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社外取締役と〇〇 【第4回】「社外取締役と内部統制システム」

社外取締役と〇〇マルマル 【第4回】 「社外取締役と内部統制システム」   西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士・ニューヨーク州弁護士 柴田 寛子   1 内部統制システムとは 「内部統制システム」とは、取締役(指名委員会等設置会社においては執行役)の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他会社及びその企業集団の業務の適正を確保するための体制(会社法348条3項4号、399条の13第1項1号ハ、416条1項1号ホ)であり、その細目は、会社法施行規則に定められている(会社法施行規則100条1項・3項、110条の4第2項、112条2項)。 内部統制システムについては、2006年の会社法制定時に、取締役会(監査役設置会社においては大会社に限る)にて、内部統制システムの整備のため必要な事項を決議し、その決議内容の概要を事業報告に記載する義務(会社法施行規則118条2号)が課された。 もっとも、会社法の立案担当者の解説では、取締役は、会社法制定前から、その善管注意義務の一貫として、内部統制システムを整備する義務を負っており、会社法において新たに導入された義務は、取締役会における内部統制システムの決定の内容を事業報告で開示する点に過ぎないとされている(相澤哲ほか「【新春座談会】会社法関係法務省令案の論点と今後の対応」旬刊商事法務1754号124頁)。   2 内部統制システムにおける社外取締役の活用 内部統制システムは、取締役会の責務として整備・運営されるものであることから、その「限界」として、当該システムを通じて把握された問題点を、代表取締役や業務執行取締役(指名委員会等設置会社においては執行役)が意図的に無視又は隠蔽するというリスクを伴う。このように、内部統制システムは、自己監査による機能不全のリスクを内在するものであり、かかるリスクを防止するため、内部統制システムは、社外取締役が主体的に関与するものであることが望ましい。 例えば、経済産業省により設置された「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」(座長・神田秀樹学習院大学法務研究科教授)による「社外役員を含む非業務執行役員の役割・サポート体制等に関する中間取りまとめ」(2014年6月30日公表)(38-39頁)においては、以下の報告がなされている(下線は当職)。 また、(金融商品取引法に基づく内部統制システムに関する議論であるが)金融庁により設置された「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(座長・池尾和人立正大学経済学部教授)による「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(4))」(2019年4月24日公表)(4頁)においても、以下の指摘がなされている(下線は当職)。 実務においては、上記のような自己監査による内部統制システムの機能不全のリスクを防止する仕組みとして、内部統制システムの構築・運営状況のモニタリングを行う任意の委員会を取締役会の諮問機関として設置し、その委員に社外取締役が含まれるとの制度を設ける企業が多数ある。 例えば、内部統制システムの構築運営状況のモニタリング、個々の業務活動の適正性の調査、各部門、各子会社により実施されるチェックの有効性を確認する「内部統制委員会」、及びその下部組織としての「内部統制チーム」を設置し、「内部統制委員会」の委員は、取締役6名(うち社外取締役1名)、執行役員4名及び内部監査室長とし、また、「内部統制チーム」のメンバーは、総務人事部長及び各部門の管理職数名(6ヶ月毎に交代)とする例がある(三菱化工機株式会社「2019年度有価証券報告書」26-27頁参照)。 また、グループの業務にかかる内部統制の整備・評価に関する基本事項及び企業行動の適正化に関する事項について審議・決定する「内部統制委員会」を設置し、「内部統制委員会」の委員は、グループCEOとグループCEOが指名する者、監査委員会が選定した監査委員である社外取締役1名、取締役会が選定した取締役1名とする例もある(野村ホールディングス株式会社「2019年度有価証券報告書」92・94頁参照)。 このように、社外取締役が、内部統制システムの整備・運用状況のモニタリングに主体的に関与する仕組みを確保することは、自己監査による内部統制システムの機能不全防止に有用であることに加え、社外取締役の役割を実効的に果たすために不可欠となる、会社の経営状況に関する情報を入手する機会の確保ともなる。 すなわち、社外取締役に期待される役割は、経営の方針や経営改善についてその知見を生かして中長期的な企業価値の向上の観点から助言を行うこと、経営を監督すること、会社と経営陣・支配株主との間の利益相反を監督すること、経営陣・支配株主から独立した立場でステークホルダーの意見を取締役会に反映させることにある(株式会社東京証券取引所「コーポレート・ガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(2018年6月1日改訂)の原則4-7)。 このように、社外取締役の本来的な役割は、経営の監督及び助言にあるが、その本来の役割を実質的に果たすためには、経営の現状に関する情報を十分に入手できる体制の確保が重要である。社外取締役が、内部統制システムのモニタリングに主体的に関与し、また、内部統制システムを通じて把握される情報が、随時社外取締役に共有される仕組みを確保することで、経営の監督及び助言という社外取締役の本来的な役割を実効的に果たすことに役立つといえる。 (了)

#No. 379(掲載号)
#柴田 寛子
2020/07/22

今から学ぶ[改正民法(債権法)]Q&A 【第14回】「債務者の責任財産保全のための制度」

今から学ぶ [改正民法(債権法)]Q&A 【第14回】 「債務者の責任財産保全のための制度」   堂島法律事務所 弁護士 奥津  周 司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   【Q】 商品を販売しても、代金を払ってこない債務者は一定数存在します。新型コロナウイルスの影響により経済情勢が不安定となるなかで、債務者から支払いを行ってもらえない事例が増加することを危惧しています。 債権法改正では、債務者の財産保全の制度も整備されたと聞きましたが、どのように改正されたのでしょうか。 【A】 債務者が債権者に対して支払いを行わない場合、債権者としては訴訟を提起して、勝訴判決を得て債務者の財産に強制執行を行うことになる。強制執行の対象となる債務者の財産を「責任財産」という。 責任財産を保全するため、債権者の取りうる手段として「債権者代位権」と「詐害行為取消権」という制度があるが、改正法ではこれらの制度について判例を明文化するなど、より利用しやすい制度にするための整備を行った。経済情勢が悪化するなかで、自社を守るためにもこれらの制度について理解する必要がある。   1 「債権者代位権」とは 債権者代位権とは、債権者が自己の債権を保全する必要があるときに、債務者の第三者(第三債務者)に対する権利を債務者に代わって行使できる制度である(改正法423条)。 例えば、債務者が第三債務者に対して債権を有しているにも関わらず、適切に回収行為を行っていないために、当該債権が消滅時効にかかるおそれがあるようなケースにおいて活用される。債権者が「自己の債権を保全する必要がある」場合に、認められるのであり、債務者が責任財産を十分に有しているような場合は債権者代位権を行使することではできない。 債権者としては第三債務者に対して、債務者に支払いを行うのではなく、自社(債権者)に対して支払いを行うように求めることができる(改正法423条の3)。金銭債権のような可分債権の場合、債権者が代位行使できるのは、被保全債権の範囲に限られる(改正法423条の2)。 【図表:債権者代位権(売買代金債権)】 第三債務者としては、債権者に対して支払いを行えば、債務者に対して支払いを行う必要はない(改正法423条の3)。また、第三債務者は被代位債権に関して債務者に対して主張できる抗弁(支払時期の未到来など)があれば、債権者に対しても抗弁を主張することができるため、不当に第三債務者が害されることはない(改正法423条の4)。   2 「詐害行為取消権」とは 債務者が債務の支払いに窮した場合、債権者に損害を与えると知りながら自分の財産を守るために、第三者に当該財産を不当に譲渡してしまう場合がある。こうした行為(詐害行為)に対して、債権者が取りうる手段が「詐害行為取消権」であり、債権者は裁判所に対して債務者の行った詐害行為の取消しを求めることができる(改正法424条)。 例えば、破綻状態にある債務者が、唯一の財産である自社の土地を、債務者と関係の深い先(例えば親族等)に贈与したという場合に、債権者は、詐害行為取消権によって、その贈与契約を取り消すことができうる。 【図表:詐害行為取消権(売買代金債権)】 詐害行為取消権は、上図のように詐害行為を行った債務者と、債務者から土地の贈与を受けた関連先(受益者)が、自らが行った行為が債権者を害することを知っていた場合に認められる(改正法424条1項)。 詐害行為の類型は、債務者が受益者に財産を贈与したという事例に限られず、債務者の財産を相当の対価を得て売買したような場合、特定の債権者に対して債務者の財産を担保提供したような場合、債務者が受益者に対して負担している債務に対して過大な代物弁済等を行ったような場合などでも認められ、行為の類型ごとに細かく要件が定められている(改正法424条の2~424条の4)。 債権者は債務者が行った詐害行為の取消しとともに、受益者に対して詐害行為により債務者から受益者に移転した財産を債務者に返還することを求めることができる(改正法424条の6第1項2項)。 詐害行為が、債務者が金銭を受益者に贈与した場合のように、可分であるときは、債権者は自己の被保全債権の範囲においてのみ詐害行為取消権を行使することができる(改正法424条の8第1項)。 債権者は、詐害行為取消権の行使により金銭又は動産の引渡しを求めるときは、受益者に対して債務者ではなく自己に対して支払い又は引渡しを求めることができるとされ、受益者としては債権者に対して支払い等を行った場合には、債務者に対して支払い等を行う必要はないとされている(改正法424条の9)。 *  *  * 債権者代位権、詐害行為取消権の行使は、実際には弁護士等の専門家の力を借りなければ実行は難しい。企業としてはこうした権利が認められていることを念頭に、平時から取引先の販売先や動向の把握を進めておく必要がある。 (了)

#No. 379(掲載号)
#奥津 周、北詰 健太郎
2020/07/22

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例49】RIZAPグループ株式会社「2020年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2020.6.10)

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例49】 RIZAPグループ株式会社 「2020年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」 (2020.6.10)   公認会計士/事業創造大学院大学准教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる適時開示は、RIZAPグループ株式会社(以下「RIZAP」という)が2020年6月10日に開示した「2020年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」である。本連載で同社の開示を取り上げるのは、【事例31】【事例36】に続いて3回目となる。 今回取り上げるのは2020年3月期の決算短信だが、親会社の所有者に帰属する当期利益(同社はIFRS適用会社)を見ると、マイナス6,046百万円とされており、前期に続いて赤字である。   2 辞めるのでは? 【事例36】で触れたとおり、RIZAPの代表取締役社長の瀬戸健氏は、2020年3月期が赤字の場合、辞めると宣言していた。ということは、辞めるのだろうか。現在のところ、同社から代表者の異動に関する開示は出されていない。 同社は、決算短信の開示日の前日である2020年6月9日に「役員報酬自主返上の継続に関するお知らせ」を開示したのだが、そこに瀬戸氏のコメントが記載されている。その中には次のような記載がある。 どうやら辞めないようである。   3 1月近く遅れた開示 RIZAP は、2019年3月期の決算短信を2019年5月15日に開示していた。それと比べると、2020年3月期の決算短信は、1月近く遅れて、2020年6月10日に開示することとなった。 同社は、2020年4月15日に「2020年3月期連結決算発表日程に関するお知らせ」を開示し、決算短信の開示が通例よりも遅れ、6月1日になるとしていたのだが、5月22日に「2020年3月期連結決算発表日程延期に関するお知らせ」を開示し、さらに遅れて、6月10日になるとしていた。この開示の中の「通期決算発表を通例より延期する理由」の記載は、次のとおりである。 コロナ禍の影響により決算短信の開示が遅れたのは、同社に限ったことではない。しかし、1月近くの遅れは際立っている。2020年6月17日付の日本経済新聞によると、3月決算の上場企業の約3割が決算短信の開示を遅らせたのだが、遅れた日数の平均は約11日とのことである。 必死な瀬戸氏は、何とか赤を黒にできないかと無茶な主張を続けていたのではないだろうか。そんな瀬戸氏と監査法人との間で攻防が繰り広げられていたため、1月近くも決算短信の開示が遅れることになったしまったのではないだろうか。これまでのRIZAPと瀬戸氏を見ていると、そのように勘繰ってしまう。   4 決算発表前日の業績予想修正 【事例36】では、RIZAPが2020年5月15日に開示した「通期連結業績と業績予想及び通期個別業績と前期実績値との差異に関するお知らせ」を取り上げて、早期に業績予想の修正を開示しなかったことを批判した。それに対して、今回は、「差異に関するお知らせ」ではなく、一応、2020年6月9日に「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」を開示している。 しかし、同社の開示に対する姿勢は、昨年と全く変わっていない。開示日を見て欲しい。決算短信の開示日の前日である。なぜもっと早く開示しなかったのだろうか。同社は、業績予想の修正に関する開示の意味を理解していないのだろう。   5 子供のまま 【事例36】において、筆者は、「大人になるために」として、瀬戸氏について次のように述べていた。しかし、やはり瀬戸氏は大人になれていないようである。 RIZAPは、2020年3月19日に「当社グループの新経営体制移行に伴う役員人事に関するお知らせ~構造改革から成長路線への転換に向けて、経営体制を刷新~」を開示したのだが、そこには社外取締役2名の辞任も記載されている。 その2名は、昨年6月開催の定時株主総会で新たに選任されたのだが、「2020年3月13日付で当社取締役を辞任したい旨の申し出」があったため、同日付で辞任したとのことである。2名の社外取締役が、任期中に、しかも揃って同日に辞任を申し出るというのは、尋常ではない。辞任する理由は記載されていないが、記載したくない理由だから、記載していないのだろう。 瀬戸氏は、松本晃氏に続いて、この2名の社外取締役にも見捨てられてしまったのかもしれない。大人の経営者になるのは無理であると、皆に判断されたのだろうか。   6 株主のためになすべきことは? 大人になれない、子供のままの瀬戸氏であるとするならば、RIZAPの株主のためになすべきことは、何だろうか。瀬戸氏は、「役員報酬自主返上の継続に関するお知らせ」記載のコメントで、「創業者である私自身が先頭に立ち、強い覚悟と決意をもって早期の業績回復に向けて邁進すること」などと言っているが、それはどうだろう。なすべきことは、RIZAPの代表を辞めることではないだろうか。 瀬戸氏がRIZAPの代表でいる限り、同社の企業価値は毀損し続けるだろう。手遅れになる前に、適切な判断を行える大人の経営者に同社の経営を任せるべきである。創業者のやり方が、いつまでも最善であるとは限らない。代表を辞めることが、瀬戸氏が現在行える最善の策ではないだろうか。 (了)

#No. 379(掲載号)
#鈴木 広樹
2020/07/22

《速報解説》 会計士協会、監査上の主要な検討事項(KAM)等に対応した改正「監査ツール」を公表~様式11「監査上の主要な検討事項と監査上の対応の立案」が追加される~

《速報解説》 会計士協会、監査上の主要な検討事項(KAM)等に対応した 改正「監査ツール」を公表 ~様式11「監査上の主要な検討事項と監査上の対応の立案」が追加される~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年7月15日付けで(ホームページ掲載日は2020年7月20日)、日本公認会計士協会は、「監査基準委員会研究報告第1号「監査ツール」の改正について」を公表した。これにより、2020年4月17日から意見募集していた公開草案が確定することになる。なお、公開草案に対して特段のコメントはなかったとのことである。 これは、監査基準委員会報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」の新設及び関連する監査基準委員会報告書の改正(2019年2月)並びに監査基準委員会報告書610「内部監査の利用」の改正及び同315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」等の改正(2019年6月)を受けたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 監査上の主要な検討事項(KAM)に関する見直し 監査上の主要な検討事項(KAM)について、説明を本文80項から86項に集約及び追加するとともに、様式11として「監査上の主要な検討事項と監査上の対応の立案」を新設する。 2 監査基準委員会報告書610「内部監査人の作業の利用」及び同315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」 監査基準委員会報告書610「内部監査人の作業の利用」について、本文46項及び様式3-9を全面的に見直している。 監査基準委員会報告書315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」について、本文46項に関連する記載を追加するとともに、様式3-1の見直しを行っている。 監基報315等の改正より、財務諸表における注記事項の重要性の高まりを踏まえて、本文及び様式について見直しを行っている。 (了)

#No. 378(掲載号)
#阿部 光成
2020/07/22

《速報解説》 公認会計士・監査審査会から「監査事務所検査結果事例集(令和2事務年度版)」が公表される~続く会計不正問題等を受け、関連の指摘事例や留意点などの記載を拡充~

《速報解説》 公認会計士・監査審査会から 「監査事務所検査結果事例集(令和2事務年度版)」が公表される ~続く会計不正問題等を受け、関連の指摘事例や留意点などの記載を拡充~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020(令和2)年7月14日、公認会計士・監査審査会は「監査事務所検査結果事例集(令和2事務年度版)」を公表した。 今回の事例集の特徴は次のとおりである。 「令和2年版 モニタリングレポート」及び「令和2事務年度 監査事務所等モニタリング基本計画」も公表されており、監査法人の状況などについて、会計専門家ではない一般の利用者にもわかりやすく説明がなされている。 事例集は、公認会計士・監査審査会が行う監査事務所の検査で確認された指摘事例等を取りまとめたものであり、基本的に、監査事務所に関する内容である。 本稿では、事例集に記載された事項のうち、一般事業会社における会計処理等においても参考になると考えられるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 取締役、監査役等、投資者等による活用を期待 事例集は、上場会社等の取締役・監査役等や投資者等に対する監査に関する参考情報の提示という観点から、最近の不正会計事案や会計監査人と監査役等との連携に関するものも含め確認された指摘事例を記載し、また、監査事務所の改善取組において前向きな取組例も取り入れているので、会計監査人の適切な評価のために、是非参考にしていただきたいと考えているとのことである。   Ⅲ 個別業務における「問題となった事例」 事例集は、次のような事例について述べている。 (了)

#No. 378(掲載号)
#阿部 光成
2020/07/21

プロフェッションジャーナル No.378が公開されました!~今週のお薦め記事~

2020年7月16日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.378を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2020/07/16

日本の企業税制 【第81回】「令和元年の会社法改正を受けた税制措置と今後の動向」-株式の無償交付による役員報酬等-

日本の企業税制 【第81回】 「令和元年の会社法改正を受けた税制措置と今後の動向」 -株式の無償交付による役員報酬等-   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   昨年12月11日に会社法の一部を改正する法律(以下「改正会社法」)が公布された。 今回の改正は、公布の日から1年6ヶ月以内の政令で定める日から施行されることが予定されている。なお、株主総会資料の電子提供制度の創設等の一部の改正については、公布の日から3年6ヶ月以内の政令で定める日から施行されることが予定されている。 改正の内容は多岐にわたるが、株式の無償交付による役員報酬に関しては、令和2年度税制改正により既に手当がなされ、また、株式会社が他の株式会社を子会社化するに当たって、自社の株式を当該他の株式会社の株主に交付することができる制度が創設されることへの税制上の対応については、令和3年度改正の課題となっている。   〇株式の無償交付による役員報酬 改正会社法では、上場会社が業績等に連動した報酬等をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするため、上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととする、つまり、取締役等の報酬として株式を無償交付することを認める規定が設けられた。 従来、法人からその法人の役員等にその役員等による役務提供の対価として交付される一定期間の譲渡制限その他の条件が付されている株式(以下「特定譲渡制限付株式」)については、譲渡制限期間中の処分が制限され、また、無償取得事由に該当した場合に没収される可能性があることから、特定譲渡制限付株式に関するその役員等における所得税の課税については、その特定譲渡制限付株式の「譲渡制限が解除された日」における価額が、所得税法上の収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額とされるとともに、その「譲渡制限が解除された日」が、その所得の収入金額の収入すべき時期とされている(所得税法施行令84①)。 一方、特定譲渡制限付株式を交付する法人においては、その役員等における所得税の課税時期として「給与等課税額が生ずることが確定した日」にその役員等から役務提供を受けたものとして、その役務提供に係る費用の額を、同日の属する事業年度において損金の額に算入することとされている(法人税法54①)。 令和2年度税制改正では、まず、所得税、法人税ともに、特定譲渡制限付株式として、個人に生ずる債権の給付と引換えに交付されるものその他その債権を消滅させるために給付されるもののほか、その譲渡制限付株式が実質的にその役務の提供の対価と認められるものである場合(つまり無償発行による譲渡制限付株式)が追加された(所得税法施行令84①、法人税法54①)。 併せて、所得税においては、特定譲渡制限付株式の交付を受けた個人が譲渡についての制限が解除された日前に死亡した場合において、役員等の死亡の時に発行法人等が無償で取得することとなる事由に該当しないことが確定しているその特定譲渡制限付株式の取扱いについて見直しが行われた。 すなわち、改正前は、死亡直後に行われる取締役会において譲渡制限解除事由に該当することを確認した後に譲渡制限が解除され、その日の価格により死亡した役員等の相続人に一時所得として課税されていたところ、改正後においては、その役員等の死亡の日における価額をその特定譲渡制限付株式の経済的な利益の価額及び取得価額として所得税を課税することとされた(所得税法施行令84①、109)。 なお、報酬等として金銭の払込み等を要しないで株式が発行された場合の会計処理について、会計基準の開発が必要であることから、企業会計基準委員会(ASBJ)は、「ストック・オプション等に関する会計基準」をベースに検討を進めている。 ストック・オプションと株式の無償交付とを比較すれば、報酬として付与するものである点、インセンティブ効果を有するものである点、企業の株価に応じてその価値が変動する点において共通しており、事後交付型の無償交付においては権利確定条件が成就しなければ権利を喪失し、またその権利を行使しなければ株式が発行されない点でもストック・オプションと一致している。なお、事前交付型の無償交付については、株式交付時点で株主となり配当請求権や議決権を有することになる点で相違がみられる。 このようにストック・オプションとほぼ同様の構造をもつものと考えられることから、費用の認識や測定についてはストック・オプション会計基準をベースにし、事前交付型・事後交付型の株主となるタイミングの差異については、株主資本とするか、ストック・オプションのように株主資本以外の純資産とするかという取扱いの差異として処理することが考えられるのではないか。   〇自社株式を対価とする子会社化 改正会社法では、株式会社が他の株式会社を子会社化するに当たって、自社の株式を当該他の株式会社の株主に交付することができる制度が創設された。 この点に関して、令和2年度税制改正では特段の手当はなされなかったが、与党の令和2年度税制改正大綱では、「自社株式を対価とした公開買付け等に係る課税のあり方については、会社法制の見直しを踏まえ、組織再編税制等も含めた理論的な整理を行った上で、必要な税制措置について検討する」とされたところである。 すでに、平成30年度税制改正において創設された、特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る譲渡所得等の課税の特例が、先行事例として存在している。 これは、自社株式を対価として他の会社の株式等を取得し、当該他の会社の経営資源を活用して成長発展分野における事業活動等を行う計画(産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」)を認定し(令和3年3月31日まで)、認定を受けた計画に基づく株式等の取得に応じた当該他の会社の株主に生じる株式の譲渡損益の計上を繰り延べる税制措置が受けられる制度である(租税特別措置法37の13の3①、66の2の2①)。 ただし、この制度は「特別事業再編計画」の認定を受けることが要件とされ、使い勝手の面で難点があることは否めず、残念ながら計画認定件数が多数に及んでいるとは言い難い状況にある。 この制度が創設された時点では、会社法の改正がなされていなかったことから、「特別事業再編計画」の認定が必要とされたことは理解できるが、改正会社法を踏まえた令和3年度改正では、計画認定を前提としない制度になることが期待される。 (了)

#No. 378(掲載号)
#小畑 良晴
2020/07/16

これからの国際税務 【第20回】「電子経済課税ルール確立への最終局面における難題」

これからの国際税務 【第20回】 「電子経済課税ルール確立への最終局面における難題」   千葉商科大学大学院 客員教授 青山 慶二   1 はじめに G20の政治的リーダーシップの下で、140ヶ国に及ぶ包摂的枠組国間で2020年内の合意達成に向け行われていた電子経済課税ルールに関する協議が、難題に直面している。 今年1月末に、電子経済がもたらす莫大な超過収益の一部について、市場国に新たに課税権を付与する具体策の枠組みが合意され、その内容は2月開催のG20財務大臣中央銀行総裁会議において承認された。 合意された枠組みは、課税権の新たな付与の理論的根拠として、市場国の①ユーザー参加及びそのデータに着目する英国提案、②マーケティング無形資産の存在に着目する米国提案、更には、③重要な経済的存在(顧客、契約など)に着目するインドなど途上国提案のそれぞれを統合した「統合的アプローチ」と呼ばれるものである。 本稿では、この統合的アプローチ提案とそれに対し米国が提示した代替案を紹介し、当初目的としてきた今年中の新たな課税権付与を目指す国際合意を難しくしている状況を検証する。   2 統合的アプローチの理念 (1) 新しい課税権付与を必要とする対象取引の具体例 〈Googleなどの検索エンジンに関連するビジネスモデル〉 [ユーザー所在地であるA国には、従来課税権が付与されない状況] (2) 統合的アプローチの考え方 電子経済に適用されるべき国際課税ルールとして、次の2つの柱からなる提案が行われているが、市場国に新たな課税権を付与する統合的アプローチの構想は、第1の柱の「利益A」に関わっている。 ① 第1の柱 多国籍企業の所得について、新たに、自動化されたデジタルサービス提供ビジネス及び消費者向けビジネスから生じるグループ全体の利益から算定される超過収益の一部を、「利益A」と呼称する課税所得として、市場国に配分する。 〈新しく配分される利益Aのイメージ図〉 [注意点] ② 第2の柱 多国籍企業による低課税国への利益移転リスクに備えるもので、合算ルールと損金算入否認ルールに分かれるが、いずれも、既存の租税回避否認ルールの系列に属するものである。なお、合算ルールにみられるミニマムタックスの考え方は、米国が税制改正で導入したGILTI税制を参照したものと受け止められている。   3 米国ムニューシン財務長官の提案 ムニューシン財務長官は、昨年12月に、EU諸国で実施されつつある1国限りのデジタルサービス税へのけん制もしながら、第1の柱をセーフハーバー・ルールとして位置づけるべきとする米国の立場を、グリアOECD事務総長宛て書簡で公開した。 「セーフハーバー」とは、納税者が、通常の課税方式に加えて選択しうる課税手法であるが、包摂的枠組国は、第1の柱の立案趣旨を無意味にしかねないものとして懸念を示している。書簡では、第1の柱は、既存の独立企業原則とネクサス(課税上のつながり)に関するルールから離れており、納税者の予測可能性を損なうため、より時間をかけた検討が必要とも主張している。 その後、3月末に米国では、日本で言うところの経団連に相当する米国CIBから財務長官宛てに、進行中の第1の柱と第2の柱の検討を6ヶ月延期する要請がなされ、6月にはムニューシン長官は、英、仏、伊、西の財務長官宛ての書簡で、実質的に米国企業に新たな負担を求める第1の柱の検討は延期すべき(第2の柱のミニマムタックス構想には賛意)と主張した。 なお、OECDでは、これらの動向を受けて、既に包摂的枠組による政策合意のスケジュールを当初の7月から10月初めに延期している。   4 今後の見通し 本課税問題の最大のステークホルダーである米国からのセーフハーバー構想の提出を受けている現在の検討状況からは、年内は、第1の柱よりも第2の柱を中心とした国際合意が先行するのではないかとの見通しが有力になりつつある。 なお、技術的な検討は進展しているが、第1の柱の利益Aに関しては、グループ利益を最終的に個々の市場国へ配分されるまでに、3段階(①全体利益から超過収益を取り出す段階、②取り出した超過収益からオール市場国に割り当てる超過収益を取り出す段階、③市場国利益を各市場国に配分する段階)を経る必要があり、いずれの算定過程でも、分割のための定率や算式が必要とされ、これらに関する意見集約は容易ではない。 また、政府により規制されている産業などを含めて、適用除外とされるビジネスをどのように決定するのかも難問である。そのような状況をふまえると、これまで第1の柱の後ろに隠れていた第2の柱を先行合意する可能性は、十分想定されるであろう。 ただし、6月のムニューシン書簡後に発表されたOECDグリア事務総長声明文では、第1の柱を含めたパッケージ合意を年末までに得ることが、各国で進行中の単独措置(貿易措置の緊張化を伴う)を阻止する上で必須であるとする従来の立場を再確認している。 (了)

#No. 378(掲載号)
#青山 慶二
2020/07/16

Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第5回】「〔第1表の1〕法人たる同族関係者の範囲と株主判定」

Q&Aでわかる 〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第5回】 「〔第1表の1〕法人たる同族関係者の範囲と株主判定」   税理士 柴田 健次   Q 下記の通り、経営者甲が所有しているA社株式の全て(議決権総数の14%に相当する株式)を後継者乙に贈与する場合において、A社株式の評価方式は原則的評価方式が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。 なお、B社の株主はいずれもA社の役員及び従業員であり、B社の議決権行使は甲に一任されています。D社はA社の主要な取引先であり、甲及び乙の同族関係者には該当しないものとします。 A 乙の同族関係者としてC社も含まれますので、乙は同族株主に該当し、議決権割合5%以上となる株式を取得していますので、原則的評価方式が適用されます。 なお、同族株主がいる場合の株主判定の手順については、本連載【第1回】の「同族株主がいる場合の株主判定の手順」をご確認ください。  ◆  ◆  ◆ ① 同族株主の判定 評価通達188(1)によれば、「同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式」は、特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるものとされています。 そのため、乙の同族関係者の範囲にC社が含まれていなければ、乙は同族株主以外の株主に該当し、特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されますが、C社が含まれていれば同族株主に該当し、議決権割合5%以上となる株式を取得していますので、原則的評価方式が適用されることになります。 下記②における「[付表]同族関係者の範囲等」の「2 法人たる同族関係者」の(注2)に記載の通り、甲の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意しているB社が有しているC社の議決権は甲が有するものとみなして、C社を支配しているかどうかの判定を行いますので、C社は甲に支配されている会社に該当することになります。したがって、C社は乙の同族関係者に該当することになり、原則的評価方式が適用されることになります。   ② 同族関係者の範囲 同族関係者は、法人税法施行令第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます(評価通達188(1))。具体的には、下記の通りとなります。 (出典) 国税庁「取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等(令和元年10月1日以降用):[付表]同族関係者の範囲等」   ③ 同一の内容の議決権を行使することに同意している者の判定 上記「[付表]同族関係者の範囲等」の「2 法人たる同族関係者」の(注2)で規定されている「同一の内容の議決権を行使することに同意している者」の判定は、契約、合意等により、個人又は法人との間で当該個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している事実があるかどうかにより判定することとされています(法基通1-3-7)。 また、同通達の注書きにおいて、「単に過去の株主総会等において同一内容の議決権行使を行ってきた事実があることや、当該個人又は法人と出資、人事・雇用関係、資金、技術、取引等において緊密な関係があることのみをもっては、当該個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者とはならない。」とされています。 本問の場合には、B社の株主であるA社役員及び従業員の議決権行使が甲に一任されていることから「同一の内容の議決権を行使することに同意している者」に該当することになります。   ☆実務上のポイント☆ 法人たる同族関係者の範囲については、支配関係があるかどうかを確認する必要があり、その範囲をよく確認しておく必要があります。 (了)

#No. 378(掲載号)
#柴田 健次
2020/07/16

相続税の実務問答 【第49回】「贈与税額控除により相続税額が算出されない場合の相続税の申告義務」

相続税の実務問答 【第49回】 「贈与税額控除により相続税額が算出されない場合の相続税の申告義務」   税理士 梶野 研二   [答] 一昨年のお母様からの贈与に係る贈与税額を控除すると納付すべき相続税額が算出されません。贈与税額控除の適用は申告書の提出が要件とはされていませんので、あなたは相続税の申告書を提出する必要はありません。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 相続税の申告書の提出義務 相続税の申告書の提出義務のある者は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に課税価格、相続税額その他財務省令で定める一定の事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされています(相法27①)。 相続税の申告書の提出を要する者は、次のいずれにも該当する個人です。ただし、持ち分の定めのない法人、人格のない社団若しくは財団又は特定の一般財団法人等については、相続税法の規定により、例外的に個人とみなされて相続税の納税義務者となることがあります。   2 贈与税額控除 相続又は遺贈により財産を取得した者が相続の開始前3年以内に被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなして相続税額の計算をするとともに、その贈与について課せられた贈与税があるときは、算出された相続税額から、当該贈与を受けた財産に係る贈与税の税額を控除した金額が、その者の納付すべき相続税額となります(相法19①)。 なお、この贈与税額の控除は相続税の申告書の提出の有無にかかわらず適用されます。   3 ご質問の場合 あなたの場合には、相続により取得した財産の価額の合計額に、一昨年にお母様から贈与を受けた財産の価額300万円を加算して相続税の課税価格を求めますと4,300万円となります。他に相続又は遺贈によりお母様の財産を取得した方はいませんので、課税価格の合計額は、4,300万円です。相続税の基礎控除額4,200万円(3,000万円+600万円×2人)を控除した後の100万円を基に相続税額の計算を行いますと、あなたの相続税額は10万円と算出されます。 しかしながら、一昨年のお母様からの贈与に係る贈与税額19万円を控除すると、納付すべき相続税額は算出されません。贈与税額控除の適用は相続税の申告書の提出を要件とはしていませんので、あなたは相続税の申告書を提出する必要はありません。 なお、あなたの場合、既に納付している贈与税額(19万円)が算出された相続税額(10万円)を上回りますが、この贈与税に係る贈与はいわゆる暦年贈与であって、相続時精算課税制度を選択したものではありませんので、差額の9万円の還付を受けることはできません。 (了)

#No. 378(掲載号)
#梶野 研二
2020/07/16
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