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電子書類の法律実務Q&A 【第20回】「「eシール」とは何か」~2024年4月に総務省が指針改定~

電子書類の法律実務Q&A 【第20回】 「「eシール」とは何か」 ~2024年4月に総務省が指針改定~   弁護士法人 咲くやこの花法律事務所 弁護士 池内 康裕   〔Q〕 電子請求書、電子見積書などの発行元の証明に「eシール」という技術を使うことができると聞いたことがあります。eシールとは、どういうものなのでしょうか。 電子署名との違いや活用方法について教えてください。 〔A〕 eシールとは、電子文書の発行元の確認と電子文書が変更されていないことの確認ができる電子データのことです。 電子署名を行うことができるのは自然人だけで、法人自体は電子署名することができません。 法人名のみ記載されている請求書や領収書の発行元を証明するのが「eシール」です。請求書、領収書だけでなく、在学証明書、卒業証明書など組織として事実関係を証明する電子文書でも使用されています。 大量の電子文書等に機械的・自動的にeシールを付与することもできるので、人件費や印刷・郵送コスト等の削減も期待できます。 ● ● ● ● 解 説 ● ● ● ● 1 eシールとは何か 電子契約の普及により、印鑑に代わり、電子署名が使われるケースが多くなっている。 実は、電子署名を行うことができるのは、自然人だけだ。法人自体は、電子署名をすることはできない。会社が当事者になる電子契約に電子署名するのは、会社ではなく、自然人である会社代表者(又は契約締結権限を有する自然人)なのである。 法人自体は電子署名できないので、法人名のみ記載されている請求書や領収書については、電子署名を利用できない。法人名義で発行される電子文書の発行元の確認をするツールとして、最近注目されている技術がeシールである。 eシールは、会社の角印の電子版に相当するものである。eシールについては、2024年4月に総務省より「eシールに係る指針(第2版)」が公表されている。この指針によれば、eシールの定義は、以下のとおりである。 一言で言えば、eシールとは、電子文書の発行元の確認と電子文書が変更されていないことの確認ができる電子データのことである。   2 電子署名との違い 電子署名とeシールの最大の違いは、電子契約締結に使えるかどうかである。 契約とは、法律上、2個以上の「意思表示の合致」であり、意思表示は、自然人のみが行うとされている。そのため、法人名義のeシールは、電子契約締結に使うことはできない。 また、eシールには電子署名のように法律上の定義規定はなく、法的な効力もない。さらに筆者の知る限り、eシールの効力について争点になった裁判例も存在しない。eシールの法的な位置づけは、現時点では必ずしも明確ではない。   3 活用方法・メリット eシールの活用法は、以下のとおりだ。会社が発行する請求書、領収書、見積書の発行元の証明に使用することが想定されている。それ以外にも、在学証明書、卒業証明書など組織として事実関係を証明する電子文書で使用される例もある。 eシール活用の最大の利点は、生産性向上である。大量の電子文書等に機械的・自動的にeシールを付与することもできる。印鑑を押す必要がないので、ペーパーレス化による印刷・郵送コストの削減が可能になる。テレワークとの関係で、会社に行かなければ印鑑を押せないという問題があった。しかし、eシールを活用することで、在宅勤務時に、請求書、領収書、見積書の発行をすることも可能となる。 個人ではなく、会社に紐づいているので、担当者が変更されても、eシールを再発行することはなく、そのまま使うことができる。「eシールに係る検討会最終取りまとめ」によれば、文書の発行元確認に係る人件費や印刷・郵送等の削減、複写紙のコスト等の削減によって、従来のプロセスで発生していたトータルコストの約4割が削減できた例などが紹介されている。 電子契約書を導入した後、更なるペーパーレス化を進めるため、eシール活用をお勧めしたい。   (了)

#No. 576(掲載号)
#池内 康裕
2024/07/04

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第82話】「定額減税」

〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第82話】 「定額減税」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「・・・しかし・・・評判が悪いですねえ・・・」 浅田調査官は、ため息をついて、中尾統括官に声をかける。 「・・・評判が悪いって、例の・・・定額減税のこと?」 中尾統括官は、含み笑いをして、尋ねる。 「ええ、そうです・・・納税者の人と話すと、減税をする制度なのに、その手続が煩雑なことから、定額減税は止めるべきだと言うんですよ」 浅田調査官も苦り切った表情になる。 「・・・しかし、令和6年の税法の改正で、6月1日以後、最初に支払う給与等につき源泉徴収を行う際から定額減税をすることになったのだから・・・源泉徴収義務者は、定額減税をやるしかないね」 中尾統括官は、冷たく言う。 「定額減税の対象になる人は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下の人ですが・・・中尾統括官は、定額減税の対象となるのですか?」 浅田調査官は、真剣な顔をして尋ねる。 「・・・何を冗談言っているのだ・・・私は、税務署に40年近く勤務しているが・・・給与収入が2,000万円を超えたことなど一度もない」 中尾統括官は、憮然と言う。 「・・・ところで・・・統括官の扶養親族は・・・何人でしたか?」 浅田調査官は、そのまま質問を続ける。 「かみさんと子供1人だ」 「・・・ということは、本人分と同一生計配偶者と扶養親族の分で・・・」 と言いながら、浅田調査官は、罫紙に計算式を書く。 「・・・そうすると、中尾統括官の月次減税額は、90,000円ということです・・・」 浅田調査官は、中尾統括官を見る。 「・・・確か・・・かみさんは、パートで働いているけど・・・給与等の収入金額は、103万円を・・・超えていなかったと思うけれど・・・」 中尾統括官は、不安そうな顔になる。 「・・・しかし、これは、あくまでも見込みの金額ですから・・・もし、103万円を超えた場合には、年末調整で調整すればいいことになっています」 浅田調査官は、ハッキリと言う。 「それで・・・住民税は、企業の負担を考慮して、6月の天引きは行わないことになっています・・・すなわち、減税分を引いた住民税1年分を11回に分割して、令和6年7月から令和7年5月の給与から天引きすることになります・・・住民税に関しては、1人当たり1万円を減税することになっていますから、中尾統括官の場合、住民税は、次のように計算されます・・・」 そう言うと、浅田調査官は、罫紙に計算式を書く。 「・・・例えば、中尾統括官の住民税が年間47万円であると仮定したら、次のように計算され、7月から来年の5月まで天引きされます」 再び、浅田調査官は、罫紙に計算式を書く。 「地方自治体も事務が大変だな」 浅田調査官の話を聞いて、中尾統括官は、市町村に同情する。 「・・・しかし、6月の給与に限っていえば、月次減税額と、そして、住民税が天引きされないことから、手取り額はかなり増えますよ・・・」 浅田調査官は、羨ましそうに中尾統括官を見る。 「・・・そういう浅田君も手取りが増えるだろう・・・」 中尾統括官は、浅田調査官の顔を覗く。 「いえ、私は、定額減税を受けることができないのです」 浅田調査官は、平然と答える。 「・・・失礼な言い方だが、君の税務署での給与等の収入金額では・・・2,000万円を超えることはないだろう」 中尾統括官は、苦笑しながら言う。 「もちろんですよ」 浅田調査官も笑い出す。 「・・・実は、今年の2月に、祖父から遺贈で譲り受けた土地を譲渡したのですよ・・・そのキャピタルゲインが1,800万円ぐらいあるので、この土地の譲渡所得を給与所得と合算すると、定額減税の対象外になってしまうのです」 浅田調査官は、残念そうに話す。 「そうか・・・それは・・・残念だな・・・」 中尾統括官は、浅田調査官の顔を見る。 「この件で・・・ちょっと、中尾統括官に・・・お聞きしたいのですが・・・」 浅田調査官は、急に、真面目な顔になる。 「売った土地なんですが・・・その売買契約の日は、昨年の12月10日で、土地の引渡日が今年の2月3日なんです・・・そうすると、納税者は、譲渡の日を、契約の日か、又は引渡の日か、いずれか選択できることになっています・・・」 浅田調査官は、続ける。 「もちろん、昨年の契約の日を譲渡の日とすると、今年の3月15日までに確定申告をしなければならなかったのですが・・・もちろん、まだ、申告をしていません」 中尾統括官は、そこまで聞くと、浅田調査官が、何を言いたいのか、ようやく分かってきた。 「つまり、今から、期限後の令和5年分の譲渡所得の申告をして、定額減税を受けようと考えているの?」 中尾統括官が浅田調査官に問う。 「はい・・・どうでしょうか」 浅田調査官は、舌をペロッと出す。 「納税者は、譲渡の日について、契約の日か、引渡の日か、いずれかの日の選択ができることから、税法上は特に問題はないだろう・・・しかし、君は・・・独身で、扶養家族もいないから、所得税と住民税を合わせて、4万円の定額減税だろう、そのために・・・わざわざ期限後の申告をすることもないと思う・・・それに・・・土地を売却して、大金を持っているのだから、そんなセコいことを考えなくてもいいと思うのだが・・・」 そう言うと、中尾統括官は、笑いながら、浅田調査官の肩を叩く。 (つづく)

#No. 576(掲載号)
#八ッ尾 順一
2024/07/04

《速報解説》 会計士協会、「倫理規則」及び「倫理規則に関するQ&A」を改正~秘密保持の重要性の高まりに係る趣旨理解促進のため、用語表現を修正~

《速報解説》 会計士協会、「倫理規則」及び「倫理規則に関するQ&A」を改正 ~秘密保持の重要性の高まりに係る趣旨理解促進のため、用語表現を修正~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024年6月28日(ホームページ掲載日)、日本公認会計士協会は、「倫理規則」の改正(定期総会に付議する予定の改正案の公表)及び「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」」の改正を公表した。 倫理規則の改正には、日本公認会計士協会の定期総会での承認が必要となることから、今般公表する倫理規則は定期総会に付議する予定の改正規定案であり、2024年7月18日開催の定期総会の承認後に確定する予定である。 また、「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」」の改正については、「倫理規則」の改正が定期総会で承認されることを前提として公表するものである。 上記のとおり、定期総会の承認を前提とするものの、2024年1月24日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も公表されている。 これは、国際会計士倫理基準審議会(The International Ethics Standards Board for Accountants: IESBA)の倫理規程の改訂等を踏まえた対応である。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 上場事業体及び社会的影響度の高い事業体の定義に関する規定 会計事務所等は、本パートを適用する上で、事業体が次の類型のいずれかに該当する場合には、その事業体を社会的影響度の高い事業体として取り扱わなければならない(倫理規則R400.22項)。 社会的影響度の高い事業体に該当する場合、例えば、報酬依存度(特定の社会的影響度の高い事業体に対する報酬依存度が5年連続して15%を超える場合には、原則として監査人を辞任する)に関する規定の遵守が求められる。 2 業務チームの定義及びグループ監査業務に関する規定 用語集の「監査業務チーム(Audit team)」について、例えば、「監査業務の結果に直接的に影響を及ぼすことができる、会計事務所等内の、又は会計事務所等と契約しているその他の全ての者」が対象となるように規定する。 用語集において、グループ監査業務(Group audit)に関連する定義を設ける。また、「セクション405 グループ監査業務」を新設する。 3 テクノロジーに関する規定 例えば、「テクノロジーの利用に伴う阻害要因の識別」などが規定されている。 倫理規則における「テクノロジー」の範囲は広範であり、将来的な未知のテクノロジーを含むあらゆるテクノロジーを包含することを意図しているとのことである。 4 「守秘義務の原則」の用語変更 現行の倫理規則では、「守秘義務」の用語を用いて規定しているが、それを「秘密保持」に変更する。「守秘義務の原則」は「秘密保持の原則」に変更される。 今回の変更は、情報の秘密保持がいっそう重要となっていることなどの趣旨について会員の理解を促進するために用語の表現を修正するものであり、従来の考え方を変えるものではない。 現行の倫理上の基本原則では、「守秘義務」は業務上知り得た秘密を守ることとされているが、「秘密保持」は業務上知り得た情報の秘密を守ることとする。 用語集は、秘密情報(Confidential information)について、形式や媒体を問わず(文書、電子、映像、口頭を含む)、公に入手可能となっていない情報、データ又はその他の文書とし、業務上知り得た秘密情報とは、会員が、会計事務所等又は所属する組織から知り得た秘密情報並びに専門業務を行うことにより知り得た依頼人及びその他の事業体の秘密情報をいうとしている。 5 「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」(倫理規則実務ガイダンス第1号)の改正 倫理規則の改正を踏まえ、「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」(倫理規則実務ガイダンス第1号)についても所要の改正を行う。 例えば、「守秘義務」を「秘密保持」に変更することなどである。   Ⅲ 施行時期等 2025 年4月1日から施行する。 早期適用できる。 (了)

#阿部 光成
2024/07/03

《速報解説》 ASBJから「移管指針の適用」等が公表される~JICPA公表の実務指針等のうち会計に関する指針をASBJに移管~

《速報解説》 ASBJから「移管指針の適用」等が公表される ~JICPA公表の実務指針等のうち会計に関する指針をASBJに移管~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024年7月1日、企業会計基準委員会は、移管指針「移管指針の適用」等を公表した。これにより、2024年4月3日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も公表されている。 これは、日本公認会計士協会が公表した実務指針等について、会計に関する指針のみを企業会計基準委員会に移管するものである。 なお、同日、日本公認会計士協会から「移管に伴う会計制度委員会が公表した実務指針等の廃止について」が公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 移管対象の日本公認会計士協会が公表した実務指針等の所管を、企業会計基準委員会に移すことを主たる目的とし、当該移管により実務を変更しないことを意図することとしている。 このため、移管指針では、実務への影響を最小限とするように、次の方針に基づいて移管している。 「移管指針の適用」においてこれらの内容を全般的に定め、当該移管指針に個別の移管指針が紐付く体系としている。 移管対象となる実務指針等には、「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号)、「金融商品会計に関するQ&A」、「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(会計制度委員会報告第7号)、「持分法会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第9号)、「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(会計制度委員会報告第15号)など多くのものがある   Ⅲ 適用時期等 移管指針及び別紙に記載した移管指針は2024年7月1日以後適用する。 「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)10項にかかわらず、「移管指針の適用」別紙に記載した移管指針の適用は会計方針の変更に関する注記を要しない。 (了)

#阿部 光成
2024/07/03

《速報解説》 国税庁、令和6年分の路線価及び能登半島地震に係る調整率表を公表~コロナ禍後の訪日客増加等に伴い全国平均路線価上昇~

《速報解説》 国税庁、令和6年分の路線価及び能登半島地震に係る調整率表を公表 ~コロナ禍後の訪日客増加等に伴い全国平均路線価上昇~   Profession Journal編集部   令和6年7月1日、国税庁は令和6年分の路線価(令和6年1月1日時点)を公表した。路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額であり、相続税及び贈与税の算定基準となる。 令和6年分の全国平均路線価は前年比で2.3%の増加となり、3年連続の上昇となった。 コロナ禍の影響を最も受けた令和3年分の全国平均路線価は下落に転じたものの、令和4年分・5年分は上昇し、昨年3月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行した後は、インバウンド(訪日客)もコロナ禍前の水準に近づいたことで、令和6年分の上昇が顕著なものとなった。 インバウンドの影響を大きく受けた長野県白馬村は、税務署ごとの最高路線価の上昇率で1位となり、前年比32.1%の増加となったほか、上昇率2位となった熊本県菊陽町は、台湾の半導体メーカーの進出等を背景に前年比24.0%の増加となっている。 なお、各国税局における令和6年分の国税局管内各税務署の最高路線価は以下のとおり公表されている。 〈各局が公表した最高路線価(別表)のページ〉 また、都市部においては上記のインバウンドの増加に加え、コロナ禍で落ち込んだオフィス需要が回復傾向にあることや継続するマンション需要に支えられ、三大都市圏の平均路線価は前年比で東京5.3%、愛知3.2%、大阪3.1%上昇している。ちなみに今年も地点別路線価の最高額となったのは、東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前で、1平方メートルあたり4,424万円(前年比3.6%増加)となった。今回で39年連続全国路線価トップとなっている。 なお、国税庁は令和6年分の路線価の公表と同日に、令和6年能登半島地震の被災地の路線価に適用する「調整率」も明らかにしている。 令和6年能登半島地震に係る調整率は、令和5年2月28日から令和6年12月31日までの間に相続等により取得した特定地域(※)内にある土地等及び令和5年1月1日から令和6年12月31日までの間に贈与により取得した特定地域内にある土地等の価額を計算するために用いる。 (※) 令和6年3月25日現在、新潟県全域、富山県全域、石川県全域が該当。 被災者の相続税及び贈与税の負担を軽減することができるため、特定地域内の土地等を実務等で取り扱う場合には相続・贈与時期などを確認のうえ、該当する場合は調整率の適用を失念することがないよう留意したい。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2024/07/02

《速報解説》 国税庁、電子帳簿保存法の一問一答を改訂~電子取引関係に6問新設~

 《速報解説》 国税庁、電子帳簿保存法の一問一答を改訂 ~電子取引関係に6問新設~   Profession Journal編集部   令和6年6月28日、国税庁から「電子帳簿保存法一問一答」の改訂が公表された。前回の改訂から約1年ぶりとなる。 電子帳簿保存法一問一答は上記のとおり3つに分けられているが、今回それぞれが改訂されており、中でも【電子取引関係】は一部修正に加えて6つの設問が追加されている(【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】及び【スキャナ保存関係】は、設問の追加なし)。 この追加された設問のうち「問2-2」、「問9-2」、「問27-2」、「問40-2」、「問40-3」の5問は「お問合せの多いご質問(令和6年3月)」を反映したものとなっているほか、残りの1問である「問69」は大阪国税局から公表された令和6年3月19日付の文書回答事例を反映したものと思われる。 なお、上記のうち「問27-2」では、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子データ)と書類(紙)が取引において混在しており、電子データ自体の保存は電子帳簿保存法上の保存要件に沿って適切に対応しているが、電子メール等一定の電子データについては経理事務の便宜のため、書面に印刷してその他の書類と一緒にファイルに綴り整理しているケースについて問題ないかとの問いに対し、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録を削除せず、電子帳簿保存法の保存要件に沿って保存した上で、当該電磁的記録を書面に出力し、その他の書類と一緒に整理することは、問題ありません」と回答している。 (了)

#Profession Journal 編集部
2024/07/02

《速報解説》 会計士協会が「2024年度品質管理レビュー方針」を策定~「会計上の見積りの監査」に係る指摘事項等を記載した昨年度の事例解説集も公表~

《速報解説》 会計士協会が「2024年度品質管理レビュー方針」を策定 ~「会計上の見積りの監査」に係る指摘事項等を記載した昨年度の事例解説集も公表~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024年6月28日、日本公認会計士協会は、次のものを公表した。 これらは、監査法人又は公認会計士が行う監査の品質管理の状況をレビューする制度(品質管理レビュー制度)に基づくものであり、基本的な対象は、監査法人又は公認会計士である。 しかしながら、これらに記載されている内容については、一般の事業会社における会計処理等にも関連するものがあり、実務の参考になるものと考えられる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 2024年度品質管理レビュー方針 1 レビュー方針 2022年5月の公認会計士法の改正により、上場会社等の監査について、法律上の登録制が導入されており、登録の審査のためのレビュー又は通常レビューにおいて、上場会社等の監査を行う監査事務所としての適格性の確認を行い、上場会社等の監査を行う上で求められる業務管理体制の整備についても確認するほか、品質管理システムの整備及び運用状況について重要な不備事項の要因の領域及び項目の具体例を明確化し、前年度に引き続き、高い規律付けの一環として、新たな目線で、品質管理レビューを実施する。 2 当年度の重点的実施項目 重点的実施項目とは、監査事務所における品質管理システムの構成要素のうち、特定の部分及び特定の監査手続等を示し、品質管理レビューにおいて必ず確認し、必要に応じて指導するものである。 当年度の品質管理レビューにおける重点的実施項目は次のとおりである。   Ⅲ 2023年度 品質管理レビュー事例解説集Ⅰ部・Ⅱ部 1 品質管理レビュー事例解説集Ⅰ部 「会計上の見積りの監査」に関して、下記に関する指摘事項が記載されている。 2 品質管理レビュー事例解説集Ⅱ部 例えば、次のような事項が指摘されている。 (了)

#阿部 光成
2024/07/02

《速報解説》 経産省、企業情報開示のあり方について課題と今後の方向性をまとめた中間報告を公表~持続的な企業価値向上に資する2つのイメージ案示す~

《速報解説》 経産省、企業情報開示のあり方について 課題と今後の方向性をまとめた中間報告を公表 ~持続的な企業価値向上に資する2つのイメージ案示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2024年6月25日、経済産業省に設置された企業情報開示のあり方に関する懇談会は、「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」を公表した。 これは、有価証券報告書、コーポレート・ガバナンスに関する報告書及び統合報告書などの日本企業の情報開示について、その課題と将来の方向性について検討したものであり、多岐にわたる意見が記載されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 企業情報開示の体系に関する課題 次の事項が課題として述べられている。   Ⅲ 新たな情報開示のあり方に関するアイデア等 1 2つのイメージ 「持続的な企業価値向上に資する企業情報開示の姿」とはどのようなものかについて議論を行い、次の2つの案が議論されている。 図を用いてイメージが示されている。 2 イメージ案1・2に共通するポイント イメージ案1・2に共通するポイントとして、次の事項が記載されている。 (了)

#阿部 光成
2024/07/01

《速報解説》 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例について「質疑応答事例」(資産課税課情報第10号)が公表される~建物の想定価額や被災価額の計算例、承認申請書の記載例も~

 《速報解説》 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例について 「質疑応答事例」(資産課税課情報第10号)が公表される ~建物の想定価額や被災価額の計算例、承認申請書の記載例も~   Profession Journal 編集部   令和5年度税制改正で創設された「相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例(措法70の3の3)」は令和6年1月1日以後に災害により被害を受けた場合から適用が開始されているが、国税庁は6月26日に、本制度に関する質疑応答事例を公表した(資料日付は6月20日)。 本特例は、相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与(死因贈与を除く)により取得した「土地又は建物」が、災害によって一定の被害を受けた場合、所轄税務署長への申請を行い承認を受けることで、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算される土地又は建物の金額を、贈与時の価額から、災害により被害を受けた部分に対応するものとして計算した金額(被災価額)を控除した残額とすることができるもの。 上述の通り本特例は、令和6年1月1日以後に災害によって相当の被害を受けたことなど一定の要件を満たす場合に適用されるため、令和5年12月31日以前の贈与により取得した土地・建物も含まれ、また令和6年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」も適用対象とされる。 本特例の適用にあたっては、贈与価額から控除される「被災価額」の計算が必要であり、また被災割合(10%以上の要件)を確認するため被災財産が建物の場合に「想定価額(災害発生日における建物の想定上の価額)」の計算も必要になる。さらに贈与財産の種類や贈与時期等、様々なケースも考えられよう。 このため今回公表された質疑応答事例では、冒頭で制度の概要や適用要件について解説された後、下記のようにその紙面の多くを計算例が占めている。 また、他制度との重複適用の可否についても、災害減免法(問2-5)、特定土地等に係る相続税の特例(措法69 の6)(問7-2)、個人版事業承継税制(措法70の6の8)(問7-3)において、それぞれ解説されている(災害減免法のみ重複適用不可))。 さらに問6-1以降では本特例の適用手続が取り上げられており、巻末には申請に必要な「災害により被害を受けた場合の相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する承認申請書」の記載例が搭載されている。 なお本特例は、対象となる財産が土地又は建物に限定されており、借地権などの土地の上に存する権利は含まれていない等の制約はあるものの、対象となる災害は「震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び火災、鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害」(措法70 の3の3①、措令40 の5の3①)と規定されるのみで、純損失・雑損失の繰越控除の特例(3年→5年)とは異なり、「特定非常災害」には限定されていない。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#Profession Journal 編集部
2024/06/27

プロフェッションジャーナル No.575が公開されました!~今週のお薦め記事~

2024年6月27日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.575を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2024/06/27
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