検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10255 件 / 1411 ~ 1420 件目を表示

法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準を学ぶ 【第2回】「法人税等の会計処理」

法人税、住民税及び事業税等に関する 会計基準を学ぶ 【第2回】 「法人税等の会計処理」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号。以下「法人税等会計基準」という)が示す法人税等の会計処理について解説する。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 法人税等の会計処理 1 基本的な考え方 所得に対する法人税、住民税及び事業税等の計上区分に関して、次の2つの考え方がある(法人税等会計基準29-2項)。 2022年改正後の法人税等会計基準では、税引前当期純利益と所得に対する法人税、住民税及び事業税等の間の税負担の対応関係を図ること、国際的な会計基準における処理との整合性を図ることを考慮し、①の考え方を採用している(法人税等会計基準29-3項)。 2 損益に計上する処理 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、原則として、法令に従い算定した額(税務上の欠損金の繰戻しにより還付を請求する法人税額及び地方法人税額を含む)を損益に計上する(法人税等会計基準5項)。 「所得等に対する法人税、住民税及び事業税等」には、所得に対する法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)のほかに、住民税(均等割)及び事業税(付加価値割及び資本割)が含まれる(法人税等会計基準5項の注)。 3 株主資本、評価・換算差額等の区分に計上する処理 前述のとおり、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等は、原則として損益に計上するが、次の場合には株主資本、評価・換算差額等の区分に計上する(法人税等会計基準5項、5-2項)。 具体的な会計処理については、法人税等会計基準の「[設例1] 評価・換算差額等に対して課税される場合」が参考になる。 株主資本に対して課される当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を純資産の部の株主資本の区分に計上する取扱い(法人税等会計基準5項(1)、5-2項(1))の例としては、次のものが考えられている(法人税等会計基準29-4項)。 その他の包括利益に対して課税される場合の例としては、次のものが考えられている(改正企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の公表の際の「本会計基準等の改正により影響を受けることが想定される企業」を参照)。 また、「本会計基準等の改正により影響を受けることが想定される企業」に関する(参考)として、次の例も示されている。 4 会計処理の例示 法人税等会計基準の[設例1]を参考にして、具体的な会計処理を示すと次のようになる。 前提条件は次のとおりである。下記は、その他有価証券評価差額金が課税所得に含まれ課税される場合という仮定を設けたうえでの例であることにご注意いただきたい。 〈その他有価証券の時価評価の仕訳〉 【計算式】 〈評価差額等に課される法人税、住民税及び事業税等の仕訳〉 【計算式】 会計処理は次のようになる。 5 例外的な会計処理 法人税等会計基準5項及び5-2項の定めにかかわらず(上記2及び3)、次のいずれかの場合には、該当する法人税、住民税及び事業税等を損益に計上することができる(法人税等会計基準5-3項)。 ②の例外的な定めを選択するか否かは、「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)4項(1)に定める「会計方針」の選択に該当すると考えられている(法人税等会計基準29-7項)。 当該定めに該当する取引として、2022年改正の法人税等会計基準の開発時点においては、退職給付に関する取引が想定されている(法人税等会計基準29-7項)。 (了)

#No. 521(掲載号)
#阿部 光成
2023/06/01

〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第38回】「売り手が気にしたい財務状況のポイント(中編)」~経営指標の活用と、分析や見方のポイント①~

〔中小企業のM&Aの成否を決める〕 対象企業の見方・見られ方 【第38回】 「売り手が気にしたい財務状況のポイント(中編)」 ~経営指標の活用と、分析や見方のポイント①~   公認会計士・税理士 荻窪 輝明   《今回の対象者別ポイント》 買い手企業 ⇒売り手の財務状況や財務分析の見方を知り、良い売り手探しのヒントに役立てる。 売り手企業 ⇒売り手自身の財務状況の理解を深めて、改善とM&Aに向けたヒントを得る。 支援機関(第三者) ⇒売り手の財務状況のポイントをつかんで、M&Aの助言に役立てる。 その他の対象者 ⇒売り手の財務状況の見方とポイントを知って、実務に役立てる。   1 経営指標を活用する 中小企業のM&Aでは、M&Aの成立に至る過程で必ず譲渡等の「価額」が登場します。「◯千万円」「◯億円」と提示がある際、価額は買い手側から売り手側に投げかけられる、売り手自身の価値に対するいわば評価額です。この評価にあたって、買い手側は決算などの会計情報からのみで価額を算定するわけではないですが、それでも、買い手側にとって決算は極めて重要な情報源となります。このため、M&Aでは決算書から得られる情報に対する買い手の関心は高いと思った方がよいでしょう。 そこで今回は、前回の内容を踏まえて、決算の情報に基づく主要な経営指標を活用しながら、売り手目線による分析や見方のポイントをご紹介します。   2 基本は資本利益率 元手をいかに効率的に業績へと結びつけられたかを知るために資本利益率を使います。資本利益率は、以下のように求めます。 利益はP/Lのフロー情報ですので会計期間に対応する一方で、資本はB/Sのストック情報ですので、期末の一時点にしか対応しません。そこで、両者を整合させるために、通常、2年分(2期分)の資本合計の平均値((資本+資本)/2)を求めて利益に対応させます。通常、前期末と当期末の資本平均ですので、言い換えると期首と期末の資本平均です。 なお、上場企業では、株主から見た効率性、収益性が重視されますので、資本利益率の中でもROE(株主資本利益率、自己資本利益率)が重視されますが、中小企業の場合は「株主=経営者」であることが多く、ROEを使用する意味はさほどないと思います。そこで、中小企業でよく使用されるのがROA(総資本利益率)です。分母にはB/Sの総資本(総資産)を、分子には、次の計算式のように営業利益、経常利益のいずれかを活用して求めるケースが多いです。 なぜ、資本利益率が基本かというと、売上高利益率と資本回転率の分解によって、さらに細分化された分析を可能にするための基礎となるからです。たとえば、経常利益による場合(便宜上、資本の平均や、×100(%)は無視します)、以下のように、元の式に売上高を加えることで、総資本経常利益率を、売上高経常利益率と総資本回転率に分解でき、利益効率と資本効率の両面からの分析を可能にします。違う角度から見ることで、これまで見えていなかった強みや弱みの発見などにつながるかもしれません。 前回ご紹介した「法人企業統計年報特集」令和3年度年報にある規模別主要財務営業比率表(全産業)によると、令和3年度の資本金規模別の総資本経常利益率と、これを分解した売上高経常利益率及び総資本回転率は次のとおりです。 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (出典) 「法人企業統計年報特集(令和3年度)」をもとに筆者作成。 資本金1,000万円以上1億円未満の企業であれば、総資本経常利益率は約3%、売上高経常利益率は3~4%程度、総資本回転率は約1倍程度を上回るなら、業界平均より上にあるといえます。 ちなみに総資本回転率が1(回)という状態は、売上高=総資産(総資本)ですから、P/Lの売上高の金額と、B/Sの総資産の金額が同じという意味です。一般的に、資本集約的な企業では、総資本が膨らむ結果として総資本回転率は低くなりやすく、対して労働集約的な企業では高くなる傾向にあります。 このデータからわかるのは、総資本回転率はどの資本金規模でもおおよそ1回転が平均だということです。だとすると、総資本利益率は、売上高経常利益率に連動しやすく、総資本経常利益率を上げるには、売上高経常利益率を上げるのが効果的だとも読みとれます。このような傾向がわかると、何を意識して経営すればよいのか、たとえば売上高なのか、利益率なのか、それとも資本増強なのか、といったように、目標、管理する指標、勘定科目、数値への意識が変わり、財務面から経営を良くするヒントが得られます。 ただし、総資本利益率、売上高経常利益率、総資本回転率のいずれも、さらに業種によって平均値が異なります。ぜひ「法人企業統計年報特集」を中心にデータ、統計を積極活用して、業種別の指標などから、売り手が参考とするベンチマークを見つけるのがよいでしょう。   3 資本回転率の分解と回転期間 B/Sの総資本、言い換えると総資産は、B/Sの資産の部に並ぶ勘定科目の集合体と捉えれば、総資本回転率は各勘定科目の回転率に分解するのが可能です。 また、回転率は、以下のように回転期間に変換するのが可能です。 もちろん、回転率から回転期間を求めるようなやり方ではなく、回転期間を直接求めるのも可能です。例として、売掛金回転期間を直接求める方法は次のとおりです。 「2 基本は資本利益率」で説明したのと同様に、P/Lのフロー情報とB/Sのストック情報とを比較する経営指標を求める際は、ストックの売掛金の期首・期末平均によって疑似フロー情報に変換し、フロー情報と対応させるのが基本です。ただし、売掛金や棚卸資産の期末残高そのものを重視して、その回転期間を知りたいという明確な目的があれば、あえて、平均値によらずに、B/Sの期末残高を使って分析するケースも実務上は多く見られます。 また、回転率、回転期間分析に関して、棚卸資産と買掛金については売上高との対応関係ではなく売上原価との対応関係で分析する場合があります。たとえば、棚卸資産の場合、通常、売価ではなく原価ベースで会計上の記録が行われる関係で、対応させるP/Lの値も原価ベースの売上原価の方が売価ベースの売上高よりもマッチしやすいなどの理由によります。 買い手にとって、売掛金回転期間(又は回転率)は、得意先からの代金回収の滞留可能性の確認、棚卸資産回転期間(又は回転率)は、在庫の販売可能性の確認ができますので、M&Aにあたって、売り手の経営状況を把握するための重要指標の1つです。 売り手にとっても、これらの指標が悪化すればキャッシュ・フローが滞る結果として買い手からの印象が悪くなります。実務上は、買掛金回転期間を加えた3種の回転期間(又は回転率)の悪化を防ぎ、改善させることが財務戦略上重要となります。 これに関連して、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の考え方を知っておくと便利です。 実務上は、売掛金や買掛金よりも概念の広い売上債権と仕入債務を対象として求めるケースが多く、通常、CCCの回転期間は上記のとおり日数ベースで求めます。 この日数が長くなるほど、キャッシュ化されるまでの期間が長くなりますので、資金繰りが弱く、手元資金不足の不安、運転資金を回す力が弱いといったマイナスの判断をされる可能性が高まります。中小企業の場合、得意先に入金を早めるように交渉するのは大変かもしれませんが、運転資金の安定を図ることは資金調達とのバランスを考える上でも重要ですので軽視は禁物です。 次回も、今回ご紹介できなかった経営指標、特にB/Sの数値間の関係を活かした主な指標を中心に、売り手目線での分析や見方のポイントをご紹介します。 (了)

#No. 521(掲載号)
#荻窪 輝明
2023/06/01

電子書類の法律実務Q&A 【第8回】「従業員の電子メールのモニタリングは可能か」

電子書類の法律実務Q&A 【第8回】 「従業員の電子メールのモニタリングは可能か」   弁護士法人 咲くやこの花法律事務所 弁護士 池内 康裕   〔Q〕 当社従業員が社内メールを利用して、取引先に対して当社の秘密情報を漏えいしているとの告発がありました。 そこで当社としては、以下の就業規則に基づき、事前同意なしにこの従業員の電子メールの内容等を監視・閲覧しようと考えています。 このような監視・閲覧行為をするうえで、法的に留意すべきことがあれば教えてください。 〈当社就業規則〉 〔A〕 事前同意なしに従業員の電子メールの内容等を監視・閲覧しただけで、直ちに違法と判断されるわけではありません。 ただし、合理的必要性がないのにモニタリングした場合、プライバシー権の侵害により、違法と判断される可能性があります。 本件では、実際に秘密情報が漏えいしたこと、当該秘密情報の漏えいに当該従業員が関わっていることについて合理的疑いがあることが必要と考えられます。 単なる憶測レベルで、本人の同意なしに社内メールの監視・閲覧をするのは、プライバシー制約の程度によっては、プライバシー権の侵害により違法と判断されるリスクがあります。 また、モニタリングの範囲についても工夫が必要です。秘密情報を漏えいした時期が特定できる場合、まずその前後の時期を対象とし、その調査結果を踏まえて、調査対象を拡張すべきかどうか検討することになります。 ● ● ● ● 解 説 ● ● ● ● 1 モニタリングの可否についての判断基準 従業員が社内メールを家族、友人、恋人とのメールのやり取り等私的に使用する可能性がある。このような私的使用されたメールについて、事前同意なしにモニタリングした場合、従業員のプライバシー権の侵害の問題は生じないだろうか。 この点については、監視目的、手段及びその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益を比較衡量のうえ、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に限り、プライバシー権の侵害になると判断されている(東京地判平成13年12月3日)。 つまり、事前同意なしに私的なメールのやり取りを閲覧・監視したというだけで、直ちに違法と判断されるわけではなく、モニタリングの必要性等を考慮して、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に、違法と判断される。   2 モニタリングが違法と判断される可能性が高いケース 以下①から③のようなケースでは、事前同意のないモニタリングが違法と判断される可能性が高い(東京地判平成13年12月3日)。 上記より権限がない者による監視、合理的必要性がない監視については、違法と判断される可能性が高いことが分かる。   3 モニタリングが適法と判断されたケース 裁判所で事前同意なしに社内メールをモニタリングすることが適法と判断されたケースは、以下の①から③のとおりである。 事例ごとに留意すべきポイントを解説する。 上記①から③のとおり、就業規則違反をしていると考えられる合理的な疑いがあり、かつ就業規則違反の有無を調査する目的の範囲内であれば、社内メールのモニタリングそのものは、適法と判断されている。   (了)

#No. 521(掲載号)
#池内 康裕
2023/06/01

空き家をめぐる法律問題 【事例50】「区分所有建物の滞納管理費を回収する場合の諸問題」-区分所有者に成年後見人が選任されていない事例-

空き家をめぐる法律問題 【事例50】 「区分所有建物の滞納管理費を回収する場合の諸問題」 -区分所有者に成年後見人が選任されていない事例-   弁護士 羽柴 研吾   - 事 例 - マンションの区分所有者の1人であるAは、認知症が悪化したため、マンションを出て特別養護老人ホームで生活しています。Aは、マンションの管理費を3年分滞納したことから、管理人Bは、Aに対して滞納管理費の支払を求めて訴訟を提起し認容されましたが、Aから支払を受けられない状況が続いています。滞納額は現在も増加しており、350万円を超えているため、BはAの区分所有権を競売で売却することを考えています。Aの区分所有権の査定額は300万円程度です。 Aは成年後見人を選任するのが相当な状況にありますが、成年後見人は選任されていないとのことです。このような場合に、どのようなことに注意して滞納管理費の回収を図るべきでしょうか。   1 はじめに 区分所有建物の管理費が支払われない場合に、これを回収する手段の1つに、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という)第59条の競売請求がある。本事例では、区分所有者が認知症を患っている場合に、当該競売請求をする際の法律上の問題点について検討することとする。   2 管理費の滞納と共同利益違反行為 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為(以下「共同利益違反行為」という)をしてはならない義務を負う(区分所有法第6条第1項)。管理費の滞納が共同利益違反行為に該当することの意味は、他の区分所有者が区分所有法第59条に規定する区分所有権の競売請求を行うことが可能となる点にあるところ、管理費の滞納期間が長期にわたり、その額も多額に及ぶような場合には共同利益違反行為に該当するものと解されている。   3 区分所有法第59条の競売請求 (1) 区分所有法第59条の競売請求の要件 区分所有法第59条の実体的要件は、①共同利益違反行為又はそのおそれがあること、②これによる共同生活上の障害が著しいこと、③他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること(補充性)である(同条第1項)。また、手続的要件は、競売請求の訴えを提起することについて、集会の特別決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上)を経ることである(同法第59条第2項、同法第58条第2項)。 上記各要件を満たす場合に、区分所有者の全員又は管理組合法人は、競売請求の訴えを提起することができる。また、集会の普通決議があれば、管理者又は集会で指定された区分所有者が訴えを提起することもできる(同法第59条第2項、同法第57条第3項)。 競売請求の裁判後の競売によって、第三者が区分所有権を取得した場合、当該取得者は同法第8条に基づいて管理費を滞納する区分所有者と連帯して滞納管理費の支払義務を負うため、訴えを提起した区分所有者等は当該取得者から滞納管理費の弁済を受けることができる。 (2) 実体的要件について 裁判例においては、実体的要件①と②は一体的に判断される傾向にあるところ、管理費の滞納が長期・多額に及んでおり、今後の支払を期待できず、今後も滞納額が増大する可能性があるような場合には、これらの各要件を満たすことになる。実際には競売請求の訴え提起前に、滞納管理費の支払請求訴訟等を経ている場合も少なからずあり、それにもかかわらず滞納管理費の弁済を得られていない事情がある場合には、実体的要件①と②を積極的に基礎付けることになる。 実体的要件③にいう「他の方法」は、一般的には区分所有法第57条に基づく共同利益違反行為の停止請求、同法第58条に基づく専有部分の使用禁止請求、同法第7条に基づく先取特権の行使をいうものとされている。もっとも、管理費の滞納事案の場合、同法第57条に基づく停止請求は、滞納管理費の支払請求を意味するため独自の意味を有さない。また、同法第58条に基づいて専有部分の使用を禁止したからといって、滞納管理費の支払を得られる関係にもない。そのため、管理費の滞納事案において、補充性を満たすかどうかは、同法第7条の先取特権の行使の可否によることになる。 先取特権を実行するためには競売申立てをする必要があるところ、同条の競売手続には無剰余取消し(民事執行法第188条、同法第63条)が適用されるため、買受可能価額が先取特権に優先する債権や手続費用の合計額に満たない場合、競売手続は取り消されることになる。一方で、区分所有法第59条の競売請求の趣旨は、共同利益違反行為をした区分所有者の区分所有権を競売を通じてはく奪すること自体にあるから、無剰余取消しの規定は適用されず、たとえ無剰余であっても競売手続は取り消されないものと解されている(東京高決平成16年5月20日判タ1210-170等)。つまり、同法第7条の先取特権を行使しても無剰余によって競売手続が取り消される場合には、他に方法がないため実体的要件③の補充性を満たすことになる。 なお、区分所有法第7条の先取特権に基づく競売手続が無剰余によって現実に取り消される必要はなく、競売を申し立てたとしても無剰余取消しとなる可能性が客観的に認められるような事情があれば、補充性の要件を満たすものと解されている(東京地判平成17年5月13日判タ1218-311等)。 (3) 手続的要件について 区分所有者は、競売請求の訴えが認められた場合には、その後の競売によって区分所有権をはく奪される重大な不利益を受けることから、事前の手続保障として、当該区分所有者に反論の機会を与えるべきである。そこで、集会の特別決議に際して、当該区分所有者に対し弁明の機会を与えなければならない(区分所有法第59条第2項、同法第58条第3項)。 弁明の機会を付与した上記の趣旨からすると、弁明の機会は当該区分所有者に対して確実に与える必要があり、単に形式的に当該区分所有者の住所地に弁明の機会を付与する旨の通知が届けられただけでは足りず、その内容を了解することができる能力を有していることが必要である(札幌地判平成31年1月22日判タ1468-180。たとえば、成年後見人が選任されている場合には、当該成年後見人に弁明の機会を付与することになる)。 問題は、成年後見人等の法定代理人が選任されるべき常況にあるにもかかわらず、選任されていない場合である。区分所有者や管理人には、民法上、成年後見人等を選任する申立権が認められていないからである。このような場合には、当該区分所有者の親族や、各種の特別法上の要件を満たす場合に申立権の認められている市町村長に働きかけを行わざるを得ないものと思われる。   4 本件について Aの滞納期間は少なくとも3年以上続いており、その額も350万円に及んでいる。Bは滞納管理費支払訴訟を経てもAから支払を受けられておらず、今後も任意の支払を期待できない状況にあることから、区分所有法第59条の実体的要件①と②を満たしているものと考えられる。また、Aの区分所有権の評価額は滞納額を下回っており、同法第7条の先取特権として競売を申し立てても無剰余取消しとなる可能性が高いことから、実体的要件③を満たすものと考えられる。 一方で、Aは、認知症によって事理を弁識する能力を欠く常況にあり(民法第7条)、弁明の機会の通知内容を了解できる能力を欠いている。そのため、成年後見人が選任されることなく集会決議がされた場合、当該決議は無効となるおそれがある。そこで、管理人Bは、Aの親族等や特別法上の要件を満たす場合に申立権が認められている市町村長に対して成年後見人の選任申立等を働きかけていくべきであろう。 (了)

#No. 521(掲載号)
#羽柴 研吾
2023/06/01

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第69話】「特定非常災害と雑損控除」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第69話】 「特定非常災害と雑損控除」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   昼休みに浅田調査官は、机の上に新聞を広げて、「・・・最近・・・日本のあちこちで、地震が発生しているなあ・・・」と呟く。 (※) MBSニュース2023年5月8日掲載記事より筆者一部変更。 浅田調査官は、新聞の記事を読みながら、(・・・南海トラフ巨大地震が発生したら、一体、日本は、どうなるのだろう・・・)という不安が、脳裏をかすめる。 (※) 気象庁ホームページ「南海トラフ地震関連解説情報」より筆者一部変更。 新聞の片隅に、南海トラフ地震の記事が参考として載っている。 そこに、昼食を終えた中尾統括官が爪楊枝をくわえながら、声をかける。 「・・・ホ~、浅田君は、新聞を読んでいるのか・・・最近の若い人は、ほとんど新聞などを読まないのに・・・感心だな・・・」 中尾統括官は、ニコニコしながら、新聞記事を覗く。 「・・・地震か・・・」 中尾統括官の表情が一瞬曇る。 「・・・南海トラフは、30年以内に発生する確率が70から80%というが、願わくば、僕が死んでから起きてもらいたいものだ・・・」 中尾統括官は、冗談を言う。 「南海トラフ地震のレベルだと・・・当然、『特定非常災害』に該当しますね」 浅田調査官は、いつの間にか、令和5年度税制改正のパンフレットを持っている。 パンフレットでは、「特定非常災害の指定を受けた災害による損失の繰越期間の延長」と題して、次のように記載されている。 パンフレットには、「特定非常災害」の説明が載っている。 「・・・しかし、この改正は・・・税理士などから・・・結構・・・批判されているのだが・・・」 中尾統括官は、パンフレットを受け取る。 「どんな批判ですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「特定非常災害の指定を受けた災害に、そのまま雑損控除を適用していること自体について、問題があるという・・・」 中尾統括官は、少し考えてから、言葉を続ける。 「もともと、雑損控除は、災害等の偶発的な損失により減少した担税力に応じた課税を行う特別な控除で、他の所得控除に優先して控除されることになっている・・・」 浅田調査官は、パンフレットに載っている雑損控除を見る。 「・・・しかし、雑損控除は、他の所得控除と区分して、最初に所得金額から控除することとされているため、翌年以後への雑損失の繰越金額が生じる場合には、基礎控除をはじめとする他の所得控除額がまったく適用されないことになる・・・その結果、他の所得控除の額だけ雑損失の翌年以後への繰越金額が少なくなる・・・」 中尾統括官の声が強くなる。 「なるほど」 浅田調査官は、大きく頷く。 「・・・したがって、災害等により減少した担税力を考慮するのであれば、その効果が最大限に発現するよう、雑損控除を所得金額から最初に控除するのではなく、基礎控除など他の所得控除を適用した後に控除すべきであるということなのだ・・・」 そう言うと、中尾統括官は、簡単な図を描く。 「・・・そうするか、又は、特定非常災害については、雑損控除とは別に、特定非常災害控除・・・・・・・・というものを設けて、そして、控除として引く順番を最後にするといった制度を考えることも可能ですね」 浅田調査官は、嬉しそうに言う。 (つづく)

#No. 521(掲載号)
#八ッ尾 順一
2023/06/01

《速報解説》 改正資金決済法上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いを示す公開草案がASBJより公表される

《速報解説》 改正資金決済法上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いを示す公開草案がASBJより公表される   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2023年5月31日、企業会計基準委員会は、「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第66号)等を公表し、意見募集を行っている。 公開草案は、改正された「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という)上の電子決済手段の発行及び保有等に係る会計上の取扱いを示すものである。 なお、「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(そのX)(案)」(企業会計基準公開草案第79号)を公表し、資金決済法第2条5項第1号から第3号に規定される電子決済手段(外国電子決済手段については、利用者が電子決済手段等取引業者に預託しているものに限る)を「現金」に含めることを提案している。 日本公認会計士協会から「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」(会計制度委員会報告第8号)の改正案も公表されている。 意見募集期間は2023年8月4日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 概要 2022年6月に成立した「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第61号)により、資金決済法が改正されている。 改正された資金決済法においては、いわゆるステーブルコインのうち、法定通貨の価値と連動した価格で発行され券面額と同額で払戻しを約するもの及びこれに準ずる性質を有するものが新たに「電子決済手段」と定義されている。 本実務対応報告では、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段を同一の資産項目として取り扱い、現金又は預金そのものではないが現金に類似する性格と要求払預金に類似する性格を有する資産であることを踏まえ、会計処理及び開示を定めている。   Ⅲ 範囲 資金決済法2条5項に規定される電子決済手段のうち、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段及び第3号電子決済手段を対象とする。 ただし、第1号電子決済手段、第2号電子決済手段又は第3号電子決済手段のうち外国電子決済手段については、電子決済手段の利用者が電子決済手段等取引業者に預託しているものに限る。 上記にかかわらず、第3号電子決済手段の発行者側に係る会計処理及び開示に関しては、「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第23号)を適用する。 資金決済法の規定を用いて、第1号電子決済手段などの定義を規定している。   Ⅳ 電子決済手段の保有に係る会計処理 1 電子決済手段の取得時の会計処理 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を取得したときは、その受渡日に当該電子決済手段の券面額に基づく価額をもって電子決済手段を資産として計上する。 当該電子決済手段の取得価額と当該券面額に基づく価額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。 2 電子決済手段の移転時又は払戻時の会計処理 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を第三者に移転するとき又は電子決済手段の発行者から本実務対応報告の対象となる電子決済手段について金銭による払戻しを受けるときは、その受渡日に当該電子決済手段を取り崩す。 電子決済手段を第三者に移転するときに金銭を受け取り、当該電子決済手段の帳簿価額と金銭の受取額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。 3 期末時の会計処理 本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、期末時において、その券面額に基づく価額をもって貸借対照表価額とする。   Ⅴ 電子決済手段の発行に係る会計処理 1 電子決済手段の発行時の会計処理 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を発行するときは、その受渡日に当該電子決済手段に係る払戻義務について債務額をもって負債として計上する。 当該電子決済手段の発行価額の総額と当該債務額との間に差額がある場合、当該差額を損益として処理する。 2 電子決済手段の払戻時の会計処理 本実務対応報告の対象となる電子決済手段を払い戻すときは、その受渡日に払戻しに対応する債務額を取り崩す。 3 期末時の会計処理 本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務は、期末時において、債務額をもって貸借対照表価額とする。   Ⅵ 外貨建電子決済手段に係る会計処理 期末時の会計処理について、次のように規定されている。   Ⅶ 預託電子決済手段に係る取扱い 電子決済手段等取引業者又は電子決済手段の発行者は、電子決済手段の利用者との合意に基づいて当該利用者から預かった本実務対応報告の対象となる電子決済手段を資産として計上しない。 また、当該電子決済手段の利用者に対する返還義務を負債として計上しない。   Ⅷ 注記事項 本実務対応報告の対象となる電子決済手段及び本実務対応報告の対象となる電子決済手段に係る払戻義務に関する注記については、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)40-2項に定める事項を注記する。   Ⅸ 適用時期等 公表日以後適用する予定である。 (了)

#阿部 光成
2023/05/31

《速報解説》 国税庁、信託型ストックオプションの課税関係含むQ&Aを公表~有償型SOには当たらず給与課税との見解、発行会社には源泉徴収義務も~

《速報解説》 国税庁、信託型ストックオプションの課税関係含むQ&Aを公表 ~有償型SOには当たらず給与課税との見解、発行会社には源泉徴収義務も~   Profession Journal編集部   国税庁は5月30日に「ストックオプションに対する課税(Q&A)(情報)」を公表、すでに一部報道がなされていたとおり、スタートアップ企業が導入を進めていた信託型ストックオプションの課税関係について見解を示した。 本Q&Aは全6問の事例からなり、「令和5年度の税制改正においては、税制適格ストックオプションの要件緩和に関する改正が行われたことを踏まえ、今般、「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を別添のとおり取りまとめました」としており、問1では無償・有利発行型(税制非適格)のストックオプションの課税関係について、問2では有償ストックオプションの課税関係について、それぞれ従前の取扱いを示したうえで、問3において信託型ストックオプションの課税関係を示している。 問3は「税制非適格ストックオプション(信託型)の課税関係」と題して事例を示し、その課税関係として「役職員が当該ストックオプションを行使して発行会社の株式を取得した場合、その経済的利益は、給与所得となります(所法28、36②、所令84③)。」とした。また、「発行会社は、上記の経済的利益について、源泉所得税を徴収して、納付する必要があります。」とされている。 さらに、以下のような国税庁の見解も注書きされている。 〈税制非適格ストックオプション(信託型)のイメージ〉 (※) 国税庁ホームページより 本Q&A冒頭において「このQ&Aは、ストックオプションに関する税務上の一般的な取扱いについて、質疑応答形式で取りまとめたものです。」とされているように、従来からの取扱いを変更したものではないとの見解から、過去に遡って適用されることになろう。問4では発行会社が信託型を含む税制非適格ストックオプションの行使に係る経済的利益につき源泉所得税を納付していない場合について「速やかに源泉所得税を納付していただく必要があります。」等の対応がまとめられており、また「納付した源泉所得税は、ストックオプションを行使した者に求償することができます。」との注書きもある。 その他、問5では税制非適格ストックオプションを行使して取得した株式価額について所得税基本通達23〜35共−9による算定方法が、問6では税制適格ストックオプションの課税関係について従来の取扱い(売却時の譲渡所得課税)がそれぞれ解説されている。 なお問5・問6については既報のとおり、5月30日付で改正通達案がパブリックコメントに付されているため、合わせて確認いただきたい。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2023/05/31

《速報解説》 税制適格SO要件の「契約時の1株当たりの価額」について、取引相場のない株式では評価通達による算定認める改正通達案が公表される~意見募集は2023年6月30日まで~

《速報解説》 税制適格SO要件の「契約時の1株当たりの価額」について、取引相場のない株式では評価通達による算定認める改正通達案が公表される ~意見募集は2023年6月30日まで~   Profession Journal編集部   いわゆる「税制適格ストックオプション」の要件の1つとして とされている(措法29の2①三)。 上記の権利行使価額要件に係る「契約時の1株当たりの価額」に関し、取引相場のない株式については「株価算定ルールが明示されておらず、税制適格ストックオプションの発行等において不安定な税務実務となっている」との指摘がなされていたとして、国税庁は5月30日付でこれらを明確化する改正通達案を公表、パブリックコメントに付した(意見募集は2023年6月30日まで)。 改正通達案では、権利行使価額要件に係る「契約時の1株当たりの価額」については、所得税基本通達23~35共-9の例(売買実例等)によって算定することを明確化した上で、取引相場のない株式の「契約時の1株当たりの価額」については、財産評価基本通達の例によって算定することを認めることとされる(改正措通案29の2-1)。 この取扱いによって、取引相場のない株式については、財産評価基本通達の例によって算定した「契約時の1株当たりの価額」以上の価額で「権利行使価額」を設定していれば、権利行使価額要件を満たすことになる。 また、上記改正とあわせ、以下の点も明確化される(改正所基通案23~35共-9)。 パブリックコメントのページでは参考資料として、改正通達案による計算例も示されている。 ― 計 算 例 ① ― 税制適格ストックオプションを付与する期の直前期末のB/S(相続税評価(時価)ベース) ●財産評価基本通達の例により算定した1株当たりの株価(セーフハーバー) 【純資産価額方式の場合】 ・50万円÷1,000株=500円 ― 計 算 例 ② ― 税制適格ストックオプションを付与する期の直前期末のB/S(相続税評価(時価)ベース) ●財産評価基本通達の例により算定した1株当たりの株価(セーフハーバー) 【純資産価額方式の場合】 ・優先分配分:150万円÷1,000株=1,500円 ・均等分配分:50万円÷2,000株=250円 ・普通株式の価額:250円 ・優先株式の価額:1,750円 なお改正通達案による取扱いは、「本通達発遣後に行う新株予約権の行使について適用する」とされている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2023/05/30

《速報解説》IASBが国際的な税制改革から生じる繰延税金の会計処理からの一時的な救済措置を企業に与える修正を公表~修正として「一時的な例外」及び「的を絞った開示要求」を導入~

《速報解説》 IASBが国際的な税制改革から生じる繰延税金の会計処理からの 一時的な救済措置を企業に与える修正を公表 ~修正として「一時的な例外」及び「的を絞った開示要求」を導入~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 国際会計基準審議会(IASB)によるIAS第12号「法人所得税」の修正が公表されている。 当該修正は、経済協力開発機構(OECD)の国際的な税制改革から生じる繰延税金の会計処理からの一時的な救済措置を企業に与えるものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 第2の柱モデルルール 第2の柱モデルルール(Pillar Two model rules)は、2021年12月に、経済協力開発機構(OECD)が公表したルールであり、経済のデジタル化から生じる課税上の課題に対処するための2つの柱からなる解決策の1つである。 第2の柱モデルルールは次のようなものである。 2 修正の内容 次のものを導入するものである。 企業は、当該一時的な例外から直ちに便益を得ることができるが、2023年1月1日以後開始する事業年度について投資者に開示することが要求される。 (了)

#阿部 光成
2023/05/30

《速報解説》 監査役協会、「監査役監査実施要領」の改定版を公表~会社法改正や改訂版CGコードの適用開始、並びに監査役監査基準等の改定等を反映~

《速報解説》 監査役協会、「監査役監査実施要領」の改定版を公表 ~会社法改正や改訂版CGコードの適用開始、並びに監査役監査基準等の改定等を反映~   公認会計士 阿部 光成     Ⅰ はじめに 2023年5月22日付けで、日本監査役協会は「監査役監査実施要領」の改定を公表している。 これは、会社法の改正及び改正会社法に係る法務省令の改正及びコーポレートガバナンス・コードの改訂等をはじめとする各種環境変化、並びに「監査役監査基準」等の改定等を反映したものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 「第1章 機関設計、監査役及び取締役の選任・解任、報酬等」関係 次の改定を行っている。 2 「第5章 会計監査人との連携」、「第9章 会計監査、計算関係書類・事業報告及びその附属明細書の監査並びに剰余金の配当に係る監査」関係 「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」及び「会計監査人との連携に関する実務指針」の改定に関する内容等を反映している。 3 「第10 章 監査報告の作成・提出、監査の状況の開示、監査役会の実効性評価」関係 次の改定を行っている。 4 「第11 章 株主総会」関係 株主総会参考書類の電子提供制度、及びバーチャル株主総会に関する解説を追加している。 5 「第12 章 損害賠償責任の一部免除、補償契約、役員等賠償責任保険契約、株主代表訴訟」関係 補償契約、役員等賠償責任保険契約に関する解説を追加している。 *  *  * 上記のほか、2016年版の「監査役監査実施要領」において巻頭に掲載していた「用語解説」を巻末に移動し、項目を追加するなどの改定も行われている。 (了)

#阿部 光成
2023/05/30
#