山本守之の法人税“一刀両断” 【第34回】「トランプ政権の税制を考える」
筆者:山本 守之
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山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第34回】
「トランプ政権の税制を考える」
税理士 山本 守之
平成28年度の税制改正では、日本は先進国の法人税率を配慮して次のように法人税実効税率を引き下げました。
(出所)財務省主税局資料(平成27年12月公表)
この税率引き下げの理由について、「平成28年度与党税制改正大綱」では次のように説明しています。
【与党税制改正大綱】
「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という考え方の下、平成27年度に着手した成長志向の法人税改革を、更に大胆に推進する。法人課税をより広く負担を分かち合う構造へと改革し、「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減することにより、企業に対して、収益力拡大に向けた前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げが可能な体質への転換を促す。(中略)
この結果、国・地方を通じた法人実効税率は平成28年度に29.97%となり、目標としていた「20%台」を改革2年目にして実現する。更に平成30年度には、29.74%となる。なお、企業部門に対していわゆる先行減税を含む「財源なき減税」を重ねることは、現下の厳しい財政事情や企業部門の内部留保(手元資金)の状況等に鑑みて、国民の理解を得られない。このため、税率引下げに当たっては、制度改正を通じた課税ベースの拡大等により財源をしっかりと確保することとした。
(出所)財務省主税局資料(平成27年12月公表)
アメリカのトランプ政権では、国と地方の税率の合計が40.75%(カリフォルニア州)である法人税について、国税にあたる連邦法人税率を35%から15%~20%に段階的に引き下げる方針で、英国も2020年度に20%から17%に引き下げる予定です。主要国の法人税率は次の通りです。
こうなると日本は、法人税率の手当ては終わったとしているわけにはいきません。個人所得税とのバランスも考えなければならないでしょう。
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連載目次
山本守之の法人税“一刀両断”
▷2018年(第43回~54回)
▷2017年(第31回~42回)
▷2016年(第18回~30回)
- 【第18回】 実効税率はどのような経過で引き下げられたか
- 【第19回】 消費税の軽減税率を検証する
- 【第20回】 寄附金の課税要件を考える
- 【第21回】 土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物
- 【第22回】 訴訟のわかれ道~認知症と損益通算
- 【第23回】 税執行における洒落
- 【第24回】 租税法の解釈①-租税法律主義とその問題点-
- 【第25回】 租税法の解釈②-通達の読み方とその問題点(貸倒損失を事例として)-
- 【第26回】 租税法の解釈③-税務形式基準と事実認定-
- 【第27回】 課税要件法定主義を考える
- 【第28回】 売り上げの計上時期はどうなっているか
- 【第29回】 取引別にみた収益の認識基準①
- 【第30回】 取引別にみた収益の認識基準②
▷2015年(第7回~17回)
筆者紹介
山本 守之
(やまもと・もりゆき)
税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。
【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数
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