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《速報解説》 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」公表を受け、監査委員会報告第66号・第70号が廃止へ~早期適用のケースを除きH28.4.1前開始分は第66号を適用~

《速報解説》 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」公表を受け、 監査委員会報告第66号・第70号が廃止へ ~早期適用のケースを除きH28.4.1前開始分は第66号を適用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ 主な内容 平成28年1月19日付で、日本公認会計士協会は、次の監査委員会報告について廃止すること公表した。 これは、企業会計基準委員会から「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)が公表されたことを受けた対応である。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 適用時期 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)の適用時期は次のとおりである。 このため、前述の監査委員会報告の廃止についても、次の適用時期が規定されているので、注意が必要である。 (了) ↓関連記事↓

#No. 153(掲載号)
#阿部 光成
2016/01/25

プロフェッションジャーナル No.153が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年1月21日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.153を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/01/21

日本の企業税制 【第27回】「平成28年度税制改正における国際課税関係の概要」

日本の企業税制 【第27回】 「平成28年度税制改正における国際課税関係の概要」   一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部 泰久     1 はじめに 昨年10月のBEPS最終報告を受けて、今後、わが国でも関係法制の整備が進められていくが、平成28年度税制改正では、まず行動13:移転価格税制に係る文書化に対応した制度が整備される。 また、国交のない国との間での租税条約に相当する枠組みとして、民間ベースの日台租税取決めを国内で実施するための措置がなされる。 このほか、外国子会社合算税制の見直しなどもなされており、本稿では、平成28年度税制改正における国際課税関係の改正を整理することとしたい。   2 移転価格税制に係る文書化 与党大綱では、BEPSプロジェクトが、 とした上で、 とされており、今回の改正では行動13に基づく移転価格税制に係る文書化制度が整備される。 (1) 国別報告事項 多国籍企業グループの最終親事業体である内国法人等は、当該多国籍企業グループが事業を行う国ごとの収入金額、税引前当期利益の額、納付税額その他必要な事項(国別報告事項)を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととされ、平成28年4月1日以後に開始する最終親事業体の会計年度に係る国別報告事項について適用される。 (2) 事業概況報告事項(マスターファイル) 多国籍企業グループの構成事業体である内国法人等は、当該多国籍企業グループの組織構造、事業の概要、財務状況その他必要な事項(事業概況報告事項)を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととされ、平成28年4月1日以後に開始する最終親事業体の会計年度に係る事業概況報告事項について適用される。 (3) 独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル) 国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(電磁的記録を含む)を確定申告書の提出期限までに作成し、原則として、7年間保存しなければならないこととされ、平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される。 【移転価格税制に係る文書化制度の概要】(財務省資料より一部改変) ※画像をクリックするとPDFが開きます   3 日台民間租税取決め 日本の対外貿易額で台湾は第4位、台湾から見て日本は第3位の貿易相手国であるが、国交のない台湾との関係に関する日本の基本的立場は、非政府間の実務関係として維持するというものであることから、台湾との間では、国家間レベルでの約束である租税条約を締結することができない。 そこで、台湾との間で租税条約に相当する枠組みを構築するために、まず民間ベース(日本側:公益財団法人交流協会、台湾側:亜東関係協会)との間で、「日台民間租税取決め」を締結し(2015年11月26日に署名)、台湾においてわが国の居住者又は内国法人に対して同様の権利が認められること(相互主義)を条件として、その内容を日本国内で実施するための国内法を整備することとされた。 「日台民間租税取決め」の内容は、双方居住者の振分けルール、台湾居住者等の事業所得に対する所得税又は法人税の非課税、相互協議、情報交換など、わが国が他の先進国との間で締結している租税条約に準じたものとなっている。 また、利子・配当・使用料への源泉地課税は以下のようになる。   4 外国子会社合算税制等の見直し (1) 適用除外基準の適用方法の見直し 損害保険会社が英国ロイズ市場で事業を行うためには、英国ロイズ法に従った組織形態として2つの法人(資金提供会社と管理運営会社)を設立しなければならない。 このため、英国ロイズ市場で活動する我が国の損害保険会社の英国子会社である資金提供会社と管理運営会社は、法人を区分しない場合には適用除外基準を満たす場合であっても、それぞれの法人で判定することとなる。 その結果、英国が2017年4月から法人税率を19%へ引き下げた場合には、適用除外基準を満たさないこととなり外国子会社合算税制の対象となる。 そこで、ロイズ市場において保険業を営む特定外国子会社等の適用除外基準の適用方法について、以下のような改正がなされることとなった。 (2) 検討課題 平成28年度改正では、現行制度をもとに上記の技術的な改正とされたが、BEPS最終報告(行動3:外国子会社合算税制の強化)では、わが国の現行制度である事業体アプローチではなく、所得の性格に応じて合算対象を定める仕組みを国際標準としており、わが国の制度を根本から見直す必要がある。 与党大綱の検討課題では とされており、早ければ平成29年度税制改正で、抜本的改正がなされることになるものと思われる。   5 その他 (1) 店頭デリバティブ取引に係る証拠金の利子の非課税制度の拡充 デリバティブ取引に係る証拠金規制の国際的な議論に基づく内閣府令の改正に合わせて、店頭デリバティブ取引とそれに付随する一定の取引(例えば、店頭商品デリバティブ取引、先物外国為替取引等)を一体のものとして証拠金の計算・授受が行われている場合には、当該一定の取引を非課税制度の対象となる取引に含めることとされる。 (2) 振替社債等の利子等の非課税制度の適用期限の延長 非居住者又は外国法人が支払を受ける特定振替社債等の利子等については、非課税適用申告書の提出等を要件として、所得税が課されないこととされているが、特定振替社債等のうちイスラム債(振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権)、及びレベニュー債(東日本大震災復興特別区域法に規定する特定地方公共団体との間に完全支配関係がある内国法人が発行する利益連動債であって地方公共団体が債務保証をしないもの)の利子等については、平成28年3月31日までに発行されたものに限るとされている。 そこで、イスラム債及びレベニュー債の利子等の非課税制度の適用期限が3年間延長され、平成31年3月31日までとされる。 (3) 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施 平成26年度税制改正で措置された国際課税原則の帰属主義への変更(平成28年4月1日施行)を円滑に実施するため、次の措置が講じられる。 (了)  

#No. 153(掲載号)
#阿部 泰久
2016/01/21

平成27年分 確定申告実務の留意点 【第2回】「平成27年分の申告から取扱いが変更となるもの②」

平成27年分 確定申告実務の留意点 【第2回】 「平成27年分の申告から取扱いが変更となるもの②」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   【第2回】は、前回に引き続き平成27年分の申告から取扱いが変更となるものを取り上げ、解説する。 (1) 国外転出時課税制度の創設 ① 制度の概要 平成27年度税制改正において、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例(所法60の2)」及び「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例(所法60の3)」が創設された。 一定の居住者(※1)が、有価証券等(※2)や未決済信用取引等(※3)(以下、「対象資産」という)を1億円以上所有等(※4)している場合には、次の(ア)から(ウ)に該当する時に対象資産の譲渡や決済があったものとみなし、含み益に所得税が課されることとなった(所法60の2、60の3、所令170、170の2)。 したがって、本特例の適用の対象となる場合には、次の(ア)から(ウ)の時に、対象資産の譲渡等があったものとして譲渡所得等の金額を計算し、確定申告書を提出、所得税を納付することが必要となる。 【イメージ】 (※) 国税庁ホームページより この特例は、平成27年7月1日以後の国外転出や非居住者に対する贈与、また、同日以後に非居住者が相続人や受遺者となる相続や遺贈があった場合に適用される。 ② 申告の時期 ③ 譲渡又は決済したものとみなす金額 ④ 納税の猶予 本特例の適用については、一定の手続を行うことにより、国外転出の日(贈与の日、相続開始の日)から5年を経過する日まで納税が猶予される(所法137の2①、137の3①②)。ただし、納税猶予期間については、利子税を納付する義務が生じる。 納税の猶予を受けるために必要な手続は、以下のとおりである。 ⑤ 納税の猶予の延長 納税の猶予に係る期限は、届出を行うことにより10年を経過する日までとすることができる(所法137の2②、137の3③)。 猶予期限を延長したい場合には、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等に係る納税猶予の期限延長届出書」を国外転出の日(贈与の日、相続開始の日)から5年を経過する日までに所轄税務署長へ提出することが必要である。 なお、国外転出時課税制度の詳細については、国税庁から公表されている下記ホームページが参考となる。 また、確定申告に必要な書式や届出書については、国税庁の下記ホームページにまとめて提供されている。   (2) 財産債務明細書の名称変更と制度の見直し 「財産債務明細書」の名称が「財産債務調書」に変更され、提出基準と記載事項について見直しが行われている(国外送金法6の2、国外送金令12の2、国外送金規15)。 この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書に適用されるため、平成27年分の確定申告実務にも影響がある(改正法附則101②)。 明細書に記載する財産のうちに価額の算定が難しい土地や未上場株式が含まれる場合には、事前の準備が必要であると考えられる。 〈見直しの概要〉   (3) その他 前回と今回で取り上げたものの他、平成27年分の確定申告実務に影響のある租税特別措置法の改正事項のうち、主なものを列挙する。 改正内容の概要については、国税庁から公表されている下記パンフレットをご参照いただきたい。 *  *  * 次回以降は、実務上判断に迷う事項や質問を受けることが多い事項について、Q&A方式で解説を行う予定である。 (了)

#No. 153(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/01/21

マイナンバーの会社実務Q&A 【第2回】「入社時の書類」

マイナンバーの会社実務 Q&A 【第2回】 「入社時の書類」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   〈Q〉 従業員が入社した際に作成する行政手続書類のマイナンバー対応について教えてください。   〈A〉 従業員が入社した際に作成する行政手続書類のマイナンバー対応は、以下の(1)~(4)の通りである。   (1) 平成28年分 給与所得者の扶養控除等申告書 〈提出時期〉 入社後最初の給料支給日の前日までに従業員が会社へ提出する。提出を受けた会社は、社内で7年間保管する。 〈法人番号〉 記載必要。会社は、法人番号が空欄の扶養控除等申告書を従業員へ渡し、従業員から扶養控除等申告書を受領した後、法人番号を図表1の青枠内に記載する。ただし、会社は、あらかじめ法人番号を記載した扶養控除等申告書を従業員へ渡してもかまわない。 〈個人番号〉 記載必要。図表1の赤枠内に記載する。従業員が個人番号の記載を拒否し、個人番号を記載せずに会社へ提出した場合であっても、税金の計算上は影響ない。 例えば、給料計算の際、控除対象配偶者の個人番号を記載していなくても扶養親族1名として源泉所得税を算出する。 例外として、以下の①~③のすべてに該当する場合は、扶養控除等申告書に個人番号を記載しなくてもかまわない(源泉所得税関係に関するFAQ Q1-9)。 図表1 平成28年分 給与所得者の扶養控除等申告書 ※画像をクリックするとPDFが開きます   (2) 雇用保険被保険者資格取得届 〈提出時期〉 入社日の属する月の翌月10日までに会社がハローワークへ提出する。 〈法人番号〉 記載不要。 〈個人番号〉 記載必要。図表2の赤枠内に記載する。従業員が個人番号の記載を拒否し、個人番号を記載せずにハローワークへ提出した場合であっても、ハローワークは受理する。ハローワークから個人番号の届出を督促されることはない。 後日、個人番号を取得できた場合は、個人番号を個人番号登録・変更届出書(図表3)の赤枠内に記載し、ハローワークへ提出する。 図表2 雇用保険被保険者資格取得届 図表3 個人番号登録・変更届出書   (3) 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 〈提出時期〉 入社日から5日以内に会社が年金事務所へ提出する。 〈法人番号〉 記載不要。 〈個人番号〉 記載不要。   (4) 健康保険被扶養者届(扶養親族がいる場合のみ) 〈提出時期〉 入社日から5日以内に会社が年金事務所へ提出する。 〈法人番号〉 記載不要。 〈個人番号〉 記載不要。 (了)

#No. 153(掲載号)
#上前 剛
2016/01/21

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第4回】「売上計上漏れ」~100万円の入金が「X社の」「当事業年度の」「売上の」入金であると判断した理由は?~

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第4回】 「売上計上漏れ」 ~100万円の入金が「X社の」「当事業年度の」「売上の」入金であると判断した理由は?~   中央大学大学院商学研究科 博士後期課程 (酒井克彦研究室所属) 泉 絢也   今回は、青色申告法人X社に対して行われた売上計上漏れ(損害賠償請求権に係る雑収入計上漏れ)を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成23年2月8日裁決(裁決事例集82号117頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。 1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記) (注) 本裁決の事案における実際の理由付記の一部を筆者が加工している。 なお、ウの部分に係る理由付記の十分性については次回で検討するため、今回は、ア及びイの部分に係る理由付記の十分性について検討する。   2 本件理由付記から読み取ることができる関係図と仕訳 (1) 関係図 【X社の処理】 【本件更正処分】 (2) 仕訳   3 本裁決の判断 本裁決は、次のとおり、理由付記に不備はないと判断した。 (1) 求められる理由付記の程度 (2) 理由付記の十分性   4 私見 (1) 求められる理由付記の程度 本件更正処分の理由(ア及びイの部分に限る)は、売上計上漏れである。したがって、課税庁(原処分庁)は、X社が帳簿書類に売上として計上していない100万円を、X社の当事業年度の売上と認定して更正処分を行ったことになる。 そうであれば、売上として計上していないことの否認という広い意味において、X社の帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合に該当するものと考える(この点については、最高裁昭和38年12月27日第二小法廷判決・民集17巻12号1871頁、最高裁昭和54年4月19日第一小法廷判決・民集33巻3号379頁など参照)。 したがって、理由付記の程度としては、 ことになる(最高裁昭和60年4月23日第二小法廷判決・民集39巻3号850頁等参照)。 (2) 理由付記の十分性 次のとおり、本件理由付記(ア及びイの部分に限る)は、法の求める理由付記として十分なものであると考える。 このような疑問や問題点はあるものの・・・ *  *  * 次回は、冒頭に記した本件理由付記のうち、ウの部分(損害賠償請求権に係る雑収入計上漏れ)について検討する。 (了)

#No. 153(掲載号)
#泉 絢也
2016/01/21

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第43回】「ヤフー・IDCF事件」

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第43回】 「ヤフー・IDCF事件」   公認会計士 佐藤 信祐   平成26年11月5日にヤフー事件の控訴審判決が下され、平成27年1月15日にIDCFの控訴審判決が下された。 いずれとも、本連載の【第1回】から【第15回】までで解説した原審の判断をそのまま踏襲しているが、やや注目に値すべき点もあるため、本稿では、控訴審判決の解説を行うこととする。   29 ヤフー・IDCF事件控訴審判決 (1) ヤフー事件控訴審判決(TAINSコード:Z888-1889) 東京高裁は東京地裁の判断をそのまま踏襲しているが、 と補正している点は注目に値する。 すなわち、太田洋弁護士が、 と指摘されているように、東京高裁は、「事業目的が税目的を上回っている場合」に「趣旨・目的に反することが明らかである」場合に該当することがあり得るとまではしていないと考えられる。 すなわち、実務上は、従来の経済合理性基準を保守的に考え、わずかな事業目的を主張するのではなく、事業目的が税目的よりも優越していると主張したとしても、ほとんど結論は変わらないということなる。 (2) IDCF控訴審判決 東京高裁は東京地裁の判断をそのまま踏襲しているが、 としている点が非常に興味深い。 すなわち、包括的租税回避防止規定が適用される範囲を、「取引が経済的取引として不合理・不自然である場合」だけでなく、「組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるもの」も含まれるとしながらも、事業上の目的のない手法により、適格外しを行ったと認定していることから、結局のところ、従来の経済合理性基準に基づいて判断したとしても同じ結論になるからである。 (3) 総括 このように、第一審判決が公表された時点ではかなり注目を浴びた事件であったが、控訴審判決を見てしまうと、今までの経済合理性基準との違いがほとんど分からない結果になっている。 包括的租税回避防止規定が適用される範囲を,「取引が経済的取引として不合理・不自然である場合」だけでなく、「組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるもの」としていることから、アカデミックにはかなり意味のある事件であり、今後、租税法学者の研究が進められていくと思われる。その際には、ドイツの一般的否認規定などが参考になっていくであろう。 これに対し、実務上、個別の事例に当てはめてみると、制度趣旨を踏まえたうえで経済合理性の判断をすれば足りる。さらに、事業目的の存在を主張するとしても、わずかな事業目的を主張するのではなく、事業目的が税目的よりも優越していると主張する必要がある。 しかしながら、本事件が公表される前であっても、ほとんどの税務専門家はそのような理解をしていたはずであり、「事業目的があればよい」といった判断までには至っていなかったはずである(注2)。 (注2) 佐藤信祐『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』12頁(中央経済社、平成21年) それが故に、ヤフー・IDCF事件の第一審判決が公表された時点では、ミーティングでも質問されることが多くなっていたが、組織再編税制に対する実務が変わったという印象は受けない。さらに、控訴審判決が公表された後は、やや慎重な対応をする傾向にはなっているものの、かつてほどの話題にはなっていない。 ヤフー・IDCF事件における事実認定の箇所はやや不満が残るが、全体的には、それなりに納得感のある判決になったのではないかと思われる。 *   *   * 次回では、日本IBM事件控訴審判決について解説を行う予定である。  (了)

#No. 153(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/01/21

税務判例を読むための税法の学び方【74】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その2:武富士事件②)

税務判例を読むための税法の学び方【74】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その2:武富士事件②)   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   前回に続き、武富士事件について見ていく。 3 検討事項 (1) 高裁判決との比較 高裁判決では、日本に住所があると認定して国側の主張を認めている。 では、何が判断を分けたのであろうか。 まず原審である高裁判決を入手し、読んでいただきたい。 ここでは「法令において人の住所につき法律上の効果を規定している場合、反対の解釈をすべき特段の事由のない限り、その住所とは、各人の生活の本拠を指すものと解するのが相当であり(略2)、生活の本拠とは、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものである(略3)。そして、一定の場所が生活の本拠に当たるか否かは、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の存否、資産の所在等の客観的事実に、居住者の言動等により外部から客観的に認識することができる居住者の居住意思を総合して判断するのが相当である。なお、特定の場所を特定人の住所と判断するについては、その者が間断なくその場所に居住することを要するものではなく、単に滞在日数が多いかどうかによってのみ判断すべきものでもない(略4)」と判示し、住所の判断には「客観的事実に、・・・居住者の居住意思を総合して判断するのが相当」と法命題を示している。 この点、最高裁は住所の判断には「客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべき」としており、「居住者の居住意思」を住所の判断に加えるか否かという点で両者に相違があり、判断が分かれることになった。 (2) 事実認定過程において示された法令解釈の射程 この判決の事実認定が、事実上法令解釈であったことを先に記したが、その法令解釈を抽象化すると、どのようなことが言えるであろうか。 まず1つ目の、住所の判定において、「贈与税回避の目的」を考慮に入れるべきか否かという点について、これを住所の判定には無関係としたことである。この点を抽象化すれば、実体の有無の判断に当たっては「税回避の目的」があったとしても、それは無関係であるということになるが、それがこの判決の射程として言えるかどうかという点である。 次いで、「住所」概念について借用概念統一説に依るべきことが示されている。このことからは、他の場合にも借用概念統一説に依るべきということになるが、それがこの判決の射程として言えるかどうかという点である。 これらは、事実認定の過程で行われたものであり、厳密な意味での「判例」ではない。判決のプロセスとして、これらの解釈を一般的法命題に含んで判示することも可能であったはずであるが、そのような構造で判決を示していないということから、この点については最高裁の「判例」とはしないという意思が読み取れるという見方もできる。 もっとも、民訴法や裁判所法での「判例」には当たらないとしても、全くこの考え方を無視してよいことにはならないはずである。判断過程は事案独自の個別の問題ではないのであるから、上記抽象化した考え方、すなわち判断の原理・原則を他の事案にも適用しうることになる。もし理由なく適用しない場合には、最高裁判所の判断の原理・原則が事案によって異なることになり、論理の一貫性を欠くことになるからである。 したがって、民訴法や裁判所法での「判例」ではないとしても、原則、実体の有無の判断に当たっては「税回避の目的」があったとしても、それは無関係に判断すべきである。また同様に、民法等の他の法例に基礎を置く概念、すなわち借用概念の解釈に当たっては、原則、統一説によるべきこととなるものと思われる。 (3) 先行判例の検討 最高裁・高裁共に判決の中で、多くの先行判例(ただし税法の判例ではない)を引用・参照している。前回分も含め、判決の中で、「(略1)~(略4)」としたものがそれである。 そこで、これら先行判例を確認し、両判決への影響を検討する。 ここでその省略した部分を記載すると、次のとおりである。 以下、これらの判決について見ていこう。 (4) 先行判例からの高裁判決の検討 上記事案から「生活の本拠」が住所となる点に異論はないが、その意味として理解しやすい判示が③で述べる「その人の生活にもっとも関係の深い一般的生活、全生活の中心をもってその者の住所と解すべく」であろう。 ところで主観的意図が含まれるか否かという点については、②では「前記の場所を住所にしようとする意思があったかも知れないが・・・」とこれを否定している。また④においては「住所所在地の認定は各般の客観的事実を綜合して判断すべきもの」と客観的事実の総合判断としており、主観的要素は含まれていない。 高裁は、(略2)で上記①を、(略3)で上記③を、(略4)上記④を引用しているが、先行判例とは全く異なる判断を下している。 もっとも、主観的要素を考慮すべきという先行判例はないわけではない。上記③事件の原審、大阪高裁昭和34年10月16日判決は、「C市において飲食店を経営し、翌年6月以降同営業所で金融業を兼営していること、右飲食店の運営に従事する同人の妻が主として同営業所に宿泊していること、A町の住家が同年2月以来送電を中止され、何人も住んでいないことは、被告の認めるところであるが、後段認定の事実をも考慮に入れて判断するのに、右事実からはBの住所がC市に移ったと見るのは早計である。すなわち住所は人の生活の中心となる本拠であって、右営業的活動の如きは人の社会活動の一部にすぎず、結局それが問題の人の生活の中心的重要部分を占めその本拠が生活全般の本拠となるか否かは、その人の生活の全般の客観的事情に主観的意思をも考慮して決すべきところ」と判示している。しかし、この判決の最高裁においても、原審で考慮事項とした「主観的意思」には一切触れていない。 これらの点から、「住所」には主観的要素は含まれないというのが判例の立場と言いえよう。 したがって高裁判決は、(結論の妥当性はともかく)論理的には問題がある判決と言えよう。 *  *  * 次回は、所得税法56条「生計を一にする親族」に関する基本的判例である、最高裁判所第一小法廷昭和51年3月18日判決(原審を含む)を取り上げる。 (続く)

#No. 153(掲載号)
#長島 弘
2016/01/21

〔経営上の発生事象で考える〕会計実務のポイント 【第1回】「自社の業績が不振の場合」

〔経営上の発生事象で考える〕 会計実務のポイント 【第1回】 「自社の業績が不振の場合」   仰星監査法人 公認会計士 田中 良亮     1 棚卸資産の評価 《解説》 通常、メーカーは製造コストを上回る価格で製品を販売することを前提として活動している。そのような場合には、貸借対照表に計上される棚卸資産の金額は、販売によって最低限回収されるべきコストを表していることになる。 液晶パネルの販売価格が急激に下落すると、製造コストを回収できない可能性があるため、期末時点において正味売却価額が取得原価(製造コストに引取費用等の付随費用を加算した金額)を上回っているか否かについて慎重に検討する必要がある。 なお、正味売却価額の算定方法は、期末前後での販売実績に基づく価額を用いることなどが考えられる。 【図1】   2 固定資産の減損 《解説》 事例のように業績が悪化した状況においては、固定資産に対する投資額の回収が見込めない可能性があるため、固定資産の減損について慎重に検討する必要がある。 固定資産の減損を検討するにあたり、まず固定資産のグルーピングを行う必要がある。 実務的には、管理会計上の区分や投資の意思決定(資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を含む)を行う際の単位等を考慮してグルーピングの方法を定めることになり(意見書四2(6))、企業ごとにグルーピングの方法を設定する。 液晶パネルの販売価格の急激な下落に伴い、業績が悪化しているグルーピングの単位(工場、営業所、事業部等)を把握し、【図2】のように減損会計のステップに従って、投資額の回収が見込めないほどの収益性の低下があるか否かについて慎重に検討する必要がある。 【図2】 減損会計のステップ なお、減損の兆候には【図3】のように4つの例示があり、事例の場合は①又は③に該当する可能性が高いと考えられる(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針11)。 減損の兆候がある資産又は資産グループについて、これらから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、投資額の回収が見込めないほどの収益性の低下があると判断され、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとなる。 資産又は資産グループに対する投資は、売却と使用のいずれかの方法によって回収されるため、回収可能価額は正味売却価額(資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算出される金額)と使用価値(資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額となる。   3 繰延税金資産の回収可能性 《解説》 繰延税金資産は、実務的には監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い(以下、「監査委員会報告第66号」という)」における会社区分に従って回収可能性を判断したうえで計上される(【図4】参照)。 【図4】 将来年度の課税所得の見積額による繰延税金資産の回収可能性の判断指針 今回のように大幅な赤字の計上を伴いながら業績が悪化している状況においては、会社区分が③から④への変更もしくは④から⑤への変更の可能性があるため、会社の状況に応じて期末時に繰延税金資産の回収可能性を見直さなければならない。   4 継続企業の前提に関する注記 《解説》 通常、企業は将来にわたって事業活動を継続するとの前提(以下、「継続企業の前提」という)を基礎とした一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成している。これは、財務諸表に計上されている資産及び負債は、将来の継続的な事業活動において回収又は返済されることが予定されているということである。 しかしながら、事例のように大幅な赤字を計上し、かつ、業績が悪化している状況においては、【図5】の財務指標関係の例示にあるような、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する可能性が非常に高い。 このような場合において、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、継続企業の前提に関する事項を財務諸表に注記することが必要となる。 なお、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策は、財務諸表作成時現在計画されており、効果的で実行可能なものでなければならない。 具体的には、売上高の著しい減少があるという状況に対しては、新製品の開発・発売による売上高の改善計画などが考えられる。 また、有価証券報告書を提出しなければならない会社は、「経理の状況」に継続企業の前提に関する事項を注記する必要がない場合でも、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合には、「事業等のリスク」や「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」にその旨や対応策等について具体的に、分かりやすく、かつ簡潔に記載しなければならない(企業内容等の開示に関する内閣府令 第三号様式 記載上の注意(13)(16))。   【検討事項のチェックリスト】 ~自社の業績が不振の場合~ ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (了)

#No. 153(掲載号)
#田中 良亮
2016/01/21

金融商品会計を学ぶ 【第18回】「デリバティブ取引」

金融商品会計を学ぶ 【第18回】 「デリバティブ取引」   公認会計士 阿部 光成   今回は「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)におけるデリバティブ取引について述べる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ デリバティブ取引の定義 デリバティブ取引は、契約上の期日に純額又は実質的に純額で、現金、その他の金融資産又はデリバティブを授受する権利もしくは義務が生じる契約である(金融商品実務指針218項)。 金融商品会計基準は、デリバティブ取引を、先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引及びこれらに類似する取引をいうとし、具体的な資産及び負債項目によって、適用範囲を示している(金融商品会計基準4項、52項)。 一方、金融商品実務指針は、デリバティブとは、次のような特徴を有する金融商品であるとしている(金融商品実務指針6項)。   Ⅱ デリバティブ取引の会計処理と時価 1 会計処理 デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は、原則として時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は、ヘッジに係るものを除いて、当期の純損益として処理する(金融商品会計基準25項、金融商品実務指針101項)。 ヘッジ会計を適用しているデリバティブ取引については、原則として、時価評価されているヘッジ手段に係る損益又は評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰り延べる方法による(金融商品会計基準32項)。 2 上場デリバティブ取引の時価 デリバティブ取引は、取引により生じる正味の債権又は債務の時価の変動により保有者が利益を得又は損失を被るものであり、投資者及び企業双方にとって意義を有する価値は当該正味の債権又は債務の時価に求められると考えられている(金融商品会計基準88項)。 時価の算定に関しては、次のことに注意する(金融商品実務指針101項)。 3 非上場デリバティブ取引の時価 取引所の相場がない非上場デリバティブ取引の時価は、市場価格に準ずるものとして合理的に算定された価額が得られればその価額とする(金融商品実務指針102項)。 合理的に算定された価額は、一般に、以下のいずれかの方法を用いて算定する。 なお、金融商品実務指針103項に、時価評価における留意事項が規定されているので、実務の適用に際しては、注意が必要である。 4 デリバティブ取引の認識 デリバティブ取引については、契約上の決済時ではなく契約の締結時にその発生を認識しなければならない(金融商品会計基準7項、55項)。 これは、金融資産又は金融負債自体を対象とする取引については、当該取引の契約時から当該金融資産又は金融負債の時価の変動リスクや契約の相手方の財政状態等に基づく信用リスクが契約当事者に生じることから、契約締結時においてその発生を認識するものである(金融商品会計基準55項)。   Ⅲ 公正な評価額を算定することが極めて困難と認められるデリバティブ取引の会計処理 非上場デリバティブ取引の時価評価に当たっては最善の見積額を使用するが、取引慣行が成熟していないため内容が定まっていない一部のクレジット・デリバティブ、ウェザー・デリバティブ等で公正な評価額を算定することが極めて困難と認められるデリバティブ取引については、取得価額をもって貸借対照表価額とする(金融商品実務指針104項)。 (了)

#No. 153(掲載号)
#阿部 光成
2016/01/21
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