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《速報解説》 インボイス導入に伴う法人税等の課税所得金額計算への影響から「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の改正案がパブコメに付される~税抜経理方式を採用している場合の免税事業者等からの課税仕入れについて取扱いを明確化~

《速報解説》 インボイス導入に伴う法人税等の課税所得金額計算への影響から 「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の改正案がパブコメに付される ~税抜経理方式を採用している場合の免税事業者等からの課税仕入れについて取扱いを明確化~   税理士 石川 幸恵   国税庁は令和2年12月15日付けで「「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施について」を公表した。   1 改正案公表の背景 (1) 改正案の概要 今回、改正案が示されている平成元年3月1日付直法2-1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)(以下「本通達」)は、法人税の課税所得金額の計算における消費税及び地方消費税の取扱いを明らかにする趣旨で定められたものである。 令和5年10月1日の「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)」導入後、本通達における税抜経理方式の取扱いが起因となって法人税の課税所得金額の計算に相違が生じないようにするため、本通達の改正が必要となった。国税庁は、改正案について令和3年1月13日までパブリックコメントを募集している。 なお、所得税に関する法令解釈通達(平成元年3月29日付直所3-8、直資3-6「消費税税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて」)についても同様の改正案が示されている。 (2) 法人税の課税所得金額の計算に相違が生じる場合とは 法人税の課税所得金額の計算に相違が生じるのは、税抜経理方式を適用している事業者が、「適格請求書等保存方式」の導入後、免税事業者や消費者等から行った課税仕入れについて、仕入税額控除額がないにもかかわらず、導入前と同様に、支払対価の額に10/110(軽減税率が適用される取引においては8/108)を乗じて計算した額を仮払消費税等として経理した場合である。 現行の本通達に従えば、この控除されない仮払消費税等は損金の額に算入されるため(本通達6)、法人税の課税所得金額の計算に相違が生じる。 具体例を挙げると、法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の適用において、金額基準となる取得価額が異なってしまう。 改正案では、この仕入税額控除の対象ではない仮払消費税等について、その取引の対価の額に含めて判定することを明らかにしている(本通達改正案9、14の2)。   2 主な改正項目 公表された改正案における主な項目は以下の通り。 (1) 現行の本通達には「仮受消費税等の額」及び「仮払消費税等の額」の定義が示されていないが、以下のように、新たに定義が置かれる(本通達改正案1(12)、(13))。 (2) 適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税等について、仮払消費税等を区分して経理した場合は、その経理をした消費税等の額に相当する金額を取引の対価の額に含めて、法人税の課税所得金額を計算する(本通達改正案14の2)。 (3) 現行の本通達では、税抜経理方式による経理処理を期末に一括して処理することも認められていた。改正では、課税仕入れに係る消費税額を帳簿積上げ計算(インボイスQ&A問79)による場合は、期末一括税抜経理方式は不可とした(本通達改正案4)。 改正後は積上げ計算又は帳簿積上げ計算が課税仕入れに係る消費税額の計算の原則(※)となるので、原則として期末一括税抜経理方式が不可となることに注意されたい。 (※) 特例は割戻し計算である。 (4) 適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについては、令和5年10月1日から令和11年9月30日まで仕入税額相当額の一定割合の控除が認められている(インボイスQ&A問75)。 この期間においては、仮払消費税等の額はこの仕入税額相当額の一定割合とし、上記(2)の規定は適用しない(本通達改正案「経過的取扱い(2)」)。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 400(掲載号)
#石川 幸恵
2021/01/06

《速報解説》 税務関係書類の押印義務原則廃止の取扱い開始に伴い、国税庁から「複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法」が公表される

《速報解説》 税務関係書類の押印義務原則廃止の取扱い開始に伴い、 国税庁から「複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法」が公表される   Profession Journal編集部   令和3年度税制改正大綱において税務関係書類の押印義務の原則廃止が明記され、「施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする」とされたことから、既報のとおり国税庁は昨年12月21日付けで、上記見直しの対象となる税務関係書類については、税制改正前であっても、押印がなくとも改めて求めないとする取扱いを公表していた。 この対象には相続税の申告書も含まれるが、国税庁は1月4日付で下記の情報を公表、複数の相続人又は受遺者(以下、相続人等という)がいる場合の相続税の申告書の作成方法について明らかにした。また、日本税理士会連合会のホームページ上でもこの取扱い変更について注意喚起を行っている。 相続税の申告書は、通常、すべての相続人等が1つの申告書によって共同で申告し、その際に各相続人等の相続税額の計算に加え氏名・マイナンバーの記載及び押印を行う。ただし、様々な事情により共同で申告書を作成・提出できないケースもあることから、相続人等が別々に申告書を提出しても差し支えないとされている。 このように別々に申告を行う場合にも、第1表にはすべての相続人等に係る合計額を記載しなければならないため、申告書第1表(続)等には共同して申告を行わない他の相続人等の相続税額等についても記載を行った上で、実務上、申告書の提出意思の有無を、その相続人等の押印の有無で明らかにしていた。 今回の押印義務廃止に伴い、国税庁が明らかにした取扱いは以下の通り。 まず、複数の相続人等がおり、押印せずに申告を行う場合、申告書の提出意思の有無を明らかにするため、申告書第1表及び第1表(続)には、共同して申告書を提出する相続人等のみの記載を行い、それぞれ申告を行う相続人等のマイナンバーを記載する(ただし、すべての相続人等に係る合計額の記載は必要)。 例えば、相続人(配偶者・長男・長女)のうち配偶者及び長女が共同して申告書を提出し、長男は配偶者らとは別に単独で申告書を提出するケースで、押印をせずに申告を行う場合、それぞれの申告書(第1表)にはすべての相続人(配偶者・長男・長女)に係る合計額を記載した上で、配偶者及び長女の申告書には長男の記載を行わず、長男の申告書には配偶者及び長女の記載を行わないことになる。 次に、上記例のように別々に申告を行い押印をしないケースで、申告書にすべての相続人等の氏名や金額を記載する場合には、申告書第1表及び第1表(続)のうち共同して申告書を提出しない他の相続人等の氏名及び金額欄を斜線で抹消する等して、その相続人等が共同申告しない相続人等であることを明示する必要がある(※)。またその際、共同して申告書を提出しない相続人等の分については、マイナンバーを記載しない。 (※) 申告書第15表(相続財産の種類別価額表)及び同表(続)については、斜線による抹消等は省略可。 このように税制改正前の取扱い開始となったため、現行の申告書様式での対応を要することから、申告実務における注意事項が追加された印象も受けるが、不要のトラブルや調査を回避する意味でも、まずは従前の取扱い通り、申告書への押印は行っておいた方が無難と言えよう。また、使用している税務申告ソフトがこの取扱い変更にどこまで対応しているかも確認しておきたい。 なお、電子申告(e‐Tax)による相続税の申告について、複数の相続人等の申告を税理士等がまとめて代理送信する場合には、申告書第1表又は第1表(続)に利用者識別番号の入力がある相続人等のデータを有効なものとして受けつけることになるため、上記のように、共同して申告書を提出するか否かの明示を別途行う必要はないとしている。 (了)

#No. 400(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/01/06

《速報解説》 短期退職手当等に係る退職所得課税の適正化~令和3年度税制改正大綱~

 《速報解説》 短期退職手当等に係る退職所得課税の適正化 ~令和3年度税制改正大綱~   公認会計士・税理士 新名 貴則   自由民主党と公明党は、令和2年12月10日、令和3年度税制改正大綱を公表した。また、これを受けて令和2年12月21日に、政府は令和3年度税制改正大綱を閣議決定した。以下では、大綱に盛り込まれた退職所得課税の適正化について解説する。   (1) 退職所得課税の概要(現行制度) 課税対象となる退職所得金額の算定式は次の通りである。 上記の退職所得控除額は、退職者の勤続年数に応じて、次の算定式に従って計算される。勤続年数が20年以内か20年超かで算定式が異なるため、注意が必要である。 【退職所得控除額の算定式】 ただし、平成24年度税制改正により、役員等としての勤続年数が5年以下の役員に対する退職手当等(「特定役員退職手当等」)については、その退職所得金額を算定する際に「2分の1」を乗じないこととされている。   (2) 令和3年度税制改正後 退職所得金額の算定において「2分の1」を乗じることについて、勤続年数5年以下の「従業員」に対する退職手当等(「短期退職手当等」)についても、制限が加えられることとなった。 具体的には、短期退職手当等から退職所得控除額を控除した金額のうち、300万円を超える部分については「2分の1」を乗じないこととされた。 この改正は、令和4年分以後の所得税について適用される。 ➤勤続年数5年以下の従業員に対する退職所得金額 ➤勤続年数5年超の従業員に対する退職所得金額   (3) 計算例 勤続5年で退職した従業員が、退職金1,000万円を受け取った場合、改正の前後で所得税額(復興特別所得税を含む)は次の通りになる。 ◆令和3年度税制改正後 ◆現行制度(令和3年度税制改正前) (了)

#No. 400(掲載号)
#新名 貴則
2021/01/06

《速報解説》 ASBJ、「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」を公表~電気・ガス事業における検針日基準の取扱いに対応~

《速報解説》 ASBJ、「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」を公表 ~電気・ガス事業における検針日基準の取扱いに対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年12月25日、企業会計基準委員会は、「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第70号。企業会計基準適用指針第30号の改正案)を公表し、意見募集を行っている。 電気事業及びガス事業では、毎月、月末以外の日に実施する検針による顧客の使用量に基づき収益計上が行われる実務が見られる(いわゆる検針日基準)。 公開草案は当該検針日基準の取扱いに対応するものである。 意見募集期間は2021年2月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 原則的な処理 検針日基準による収益認識を認めた場合、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない(収益認識適用指針164項)とは認められないと判断し、収益認識会計基準の定めどおり、決算月に実施した検針の日から決算日までに生じた収益を見積もることが必要である(公開草案176-3項)。 2 重要性等に関する代替的な取扱い 決算日時点での販売量実績が入手できないため、見積りと実績を事後的に照合する形で見積りの合理性を検証することができないなど、見積りの適切性を評価することが困難であるとの意見がある(公開草案176-3項)。 このため、次のように、「重要性等に関する代替的な取扱い」(電気事業及びガス事業における毎月の検針による使用量に基づく収益認識)を設ける(公開草案103-2項、176-4項)。   Ⅲ 適用時期等 2020年改正の収益認識会計基準の適用時期等と同様に、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。 (了)

#No. 400(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/05

《速報解説》会計士協会からリモートワーク対応第2号として「リモート棚卸立会の留意事項」が公表される~ビデオカメラ等を用いた棚卸資産に係る重要な虚偽表示リスクへの対応等も紹介~

《速報解説》 会計士協会からリモートワーク対応第2号として 「リモート棚卸立会の留意事項」が公表される ~ビデオカメラ等を用いた棚卸資産に係る重要な虚偽表示リスクへの対応等も紹介~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年12月25日、日本公認会計士協会は、リモートワーク対応第2号「リモート棚卸立会の留意事項」を公表した。 2020年3月期を中心とした監査実務において、遠隔地からの実地棚卸の立会(以下「リモート棚卸立会」という)が実施された事例が見られたことから、当該手続に関する監査上の留意事項を公表するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 リモート棚卸立会 リモート棚卸立会とは、被監査会社が実地棚卸を実施して、その実施状況及び実地棚卸の立会に必要な情報を、監査人と被監査会社との間で送受信することにより、遠隔地から棚卸立会を実施することである(Ⅱ、図1)。 2 リモート棚卸立会の代表的な方法 リモート棚卸立会の代表的な方法としては、例えば、電話回線又はインターネットを経由して、被監査会社が実施する実地棚卸の状況をビデオカメラにより撮影して監査人に実況を送信する方法がある。 リモート棚卸立会においては、被監査会社の撮影者がビデオカメラを所持し、棚卸資産の所在地の実地棚卸の状況や棚卸資産の数量及び状態を隈なく撮影して監査人に送信することが考えられる。 3 留意事項 次のような留意事項が記載されている。 (了)

#No. 400(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/05

《速報解説》 会計士協会、新型コロナの拡大等によるリモートワークの一般化に伴い、対応した監査上の提言・留意事項を新たに公表~電子的媒体又は経路による確認に関して言及~

《速報解説》 会計士協会、新型コロナの拡大等によるリモートワークの一般化に伴い、 対応した監査上の提言・留意事項を新たに公表 ~電子的媒体又は経路による確認に関して言及~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年12月25日、日本公認会計士協会は、リモートワーク対応第1号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項~監査人のウェブサイトによる方式について~」を公表した。 近年、財務諸表監査に当たって、電子的媒体又は経路によって債権・債務の残高について確認を実施する実務が増えてきており、監査人が自らのウェブサイトを基礎とした電子的確認システムを整備し、確認手続を電子的媒体又は経路によって行う方式が開発されている。 そこで、当該確認手続に関する監査上の留意事項を公表するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 電子的確認 電子的確認とは、監査人の実施する確認手続において、監査人、被監査会社又は第三者が整備及び運用する電子的確認システムを使用して、電子的媒体により又は電子的経路を通じて確認依頼又は回答入手を行うことをいう(Ⅱ、1)。 リモートワーク対応第1号は、監査人の実施する確認手続において、監査人のウェブサイトを基礎として整備及び運用する電子的確認システムを使用し、電子的媒体により又は電子的経路を通じて確認依頼及び回答入手の双方を行う方式(監査人のウェブサイトによる確認)を取り扱っている。 2 監査人のウェブサイトによる確認方式 監査人のウェブサイトによる確認方式が例示されている。 例えば、①監査人が所定のウェブサイトにアクセスし、確認対象項目・確認回答者情報、被監査会社の担当者のメールアドレスをウェブサイト上で登録すること、②被監査会社の担当者はウェブサイトにアクセスし、監査人から通知された確認用IDを入力し、監査人の登録内容を承認すること、③ウェブサイトから確認回答者に回答用IDを記載した確認回答依頼が紙媒体により送付される又は電子的媒体により電子的経路を通じて送信されることなどが記載されている。 3 留意事項 次のような留意事項が記載されている。 (了)

#No. 400(掲載号)
#阿部 光成
2021/01/05

《速報解説》 納税管理人制度の拡充~令和3年度税制改正大綱~

《速報解説》 納税管理人制度の拡充 ~令和3年度税制改正大綱~   弁護士 下尾 裕   1 改正の背景 現行法においては、非居住者や恒久的施設のない外国法人において納税申告書の提出その他一定の事項(具体的には申請、請求、還付金の受領及び送達された書類の受領等)を処理する必要がある場合につき、納税管理人の選任が義務付けられている(国税通則法第117条)。 この点に関して、例えば、非居住者が事業譲渡類似株式課税の適用を受ける場合や、日本に支店等を有しない外国法人がインターネットにより事業者向け以外の国内向けの役務提供を行っている場合においては、当該非居住者等には税務申告及び納税の義務があるものの、支払者における源泉徴収等の義務は存在しないことから、国税当局においては、当該非居住者等において納税申告させる又は更正処分等を行う以外に、課税を完結する手段はない。 しかしながら、現実には、国税当局がこれらの状況において、非居住者等の所在を把握し、連絡を取ることは容易ではない。また、国税当局において更正処分等を行うにあたっても、税務調査の実施が困難であるうえに、非居住者の居所等が判明しなければ送達が完了できない。これらの事情を背景に、専門家等からは、納税者間の公平が担保できない(税務執行に支障をきたす)との問題点が指摘されるに至っていた。 これを踏まえ、令和3年度税制大綱においては、以下に述べるとおり、納税管理人の選任を促すなどの一定のプロセスを経て、国税当局において、当該非居住者又は外国法人と密接な関係を有する者を納税管理人として一方的に指定できる枠組みが導入されることになった。 これにより、国税当局は、最終的に、申告漏れのある非居住者等につき一方的に納税管理人を指定することで、納税管理人を通じて納税申告及び納税を促したり、税務調査を実施することが可能になるほか、当該納税管理人に対する更正処分等通知書の送付をもって、送達を完了する途が開けることとなった。 なお、国税と同様、地方税法においても納税管理人の制度が存在するが(地方税法第300条等)、少なくとも令和3年税制改正大綱を見る限り、地方税法に関する改正は予定されていない模様である。   2 税制改正大綱の内容 (1) 納税管理人指定に係る措置の導入 所轄税務署長は、納税管理人を選任すべき納税者が納税管理人の届出をしなかった場合、以下の措置を講じることができるようになる。 (2) 適用開始時期 (1)の改正は、令和4年1月1日以降に実施する(1)(ア)~(ウ)の措置について適用される。 (了)

#No. 400(掲載号)
#下尾 裕
2021/01/05

2020年下半期(7月~12月)掲載分の目次(PDFファイル)をアップしました!

-お知らせ- いつもプロフェッションジャーナルをご愛読いただきありがとうございます。 2020年下半期(7月~12月)掲載分の目次をアップしました。 2020年下半期(7月~12月)掲載目次ファイル ※PDFファイル PDFファイルを開いて各記事タイトルをクリックすると、該当の記事ページが開きます。 (※) お使いのブラウザによって開かないものがあります。 パソコンやクラウド等に保存していただくと、PDFファイルから各記事ページへすぐに移動できますので、ご活用下さい(PDFファイル内の文字検索もできます)。 Back Number ページからもご覧いただけます。 ▷半年ごとの目次一覧 2020年 1月~6月(No.351~375)⇒[こちら] 7月~12月(No.376~400)⇒[こちら] ★ 2019年 1月~6月(No.301~324)⇒[こちら] 7月~12月(No.325~350)⇒[こちら] 2018年 1月~6月(No.251~274)⇒[こちら] 7月~12月(No.275~300)⇒[こちら] 2017年 1月~6月(No.201~224)⇒[こちら] 7月~12月(No.225~250)⇒[こちら] 2016年 1月~6月(No.151~175)⇒[こちら] 7月~12月(No.176~200)⇒[こちら] 2015年 1月~6月(No.100~125)⇒[こちら] 7月~12月(No.125~150)⇒[こちら] 2014年 1月~6月(No.51~75)⇒[こちら] 7月~12月(No.76~100)⇒[こちら] 2013年 1月~6月(No.1~25)⇒[こちら] 7月~12月(No.26~50)⇒[こちら] 2012年 創刊準備1号~5号⇒[こちら]

#Profession Journal 編集部
2020/12/28

プロフェッションジャーナル No.400が公開されました!~今週のお薦め記事~

2020年12月24日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.400を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2020/12/24

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第50回】「現代国家と租税法律主義」-租税国家における「税法の世界」-

谷口教授と学ぶ 税法の基礎理論 【第50回】 (最終回) 「現代国家と租税法律主義」 -租税国家における「税法の世界」-   大阪大学大学院高等司法研究科教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 2018年8月から約2年半にわたって当初は月1回、翌年4月(第9回)からは月2回のペースで「税法の基礎理論」を連載してきたが、今回をもって連載を一先ず擱筆することとする。 この連載では、「税法の基礎理論」という言葉は、「税法の基礎にある考え方」あるいは(もう少し厳密にいえば)「実定税法の体系及び諸規定を支える基本原則」というような意味で用いているが、「税法の基礎理論」のこのような意味・用語法は、拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の「第1編 税法の基礎理論」のそれと同じである(第1回Ⅰ参照)。 上記の拙著を執筆するに先立って、筆者は、「税法の基礎理論-租税憲法論序説-」と題する研究ノートを執筆し、日本税法学会の機関誌「税法学」の第555号(2006年)299頁以下で公表した。この研究ノートが、上記拙著の「第1編 税法の基礎理論」のベースとなっているのであるが、その冒頭で「法律学における税法学の位置づけを簡単に図示する」(300頁)として、税法学の全体像を図示しようと試みた。それは、教科書を執筆することになった暁には、そのような図を通じて「読者には、『森を見ながら、木を見る』ような学習を心がけてもらいたい」(谷口勢津夫=一高龍司=野一色直人=木山泰嗣『基礎から学べる租税法〔第2版〕』(弘文堂・2019年)初版はしがき)とのメッセージを伝えたいと考えていたからである。 「森を見ながら、木を見る」は、筆者が税法を研究する際の「座右の銘」としてきたものであるが、上記の研究ノートの公表後研究を進めていく中で、「森を見ながら、木を見る」を「法律学における税法学の位置づけ」よりもっと広い視野から捉えるべきではないかと考えるようになり、「現代国家における税法の位置づけ」を図示しようと検討を重ねてきた。 しかし、前記の拙著『税法基本講義』の初版(2010年)以降、「現代国家における税法の位置づけ」に関する構想を内容的には部分的に解説の中に盛り込みつつも、それを示す図それ自体はなかなか盛り込むことはできなかった。そのような図を「租税国家における『税法の世界』」として盛り込むことができたのは、第6版(2018年)においてであった。 今回は、「租税国家における『税法の世界』」を「図解」すること(ここでは通常の意味とは異なり「図を解読すること」)をもって、この連載を一先ず擱筆することにしたい。   Ⅱ 租税国家における「税法の世界」 「国家なくして租税なし」とはいえるとしても、「租税なくして国家なし」とは必ずしもいえない。理念型・理想型としての社会主義国家には租税は存在しないからである(後記Ⅲ3参照)。とはいえ、近代以降、歴史的実在としての自由主義国家においては、租税はその収入源としての重要性を増してきた。今日では、「租税なくして国家なし」といっても、すなわち、現代国家は租税国家(運営資金を租税により調達する国家)であるといっても過言ではないのである(以上について前掲・拙著【2】参照)。 そのような租税国家における「税法の世界」の全体像を描いたのが下記の【図】(前掲・拙著【2】)である。 【図】 租税国家における「税法の世界」 ──税(法)は私的経済活動の上に建てられた「家」のようなものである──   Ⅲ 税(法)は私的経済活動の上に建てられた「家」のようなものである 1 副題の原典 前記の【図】「租税国家における『税法の世界』」(以下、単に「【図】」という)には、「税(法)は私的経済活動の上に建てられた『家』のようなものである」という副題が付けられている。 この副題は、スイスの高名な税法学者エルンスト・ブルーメンシュタインの「租税というものは経済生活の諸現象の上に建てられるものである。」(Ernst Blumenstein, Die Auslegugung der Steuergesetze in der schweizerischen Rechtsprechung, Archiv für schweizerisches Abgabenrecht Bd. 8, Heft 5/6 (1939), 161, 188.)という言葉を筆者なりにアレンジしたものである(中川一郎『税法の解釈及び適用』(三晃社・1961年)305頁も参照)。 この副題の言葉は、租税ないしこれに関する法すなわち税法の「本質」を的確に捉えていると考えるところであり、そうであるからこそ、租税国家における「税法の世界」を描くに当たって、その言葉を具象化して「税法の世界」の中心に据えたのであるが、【図】を解読するに当たっては、税(法)という「家」を構築する「法律」及びその基礎にある「私的経済活動」を支える憲法原理から解き起こしていくことにする。 2 憲法における民主主義と自由主義の関係 【図】の上部には、現行憲法の基本理念ないし根本原理である「民主主義(国民主権)」と「自由主義(基本的人権)」を記し、それぞれの枠の上に、それぞれが指向する国家観として「福祉国家」と「自由主義国家」を記した。 問題は民主主義と自由主義の関係であるが、【図】では、民主主義の枠から自由主義の枠に向けて点線で矢印を引き、その矢印の先端近くに「目的」と記しておいた。それは、現行憲法における「自由と民主の不可分性・・・・・・・・・・」(芦部信喜『憲法学Ⅰ 憲法総論』(有斐閣・1992年)51頁。傍点原文・太字筆者)を前提としつつ、「自由」を本質として「民主」が保障される関係(同52-53頁参照)、換言すれば、自由主義の保障が「目的」であり民主主義の保障はそのための「手段」であるという関係(目的手段の関係)を表現しようとしたものである。 民主主義と自由主義は、税法に関する現行憲法上の基本原則(租税憲法)としての租税法律主義において異なる意味をもって発現する。すなわち、民主主義は、国家による課税権行使(課税)に対して民主的正統性を与えるという意味で、自由主義は、国家による恣意的・不当な課税権行使(課税)から国民の自由及び財産を保護するという意味で、「法律に基づく課税」という発現形態を採るのである(このことを、【図】の中の民主主義の枠と自由主義の枠からそれぞれ租税法律主義の枠に向けて引いた矢印は、示している)。 このことを租税法律主義の「民主主義的側面と自由主義的側面」(増井良啓『租税法入門〔第2版〕』(有斐閣・2018年)9頁)と表現してもよいが、それらの2つの側面が前記のような目的手段の関係にあることを忘れてはならない。 いずれにせよ、租税法律主義の下で税法という「家」が構築されているのであるが、その「家」において行われる「法律に基づく課税」に正統性(民主的正統性)を与え、かつ、国民の自由及び財産の保護という目的による制限(自由主義的制限)を加えるのが租税法律主義であるということを、租税法律主義の枠から税法という「家」に向けて引いた矢印は、示しているのである。 3 憲法30条=29条「4項」論と自由主義的租税観 自由主義は、上で述べたように、対国家(課税権者)面では租税法律主義として発現するが、他方で、対社会面では、租税との関係をみると、私有財産制ないしこれを基礎とする経済的自由として発現すること(経済的自由主義)が重要である。 税法という「家」の基礎にある「私的経済活動」は、私有財産制ないし経済的自由主義に基づいて自由に行われる。このことを私法の観点からみると、私人の自由な経済活動は、私的自治・契約自由の原則に基づいて行われるということができるが、その経済的成果からその一部を租税として奪うために建てられたのが、税法という「家」であるといってもよかろう。 ここで問われるべきは、国家は憲法によって私有財産制及び経済的自由を保障しながら、なぜ私人の自由な経済活動の上に税法という「家」を建て、その私的経済活動の成果の一部を租税として奪うことにしているのかである。これを私人の側からいえば、私人は憲法によって財産権及び経済的自由を保障されながら、自由に行った経済活動の成果の一部をなぜ国家によって租税として奪われなければならないのかである。 この問題は、財産権と課税の関係をめぐって議論されてきたところであるが(最近の研究として中里実「財産権と課税」日税研論集77号(2020年)169頁参照)、憲法上の租税根拠論をめぐる問題でもある。財産権と課税の関係について、筆者は、以前から、以下で述べるように「憲法30条=29条『4項』論」を唱え(前掲・拙著【24】参照)、これに基づき憲法上の租税根拠論を説いてきた(同【15】参照)。 現行憲法は、国家の存在を前提にして、国家体制として社会主義体制(前記Ⅱの冒頭で述べたように理念型・理想型としての社会主義国家には租税は存在しない)ではなく、自由主義体制を選択した上で、財産権を基本的人権の1つとして保障している。そのため、国家資金の調達方法として国有財産及び国家の営利経済による資金調達を予定することは、原則としてできない。そうすると、国家体制の選択の段階で既に、租税による国家資金の調達が、憲法上予定されていることになる。したがって、国家が憲法によって保障する私有財産制には、租税侵害が、その中核的内容として予め組み込まれている(内在している)、と考えられるのである。 この点に関して、憲法における財産権保障規定(29条)と納税の義務規定(30条)との位置関係は、多分に歴史的偶然の所産とはいえ、暗示的である。後者は、前者のいわば「4項」の如く位置づけられるべきであろう。憲法29条3項は正当な補償の下での財産権侵害について規定し、憲法30条は補償なき財産権侵害(財産権の内在的制約)について規定しているといってもよかろう。 以上で述べた考え方を「憲法30条=29条『4項』論」と呼んでいるのであるが、これは、国家の課税権ないし租税の正統根拠を究極的には憲法の基本理念としての自由主義に求める考え方(これに基づく租税観を「自由主義的租税観」という)であり、民主主義に求める考え方(これに基づく租税観を「民主主義的租税観」という)との不可分一体的連関において憲法上の租税根拠論を構成すると考えるところである。 4 借用概念論・私法関係準拠主義・租税回避論 以上が、【図】の基本構造の解読であるが、【図】の下の方では、その基本構造から派生する税法の解釈適用上の問題として「税法と私法」論(これに関するわが国の「古典」ともいうべき研究として金子宏「租税法と私法-借用概念及び租税回避について-」同『租税法理論の形成と解明 上巻』(有斐閣・2010年)385頁[初出・1978年]参照)にも、簡単に触れておいたので、最後に、その部分を解読しておこう。 【図】では、「税法と私法」論のうち、1つには、借用概念論(前掲・拙著【50】以下参照)が記されている。租税立法者は、税法という「家」を建てる場合すなわちその「家」を構成する課税要件を定める場合に、その「家」の基礎にある私的経済活動を規律する私法(取引法)の概念を「建材」(課税要件要素)として用いることが多いが、そのような概念を借用概念という。これを私法と同じ意味において解するか又は税法独自の意味において解するかをめぐる議論が借用概念論である。 借用概念論は、私的経済活動を規律する私法とその経済的成果に対する課税を規律する税法とが密接に関連するとの認識を前提として、成立する議論であるが、両者の密接関連性は、実定税法上の課税要件規定に関する上述のような実態認識においてだけでなく、自由主義国家における税法の根本規律ないし構造的規律に関する以下で述べるような原理的認識においても、認められる。 前記2及び3でも述べたように、自由主義という現行憲法の根本原理は、対国家の側面においては、課税権に対する法的拘束によって国民の自由及び財産を保護することを目的とする租税法律主義として、発現する一方、対社会の側面においては、私有財産制及び経済的自由として発現し、さらにはこれらを基礎にして私法の世界では私的自治・契約自由の原則として発現する(【図】参照)。 私法の世界では、私的自治の制度化・具体化としての契約自由の原則に従って形成される法律関係に基づいて、経済的成果が発生することが、予定されている。そのような経済的成果を課税の対象とする場合、税法は経済的成果を、①その基礎にある私法上の法律関係によって把握するか、あるいは②私法上の法律関係と切り離して別の何らかの方法で把握するか、という点について、根本決定を行わなければならないが、わが国の税法は、自由主義という根本原理が上述したような形態で発現し形成した憲法秩序の中に構築された「家」のようなものであるから、①の根本決定を行ったものと解される。 このような根本決定に従い、私法上の行為に基づいて現実の発生している経済的成果を、私法上の法律関係によって把握する、という税法の根本規律ないし構造的規律を、筆者は「私法関係準拠主義」と呼んでいる(前掲・拙著【60】参照)。 税法も私法も「法」である以上、私法関係準拠主義は、法律的思考という共通の基盤の上で妥当するが、しかし、私的経済活動の動機・目的・成果を決定する経済的思考には(契約自由の原則によって媒介されてはいるが)少なくとも直接的には結びつかない。法律的思考は「硬質・安定・明確性」によって特徴づけられるのに対して、経済的思考は「柔軟・変化・複雑多様性」によって特徴づけられることから、両者の間に対立が生じることがある。 この対立(法律的思考と経済的思考との相克)の結果を比喩的に表現すれば、税法という「家」それ自体及びその「建材」としての私法上の概念や法律関係に関する法律的思考と、その「家」の基礎にある私的経済活動に関する経済的思考とが、その「家」の中で対立(相克)し、「建付けの悪さ」が生じてくるのである(前掲・拙著【42】参照)。 ここでいう「建付けの悪さ」が実際上問題となるのは、通常の法形式(立法者の想定内の法形式)と異常な法形式(立法者の想定外の法形式)とで経済的成果(経済的実質)が同じである場合、私人が経済的思考に基づき異常な法形式を選択することによって、通常の法形式を選択した場合と同じ経済的成果を達成しながら、通常の法形式を要件要素として採り入れた課税要件の充足を回避し、通常の法形式を選択した者との間で課税上の不公平を惹起する、というような場合などにおいてである。この問題をめぐる議論が租税回避論であり、「税法と私法」論のうち【図】に記したもう1つの問題領域である(租税回避論については第20回~第41回参照)。   Ⅳ おわりに 今回は、「租税国家における『税法の世界』-税(法)は私的経済活動の上に建てられた『家』のようなものである-」という【図】を「図解」したが、これをもってこの連載の一応の総括(小括)とすることにする。 この連載は、教科書とは異なる原則1回読み切りの「読み物」として、「税法の基礎理論」に関するそのときどきの筆者の問題関心に従って執筆してきたものである。連載を始めるに当たって、「税法の基礎理論」というタイトルについて、Profession Journal編集長の坂田啓さんから「谷口教授と学ぶ」をいわば「枕詞」として付けることを提案していただき、「谷口教授と学ぶ『税法の基礎理論』」として連載をしてきた。 「谷口教授と学ぶ」に相応しい内容の連載になったかどうか心許ない限りではあるが、そのような「枕詞」を付けることで、「税法の基礎理論」を検討するに当たって形式面では一定の配慮をしてきたつもりである。それは、学説や判例を引用・参照するに当たってその要点・要旨を述べるだけでなく、できるだけ原典をそのまま引用するように心がけたことである。そうすることによって、学説・判例について筆者の理解したところを、読者には、原典に当たって検討しながら読んでもらいたいと考えてきたところである。 ただ、その結果、坂田さんからは当初1回の原稿の分量につき4000字前後を目安として示していただいていたにもかかわらず、それを大幅に上回る分量になることがしばしばあった。坂田さんから示された分量の目安は、Web上で画面をスクロールしながら読むという本誌の性格を考慮して示されたものと思われるが、原典引用の多さは、そのような観点からすると、この連載を読者にとって読みづらいものにしたかもしれないと思いつつ、前後するが、上記のような意図に基づくものであることをお断りする次第である。 その点に関する評価はともかく、この連載を通じて、「谷口教授と学ぶ」というスタイルで原稿を書くことによって、個人的な思いとしては「新境地」を開くことができたと考えるところである。編集長の坂田さんからの提案がなければ、このようなスタイルを身につけることはできなかったであろう。坂田さんに心より感謝する次第である。 今後の予定としては、「谷口教授と学ぶ」をシリーズ化して、「国税通則法の構造と手続」及び「税法基本判例」の連載を来年4月から始めさせていただくことにしている。このことについても、坂田さんに御礼を申し上げる。 (連載了)

#No. 400(掲載号)
#谷口 勢津夫
2020/12/24
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