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『Q&A 相続空き家の特例と居住用財産の3,000万円特別控除』発刊のお知らせ

本誌掲載の事例を追加した 『Q&A 相続空き家の特例と居住用財産の3,000万円特別控除』発刊のお知らせ

#Profession Journal 編集部
2018/02/16

《速報解説》 会計士協会、効果的なESG情報開示に向けた研究報告「サステナビリティ報告におけるマテリアリティに関する現状と課題」を公表~海外含む企業の開示事例を調査~

《速報解説》 会計士協会、効果的なESG情報開示に向けた研究報告 「サステナビリティ報告におけるマテリアリティに関する現状と課題」を公表 ~海外含む企業の開示事例を調査~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成30年2月9日、日本公認会計士協会は、「サステナビリティ報告におけるマテリアリティに関する現状と課題-効果的なESG情報開示に向けて-」(経営研究調査会研究報告第61号)を公表した。 これは、投資家による非財務情報への注目の高まりが見られることから、情報開示に当たってのマテリアリティの視点による整理を行い、日本企業のサステナビリティ報告におけるマテリアリティに関する現状と問題点を明らかにし、今後の取組の方向性を探るものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 マテリアリティとは 「マテリアリティ」の用語は様々な意味合いで使われるとのことだが、主要な国際的イニシアティブにおける企業の経営管理や情報開示におけるマテリアリティの具体的な考え方を整理した上で、研究報告では、「マテリアリティ」を「企業が関係する多種多様な事象の相対的な重要度」を意味するものとして一般化して使用している(3ページ)。 マテリアリティに関する記載がある企業64社のうち、重要課題を特定した結果として特定項目を開示している企業について分析されている(13ページ)。 重要課題の特定項目の例が参考として記載されており、例えば、次のようなものがある。 2 調査の方針等 調査は、「適切なコミュニケーションを行うために、企業はマテリアリティを考慮し、ステークホルダーが必要とする重要な非財務情報開示を行っているのだろうか」という問題意識に基づいている(3ページ) 非財務情報の主たる開示媒体であるCSR報告書におけるサステナビリティ情報を対象にし、調査対象とした業種は、日経225 に8社以上含まれる業種であり、対象とした企業は、当該業種において売上上位8社である。 調査の取りまとめ方針は、基本的に、業種を越えた全体的な傾向を示すこととしており、全体的な傾向については、調査データ及び個別定性的な記述によって取りまとめている。 一方、業種別の傾向については、詳細な調査に至ったサンプル企業数が十分ではないため、有意な分析結果が得られないと判断し、基本的には特記すべき事項以外は記述していないとのことである(5~6ページ)。 海外企業の例も紹介されている。 3 今後の改善にむけて 「今後の改善にむけて」として、次の観点から整理されている。 (了)

#No. 256(掲載号)
#阿部 光成
2018/02/15

プロフェッションジャーナル No.256が公開されました!~今週のお薦め記事~

2018年2月15日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.256を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2018/02/15

日本の企業税制 【第52回】「法案から見た法人税等の電子申告の義務化」

日本の企業税制 【第52回】 「法案から見た法人税等の電子申告の義務化」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   1月22日に召集された第196回国会では、2月1日には、平成29年度補正予算が政府案どおり可決成立した。翌日の2月2日には、国際観光旅客税法案、所得税法等の一部を改正する法律案が提出され、また、翌週の2月6日には、地方税法等の一部を改正する法律案が提出された。 国際観光旅客税法案は、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための財源を確保する観点から、国際観光旅客等の出国1回につき 1,000 円の負担を求める国際観光旅客税を創設するものである。なお、本法案が成立すると、平成 31 年1月7日以後の出国に適用(同日前に締結された運送契約による国際旅客運送事業に係る一定の出国を除く)されることとなる。 一方、所得税法等の一部を改正する法律案、地方税法等の一部を改正する法律案では、個人所得課税改革、賃上げ・生産性革命のための法人課税の見直し、事業承継税制の10年間の特例、たばこ税の見直し、などさまざまな内容が盛り込まれている。 この中で、今回の改正の1つの柱である納税手続きの電子化の一環として、大企業に関する申告の電子化が義務化される(法人税、地方法人税、消費税、法人事業税、法人住民税、地方消費税)とともに、申告の簡素化等が行われる。税制改正大綱では様々な措置が盛り込まれているが、今回提出された法案から読み取れるのは次の事項である。   〇電子申告の義務化 大企業(「特定法人」)は、各事業年度の所得に対する法人税の申告については、申告書記載事項又は添付書類記載事項を電子情報処理組織を使用する方法により提供すること等(添付書類光ディスクも可)により行わなければならないこととする。つまり、電子申告が義務付けられる。 もっとも、電子情報処理組織を使用することが困難であると認められるときは、税務署長の承認を受けて、納税申告書等により申告を行うことができる(法人税法第3条、第75条の3、第75条の4、第81条の 24の2、第81条の24の3、消費税法第3条、第46条の2、第 46条の3)。 地方税(法人住民税、法人事業税、地方消費税)においては、地方税関係手続用電子情報処理組織を使用して行う方法による提出を義務付けることとする(地方税法第53条、第321条の8、第72条の32、第72条の89の2、附則第9条の5)。 義務化の対象となる「特定法人」とは、 電子申告の義務化は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用する(改正附則第31条、第36条)。消費税については、平成32年4月1日以後に開始する課税期間について適用する(改正附則第45条)。   〇納税事務の簡素化 (1) 代表者等の自署押印制度の廃止 法人税・地方法人税の申告における、代表者等の自署押印制度を廃止することとする(旧法人税法第151条、第161条、旧地方法人税法第30条、第35 条)。この改正は平成30年4月1日以後に終了する事業年度から適用する(改正附則第19条)。法人事業税についても同様である(地方税法第72条の35、 第72条の36)。 (2) 連結子法人の個別帰属額の届出の不要化(電子申告の場合)等 連結親法人が電子情報処理組織を使用する方法により申告を行った場合において、その申告に係る連結子法人の個別帰属額等及び添付書類に記載すべきものとされている事項を電子情報処理組織を使用する方法等により提供したときは、連結子法人が個別帰属額等の届出及び添付書類を提出したものとみなす。この改正は、平成32年4月1日以後に終了する連結事業年度に係る個別帰属額等を記載した書類について適用する(改正附則第37条)。 個別帰属額等に異動があった場合の届出等について、修正申告書の提出により異動があった場合に限る。この改正は、平成32年4月1日以後に個別帰属額等に異動があった場合におけるその異動に係る書類について適用する(改正附則第37条)。 (3) 法人事業税の添付書類の省略(電子申告の場合) 資本金1億円超の普通法人(つまり外形標準課税が適用される法人)又は収入金額課税法人が、法人税の申告を電子情報処理組織を使用する方法により行った場合において、当該申告と併せて貸借対照表及び損益計算書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用して行う方法により提供したときは、 法人事業税の申告においてこれらの書類を事務所又は事業所所在地の道府県知事に提出したものとみなすこととする(地方税法第72条の25、第72条の26)。 (4) 第三者作成書類の保存義務化 従来、添付書類の1つとされてきた一定の(収用・換地等)第三者作成書類について、添付することに代えて保存していることを制度適用要件とする(租税特別措置法第64条、第64条の2、第65条、第65条の2、第65条の3、第65条の4)。この改正は平成30年4月1日以後に終了する事業年度に適用する(改正附則第97条、114条)。 (了)

#No. 256(掲載号)
#小畑 良晴
2018/02/15

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第25回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第25回】   公認会計士 佐藤 信祐   (《第2章》 平成13年度税制改正) 2 平成13年版改正税法のすべて(その他の税目) 本稿では、『平成13年版改正税法のすべて』に記載されている法人税以外の項目について解説を行う。なお、前回まで解説を行った法人税法と同様に、租税特別措置法の内容については、その後の改正・廃止が著しいことから、解説を行わないため、ご了承されたい。 (1) 所得税法 所得税法においては、株主のみなし配当課税や株式譲渡損益課税が問題となる。そのため、基本的には、法人税法について行った解説と大きく変わらない。 強いて言えば、『平成13年版改正税法のすべて』29頁以下で、交付金銭等に係る告知・支払調書制度について解説されている点が挙げられる。平成13年度税制改正により、みなし配当が生じない場合やみなし配当とされない部分の金額(株式等譲渡損益課税の対象とされる金額)も告知・支払調書制度の対象になることが記載されている。 (2) 登録免許税法 平成13年度税制改正前から、合併を行った場合には軽減税率が認められていた。 平成13年度税制改正では、①会社分割による会社の設立・増資に係る登記について、分割の前後で資本金の総額が増加しない部分については、合併並みの税率とする措置、②会社分割による不動産の所有権移転登記について、5年間の措置として、合併並みの税率とする措置がそれぞれ設けられた。 このうち、後者②については、本稿校了段階では廃止されている。本来であれば、不動産の所有権移転登記についても、恒久的に軽減税率を認めるべきであったように思われるが、『平成13年版改正税法のすべて』484頁では、「分割による移転登記又は登録については、売買等の場合と同じく、分割会社という旧所有者が存在し、この登記を行うことに『第三者対抗要件の具備』という利益がある」ことを理由として、売買と同じ税率にすべきであると説明されている。そして、時限的に軽減税率を設けたのは、政策的な理由であったとしている。現在の会社法制度の下では、会社分割が事業の移転のみならず、事業用資産の移転も認めていることからも、妥当な結論であったと思われる。 そのほか、登録免許税法5条13号に規定されている非課税措置について、 と改められた。 さらに、根抵当権の会社分割による移転登記について、登録免許税法別表第1第1号(七)にて、税率が1,000分の2に改められた。 (3) 消費税法 平成12年に公表された「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」では、 と記載されている。 これを受けて、『平成13年版改正税法のすべて』511-512頁では、「会社分割制度による資産の移転が消費税法上の『資産の譲渡等』に該当するかどうかは、正に法解釈の問題であり、今回の改正事項ではありません」としながらも、法解釈として、会社分割による資産の移転が、「法律上当然に生じる包括承継」であることを理由として、「資産の譲渡等」に該当しないとしている。 さらに、同書504-505頁では、平成12年までの制度と同様に、分社化による納税義務の判定の特例に対して、会社分割制度の導入に伴い、制度を改組したと記載されている。 そのほか、合併があった場合の納税義務の免除の特例の改正、資産の譲渡等の時期の特例の改正、課税期間の特例の届出に関する改正、各種の税額控除の特例等に関する改正、簡易課税制度の改正、中間申告の改正、質問検査権に関する改正についても記載されている。 (4) 国税通則法・国税徴収法 平成12年に公表された「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」では、 と記載されている。 これを受けて、法人の分割に係る連帯納付責任制度が導入された(国税通則法9の2)。そして、分割承継法人が連帯納付責任を負う場合に限り、不服申立人の地位を承継することができることとされた(国税通則法106②)。ただし、営業の全部を承継させる会社分割であっても、「租税の納付義務の新設・吸収法人への承継」については設けられなかった。 そのほか、適格合併により繰越欠損金を合併法人に引き継げるようになったことに伴い、合併法人の所得金額や税額が変わらない場合であっても、被合併法人の修正申告や更正をできるようなった(国税通則法2六ハ)。さらに、分割後の更正等により、分割法人等の税額が変動したことに伴い、分割承継法人等の税額が変動する場合には、当該分割承継法人等の更正決定等は、通常の除斥期間を経過した後であっても、6ヶ月の猶予が認められることになった(国税通則法71②)。 (5) 地方税法 地方税法でも、国税の改正により影響を受ける部分については同時に改正されている。さらに、地方税法特有の論点として、不動産取得税がある。 『平成13年版改正税法のすべて』549頁では、会社分割を行った場合には、包括承継であるという意味で、合併類似の性格を有することとしている。その結果、不動産取得税の非課税措置が設けられたとしている。 しかし、具体的な要件について、①金銭等不交付要件、②按分型要件、③主要資産等引継要件、④事業継続要件、⑤従業者引継要件が定められており、このうち、③~⑤が導入された趣旨として、 と解説されている。 おそらくこの記述には、担当者の誤解があるように思われる。当時の商法下であっても、③主要資産等引継要件、④事業継続要件、⑤従業者引継要件は、会社分割の要件とは言い難い。さらに、現行会社法では、事業単位の移転は要求されていない。実際にその後の運用を見てみると、本記述はほとんど参考にされておらず、むしろ、事業継続要件及び従業者引継要件は、法人税法よりも柔軟に解釈されているという実態が見受けられる。 不動産取得税については、角田晃「都道府県税関係 会社分割における従業者要件の判定:不動産取得税の課税・非課税をめぐって(ここが知りたい最新税務Q&A)」税68巻2号71頁(平成25年)が、極めて実務上重要な解説を行っているため、本連載のどこかで触れる予定である。 *   *   * 次回以降では、ヤフー・IDCF事件(平成28年2月29日最高裁判決:TAINSコードZ888-1983、1984)で、国側の立場で朝長英樹氏が書かれた鑑定意見書を参考に、平成13年当時の制度趣旨を探っていく予定である。 (了)

#No. 256(掲載号)
#佐藤 信祐
2018/02/15

〔平成30年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第4回】「「役員給与等の見直し」及び「欠損金の繰越控除限度額の見直し」」

〔平成30年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第4回】 (最終回) 「「役員給与等の見直し」及び 「欠損金の繰越控除限度額の見直し」」   公認会計士・税理士 新名 貴則   平成29年度税制改正における改正事項を中心として、平成30年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第3回】は、所得拡大促進税制の見直し、及び中小企業向け租税特別措置の適用制限について解説した。 【第4回】は、役員給与等の見直し、及び欠損金の繰越控除限度額の見直しについて、平成30年3月期決算申告において留意すべき点を解説する。   1 役員給与等の見直し 法人税法上、役員給与が損金に算入されるためには、次の3つのいずれかに該当する必要がある。 (※) 平成29年度税制改正により「利益連動給与」から改称 これらの詳細について、平成29年度税制改正において主に次のように見直しが行われているため、平成30年3月期の決算申告においては注意が必要である。 ① 定期同額給与 支給の「額面」が同額である給与が対象とされていたが、平成29年度税制改正により、税金や社会保険料等を控除後の「手取額」が同額である給与も、定期同額給与に該当することとされた。この改正は、平成29年4月1日以後に支給する役員給与から適用される。 ② 事前確定届出給与 確定した「金額」を支給する給与が対象であったため、金銭での支給が対象であった。しかし、平成29年度税制改正により、確定した「数」の株式や新株予約権を交付する給与も、事前確定届出給与の対象に加えられた。 (※) 平成29年10月1日以後の決議で支給・交付する給与から適用(決議がない場合は平成29年10月1日以後の支給・交付) ③ 業績連動給与 平成29年度税制改正により、使用可能な指標を追加する、支給対象に株式や新株予約権を追加するといった改正が行われている。またこれにより、「利益連動給与」から「業績連動給与」に改称された。 (※) 平成29年10月1日以後の決議で支給・交付する給与から適用(決議がない場合は平成29年10月1日以後の支給・交付) ④ 役員退職給与 役員退職給与については、不相当に高額な部分を除いて損金に算入されていた。しかし、平成29年度税制改正により、利益その他の指標を基礎として算定される役員退職給与については、業績連動給与の要件を満たさないものは損金不算入とされた。 ⑤ 新株予約権による役員給与 新株予約権の交付による役員給与は、税制非適格であれば、原則として権利行使の日の属する事業年度の損金に算入されていた。しかし、平成29年度税制改正により、事前確定届出給与又は業績連動給与に該当しないものは損金不算入とされた。 ④及び⑤の改正は、平成29年10月1日以後の決議で支給・交付する給与(決議がない場合は平成29年10月1日以後の支給・交付)から適用される。   2 欠損金の繰越控除限度額の見直し 平成27年度税制改正において、中小法人等を除き、欠損金の繰越控除限度額は繰越控除前所得の50%相当額にまで、段階的に引き下げられることとされた。また、平成28年度税制改正においてさらに改正が行われ、より細かい段階を経て50%相当額まで引き下げられることとされた。そのため、平成30年3月期決算申告においては、控除前所得の55%が控除限度となる。 ただし、中小法人等については、引き続き繰越控除前所得の100%相当額を繰越控除限度額とし、引き下げは行われていない。 また、平成31年3月期からは、中小法人等を除き、控除前所得の50%が控除限度(中小法人等は100%)となり、繰越期間は9年から10年に延びる。 (※1) 資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の大法人の完全子会社を除く) (※2) 繰越期間は欠損金の発生年度ごとに決定される。平成30年3月期に発生した欠損金は9年間、平成31年3月期に発生した欠損金は10年間繰り越される。 (連載了)

#No. 256(掲載号)
#新名 貴則
2018/02/15

「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第2回】「使用人兼務役員に関する税務上の留意点①」

「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第2回】 「使用人兼務役員に関する税務上の留意点①」   税理士 大塚 進一   使用人兼務役員は基本的には役員であるので、役員に対する取扱いが適用されるが、一部使用人でもあるため、その辺りの整合性に留意する必要がある。   1 使用人兼務役員になることができる役員とは 前回の1(1)において述べた、「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。したがって、取締役等で総務担当、経理担当というように使用人としての職制上の地位ではなく、法人の特定部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員には該当しない(法基通9-2-5)。 ただし、事業内容が単純で使用人が少数である等の事情により、法人がその使用人について特に機構としてその職務上の地位を定めていない場合には、当該法人の役員で、常時従事している職務が他の使用人の職務内容と同質であると認められるものについては、使用人兼務役員として取り扱うことができる(法基通9-2-6)。 使用人兼務役員には「常時使用人としての職務に従事するもの」という要件があるため、非常勤役員は使用人兼務役員になることができない。 また「副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員」とは、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等によりその職制上の地位が付与された役員をいう(法基通9-2-4)。よって、単なる通称又は自称常務取締役のように、職制上は単なるヒラ取締役であるような者は該当しない。   2 使用人兼務役員の給与の取扱い (1) 一般の役員給与について 役員に対する給与は原則、損金不算入であるが、①定期同額給与、②事前確定届出給与、③業績連動給与に該当するものは損金に算入できる(法法34①)。ただし、この①~③に該当する場合でも、不相当に高額な部分の給与は、損金に算入されない(法法36)。 (2) 使用人兼務役員給与の考え方 使用人兼務役員は使用人としての職制上の地位と役員としての地位を併せ持つので、その給与を「使用人部分」と「役員部分」に分けて考えることとなる。使用人分に対する給与は損金算入され、上記①~③の役員給与の規制の対象とならない。 つまり、使用人分の給与は、定期同額給与の制約を受けず、毎月変動させることができ、残業手当も損金にすることが可能である。 なお、使用人としての給与は、その法人の他の使用人に対する給与の支給の状況等から、その職務に対する給与として相当な金額とされている。よって、使用人兼務役員の給与では、適正な使用人分の給与があり、給与支給総額からそれを除いた額が役員給与として扱われ、①~③の規制を受けることとなる。役員分の給与として「不相当に高額な給与の部分」については、損金不算入になるので注意が必要である(詳しくは次回述べる)。 (3) 使用人兼務役員に対する賞与 役員に対する賞与は、原則「事前確定届出」をしていない限り、損金にならないが、使用人兼務役員の使用人分の賞与は、損金にすることができる。ただし、他の使用人に支給する算定基準に合わせる必要がある(他の使用人の賞与額が給与2ヶ月分なら、使用人分の給与の2ヶ月分)。 なお、使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給したものは、不相当に高額な部分として損金不算入となる(法令70三)。また、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給せず未払金経理をした場合も損金不算入となる(法基通9-2-26)。 (4) 使用人兼務役員に対する退職金 使用人兼務役員が、例えば常務取締役等となった場合、使用人兼務役員は役員であるので、それが常務取締役等になったとしても、役員としての地位の変動にすぎず、退職の事実は存しない。よって、法人が使用人兼務役員であった期間に係る退職給与として一定の金額を支給したようなときは、原則として損金不算入となる。 ただし、使用人兼務役員への給与の支給が次のすべてに該当するときは、その支給した金額について、退職給与と取り扱って差し支えない(法基通9-2-37)。 次回も引き続き「使用人兼務役員に関する税務上の留意点」について、使用人兼務役員給与の「不相当に高額な部分」を中心に解説する。 (了)

#No. 256(掲載号)
#大塚 進一
2018/02/15

相続税の実務問答 【第20回】「遺留分減殺請求が見込まれる場合の相続税の申告」

相続税の実務問答 【第20回】 「遺留分減殺請求が見込まれる場合の相続税の申告」   税理士 梶野 研二   [答] 遺留分減殺請求によってお兄様に引き渡す財産が確定していない場合には、あなたが、すべての財産について取得したものとして相続税の申告をします。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 遺贈があった場合の財産の帰属 遺言は、遺言者の死亡の時から効力を生じることとされています(民法985①)。遺言によって遺贈が行われると、その対象となった財産は、遺贈者(被相続人)の死亡とともに、その相手方(受遺者)に移転することになります。 しかしながら、遺贈が相続人の遺留分を侵害することとなる場合には、遺留分を有する相続人(遺留分権者)は遺留分の減殺請求を行うことができ(民法1031)、遺留分の減殺請求が行われたときには、受遺者は、遺留分権者に対して、遺贈により取得した財産の一部を引き渡し、あるいは侵害のあった遺留分に相当する弁償金を支払わなければなりません(民法1041)。 ただし、仮に、その遺贈が遺留分権者の遺留分を侵害するものであったとしても、遺留分権者から遺留分減殺請求が行われるまでは、遺贈の対象となった財産は受遺者に帰属することとなります。   2 遺贈があった場合の相続税の申告 相続又は遺贈により財産を取得した者は、相続や遺贈によりその被相続人から財産を取得したすべての者の相続税の課税価格(注1)の合計額が相続税の基礎控除額を超える場合には、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出し、申告書に記載した相続税を納付しなければなりません(相法27①、33)。 (注1) 相続税の課税価格とは、相続や遺贈により取得した財産の価額から債務・葬式費用を控除し、一定の生前贈与財産の価額を加算した金額です。 相続税の申告期限までに遺留分の減殺請求が行われていない場合には、遺贈の対象となった財産は、受遺者に帰属していますので、当該受遺者は遺贈の対象となったすべての財産の価額を相続税の課税価格に加えて、相続税の申告をすることとなります。 なお、減殺請求権は形成権であって、その権利の行使は受遺者に対する意思表示によってなせば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はなく、また、いったん、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解されています(昭和41年7月14日最高裁判決)。しかしながら、遺留分減殺請求がなされたとしても、具体的に返還する財産又は弁償する金額が確定しないと、受遺者及び遺留分減殺請求を行った相続人が、相続税の課税価格を計算することができません。 そのため、相続税の申告期限までに遺留分減殺請求が行われていたとしても、返還すべき財産、又は弁償すべき金額が決まっていない場合には、遺言どおりに受遺者が被相続人(遺言者)の財産を取得した状態にあるものとして、その遺言の内容に沿った相続税の計算を行い、申告をすることとなります。 相続税の申告期限後に、遺留分権者からの遺留分減殺請求が行われることが見込まれる場合、あるいは、遺留分減殺請求に基づき、返還すべき財産又は弁償すべき金額が決まることが見込まれる場合(このような場合には、遺贈を受けた財産のうちから相続税の納税資金を捻出することが困難であると認められることも珍しくないと思います)であっても、相続税の申告期限においては、遺贈の対象となった財産は受遺者が遺贈により取得した財産であることに変わりありませんので、受遺者は、遺贈を受けた財産の価額を基に相続税の課税価格及び相続税額を申告し、算出された相続税額を納付しなければなりません。 一方、被相続人のすべての財産が相続人のうちの1人又は相続人以外の者に遺贈されたために、何ら相続により取得していない相続人は、原則として、相続税の申告義務はありません(注2)。 (注2) 生命保険金等のいわゆるみなし相続財産を取得した場合、被相続人から相続時精算課税制度による贈与を受けていた場合には、相続により財産を取得していない場合であっても、相続税の申告義務が生じます。   3 相続税の申告書の提出後に遺留分権者に返還する財産等が確定した場合 相続税の申告期限後に遺留分減殺請求に基づき、返還すべき財産又は弁償すべき金額が確定したときには、当該財産の価額又は弁償すべき金額に相当する金額の課税価格の減少が生じます。この場合、遺贈について減殺請求を受けた者は当該確定を知った日の翌日から4ヶ月以内に、相続税の更正の請求を行うことができます(相法32①三)。 また、遺留分減殺請求に基づき、財産の返還又は価額弁償金を受けることが確定した相続人は、相続税の期限後申告書又は修正申告書を提出することができます(相法30①、31①)。   4 ご質問の場合 あなたは、お父様の遺言により、お父様のすべての財産を遺贈により取得しており、現時点で、遺留分を有するお兄様から遺留分の減殺請求も受けていません。そうしますと、お父様の財産のすべてはあなたが遺贈により取得したという状況に変わりはありません。 したがって、近い将来、遺産の一部を相続人であるお兄様に返還すること、あるいはお兄様の遺留分に相当する弁償金を支払うことが見込まれるとしても、あなたがすべての財産を遺贈により取得したものとして相続税の申告書を提出し、併せて算出された相続税額を期限内に納付する必要があります。 なお、相続税の申告書提出後に、お兄様から遺留分の減殺請求がなされ、お兄様に返還すべき又は弁償すべき額が確定したときには、その確定を知った日の翌日から4ヶ月以内に相続税の更正の請求を行うことができます。   (了)

#No. 256(掲載号)
#梶野 研二
2018/02/15

連結会計を学ぶ 【第12回】「債権と債務の相殺消去」

連結会計を学ぶ 【第12回】 「債権と債務の相殺消去」   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 連結貸借対照表の作成に際しては、連結会社相互間の債権と債務の相殺消去が行われる(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)18項)。 今回は、債権と債務の相殺消去について解説する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 債権と債務の相殺消去 親会社と子会社で取引が行われ、期末において、債権と債務が存在する場合には、連結貸借対照表の作成に際して、それらは相殺消去する必要がある(連結会計基準31項)。 次のことに注意する(連結会計基準注解(注10))。 作成のイメージは、おおむね次の図表のとおりである。 【図表:連結貸借対照表の作成プロセスのイメージ】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   Ⅲ 連結精算表の作成 親会社と子会社の個別貸借対照表は次のとおりとする。 ① 親会社の個別財務諸表における売掛金の発生 親会社は子会社(100%の持分比率)に商品を売上げ、期末に、売掛金として残っている(消費税は考慮しないものとする)。 また、売掛金残高に対して1%の貸倒引当金を計上している。 ② 子会社の個別財務諸表における買掛金の発生 子会社は親会社から商品を仕入れ、期末に、買掛金として残っている(消費税は考慮しないものとする)。 ③ 連結財務諸表における投資と資本の相殺消去 ④ 連結財務諸表における債権と債務の相殺消去及び貸倒引当金の調整 連結財務諸表の作成に際して、親会社の個別貸借対照表と子会社の個別貸借対照表を単純に合算すると、「売掛金700」とこれに対応する「買掛金700」が二重計上となってしまうので、相殺消去する。また、売掛金700が相殺消去される結果、それに対する貸倒引当金も不要となることから、貸倒引当金の調整を行う。 連結修正仕訳は次のようになる。 ⑤ 連結精算表 連結精算表は次のとおりである。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (了)

#No. 256(掲載号)
#阿部 光成
2018/02/15

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第138回】研究開発費①「研究開発費の会計処理」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第138回】 研究開発費① 「研究開発費の会計処理」   仰星監査法人 公認会計士 素村 康一     〈解説〉 研究開発費は、将来の収益を獲得するために支出される費用であるため、費用収益対応の原則に基づくと、固定資産と同じように支出時に資産として計上し、将来に獲得する収益と期間的に対応させて費用を計上することも考えられます。 しかしながら、企業の行う研究開発のすべてが将来の収益獲得につながるとは限りません。当然、失敗することもあります。また、研究開発計画が進行し、将来の収益を獲得できる期待が高まったとしても、依然としてその獲得が確実であるとはいえません。 確実に収益を獲得できるのであれば資産計上を認めることも考えられますが、資産計上を認めるための客観的で判断可能な要件を規定することは困難です。仮に抽象的な要件を定めて資産計上を容認した場合には、企業間で判断基準にバラツキが生じ、比較可能性が損なわれるおそれがあります。 以上のような論拠により、研究開発費は発生時にすべて費用として処理することとされました(「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」三2)。 〔図1〕 研究開発費の会計処理のイメージ ある支出が研究開発費に該当した場合には、すべて発生時に費用として処理する必要があります。そのため、研究開発費に該当するか否かが重要になります。 ここで、「研究」と「開発」は以下のように定義されています。 以上の定義に基づき、会社の行う活動が研究・開発に該当するか否かを実質的に判断することが求められます。 したがって、製造現場で行われる品質管理活動やクレーム処理のための活動は、開発の定義である「著しい改良」に該当しないため、研究開発には含まれないと考えられます(「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」第26項)。 その結果、ある活動が研究開発活動に該当する場合、その研究開発活動に投入された原価は、人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消されたものであればすべて研究開発費に含まれます(「研究開発費等に係る会計基準」二)。 〔図2〕 研究開発費に該当する費用 研究開発費は、新製品の計画・設計、既存製品の著しい改良等のために発生する費用であり、一般的には原価性がないと考えられるため、通常、一般管理費として計上します。ただし、製造現場において研究開発活動が行われ、かつ、当該研究開発に要した費用を一括して製造現場で発生する原価に含めて計上しているような場合があることから、研究開発費を当期製造費用に算入することが認められています。 この場合、当期製造費用に算入するにあたっては、研究開発費としての内容を十分に検討してその範囲を明確にすることとし、製造現場で発生していても製造原価に含めることが不合理であると認められる研究開発費については、当期製造費用に算入することは認められません。 特に、研究開発費を当期製造費用として処理し、当該製造費用の大部分が期末仕掛品等として資産計上されることとなる場合には、従来の繰延資産等として資産計上する処理と結果的に変わらないこととなるため、妥当な会計処理とは認められないことに留意する必要があります(「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」第4項)。 (了)

#No. 256(掲載号)
#素村 康一
2018/02/15
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