) その他、関連する改正 その他、上記改正に合わせて、相続税法・所得税法の領域でも手当がなされる予定とされている。詳細は金融庁資料の下図を参照されたい。 (金融庁「世界に開かれた国際金融センターの実現(2021.3)」4頁より筆者一部加工) (了)

#No. 411(掲載号)
#中尾 隼大
2021/03/18

基礎から身につく組織再編税制 【第26回】「非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱い」

基礎から身につく組織再編税制 【第26回】 「非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱い」   太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太   今回は、非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱いについて解説します。   1 非適格分割型分割を行った場合の資産・負債の受入れ(原則) 分割法人が非適格分割型分割により、分割承継法人にその有する資産・負債の移転をしたときは、分割時の時価による譲渡をしたものとされるため、分割承継法人の移転資産等の取得価額は、分割時の時価となります(法法62)。   2 非適格分割型分割により受け入れた「棚卸資産」の取扱い 移転を受けた棚卸資産については、時価で取得したものとされるため、取得価額は分割時の時価となります。   3 非適格分割型分割により受け入れた「減価償却資産」の取扱い (1) 取得価額 移転を受けた減価償却資産については、時価で取得したものとされます。取得価額は、分割時の時価に事業の用に供するために直接要した費用の額を加算した金額となります(法令54①)。 (2) 耐用年数 耐用年数については、中古資産の耐用年数を使用することができます(耐令3①)。   4 非適格分割型分割により受け入れた「繰延資産・一括償却資産」の取扱い 移転を受けた繰延資産・一括償却資産については、時価で取得したものとされるため、取得価額は分割時の時価となります。一括償却資産に該当するかどうかは、分割承継法人の取得価額が20万円未満かどうかで判定することになります。   5 資産(負債)調整勘定 非適格分割型分割により、分割法人が分割事業に係る主要な資産又は負債のおおむねすべてを分割承継法人に移転する場合に、分割承継法人が受け入れた資産等の時価純資産価額と交付した新株等の価額の合計額(分割対価)に差があるときは、資産(負債)調整勘定を計上することとなります(法法62の8)。 (1) 資産調整勘定 非適格分割型分割による分割対価が、移転資産等の時価純資産価額を超えるときは、超える部分の金額のうち資産等超過差額以外のものが資産調整勘定となります。資産調整勘定として計上された金額は、60ヶ月で損金算入されます(法法62の8①④、法令123の10①④)。 (2) 資産等超過差額 資産等超過差額とは、非適格分割型分割による分割対価の分割時の時価と分割契約時の時価に著しい差異が生じている場合の差異及び実質的に分割法人の欠損金に相当する金額をいいます(法令123の10④、法規27の16)。 資産等超過差額については、損金に算入されることはありません。 (3) 負債調整勘定 非適格分割型分割による分割対価が、移転資産等の時価純資産価額に満たないときは、満たない部分の金額が負債調整勘定となります。負債調整勘定として計上された金額は、60ヶ月で益金算入されます(法法62の8③⑦)。 (4) 退職給与負債調整勘定 ① 内容 退職給与負債調整勘定とは、非適格分割型分割に伴い分割法人から引継ぎを受けた従業者につき、退職給与債務の引受け(②参照)を行った金額に係る負債調整勘定をいいます(法法62の8②)。 ② 退職給与債務の引受け 「退職給与債務の引受け」とは、非適格分割後の退職その他の事由により非適格分割に伴い引継ぎを受けた従業者に支給する退職給与の額につき、非適格分割前における在職期間その他の勤務実績等を勘案して算定する旨を約し、かつ、これに伴う負担の引受けをすることをいいます。 ③ 益金算入額 引継ぎを受けた従業者が退職したとき、又は、引継ぎを受けた従業者の退職給与の支払いを行ったときに、次のいずれかの方法により計算した金額を、益金の額に算入することとなります(法法62の8⑥、法令123の10)。 (5) 短期重要負債調整勘定 ① 内容 短期重要負債調整勘定とは、非適格分割型分割により分割法人から移転を受けた事業に係る将来の債務(②参照)で、その履行が非適格分割型分割の日からおおむね3年以内に見込まれるものについて、分割承継法人がその履行に係る負担の引受けをした場合のその債務の額に相当する金額をいいます。 この場合の「債務の額に相当する金額」は、移転資産の取得価額の20%を超える債務引受け額に限定されています。 ② 将来の債務 「将来の債務」とは、その事業の利益に重大な影響を与えるものに限るものとし、退職給与債務引受けに係るもの及び既にその履行をすべきことが確定しているものを除きます。 ③ 益金算入額 短期重要負債調整勘定については、次の区分に応じて、それぞれの金額を益金の額に算入することとなります(法法62の8⑥)。   6 非適格分割型分割により増加する資本金等の額 分割承継法人において、分割により増加する資本金等の額は、次のとおりです(法令8①六)。 ① 加算項目 (※) 非適格分割型分割により、分割法人が分割事業に係る主要な資産又は負債のおおむねすべてを分割承継法人に移転しない(事業ごと移転しない)場合には、移転資産の価額から移転負債の価額を減算した金額 ② 減算項目 非適格分割型分割により増加する資本金等の額を図にすると、下記のようになります。 〔事業ごと移転する場合〕 〔事業ごと移転しない場合〕   7 非適格分割型分割により増加する利益積立金額 非適格分割型分割の場合には、分割承継法人は分割法人の利益積立金額を引き継がないので、利益積立金が増加することはありません。   8 完全支配関係法人間の非適格分割型分割の取扱い (1) 内容 グループ法人税制により、完全支配関係がある法人間で譲渡損益調整資産((2)参照)を譲渡した場合には、譲渡損益が繰り延べられるため、完全支配関係がある法人間で非適格分割型分割が行われたときも、譲渡損益調整資産については譲渡損益が繰り延べられ、帳簿価額で受け入れたのと同様の結果となります。 (2) 譲渡損益調整資産 「譲渡損益調整資産」とは、固定資産、棚卸資産である土地等、有価証券(売買目的有価証券を除きます)、金銭債権、繰延資産のうち、直前の帳簿価額が1,000万円以上の資産をいいます。   9 具体例 〔前提〕 〔分割承継法人の受入税務仕訳〕   ◆非適格分割型分割を行った場合の分割承継法人の取扱いのポイント◆ 原則として資産・負債は時価で受け入れます。 非適格合併と異なり、分割法人が分割事業に係る主要な資産又は負債のおおむねすべてを分割承継法人に移転するときのみ、資産(負債)調整勘定を計上することとなります。 分割承継法人は分割法人の利益積立金額を引き継ぎません。 完全支配関係がある法人間で非適格分割型分割が行われたときは、譲渡損益調整資産を帳簿価額で受け入れることとなります。   (了)

#No. 411(掲載号)
#川瀬 裕太
2021/03/18

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第21回】「転勤のため単身赴任し、妻子が居住する家屋を譲渡した場合」-配偶者等の居住用家屋の譲渡-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第21回】 「転勤のため単身赴任し、妻子が居住する家屋を譲渡した場合」 -配偶者等の居住用家屋の譲渡-   税理士 大久保 昭佳   Q 会社員Xは、6年前に会社から大阪勤務を命ぜられ、妻子を東京に残して単身赴任しました。Xは大阪で社宅住まいをし、妻子はX所有の東京の家屋に引き続き居住していましたが、このほど、東京の家屋と敷地を売却して大阪で家族一緒に住むことにしました。 売却については譲渡損失が発生し、買換物件については銀行で住宅ローンを組んで購入しました。 他の適用要件が具備されている場合に、Xは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。 A 「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができます。 ●○●○解説○●○● 転勤、転地療養等のため、配偶者等と離れ単身で他に起居している場合であっても、その事情が解消したときは、その配偶者等と起居をともにすることとなると認められるときは、その配偶者等が居住の用に供している家屋は、その者にとっても、その居住の用に供している家屋に該当します(措通31の3-2(居住用家屋の範囲)(1)、措通41の5の2-7(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する取扱い等の準用))。 ただし、その者が、その居住の用に供している家屋を2以上所有する場合は、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋のみが、「居住用財産買換の譲渡損失特例」の対象となる家屋に該当することにも留意が必要です(措通31の3-2(居住用家屋の範囲)(1)(注))。 本事例のXは、単身赴任の事情が解消したときは妻子と起居をともにすることとなる場合と認められ、また、大阪のXの住まいは社宅であることから、「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けることができます。 なお、この取扱い規定は、「特定居住用財産の譲渡損失特例(措法41の5の2)」についても準用されます(措通41の5の2-7(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する取扱い等の準用))。 (了)

#No. 411(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/03/18
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