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《速報解説》会計士協会、リモートワーク対応第3号から第5号を新たに公表~証憑の真正性や往査の制限に係る留意事項のほか、リモート会議等の活用についても言及~

《速報解説》 会計士協会、リモートワーク対応第3号から第5号を新たに公表 ~証憑の真正性や往査の制限に係る留意事項のほか、リモート会議等の活用についても言及~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年2月12日、日本公認会計士協会は、次のリモートワーク対応を公表した。 これらは、リモートワーク対応第1号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項~監査人のウェブサイトによる方式について~」、リモートワーク対応第2号「リモート棚卸立会の留意事項」に続くものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項 監査人が被監査会社からPDFで企業内部の記録や文書を入手する場合における監査上の留意事項を記載している(別紙が添付されている)。 1 PDF変換された監査証拠 PDF変換された監査証拠とは、紙の文書等の原始文書を、電子情報として表示、転送、保存のためにPDF変換した監査証拠である。 2 留意事項 原始文書等の原本からPDF変換する過程において、故意又は不注意により情報が変更されるリスクがあるとし、(1)監査人の要請により被監査会社がPDF変換を行うケース、(2)被監査会社がその業務プロセスにおいて証憑をPDFに変換して保存しているケース、(3)被監査会社が取引先等外部からPDFを入手しているケースに関する留意事項が記載されている。 (1)監査人の要請により被監査会社がPDF変換を行うケースについて、次のような留意事項が記載されている。   Ⅲ 構成単位等への往査が制限される場合の留意事項 我が国を含む世界各国の構成単位への往査が困難な場合が生じていることから、構成単位への往査等による関与に代えて、リモートワークによる監査手続の実施が考えられる。 1 リモートワーク方式 リモートワーク方式による監査手続の実施又は構成単位の監査人が実施する作業への関与とは、電話回線又はインターネット等の送受信技術を活用して、構成単位及び構成単位の監査人との間で必要な情報を送受信することにより、監査人が、グループ監査チームとして、遠隔地から監査手続の実施又は構成単位の監査人が実施する作業への関与を実施することをいう。 2 留意事項 次のような留意事項が記載されている。   Ⅳ リモート会議及びリモート会議ツールの活用について リモート会議及びリモート会議ツール利用時の特徴を理解の上、公認会計士事務所(監査法人)においてリモートワークを適切かつ効率的に実施するためのものである。 1 基本的な考え方 公認会計士事務所(監査法人)の経営者は、情報漏洩のリスクの適時・適切な把握、必要となる対策の実施を行うことが求められることから、リモート会議及びリモート会議ツールに対するリスク対策に限界があることを考慮に入れ、方針を決めることになると考えられる。 2 留意事項 対応策の例について、(1)経営者(公認会計士事務所(監査法人)の所長など)、(2)セキュリティ担当者、(3)利用者に分けて記載されている。 例えば、(1)経営者について、リモートワーク全般の方針の決定・見直し、関連規程の整備・見直しなどが記載されている。 (了)

#No. 406(掲載号)
#阿部 光成
2021/02/15

《速報解説》 ASBJ、「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を更新~会計基準の適用を前に追加情報の開示等について審議~

《速報解説》 ASBJ、「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を更新 ~会計基準の適用を前に追加情報の開示等について審議~   公認会計士 阿部 光成     Ⅰ はじめに 2021年2月10日、企業会計基準委員会は、議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(2021年2月10日更新)」をホームページに掲載した。 これは、2020年4月9日に開催された第429回企業会計基準委員会の議事概要の公表から約10ヶ月を経過した現状を踏まえ、また、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(企業会計基準第31号)の適用が開始されることから、審議されたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計上の見積りを行う際の留意点 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」は、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用が開始される。 第429回企業会計基準委員会の議事概要及び第432 回企業会計基準委員会の議事概要で示した考え方のうち、次のことは従来と変わりない。 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」は、重要な会計上の見積りとして識別した項目について、次の事項を開示すると規定している。 そこで、第429 回企業会計基準委員会等の議事概要で示した考え方のうち、重要性がある場合に「追加情報」としての開示が求められる新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等の一定の仮定については、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」で求められる開示に含まれることが多いと想定され、前段に記載した他の開示と合わせ、新型コロナウイルス感染症の影響について、より充実した開示になることが想定される。 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」に基づく開示において、第429 回企業会計基準委員会等の議事概要で示した開示がなされる場合、改めて追加情報として開示する必要はないものと考えられる。 新型コロナウイルス感染症の影響に重要性がないと判断される場合であっても、当該判断について開示することが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断し、追加情報として開示しているケースが見られる。 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」に基づく開示は、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目について求められるものであるため、このような開示は、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」により求められる開示には含まれないが、引き続き、追加情報を開示する趣旨に沿ったものになると考えられる。 (了)

#No. 406(掲載号)
#阿部 光成
2021/02/12

プロフェッションジャーナル No.406が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年2月10日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.406を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/02/10

〈判例評釈〉ユニバーサルミュージック高裁判決 【第1回】

〈判例評釈〉 ユニバーサルミュージック高裁判決 【第1回】   公認会計士・税理士 霞 晴久   1 はじめに ポール・マッカートニーやスティーヴィー・ワンダーなどの洋楽ビッグネームが所属していることで知られるユニバーサルミュージックが行った組織再編に係る更正処分に対する司法判断が話題となっている(※1)。 (※1) 令和2年8月10日付日本経済新聞「国税『伝家の宝刀』条件は 法人税法の規定適用巡り最高裁判断へ」参照。 処分行政庁は、同社の日本法人が関与した組織再編について、法人税法132条に定める同族会社の行為計算規定を適用し、同法人の行為計算を否認する課税処分を行った。これを不服として同法人が提訴した第一審では国側が敗訴し、さらに令和2年6月24日、その控訴審判決(※2)において、国側は再度敗れる結果となった。 (※2) 東京高裁令和2年6月24日(令和元年(行コ)第213号、TAINSコード:Z888-2315)。 第一審の東京地裁判決(※3)で特に注目を集めたのは、法人税法132条に関するこれまでの判決にない納税者有利の基準(筆者は仮に「およそない基準」と呼ぶ)が示されたことである。その後の控訴審において、かかる新基準が維持されるか否かに関心が集まっていたところ、東京高裁はこれを全面的に否定し、ヤフー事件の最高裁判決で示された法人税法132条の2の不当性要件の判断枠組みと同様の考え方を提示し、第一審の考え方を改めるとともに、高裁が示した判断枠組みにおいても納税者の行為計算に経済合理性があるとした。 (※3) 東京地裁令和元年6月27日判決((第1事件)平成27年(行ウ)第468号、(第2事件)平成29年(行ウ)第503号、(第3事件)平成30年(行ウ)第444号、TAINSコード:Z888-2250)。 本連載では、近年蓄積されている行為計算否認に係る様々な裁判例(IBM事件、ヤフー/IDCF事件、TPR事件等)における法人税法132条及び同法132条の2《組織再編成に係る行為又は計算の否認》の判断枠組みを比較しながら、本件の控訴審判決を検討することとしたい。   2 事案の概要 (1) 原処分の概要 多国籍企業であるフランス・ヴィヴェンディ(※4)(V社)傘下のユニバーサルミュージックグループの日本法人で、合同会社であるX(原告・被控訴人)は、国際的なグループ組織再編成に伴い、借入債務約866億円(本件借入れ)を負担し、平成20年12月期から同24年12月期までの事業年度(本件事業年度)において、本件借入れに係る利息を損金に算入して確定申告したところ、処分行政庁は、当該利息につき、同族会社に係る一般的否認規定である法人税法132条を適用し、その損金算入を否認した。Xは当該更正処分等(本件各更正処分)を不服とし、その取消しを求め本訴を提起した。 (※4) ヴィヴェンディ(Vivendi S.A.)は、メディア事業、テレビ事業、映画事業、音楽事業等を行うヴィヴェンディ・グループ法人における究極の親会社であり、フランス法人である。 なお、本件事業年度にXが損金に計上した利息(本件利息)(※5)は、各期10億4,763万円余ないし44億1,081万円余であった。 (※5) 平成20年10月29日にXとVグループ傘下のフランス法人IF社との間で締結した金銭消費貸借契約によれば、借入利率は、平成26年10月29日までは年6.8%、それ以降は年5.9%と定められており、本件借入れの使途は、系列内の日本法人3社の株式購入代金及びその関連費用にのみ使用することとし、借入期間は20年、返済期限は平成40年(令和10年)10月29日までで、借入れ後1年までは300億円の限度で借入金の一部が返済可能であり、借入れ後8年以降はいつでも借入金の全部又は一部が返済可能とされていた。 (2) 本件における組織再編成の概要 V社を頂点とする多国籍企業グループ傘下の米国エンタテインメント企業Universal Music Group Inc.(下図ではV社とオランダ法人D1社の中間にあり、表示は省略されている)の間接的な100%子会社であったユニバーサルミュージック株式会社(日本の関連会社U社)は、日本で音楽事業等を営んでおり、当時は黒字を計上していたが、以下のプロセスに従い組織再編成が行われた(本件組織再編)結果、X社に吸収合併され、結果的に多額の本件借入金を負担することとなった。 【本件組織再編のスキーム概略図】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※6) V社グループの外部の金融機関等からの資金調達は、V社が一括して行い、調達された資金は、グループ内資金管理会社であるフランス法人IF社及びGT社を通じてV社グループ法人に貸し付けられていた。 (※7) 上図では省略されているが、同時に、直接の親会社を別のオランダ法人とするV社グループ傘下の日本法人2社を買収している。 なお、上記③の追加出資の資金約295億円は、V社から、フランスのCMS統括会社のGT社に短期関係会社勘定として送金された後、他の関係会社を経由し、英国法人B社への出資を経て、最終的にオランダ法人D2社に出資されたものである。 また、上記⑤の株式買収資金約1,144億円(約9億5,875万ユーロ)については、そのうち約4億8,292万ユーロが、オランダ法人D3社によって、同じくV社グループ傘下のオランダ法人ポリグラム(上図では省略)に対して貸し付けられ、同社によるフランスCMS統括会社IF社からの借入金の返済に充当された。 残りの約4億7,583万ユーロは、オランダ法人D3社からオランダ法人D2社に貸し付けられ、同社のIF社及びGT社からの借入れの返済に充当された。以上により、IF社に返済された資金は全てGT社に対し短期関係会社勘定として送金され、最終的には、日本の関連会社買収資金の約9億5,875万ユーロは、全て、GT社からV社に短期関係会社勘定として送金された。 (続く)

#No. 406(掲載号)
#霞 晴久
2021/02/10

令和2年度税制改正における国外財産調書制度の見直し 【第3回】

令和2年度税制改正における 国外財産調書制度の見直し 【第3回】   税理士 谷口 勝司   2 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の見直し (1) 加重措置の適用対象に相続税を追加 イ 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の適用対象に、国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合が追加された(調書法6③)。 国外財産調書制度では、その適正な提出に向けたインセンティブとして、過少申告加算税等の軽減措置・加重措置が設けられている。このうち加重措置については、改正前は所得税に関する修正申告等だけが対象とされていて、相続税に関する修正申告等は対象外であった(上記Ⅰ2(2)(【第1回】)参照)。 改正前において相続税が加重措置の対象外とされていた理由としては、被相続人による国外財産調書の不提出又は未記載について、これを一律に別人格である相続人(実際に相続税の申告納税をする納税義務者)の責任とすることは適当でないと考えられたことが挙げられる。 一例として、X3年12月1日に相続人による相続税の期限内申告書提出があり(被相続人はX3年2月3日死亡)、その後の税務調査によって国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合を取り上げてみよう。この場合、X2年分国外財産調書は被相続人がその提出期限であるX3年3月15日までに死亡しているので、その提出義務はないことになる(調書法5①ただし書)。このため、被相続人が提出すべき前年分(X1年分)の国外財産調書の提出や当該国外財産の記載があったかどうかによって、相続人に対する過少申告加算税等について加重措置の適用の有無を判断することは酷であることから、改正前の制度では加重措置の対象から相続税は除外されていたのである。 しかし、令和2年度税制改正において、相続開始年の国外財産調書等の記載の柔軟化(上記1(前回参照))及び加重措置の適用の判定基礎となる国外財産調書の見直し(下記3(1)(次回参照))の改正が行われ、相続があった場合の国外財産調書に関するスケジュールは全体として後倒しされた。今回の改正は、納税義務者である相続人が提出義務者となる国外財産調書を加重措置の判定基礎とすることにより、相続税に関する修正申告等についても加重措置の適用対象に追加したものといえよう。 ロ その修正申告等が相続税に関するものである場合には、次に掲げる者については、上記イに関わらず、過少申告加算税等の加重措置は、適用しないこととされた(調書法6⑤)。 (イ) その相続税に係る相続人で相続開始年の翌年分の国外財産調書の提出義務がないもの (ロ) その相続税に係る相続人で相続開始年の翌年の12月31日においてその修正申告等の基因となる相続国外財産を有しないもの 相続税に関して修正申告等があった場合の加重措置は、下記3(1)ロ(次回参照)にあるとおり、被相続人の相続開始年の前年分の国外財産調書、相続人の相続開始年の年分の国外財産調書及び相続人の相続開始年の翌年分の国外財産調書の全ての提出がない場合、換言すれば悪質なケースについて、加重措置の適用対象とされている。 このため、例えば、提出義務がある被相続人が相続開始年の前年分の国外財産調書を提出せず、相続人が上記1(前回参照)の柔軟化措置により、相続国外財産を除外することにより相続開始年の年分の国外財産調書の提出を省略し、その後、相続開始年の翌年の12月31日までにその相続国外財産の譲渡等をしたことにより、相続人が相続開始年の翌年分の国外財産調書の提出義務がないといったケースでは、被相続人又は相続人に提出義務がある国外財産調書は、被相続人の相続開始年の前年分の国外財産調書のみとなり、被相続人の国外財産調書の提出がないことのみに基因して過少申告加算税等の加重措置が適用されてしまうのは酷であるため、上記(イ)のとおり、相続開始年の翌年分の国外財産調書の提出義務がない相続人については、過少申告加算税等の加重措置は適用しないこととされている。 また、相続税は、課税遺産総額の各法定相続人の法定相続分相当額に対して税率を適用して相続税の総額が計算され、その相続税の総額について実際の相続割合で按分して各相続人の税額が計算されるため、ある相続人に相続国外財産の申告漏れがあった場合には、その申告漏れの相続国外財産を有しない相続人についても申告漏れの税額(増差税額)が発生し、過少申告加算税が課されることになる。他方で、申告漏れの相続国外財産を有しない相続人は、その申告漏れの相続国外財産を国外財産調書に記載して提出することはできないため、上記(ロ)のとおり、相続開始年の翌年の12月31日において申告漏れの相続国外財産を有しない相続人については、過少申告加算税等の加重措置は適用しないこととされている。 (2) 加重措置の適用対象からの除外 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の適用対象から、次に掲げる場合が除外された(調書法6③)。 上記イ及びロの「責めに帰すべき事由がない」場合とは、例えば、国外財産調書の提出義務者やその相続国外財産に関する資料を保有する者が、災害、病気による入院等があったことにより、国外財産調書の記載や提出が困難であると認められる場合のほか、相続国外財産の内容、管理状況その他の客観的な事実に基づき、相続人が相続国外財産の存在を知り得ることが困難であると認められる場合が該当する(調書通達6-4の2)。   (了)

#No. 406(掲載号)
#谷口 勝司
2021/02/10

金融・投資商品の税務Q&A 【Q60】「証券投資信託の収益の分配金に外国税相当額が含まれている場合の確定申告手続」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q60】 「証券投資信託の収益の分配金に外国税相当額が 含まれている場合の確定申告手続」   PwC税理士法人 金融部 ディレクター 税理士 西川 真由美   ●○ 検 討 ○● 1 証券会社等が発行する特定口座年間取引報告書と支払通知書 (1) 特定口座年間取引報告書 証券投資信託の信託財産に外国株式が含まれ、当該外国株式に係る配当等から外国所得税が源泉徴収されている場合、受益者に対して当該証券投資信託に係る収益の分配金を支払う証券会社等は、その支払いの際に二重課税調整を行うこととされています(制度の概要等は【Q53】参照)。 特定口座を開設している場合には、当該特定口座を開設する証券会社等から、当該特定口座内で保有する証券投資信託に関して、年間の収益分配金の受領額や譲渡の対価の支払状況、源泉徴収税額等を記載した「特定口座年間取引報告書」が交付されますが、上記の二重課税調整された控除外国所得税相当額は、「上場株式配当等控除額」の欄に記載されます(その他、控除所得税相当額が含まれることもあります)。 (2) 分配金に関する支払通知書 一般口座を開設し、証券投資信託を保有している場合には、当該一般口座を開設する証券会社等又は受託会社等から、当該証券投資信託に係る収益の分配金について、「支払通知書」が交付されます。 一般口座で保有する証券投資信託についても、上記(1)と同様に、外国株式に係る配当等について二重課税調整が行われますが、控除外国所得税相当額は、支払通知書の「通知外国税相当額」の欄に記載されます。   2 分配時調整外国税相当額控除の適用のための手続 証券投資信託の分配金に係る二重課税調整された控除対象外国所得税相当額は、確定申告の際、所得税の額から控除することとされています(分配時調整外国税相当額控除)。具体的には、確定申告書の「外国税額控除等」の欄に記載することとなりますが、この記載金額は、「分配時調整外国税相当額控除に関する明細書」(以下、「控除明細書」といいます)を作成することで計算することが可能です。この控除明細書は、申告書に添付して提出することが求められています。 控除明細書は、基本的に、証券会社等から交付される特定口座年間取引報告書と支払通知書に記載されている情報を転記すれば足ります。つまり、「1 特定口座の配当等(源泉徴収選択口座内配当等)及び未成年者口座の配当等に係る事項」欄は、特定口座年間取引報告書に記載された情報を転記し、「2 上記1以外の配当等に係る事項」欄は、支払通知書に記載された情報を転記します。 なお、証券投資信託は、特定口座、一般口座のいずれに保管された場合も分配時調整外国税相当額控除の対象となりますが、NISA口座に保管される場合や収益の分配金について申告不要を選択した場合は、対象となりません。   3 本件へのあてはめ 証券会社から特定口座年間取引報告書と支払通知書が交付されていますので、それらに記載された情報を控除明細書に転記し、「3 控除額等の計算」欄で分配時調整外国税相当額控除額を計算します。 当該投資信託に係る収益の分配金以外の所得の状況に応じて、(4)欄以降を記載し、(10)欄の分配時調整外国税相当額控除可能額を計算したら、確定申告書の「外国税額控除等」欄に転記します。 なお、参考までに本件における控除明細書の記載例を以下に示します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。   (了)

#No. 406(掲載号)
#西川 真由美
2021/02/10

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第16回】「買換資産の取得割合が、譲渡収入金額の割合に応じていない場合」-居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合-

居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第16回】 「買換資産の取得割合が、譲渡収入金額の割合に応じていない場合」 -居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合-   税理士 大久保 昭佳   Q X(夫)とY(妻)は、共に8年程前から住んでいたX所有のA家屋を1,000万円で、Y所有のA土地を4,000万円で売却しました。 買換資産Bに係る購入価額は総額5,000万円で、B家屋とB土地の各持分を2分の1とし、XとYの共有で取得しました。 その他の適用要件が具備されている場合に、Yは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることはできるでしょうか。 A 譲渡物件に係る家屋の所有者であるXが「居住用財産買換の譲渡損失特例」を受けたとしても、買換資産に係る取得割合が、譲渡収入金額の割合に応じていないことから、譲渡物件に係る土地の所有者であるYは同特例を受けることができません。 ●○●○解説○●○● 「居住用財産買換の譲渡損失特例」に係る譲渡家屋の所有者以外の者が、その譲渡家屋の敷地の用に供されている土地等で、その譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えているものの全部又は一部を所有している場合において、租税特別措置法通達41の5-11(居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合の取扱い)に掲げる要件の全てを満たすときは、これらの者がともに同特例を受ける旨の申告をしたときに限り、その申告を認めるとされています。 そして、上記通達に掲げる要件(2)のイとロにおいて、譲渡収入金額の割合に応じて、その買換資産を取得しているものであることとされています。 ※下線については筆者加筆 したがって、本事例の場合は、譲渡収入金額の割合が(X:Y=1/5:4/5)であるところ、買換資産に係る取得金額の割合が(X:Y=1/2:1/2)となっていることから、譲渡物件に係る土地の所有者であるYは「居住用財産買換の譲渡損失特例」の適用を受けることができません。 (了)

#No. 406(掲載号)
#大久保 昭佳
2021/02/10

〔令和3年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「「5G導入促進税制の創設」「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」」

〔令和3年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】 「「5G導入促進税制の創設」 「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」 「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」 「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」」   公認会計士・税理士 新名 貴則   令和2年度税制改正における改正事項を中心として、令和3年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第1回】は「オープンイノベーション促進税制の創設」及び「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」について解説した。 【第2回】は「5G導入促進税制の創設」、「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」、「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」及び「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」について解説する。   1 5G導入促進税制の創設 令和2年度税制改正において、「認定特定高度情報通信技術活用設備の導入促進税制」(5G導入促進税制)が創設されている。 5Gとは、「第5世代移動通信システム」と呼ばれる、スマートフォン等の通信に使用される次世代通信規格であり、新時代に不可欠な社会基盤と位置付けられている。この5G導入への投資を促進するために、この税制が設けられた。 ① 制度の概要 青色申告書を提出する法人が、認定特定高度情報通信技術活用設備を取得等して事業の用に供した場合に、特別償却又は税額控除を認める制度である。 ② 適用要件 当該税制を適用するためには、具体的には次の要件を満たすことが必要である。 (※) その法人の認定導入計画に記載された機械及び装置、器具及び備品、建物附属設備並びに構築物のうち、一定の要件を満たすもの。 ③ 適用までの流れ ④ 税制優遇措置 対象設備の取得価額の30%の特別償却又は15%の税額控除が認められる。ただし、税額控除は当期の法人税額の20%を上限とする。 ⑤ 適用期間 この改正は、「5G導入促進法」の施行日(令和2年8月31日)から令和4年3月31日までの間に、対象設備を取得等し事業供用した場合に適用される。したがって、令和3年3月期決算申告においては適用が開始されている。   2 大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し 所得が増加しているにもかかわらず、賃上げや設備投資に消極的である大企業については、研究開発税制等の税額控除が適用できない制度が設けられている。令和2年度税制改正において、対象となる税額控除に「5G導入促進税制」が追加され、また設備投資要件が厳格化されている。 この改正は令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるため、令和3年3月期決算申告にも適用されることになる。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) 税額控除と特別償却の選択適用が認められている場合は、特別償却の適用は可能。   3 交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長 令和2年3月31日までに開始する事業年度までの、税務上の交際費等の課税関係は次表の通りである。これが令和2年度税制改正により、2年間(令和4年3月31日までに開始する事業年度まで)延長されている。 ただし、事業年度末日の資本金の額等が100億円超の法人については、接待飲食費の特例が適用できないこととされたので、注意が必要である。 【交際費等の課税関係】 (注) 1人当たり5,000円以下の接待飲食費(社内飲食費は除く)は、そもそも「交際費等」から除かれ、損金算入される。 (※) 令和2年度税制改正後は、資本金の額等が100億円超の法人は適用不可。 この改正は令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるので、令和3年3月期決算申告には適用されることになる。   4 少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長 中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例については、令和2年3月31日までの取得等が対象とされていたが、令和2年度税制改正により2年間(令和4年3月31日までの取得等まで)延長されている。 また、これと同時に要件の見直しが行われ、適用対象法人の範囲が縮小されているので注意が必要である。 ① 制度の概要(令和2年3月期まで) 青色申告書を提出する中小企業者等においては、取得価額10万円以上の減価償却資産であっても、30万円未満であれば少額減価償却資産として取得時に全額損金算入できる。 ただし、次の点に注意が必要である。 ② 改正後の適用対象法人 令和2年度税制改正により、次の通り適用対象法人の範囲が縮小されたので注意が必要である。 したがって、適用対象となるのは原則として青色申告書を提出する中小企業者等であるが、下記の法人は適用対象から除くことになる。 ③ 適用期間 制度自体の適用期間は2年間(令和4年3月31日までの取得等)延長されているため、令和3年3月期の決算申告においては適用される。また、対象法人の範囲の見直しについても、令和2年4月1日以後に取得等する資産について適用されるため、令和3年3月期の決算申告においては適用されることになる。 (了)

#No. 406(掲載号)
#新名 貴則
2021/02/10

事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第26回】「不動産法人化の視点と民事信託活用」

事例でわかる[事業承継対策] 解決へのヒント 【第26回】 「不動産法人化の視点と民事信託活用」   太陽グラントソントン税理士法人 (事業承継対策研究会) シニアマネジャー 公認会計士・税理士 岩丸 涼一   相談内容 私A(55歳)は会社役員の傍ら、数棟の収益不動産を所有し賃貸経営をしています。不動産経営は順調ですが、会社からの給与所得と不動産所得を合計すると所得税率が最高税率となり、税負担が重いことが気になっています。 不動産法人化(法人を設立し、不動産を個人所有から法人所有へ移す)により税負担を抑えることができ、民事信託を活用することにより、さらにメリットもあるという話を聞きました。 なお、私には息子がいて不動産経営を承継してほしいという思いがあり、ノウハウ共有のため新築物件の管理を任せたいと考えています。 民事信託を活用した不動産の法人化はどのように進めれば良いでしょうか。 ■ □ ■ □ 解 説 □ ■ □ ■ [1] 不動産法人化の視点 (1) オーナーの年齢 不動産オーナーの年齢の観点から、「所得税等・法人税等の税率差」と「相続税対策」のポイントを比較すると次のようになります。 (※) 法人設立費用、各年の住民税均等割、社会保険強制加入、譲渡所得税、登録免許税、不動産取得税、税理士報酬等。 (2) 物件の築年数 不動産の築年数の観点から、「所得税等・法人税等への影響」と「相続税対策」のポイントを比較すると次のようになります。   [2] 民事信託のスキーム 本件では、自益信託(委託者と受益者が同じ信託)として信託組成し、組成後に信託受益権を新設法人へ譲渡するスキームが考えられます。 具体的には、受託者を息子、委託者兼受益者を父親であるA、そして信託目的を「信託財産の管理、運用・・・」とします。 受益権譲渡は、受益者課税の原則(所法13、法法12)よりAから新設法人へ建物を譲渡したものとみなされます。なお、建物が新築のため、未償却残高を時価と推定でき、未償却残高相当額で譲渡することでAに譲渡所得税が生じることはありません。   [3] 民事信託と「所得税等・法人税等の税率差」 信託では、受益者課税の原則が取られているため(所法13、法法12)、受益権譲渡後は、受益権を有する新設法人に信託財産から生じる所得に対し法人税等が課税され、Aに所得税等が課税されることはなく「所得税等・法人税等の税率差」のメリットを享受することができます。   [4] 民事信託と「登録免許税及び不動産取得税(流通税)」 新築物件の所有権移転登記を行う場合、固定資産税評価額が高いので登録免許税及び不動産取得税(以下「流通税」といいます)は多額となります。しかし、受益権を新設法人へ譲渡する場合は、所有権の移転に伴う流通税は課税されず信託登記の流通税(不動産1件当たり1,000円)のみが課され流通税を抑えることができます。 なお、信託対象財産が建物のみの場合は、信託終了事由を「信託財産(建物)の消滅」とすることで信託終了時の流通税も抑えることが可能です。 〈参考〉信託登記の流通税   [5] 民事信託と「地代(信託対象財産が建物のみの場合)」 信託対象財産を建物のみとする場合、「地代支払い」及び「土地の無償返還に関する届出書」等の検討が必要です。これについては本連載の第23回に記載がありますのでご参照ください。 なお、信託の場合、この届け出は受益者(新設法人)で行うこととなり、賃貸借契約はAと受託者である息子の間で締結することとなります。   [6] 結論 本件は、不動産オーナーが50代と若く、長期的視点で「所得税等と法人税等の税率差」を考慮することができ、短期的な相続対策を検討する必要もないため、早期に不動産法人化を行うことが有効です。また、民事信託を活用することで、不動産法人化に際して生じる流通税を抑えることができ、建物管理等を受託者である息子に託し不動産経営のノウハウを共有できる点はメリットです。 本件スキームにおいて、新設法人の株主は息子とすることが考えられ、これにより収益不動産から数十年間生じる金融資産をAの相続財産から除くことができます。なお、A所有の貸宅地については、使用貸借と認定されない程度の地代以上で地代設定する等一定の前提の下、80%評価(本連載の第23回参照)となります。 具体的な対策については、税理士等の専門家と相談の上、実行されることをお勧めします。   (了)

#No. 406(掲載号)
#太陽グラントソントン税理士法人 事業承継対策研究会
2021/02/10

収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第47回】

収益認識会計基準と 法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第47回】   千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也   (7) 変動対価に関する法人税基本通達2-1-1の11 ア 概要 変動対価や売上割戻しの課税上の取扱いについては、法人税基本通達2-1-1の11及び2-1-1の12に基本的な内容が定められている。以下では、このうち法人税基本通達2-1-1の11について検討する。 本通達は、資産の販売等に係る契約の対価について、値引き等の事実(値引き、値増し、割戻しその他の事実をいい、貸倒れ又は買戻しの可能性に基づく事実を除く)により変動する可能性がある部分の金額(変動対価)がある場合について定めている。法人が変動対価に係る値引き等をした後の金額で収益を計上した場合の取扱いをどうするか、という問題である。 本通達は、資産の販売等に係る契約の対価について、変動対価がある場合において、所定の要件を満たすときは、一定の合理的に算定される変動対価につき、法人税法22条の2第1項の引渡日又は役務提供日あるいは第2項の近接日の属する事業年度(引渡し等事業年度)の確定した決算において収益の額を減額又は増額して経理した金額は、引渡し等事業年度の引渡し時の価額等の算定に反映することを定めている(なお、本通達注書の内容は記載を省略しているが、その検討は法人税法施行令18条の2の箇所で行う)。 (※1) 値引き等の事実(値引き、値増し、割戻しその他の事実をいい、貸倒れ又は買戻しの可能性に基づく事実を除く)により変動する可能性がある部分の金額。 (※2) 値引き等の事実が損金不算入費用等に該当しないものである場合に限る。損金不算入費用等とは、寄附金又は交際費等その他のその法人の所得の金額の計算上損金の額に算入されないもの、剰余金の配当等及びその法人の資産の増加又は負債の減少を伴い生ずるものをいう(法基通2-1-1の10(注)2)。 (※3) 法人税法22条の2第1項の引渡日又は役務提供日あるいは第2項の近接日の属する事業年度。 (※4) 引渡し等事業年度の確定申告書に当該収益の額に係る益金算入額を減額し、又は増額させる金額の申告の記載がある場合の当該金額を含み、変動対価に関する不確実性が解消されないものに限る。 本通達を適用した場合の効果を見ると、一定の合理的に算定される変動対価につき、引渡し等事業年度の確定した決算において収益の額を減額又は増額して経理した金額は「引渡し等事業年度の引渡し時の価額等の算定に反映するものとする」としている。 「引渡し等事業年度の引渡し時の価額等の算定に反映するものとする」という表現が意図しているところについては、次のように説明されている(髙橋正朗「平成30年度法人税基本通達等の一部改正について」租税研究832号17頁)。 本通達に基づいて、一定の合理的に算定される変動対価につき引渡し等事業年度の引渡し時の価額等の算定に反映するものとされるのは、「引渡し等事業年度の確定した決算において収益の額を減額し、又は増額して経理した金額」である。そもそも、確定した決算により経理を要求している理由や確定した決算で経理をしていない場合の取扱いについての説明はなされておらず、今後、この点が争点となる可能性もある。 後述するように『平成30年度 税制改正の解説』270頁は、「第三者間取引における値引きや割戻しは、取引対象資産の時価をより正確に反映するための手続と考えることができます」と述べている。仮に、この解説が述べる「手続」に上記の確定した決算による経理が包摂されるのだとしても、企業内部において確定決算による経理をしたか否かで時価が異なり得るという理解は成り立つのか、その明文上の根拠はどこにあるのか、という疑問も惹起される。 もっとも、本通達はこの場合の確定決算による経理した金額について、引渡し等事業年度の確定申告書に当該収益の額に係る益金算入額を減額し、又は増額させる金額の申告の記載がある場合の当該金額を含み、変動対価に関する不確実性が解消されないものに限る、としている。 イ 平成30年度改正と法人税基本通達2-1-1の11との関係 平成30年度改正と本通達との関係はどのように整理すべきであろうか。この点について、国税庁は、本通達について、法人税法22条の2第4項及び第5項の内容を前提として、これらと整合する形で定めたものと説明している(国税庁「平成30年5月30日付け課法2-8ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明」28~30頁参照)。 上記趣旨説明が述べる本通達の趣旨を整理する。 また、上記趣旨説明では、収益認識会計基準や従来の取扱いとの関係も含めて次のように説明されている。   (了)

#No. 406(掲載号)
#泉 絢也
2021/02/10
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