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プロフェッションジャーナル No.546が公開されました!~今週のお薦め記事~

2023年11月30日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.546を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2023/11/30

〈令和5年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「年末調整の実務Q&A」~離婚等による状況の変化に係る注意点など~

〈令和5年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第3回】 (最終回) 「年末調整の実務Q&A」 ~離婚等による状況の変化に係る注意点など~   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   シリーズ最終回は、年末調整実務についてQ&A形式で解説を行う。 取り上げる事項は以下のとおりである。 なお、以下の拙稿にも年末調整に関係する事例を紹介しているので、あわせてご参照いただきたい。 (注) 上記の記事については、掲載後の税制改正等により、解説内容が現在の規定に基づくものとは異なるケースがある。過年度の記事内に順次コメントを入れるので留意していただきたい。   - 解 説 - 本連載第1回【2】で解説したとおり、令和5年分の扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」部分には「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が追加されている。 令和5年中に退職手当等の支払を受けている配偶者又は親族のうち、退職所得を除いた所得の見積額で判定すると、①配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けることができる、②扶養親族に該当する人がいる、③寡婦控除又はひとり親控除の適用を受けることができる、以上の場合には、この欄に必要事項を記入することにより令和6年の住民税の計算において各種所得控除(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除)の適用を受けることができる(地規2の3の3①)。   - 解 説 - 住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、住宅の新築取得等をした者が対象となる家屋をその年の12月31日まで引き続き居住の用に供していることが要件とされている(措法41①)。 ただし、転勤等のやむを得ない事情がある場合には、例外的な取扱いがある。配偶者、扶養親族その他の生計を一にする親族(以下、「配偶者等」という)が引き続き居住の用に供しており、やむを得ない事情が解消した後は家屋の所有者が配偶者等ともにその家屋に居住すると認められる場合には、家屋の所有者が12月31日まで引き続き居住していなくても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる(措通41-2(1))。 Cのケースは、上記の例外的な取扱いには該当しないため(家屋を引き続き居住の用に供しているのは元妻)、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。   - 解 説 - 住宅の取得が贈与による場合や配偶者その他特別の関係がある者(親族等)からのものである場合には、借入金による取得であっても住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない(措法41①、措令26②)。 元夫からの財産分与による取得は、贈与による取得には該当せず、すでに離婚していることから配偶者その他特別の関係がある者からの取得にも該当しない。よって、他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。   - 解 説 - 生命保険料控除の対象となる生命保険契約等には、保険金、共済金その他の給付金の受取人のすべてが、自己又は自己の配偶者その他の親族であることが要件とされている(所法76⑤~⑨)。離婚した元妻は、それらのいずれにも該当しない。 なお、生命保険料控除の対象となる保険料に該当するかどうかは、保険料又は掛金を支払った時の現況により判定する(所基通76-1)。よって、令和5年中に離婚している場合には、離婚前に支払った保険料又は掛金については、令和5年分の年末調整において生命保険料控除の対象となる。   - 解 説 - 高年齢雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者が、原則として60歳時点と比べて賃金が75%未満に低下していること等の要件を満たした場合に支給される給付金である(雇用保険法61、61の2)。 高年齢雇用継続給付は、雇用保険法において失業等給付の1つと定義されており、失業等給付は雇用保険法第12条の規定により非課税とされている。したがって、高年齢雇用継続給付の給付金に所得税は課されない。   (※) 本稿では、年末調整で使用する各申告書等を次のとおり表記する。 (連載了)

#No. 546(掲載号)
#篠藤 敦子
2023/11/30

〔令和5年度税制改正で見直しとなった〕空き家に係る譲渡所得の3,000 万円特別控除の特例のポイント

〔令和5年度税制改正で見直しとなった〕 空き家に係る譲渡所得の3,000 万円特別控除の特例のポイント   税理士 徳田 敏彦   1 令和5年度税制改正の概要 空き家に係る譲渡所得の3,000 万円特別控除の特例(措法35③、以下「空き家特例」という)は、令和5年度税制改正で次の①~③の見直しがあった。 上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用される。   2 改正ポイント-家屋の取壊し時期について (1) 令和5年度税制改正“前”の考え方 売買契約締結後に被相続人居住用家屋が取り壊されることが実務的には多いと考える。 その場合、国税庁が公表している質疑応答事例にもあるように、譲渡の時期を引渡し日とするか、契約日とするかで本特例適用にあたって以下のような注意点がある。 (2) 令和5年度税制改正“後”の考え方 令和5年度税制改正で被相続人居住用家屋が、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に取り壊された場合には本特例が適用可能となった。 そうすると上記【ケースⅡ】において、令和6年2月15日までに取壊しが行われれば、令和5年分譲渡所得として本特例が適用できる。 上記【ケースⅢ】においても、令和6年2月15日までに取壊しが行われれば、契約日を譲渡の時期として令和5年分譲渡所得として申告して本特例が適用可能となる。 もちろん引渡し日を譲渡日として令和6年分譲渡所得としても本特例が適用可能である。 (3) 譲渡の日の考え方 「譲渡の日の属する年の翌年2月15日」とは、所得税基本通達36-12に基づく収入すべき時期を「譲渡の日」とし、その日の属する年の翌年2月15日をいうことに留意する(措通35-9の4) 所得税基本通達36-12が規定する山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、原則として資産の引渡しの日であり、納税者の選択により、契約の効力発生の日とすることができる。 このように令和5年度税制改正後は家屋の取壊し時期が引渡し後になっても本特例が適用できるようになった。 ただし、令和5年度税制改正は令和6年1月1日以後に行う譲渡が対象であり、令和5年分譲渡所得の申告については改正前で判断するため、譲渡日の判断に留意する必要がある。   3 その他留意点 (1) 被相続人居住用家屋を取得した相続人の数(措通35-9の6) 相続人の数が3人以上の場合には空き家特例は特別控除額が各人につき2,000万円(措法35④)となるが、この場合の相続人の数は、相続の時から譲渡の時までに、他の相続人が共有持分を譲渡、贈与したり、又は他の相続人の死亡によって相続人の数に異動が生じた場合であっても、被相続人居住用家屋を取得した相続人の数に影響を及ぼさないことになる。 (2) 相続人が3人以上である時の同一年中に自己の居住用財産と被相続人の居住用財産の譲渡があった場合の特別控除額の金額について 相続人が3人以上の場合において、空き家特例により控除される金額は2,000万円が限度額となるが、相続人が同一年中に自己が居住する居住用財産も譲渡し、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除(措法35②)も同一年中に適用する場合、そのいずれの譲渡についても特別控除を受ける場合の特別控除額の限度額は3,000万円となる(措通35-7)。 ただし、相続人が3人以上いる場合には、両制度の特別控除額の合計額は3,000万円であるが、この場合においても空き家特例においては限度額は2,000万円となることに留意する(措通35-7の2)。     (了)

#No. 546(掲載号)
#徳田 敏彦
2023/11/30

〈もうすぐ適用開始〉令和6年1月から適用される加算税の加重措置 【第2回】「高額・連続の無申告に対する加重措置」

〈もうすぐ適用開始〉 令和6年1月から適用される 加算税の加重措置 【第2回】 (最終回) 「高額・連続の無申告に対する加重措置」   公認会計士・税理士 大橋 誠一   1 政府税制調査会における議論 例年、前年12月に取りまとめられる税制改正大綱に先立ち、政府与党の税制調査会において議論及び意見集約が行われるところ、その議論の経緯を瞥見することで、是正又は新たに手当てすべき税制の青写真や問題意識を窺うことができる。 令和5年度税制改正の検討過程においては、令和4年11月8日に開催された政府税制調査会の納税環境整備に関する専門家会合において、下記のような問題提起がなされていた。   2 高額な無申告に対する無申告加算税の割合の加重 (1) 加重措置の概要 改正前の無申告加算税の税率は、納税額が50万円以下の部分については15%、50万円超の部分については20%の2段階であったが、300万円超の部分について10%加重(すなわち30%)することで、計3段階となる。 社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言い難い高額な規模の基準として「300万円」が設定されたようである。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (出典:財務省ホームページ「令和5年度税制改正の解説」の「国税通則法等の改正」619頁) (2) 適用除外 上記(1)の措置は、高額な無申告を発生させたことについて納税者の責めに帰すべき事由がない場合には適用しないこととされているが、具体例として下記のケースが想定されており、今後通達等において示される予定である。 このうち、①については、我が国の相続税は超過累進税率による法定相続分課税方式を採用しており、自己以外の者が取得した相続財産が新たに判明した場合でも自己に課せられる相続税額が増加するという特徴に配慮したものと考えられる。 なお、この適用除外は、あくまで「300万円超」区分に係るものであり、従来から存在する「50万円超」区分の税率については、上記①②のケースにおいても20%で変わりはない。この理由は、「50万円以下」については追徴税額が比較的少額であり法益に対する侵害の度合いが低いことを踏まえた少額不追及の発想から20%より1段低い税率に設定されたものであり、上記(1)の措置と趣旨を異にするからである。   3 一定期間繰り返し行われる無申告行為に対する無申告加算税等の加重措置 (1) 加重措置の概要 現行においても、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を課された者について、再び調査を受けて無申告又は仮装隠ぺいに基づく申告等が行われた場合への対応として、本稿【第1回】2(4)において解説した無申告加算税等の加重措置が整備されている。 しかし、無申告行為を繰り返し行う者について1度に是正をする場合には適用がないことや、調査通知があったことを契機として、期限後申告書を提出すれば、この加重措置の適用を回避することが可能であることから、意図的に無申告行為を繰り返す者に対する牽制効果は限定的であり、繰り返し行われる悪質な無申告行為について未然に抑止するための更に実効的な措置の整備が課題とされていた。 このような課題を踏まえ、前年及び前々年の国税について、無申告加算税又は無申告重加算税を課される者が行う更なる無申告行為に対して課される無申告加算税又は重加算税を10%加重する措置が整備された。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (出典:財務省ホームページ「令和5年度税制改正の解説」の「国税通則法等の改正」619頁) この加重措置は、3年連続無申告行為が行われた場合(1年間に無申告行為を最低1度(※)行い、それを3回繰り返した場合)の3年目のみを適用対象とするものであり、3年連続無申告の3年間ともに加重されるものではない。 (※) 課税期間(国税通則法第2条第9号)が1年に満たない場合があることから、加重措置の対象となる課税期間の初日の属する年の前年に開始した各課税期間において最低1度、かつ、前々年に開始した各課税期間において最低1度、それぞれ無申告行為があったことを要件としている。なお、課税期間のない国税(相続税や課税貨物の引取消費税など)についても、納税義務が成立した日の属する年の前年及び前々年に納税義務が成立した同一の国税が判定対象となる。 (2) 他の加重措置との併科はない この加重措置の適用要件を満たすということは、同時に、本稿【第1回】2(4)において解説した無申告加算税等の加重措置の適用要件に該当することが想定されるが、両者が併科される(加重割合が20%になる)ことはない。 (3) 適用除外 上記(1)の措置は、下記の申告には適用しないこととされている。 ①②については、無申告加算税自体が課されないことから対象外とされている。 また、③については、この措置が悪質な無申告行為を繰り返す者に対する牽制効果を高める観点から行うもので、調査による更正又は決定の予知前において調査通知がある前にされる自発的な申告書の提出についてまで効果を及ぼす必要はないと考えられるため、対象外とされている。 一方、申告書の提出が調査通知後にされた場合に課される無申告加算税については、調査通知がなければ、自発的な申告が行われていない可能性が高く、一定の悪質性が認められることから、対象とされている。   4 適用時期 上記2及び3の改正は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用し、同日前に法定申告期限が到来した国税については従前どおりである。 したがって、例えば、通常、所得税については令和5年分から、法人税については10月決算法人の場合には令和5年10月決算期分から、それぞれ適用される場面が生じ得る。 なお、上記3の改正について、例えば、令和5年分の所得税については、その前年及び前々年がそれぞれ令和3年分及び令和4年分といういずれも法定申告期限が令和6年1月1日前の年分になることから、まだ適用がないのではないかという疑義が生じ得るところ、前年及び前々年の法定申告期限が令和6年1月1日前であっても判定対象となり、令和5年分からの所得税に係る無申告加算税等について加重対象となることが明確化されている。 (連載了)

#No. 546(掲載号)
#大橋 誠一
2023/11/30

「圧縮記帳と税額控除との調整」に係る制度間の統一的な取扱いを定めた改正通達のポイント

「圧縮記帳と税額控除との調整」に係る 制度間の統一的な取扱いを定めた改正通達のポイント   辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健   本稿では、租税特別措置法等の税額控除制度の税額控除限度額等の計算の基礎となる取得価額に係る共通の取扱いとして改正された租税特別措置法関係通達の内容に関し、改正に至った背景や改正前後の取扱いについて解説する。   1 改正前の取扱い (1) 制度の概要 ① 圧縮記帳の概要 国庫補助金等の交付を受けた場合には、その収益について法人税が課税されるが、交付の目的となる資産を取得する場合に、税額の分だけ資産を取得できなくなる恐れもあることから、国庫補助金等による収益に見合う金額をその交付目的となる資産の取得価額から控除する圧縮記帳が認められている。 ② 租税特別措置法等の税額控除制度の概要 租税特別措置法等において、一定の政策目的に資する資産(特定資産)を取得した場合には、その取得価額に一定割合を乗じた金額(税額控除限度額等)を法人税額から控除することが認められている。 (2) 圧縮記帳及び租税特別措置法等の税額控除制度の適用を受ける場合の改正前の取扱い ① 国庫補助金等の交付を受けてから特定資産を取得する場合 法人税法上、圧縮記帳の適用を受けた減価償却資産については、圧縮記帳により減額された後の帳簿価額を減価償却費の計算の基礎となる取得価額とみなすこととされている(法令54③)。この規定を踏まえ、従来、国庫補助金等の交付を受けてから特定資産を取得する場合には、一般的に、圧縮記帳により減額された後の帳簿価額に基づき、税額控除限度額等を算出することとされている。 ② 特定資産を取得した事業年度の翌事業年度以降に国庫補助金等の交付を受ける場合 一部の税額控除制度については、特定資産を取得した事業年度の翌事業年度以降に国庫補助金等の交付を受けて圧縮記帳を適用する場合に、特定資産の取得価額から国庫補助金等の交付予定金額を控除した金額に基づき税額控除限度額等を算出することとする取扱いが設けられている。   2 問題点及び見直しの必要性 (1) 問題点 国庫補助金等の交付の目的となり、かつ、税額控除の対象にもなる特定資産を取得した事業年度の翌事業年度以降に国庫補助金等の交付を受けて圧縮記帳を適用する場合、特定資産の取得価額から国庫補助金等の交付予定金額を控除した金額に基づき税額控除限度額等を算出することとする取扱いが設けられている税額控除制度と、設けられていない税額控除制度があり、規定の仕方に一貫性が見られない。 (2) 見直しの必要性 上記(1)に記載した通り、圧縮記帳と税額控除との調整に係る取扱いが設けられていない税額控除制度については、圧縮記帳と税額控除の取扱いが不明瞭なものとなっていた。特に、近年、新型コロナウイルス感染症への対策支援などの観点から、特定資産の取得を促進する補助金の交付が増加している。 また、近年の国又は地方公共団体の補助金の交付業務等においては、事前に目的資産を取得し、その取得後に補助金の交付が行われるスキームが一般的になっていることを踏まえ、令和4年度の税制改正において、資産を先行取得してから国庫補助金等が交付される場合に事後的に圧縮記帳を適用する場合の税務上の処理を明らかにすることとする法人税法の規定の整備がされた。 以上を踏まえ、特定資産を取得する場合の税額控除制度に共通する取扱いとして、圧縮記帳と税額控除との調整に係る取扱いを明らかにすることとした。   3 改正後の取扱い 上記2の問題点及び見直しの必要性を踏まえ、租税特別措置法等の税額控除制度の税額控除限度額等の計算の基礎となる取得価額に係る共通の取扱いとして、次の通り改正が行われた。 (1) 供用年度後の事業年度において圧縮記帳の適用を受ける場合 法人が取得等をした税額控除制度の対象となる特定資産につき、その取得をして事業の用に供した事業年度後(供用年度後)において圧縮記帳の適用を受けることが予定されている場合には、その特定資産の取得価額から圧縮記帳の適用を受けるとしたならば、損金の額に算入されることが見込まれる金額(損金算入見込額)を控除した金額が、税額控除限度額等の計算の基礎となる特定資産の取得価額となることが明らかにされた(措通42の5~48(共)-3の2(2))。 従来は、圧縮記帳と税額控除との調整に係る取扱いが設けられていた一部の税額控除制度においては、国庫補助金等の交付予定金額を控除することとしていたが、令和4年度税制改正において法人税法上の規定の整備が行われ、資産を先行取得した場合の圧縮限度額の計算が明らかになったことを踏まえて損金算入見込額を控除する統一的な取扱いとすることを明らかとするものである。 なお、上記の損金算入見込額は、国庫補助金等の交付予定金額とすることができる(措通42の5~48(共)-3の2(注)1)。当初の改正原案では、国庫補助金等の交付の条件を満たしていないため、その交付額が未だ確定していないこと等により損金算入見込額を適正に見積もることが困難である場合には、損金算入見込額ではなくこれまで通り国庫補助金等の交付予定金額を控除するとされていたが、損金の額に算入された金額と国庫補助金等の交付予定金額とは概ね一致するため、適正に見積もることが困難である場合に限定せず、資産の取得価額から控除する金額はいずれの金額も用いることができるよう、原案から修正が行われている。 (2) 供用年度において圧縮記帳の適用を受ける場合 法人が取得等をした税額控除制度の対象となる特定資産につき、供用年度において圧縮記帳の適用を受ける場合には、その特定資産の取得価額から圧縮記帳の適用により損金の額に算入される金額を控除した金額が、税額控除限度額等の計算の基礎となる特定資産の取得価額となることが明らかにされた(措通42の5~48(共)-3の2(1))。この取扱いは、従来、租税特別措置法等の税額控除制度における共通の取扱いとしていたものである。 (3) 適用時期 これまで圧縮記帳と税額控除の調整に係る取扱いが設けられていなかった税額控除制度の対象となる資産(供用年度後の事業年度において圧縮記帳を適用するものに限る)につき、この法令解釈通達の発遣日(令和5年10月6日)以後に取得等をするものについて適用される。 〈供用年度後の事業年度において圧縮記帳の適用を受ける場合〉 (参考) 租税特別措置法関係通達42の5~48(共)-3の2   (了)

#No. 546(掲載号)
#安積 健
2023/11/30

〔徹底解説〕大阪国税不服審判所令和4年8月19日裁決~事業の移転及び継続を必要としたTPR事件との相違~

〔徹底解説〕 大阪国税不服審判所令和4年8月19日裁決 ~事業の移転及び継続を必要としたTPR事件との相違~    公認会計士・税理士 佐藤 信祐   1 事案の概要 本事件は、原処分庁が、納税者(請求人)の行った法人税等及び消費税等の各確定申告について、請求人が損金の額に算入した適格合併に係る被合併法人の未処理欠損金額(1,208百万円)は、当該合併等が「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの(法法132の2)」に該当することから、損金の額に算入しないものとして、法人税等及び消費税等の更正処分等を行ったのに対し、納税者が原処分の全部の取消しを求めた事件である。 本事件では、適格合併前に、新設分割により分割承継法人に事業のすべてを移転しており、適格合併の直前に被合併法人に残っていたものは、土地、有価証券及び借入金といったものであった。それだけでなく、分割承継法人と被合併法人は、株主、役員、商号、会社の目的、本店所在地、従業員、取引先、賃金体系並びに金融機関からの融資が同一であったことから、両社は実質的に同一の法人であったと考えられる。裁決書では黒塗りが多いことから断言はできないが、TPR事件(※1)と非常に似た事件であった可能性が高いように思われる。 (※1) 東京高判令和元年12月11日(TAINSコード:Z269-13354) 強いて言えば、新設分社型分割ではなく、新設分割型分割により事業を移転した点に違いが見受けられるが、本事件の裁決に大きな影響を与える違いではないと考えられる。 さらに、本事件では、組織再編成の前に株式の異動も行われている。ただし、裁決書に黒塗りが多いことから、どの株式の異動なのかは明らかではない。もし、事前の株式異動により完全支配関係が成立していた場合には、PGM事件と同様に税負担減少の意図があったことの証拠のひとつとなる。この点については、大阪地裁判決が公表された時に明らかになると考えられる。 本事件の争点は、①増仕切取引が寄附金の生じる取引に該当するかどうか、②受託品事故損が課税仕入れに係る支払対価の額に該当するかどうか、③本件組織再編成は、これを容認した場合、法人税法132条の2に規定する「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるか否かの3つであるが、上記①②は本稿のテーマである合併に関係がないことから、ここでは上記③についてのみ解説を行うものとする。   2 国税不服審判所の判断 本事件では、原処分庁側がTPR事件で示された制度趣旨を前提に主張しているのに対し、納税者側は当該制度趣旨を否定する形で主張している。これに対し、国税不服審判所は事業の移転及び継続が必要であるか否かを検討せずに包括的租税回避防止規定の検討を行っている。具体的な法令解釈に係る判示は以下の通りである。 このように、大阪国税不服審判所は、完全支配関係内の適格合併の場合には、事業の移転及び継続が要求されないことを前提としながらも、適格合併の場合に未処理欠損金額の引継ぎを認めることとした前提を欠くような場合には、繰越欠損金の引継ぎが認められないものと判示した。なお、「企業グループ内の法人の有する未処理欠損金額の企業グループ内の他の法人への付替えと同視できるものである」としたのは、単なる例示であり、それ以外の場合であっても、組織再編税制が制定された平成13年当時の想定と明らかに異なるものであれば、包括的租税回避防止規定が適用される可能性があると考えられる。 もちろん、繰越欠損金を他の法人に付け替える場合には、経理方法の同一性が維持されないことが明らかであるため、包括的租税回避防止規定が適用されるのはやむを得ないが、そもそも経理方法の同一性というものを繰越欠損金の引継ぎの制度趣旨としてしまうと、どのようなものが制度趣旨に反するのかが、さらに不明瞭になってしまうため、本来であれば、より具体的な判示があったほうが望ましかったように思われる。 さらに、大阪国税不服審判所は、「■■■■■の実態は、客観的にみれば、本件組織再編成の前後で変化はなく、両者は同一であるといえ、本件組織再編成は、組織再編成の前後で実態に変化を生じない組織再編成であったといえる。そして、本件組織再編成は、■■■■■の繰越欠損金を本件事業から分離することを主たる目的としたものであり、その理由は、本件事業あるいは本件組織再編成の前後を通じた■■■■■の収益力を向上させることにあったのではなく、■■■■■の繰越欠損金を請求人が引き継ぎ、これを請求人の法人税の負担を軽減するために活用することにあったといえる」「本件組織再編成は、その前後で実態に変化を生じない組織再編成を行わなければならなかった必要性その他の合理的事情もないのに行われた不必要な組織再編成であって、このような組織再編成の実施は、上記に説示した■■■■■の繰越欠損金を請求人に付け替えることを意図したものでない限り、通常は想定されていない不自然な組織再編成であるというべきである。」とすることで、包括的租税回避防止規定を適用している。 この判示は、事業目的よりも税負担の減少目的が主目的であること、法人が行った組織再編成が不自然であることを示しているため、ヤフー事件(※2)、TPR事件及びPGM事件(※3)と整合的であるように思える。ただし、法人の行った組織再編成が不自然であるかどうかについて、制度趣旨を拠り所にした判断をしていないという点でこれらの事件と違いがあるようにも思える。この点については、制度趣旨を拠り所にしなくても、法人の行為又は計算が不自然であることを示すことができるのであれば、あえて制度趣旨を拠り所にする必要はないということで、これらの事件と整合的であると考えて差し支えないと思われる。 (※2) 最一小判平成28年2月29日(TAINSコード:Z266-12813) (※3) 東京国税不服審判所裁決令和2年11月2日(TAINSコード:F0-2-1034)   3 小括 このように、本事件で注目すべきは、原処分庁側がTPR事件を根拠に主張していたのに対し、国税不服審判所がTPR事件の判旨を採用しなかったという点である。むしろ、前述の判旨からも、TPR事件とは異なり、完全支配関係内の組織再編成では、事業の移転及び継続は必ずしも要求されていないと判断したものと考えられる。 大阪地裁及び大阪高裁でも同様の判断が下された場合には、TPR事件で示された制度趣旨を大阪地裁及び大阪高裁が採用しなかったということになり、今後の組織再編実務に大きな影響を与える可能性がある。さらにいえば、本稿校了段階では、PGM事件の東京地裁判決が公表されていないが、PGM事件における東京地裁がTPR事件で示された制度趣旨を採用しないこともあり得る。もし、PGM事件における東京地裁がTPR事件で示された制度趣旨を採用したとしても、大阪国税不服審判所令和4年8月19日の裁決を前提とせずに当事者の主張が行われていたからであって、東京高裁において納税者が本裁決を根拠としてTPR事件で示された制度趣旨を否定する主張を行うことも考えられる。 いずれにしても、TPR事件で示された制度趣旨が平成22年度税制改正後も有効であるかどうかについては、これらの地裁判決及び高裁判決が公表されることにより明らかになっていくと思われる。 さらに、本裁決では、法人の行為又は計算が、通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうかについて、制度趣旨を拠り所にした判断をしていない。そうなると、同族会社等の行為又は計算の否認(法法132)を適用する場合には、制度趣旨を拠り所とせずに経済合理性の判断を行うことから、分割により事業を切り離した後に、適格合併ではなく残余財産の確定により繰越欠損金を引き継いだ場合に、同族会社等の行為又は計算の否認が適用される可能性があるかどうかの判断に重要な影響を与える可能性がある。この点については、大阪地裁及び大阪高裁判決が公表された後に検討したい。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 546(掲載号)
#佐藤 信祐
2023/11/30

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第31回】

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第31回】   東洋大学法学部准教授 泉 絢也   4 その他雑所得と必要経費 (1) 必要経費の問題 国税庁は、雑所得を①公的年金等に係る雑所得、②業務に係る雑所得、③その他雑所得(①・②以外の雑所得)に分けて、取扱いを整理している。 以下は、令和4年10月7日付課個2-21ほか2課共同「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)による改正後の所得税基本通達35-1及び35-2の抜粋である。 国税庁が公表している上記所得税基本通達の解説資料(「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」。以下「雑所得通達解説」という)1頁は、譲渡所得の基因とならない資産について、具体的には、金銭債権、外貨、暗号資産などの「資産の値上がり益が生じないと認められる資産」が該当すると説明している。 ここでも暗号資産の譲渡による所得の譲渡所得該当性を否定する国税庁の見解の背後には、まずは資産性否定説が存在していることがわかるが、いずれにしても暗号資産の譲渡による所得の譲渡所得は、業務に係る雑所得ではなく、その他雑所得に該当すると国税庁は整理していることになる。 それでは、この議論の先にはどのようなことが待ち受けているのか。 言い換えれば、仮に、国税庁の見解のとおり、暗号資産の譲渡による所得が雑所得のうちのその他雑所得に該当する場合には、どのような効果が生じるか、業務に係る雑所得とその他雑所得に区分する実益はどの辺りにあるのであろうか。 上記改正通達の「業務に係る雑所得」にいう「業務」は法令上の「雑所得を生ずべき業務」と対応していることを前提として所得税の法令を概観すると、例えば、次に示す規定など様々な箇所で「雑所得を生ずべき業務」に関する規定が存在することに気が付く。 上記のほか、注意しておきたいのは次の規定である。 現行所得税法は、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次の額であるとしている(所法37)。 上記①の「期間対応費用の必要経費不算入」に関して、業務に係るものではない「その他雑所得」の場合は、(販売費、一般管理費も含めて)「業務」について生じた費用である上記➋の期間対応費用を観念できないことになり、上記➊の個別対応費用のみが必要経費に算入されることになる。 そうすると、暗号資産に係る所得について、➊個別対応費用(原価)のみが必要経費に算入され、税理士報酬、有料サイト利用料など情報収集のための費用、暗号資産の計算ソフト利用料などが必要経費に算入できない可能性が出てくる。 もっとも、暗号資産FAQ「2-3 暗号資産の必要経費」は、次のとおり、暗号資産の売却による所得は原則として「その他雑所得」に区分されるとする一方で、その譲渡原価及び売却の際に支払った手数料に加えて、「インターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用などについても、暗号資産の売却のために「直接」必要な支出であると認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができます」と説明している。 上記FAQは、「暗号資産取引に係る所得が、事業所得又は雑所得(業務に係る雑所得)に区分される場合には、その年における販売費、一般管理費その他その所得を生ずべき業務について生じた費用の額も必要経費に算入することができます」とも説明している。 よって、業務に係るものではない「その他雑所得」の場合は、(販売費、一般管理費も含めて)「業務」について生じた費用である上記➋の期間対応費用を観念できないことになり、上記➊の個別対応費用のみが必要経費に算入されることになるという上記理解は、国税庁の見解と整合していることがわかる。 また、上記FAQは必要経費の注意点として次の2つを挙げている。 暗号資産取引に係る利用料は暗号資産の売買のために「直接」必要なものに限られる。有料サイト利用料など情報収集のための費用や暗号資産の計算ソフト利用料は、「直接」必要なものではないとして、「その他雑所得」に該当する場合には必要経費算入が認められない可能性がある。 また、インターネットやスマートフォン等の回線利用料のうち、暗号資産取引に係る利用料を明確に区分できるのか、何らかの方法で合理的に区分した場合に「明確に区分できている」と認められるのか、実務家にとっては不安の種になりそうである。 パソコンの購入費用についても、暗号資産の売買取引専用のものであれば別であるが、それ以外のものは、同様の問題が生じるであろう。 結局、上記2つの所得税基本通達が改正されたことや、これに伴い暗号資産FAQに「直接」という語が挿入されたことが、実際の必要経費に関する執行に具体的にどの程度の影響を及ぼすのか、国税庁がその他雑所得との関係で、実際にどのような支出を必要経費として認めないのかは明らかではない。   (了)

#No. 546(掲載号)
#泉 絢也
2023/11/30

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第31回】「武田薬品工業事件-無形資産の形成による移転価格税制の影響-(大裁平25.3.18)(その3)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第31回】 「武田薬品工業事件-無形資産の形成による移転価格税制の影響-(大裁平25.3.18)(その3)」 ~租税特別措置法66条の4第1項、第2項~   税理士 中野 亘     4 判断 (1) 認定事実 (2) 残余利益の配分計算に用いた請求人及びTAP社の分割指標について   5 考察 (1) 法的な無形資産の取引における「排他性」と「独自性」 本件では残余利益の一部である米国における「開発」(臨床試験)の帰属が請求人とTAP 社どちらのものであるかが大きなポイントとなった。米国における「開発」は「FDA 等の承認」が含まれるということになり、FDA 等の承認が無形資産の形成を成立させていることが分かる。具体的にはFDA 等の承認における特徴は日本における臨床試験を米国において用いることができないことにおいて「排他性」を発生させ、米国という人種において臨床結果を用いるという「独自性」が発生している点である。このことからFDA 等の承認を取得するためにTAP 社による臨床試験が法的な無形資産の形成に寄与したと判断された。 (2) 取引価格(費用負担)による経済的レント等の享受を「リスク管理の範囲」の観点から見た場合 本件では前臨床段階である「研究(Research Intangible)」と臨床試験である「開発(Development Intangible)」を一体としてリスク管理の範囲(R&D Intangible)とするか、分離してリスク管理の範囲とするかが大きなポイントとなった。ランソプラゾールの米国における販売は、そもそも日本において研究(販売)されていないと成立しなかった点を考慮すると、「研究」と「開発」を一体(R&D Intangible)としてリスク管理の範囲とすることも考えられる。 しかし、本件ではFDA 等の承認後もフェーズⅣによる「製造販売後臨床試験」が必要であり、「製品販売後臨床試験」にはTAP 社の医薬情報担当者(Medical Representatives)による情報収集や情報提供などの「マーケティング活動(Marketing Intangible)」が必要不可欠であり、「研究」と「開発」が一体となるよりむしろ「開発」と「マーケティング活動」を担ったTAP 社が米国における販売活動のリスク負担の下に行われたと解することが妥当だと考える。 医薬製品は製品完成後も市場への認知、医療医薬品の有効性・安全性が確立しなければビジネスとしての成功はなかった。つまり本件では「開発」と「マーケティング活動」がリスク管理の範囲から重要なものであることが証明された判例となった。 (了)

#No. 546(掲載号)
#中野 亘
2023/11/30

有価証券報告書における作成実務のポイント 【第1回】

有価証券報告書における作成実務のポイント 【第1回】   史彩監査法人 パートナー 公認会計士 西田 友洋   上場会社等において、有価証券報告書の提出が義務付けられ、その記載量は年々増えている。また、誤りが生じた場合、訂正報告書の提出や内部統制の評価へ影響する可能性がある。 そのため、限られた人員で正確に有価証券報告書を作成するためには、ポイントを抑えながら作成することが重要である。 大事なことは、最終的に提出する書類は有価証券報告書や計算書類等のため、最終のアウトプットを意識して(逆算して)、必要なエクセルを作成することである。また、システムで自動化する場合も、最終のアウトプットを意識して(逆算して)、システム化する必要がある。決算数値を固めるためにエクセルを作成して、有価証券報告書や計算書類等を作成するために、また別のエクセルを作成するというのでは、効率的にならない。 そこで、本解説では、有価証券報告書を効率的かつ正確に作成するための有価証券報告書間の整合性の確認ポイント、決算数値と有価証券報告書の記載の関係性を中心に解説する。 今回は、第一部【企業情報】第1【企業の概況】1【主要な経営指標等の推移】から3【事業の内容】までの作成実務ポイントについて解説する。 なお、本解説では2023年3月期の有価証券報告書(連結あり/特例財務諸表提出会社/日本基準)に原則、適用される法令等に基づき解説している。   1 【主要な経営指標等の推移】の作成実務ポイント 主要な経営指標等の推移では、重要な指標を記載する。作成ポイントは、以下のとおりである。 【事例:鹿島建設(株)2023年3月期の有価証券報告書】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。   2 【沿革】の作成実務ポイント 沿革では、設立から当連結会計年度末までの間の企業集団の重要な事項を記載する。作成ポイントは、以下のとおりである。 【事例:(株)ディー・エヌ・エー2023年3月期の有価証券報告書】   3 【事業の内容】の作成実務ポイント 【事業の内容】では、当連結会計年度末における提出会社及び関係会社の主な事業内容、事業を構成している提出会社又は関係会社の事業における位置づけ等について、セグメント情報との関連を含め系統的に分かりやすく説明する。 作成ポイントは、以下のとおりである。 【事例:日本電気(株)2023年3月期の有価証券報告書】 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (了)

#No. 546(掲載号)
#西田 友洋
2023/11/30

〈会計基準等を読むための〉コトバの探求 【第9回】「会計基準の略称にも意味がある?」

〈会計基準等を読むための〉 コトバの探求 【第9回】 「会計基準の略称にも意味がある?」   公認会計士 阿部 光成   ◆はじめに 会計基準の名称は、省略した形で記載されることが多い。 だが、会計基準によっては略称を用いず、会計基準の番号をそのまま記載している場合もある。 今回は、会計基準の略称について取り上げ、略称の仕方の意味を考えてみる。   ◆略称の例 次のような略称の例が見られる。これらでは、会計基準の名称を利用しつつ、その内容がわかるように端的な記載をしているように思われる。 そのほか、次のような例も見られる。   ◆企業会計基準第24号の略称 企業会計基準第24号については、「正当な理由による会計方針の変更等に関する監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第78号)や、「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第63号)では、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)及び「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第24号)について、それぞれ、「過年度遡及会計基準」及び「過年度遡及適用指針」の略称を用いている。 前述のとおり、会計基準の略称を用いる場合には、会計基準の名称を利用しつつ、その内容がわかるように端的な記載をしているように思われる。 企業会計基準第24号は、公表された当時、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の名称であった。このため、会計基準の名称を利用しつつ略称を使用しようとすると、例えば、「変更・誤謬訂正基準」の略称も考えられたのではないだろうか。 しかしながら、「誤謬」や「訂正」の用語を使用することは、訂正有価証券報告書などを連想しかねないので、企業会計基準第24号で用いられている「過年度遡及修正に関する論点の整理」(27項)などを参考に、「過年度遡及会計基準」の略称を用いたのではないだろうか。 現在では、企業会計基準第24号は、「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の名称となっており、「会計方針の開示」が加わっているところである。 (了)

#No. 546(掲載号)
#阿部 光成
2023/11/30
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