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《速報解説》 金融庁より「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項について(平成28年3月期版)」及び「有価証券報告書レビューの実施について(平成28年3月期以降)」が公表~退職給付及びセグメント情報等に関する『適切ではない事例』を紹介~

《速報解説》 金融庁より「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項について(平成28年3月期版)」及び「有価証券報告書レビューの実施について(平成28年3月期以降)」が公表 ~退職給付及びセグメント情報等に関する『適切ではない事例』を紹介~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年3月25日、金融庁は次のものを公表した。 平成28年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たっては、これらに記載されている事項に特に注意し、適切に作成する必要があると考えられる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項 「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項について(平成28年3月期以降)」では以下の事項が述べられており、有価証券報告書の作成に際して注意が必要である。 1 新たに適用となる開示制度・会計基準に係る留意事項 平成28年3月期に新たに適用となる開示制度のうち、主なものは「企業結合に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正である(平成26 年3月28日公布)。 2 平成27年度有価証券報告書レビューを踏まえた留意事項 現在、実施中である平成27年度有価証券報告書レビュー(重点テーマ審査及び情報等活用審査)に関して、現在までに把握された事象を踏まえた留意すべき点として、次の事項を述べている(「別紙2」参照)。 平成27年3月期以降の重点テーマは、以下のとおりである。 ここでは、「審査結果」において確認された事例について、「適切ではない事例」として紹介する。また、「別紙2」では「留意すべき事項」として具体的な財務諸表等規則などの根拠規定が紹介されているので、実際に有価証券報告書を作成する際にお読みいただきたい。   Ⅲ 有価証券報告書レビューの実施について(平成28年3月期以降) 平成28年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書のレビューについては、次の内容で実施するとのことである。 1 法令改正関係審査 平成25年9月に公表された「企業結合に関する会計基準」等を踏まえて改正された連結財務諸表規則等に基づき適切な記載がなされているかどうかについて審査する。 「調査票」が添付されており、有価証券報告書の提出日後、所管の財務局等に提出することになる。 2 重点テーマ審査 重点テーマ審査は、特定の重点テーマに着目して審査対象となる会社を抽出し、当該会社に対して所管の財務局等が個別の質問事項を送付し、回答を受けることで(ヒアリングを行うこともある)、より深度ある審査を実施するものである。 平成28年3月期以降の重点テーマは、以下のとおりである。 3 情報等活用審査 上記の重点テーマに該当しない場合であっても、適時開示や報道、一般投資家等から提供された情報等を勘案して、所管の財務局等から、個別の質問事項が送付されることがある。 「平成27年度有価証券報告書レビュー(重点テーマ審査及び情報等活用審査)を踏まえた留意すべき事項」(別紙2)では、財務局等からの質問状には、次の観点も反映していると述べられており、本3月期の有価証券報告書の作成に際しても、下記の観点を十分に考慮し、開示の要否を判断すべきものと解される。 (了)

#No. 163(掲載号)
#阿部 光成
2016/03/28

《速報解説》 「公認会計士・監査審査会検査の実効性の向上」が公表~大手監査法人を中心とした検査に対する問題意識と今後の対応をとりまとめ~

《速報解説》 「公認会計士・監査審査会検査の実効性の向上」が公表 ~大手監査法人を中心とした検査に対する問題意識と今後の対応をとりまとめ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年3月24日、公認会計士・監査審査会は「公認会計士・監査審査会検査の実効性の向上~大規模監査法人を中心に~」を公表した。 これは、上場大企業において不正会計事案が発生するなどしていることから、検査の実効性の一層の向上を図ることを目的として、これまでの検査内容及び手法等について検討したものである。 「資料」として「審査会検査実施状況調査会議 調査結果報告について」があり、新日本有限責任監査法人に対して実施した検査(平成23事務年度と平成25事務年度の検査)の適切性について述べられている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 大手監査法人に対する検査 1 大手監査法人の監査状況 新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwCあらた監査法人で、①全上場会社の73%を監査し、②上場時価総額全体の92%を占めている(平成27年4月末時点)。 「平成27年度監査事務所等モニタリング基本計画」における大手監査法人に対する検査では、次の事項を検査することとなっている。 2 今後の対応 公認会計士・監査審査会の今後の対応として、次のことが述べられている。 (了)

#No. 162(掲載号)
#阿部 光成
2016/03/28

《速報解説》 会計士協会、「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)に係る実務指針及び要綱の改正(公開草案)を公表

《速報解説》 会計士協会、「監査人から引受事務幹事会社への書簡」 (コンフォート・レター)に係る実務指針及び 要綱の改正(公開草案)を公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年3月23日、日本公認会計士協会は次の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 これは、比較情報に関する監査基準の改訂や、平成26年8月における指定国際基準に準拠して作成した連結財務諸表等に係る監査報告書に関する企業内容開示府令等の改正、また、書簡に関連する実務動向等を踏まえた対応である。 意見募集期間は、平成28年4月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 書簡(コンフォート・レター)とは 募集又は売出しによる株式、社債等の引受審査に関連して、発行会社及び引受事務幹事会社が発行会社の財務諸表を監査した公認会計士又は監査法人から受領する「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)の制度がある(1項)。 書簡は、発行会社による新規証券の発行等に際して、発行会社及び引受事務幹事会社からの依頼に基づき、監査人が届出書等に記載された発行会社の財務情報及びその後の変動につき調査した結果を、引受事務幹事会社に報告するために監査人が作成する文書のことである(6項)。 2 公開草案 監査・保証実務委員会実務指針の主な改正内容は次のほか、書簡の文例や経営者確認書の文例の改正である。 「要綱」については、監査・保証実務委員会実務指針の反映と契約書のひな型の改正である。 (了)

#No. 162(掲載号)
#阿部 光成
2016/03/25

《速報解説》 ASBJにおける「マイナス金利に関する会計上の論点への対応等」審議について〔続報〕~金利スワップの特例処理の取扱いへの見解、減価償却に関する税制改正対応の検討状況を公表~

《速報解説》 ASBJにおける「マイナス金利に関する 会計上の論点への対応等」審議について〔続報〕 ~金利スワップの特例処理の取扱いへの見解、 減価償却に関する税制改正対応の検討状況を公表~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに マイナス金利に関する会計上の論点への対応については、既報の通り平成28年3月10日に公表された「第331回企業会計基準委員会の概要」で明らかとなったが、その後、3月23日に企業会計基準委員会が開催され、マイナス金利に関する会計上の論点への対応として「金利スワップの特例処理の取扱い」と、「減価償却に関する税制改正への対応」などについてさらに審議がなされ、翌24日、その内容が公表された。 本稿ではこの2項目について取り上げる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 金利スワップの特例処理 3月23日の企業会計基準委員会では「マイナス金利に関する会計上の論点への対応」が審議され、次のように「金利スワップの特例処理の取扱い」が述べられている。 次の検討が述べられている。   Ⅲ 減価償却に関する平成28 年度税制改正への対応 3月23日の企業会計基準委員会では「減価償却に関する平成28年度税制改正への対応」が審議され、次の論点について審議された。ただし、審議資料の「審議(3)」では、具体的な結論は記載されていない。 なお、本件については、会計処理に関する部分を含むため、日本公認会計士協会では特段のアナウンスメントをする予定はないと聞いていると記載されている。 審議資料では、①何らかの対応を図るべきとの意見と②対応を図ることは困難ではないかとの意見とが記載されている。 (了)

#No. 162(掲載号)
#阿部 光成
2016/03/25

《速報解説》 中小企業者を対象とした「軽減税率対策補助金」の内容が明らかに~改修等の内容によりA型・B型の2区分、税制改正法案成立後の改修等が支援対象~

《速報解説》 中小企業者を対象とした 「軽減税率対策補助金」の内容が明らかに ~改修等の内容によりA型・B型の2区分、税制改正法案成立後の改修等が支援対象   Profession Journal編集部   〇軽減税率対策補助金の専用ホームページが開設 消費税率10%の引上げをめぐっては、政府が有識者の意見を聞くなど未だ先行き不透明な状態だが、予定通り軽減税率制度が来年4月1日に導入されるとした場合、この制度に対応したレジ等のシステム導入・改修には1年以上の期間を要するケースもあり、対応が必要な企業にとっては待ったなしの状態だ。 特に中小企業や個人事業者ではシステム改修に係る資金面が不安視されるところ、このたび中小企業・小規模事業者が軽減税率に対応する一定のシステム改修等を行った際に支援される補助金(軽減税率対策補助金)の専用ページが開設され、その内容が明らかとなった。 上述の通り消費税率引上げの動きについては不透明感が増しているものの、軽減税率対策補助金の支援対象は、近いうちに国会での成立が見込まれる「所得税法等の一部を改正する法律案」の成立日から平成29年3月31日までに導入又は改修等が完了したものが支援対象となる。 現在はまだ補助金申請の受付は始まっていないが、その内容についてクライアント企業への周知を忘れないようにしたい。   〇軽減税率対策補助金は大きくA型とB型に区分 軽減税率対策補助金は、改修等の内容によって大きくA型とB型の2つに分けられる。それぞれの特徴をまとめると次のとおり。 (注意) 2016/4/4付け同ホームページにて、受発注システムの改修等支援のB-2型が、事前申請から事後申請に変更となった旨、記載されている。   〇A型は「複数税率対応レジの導入等支援」 まずA型は「複数税率対応レジの導入等支援」であり、レジの種類や複数税率への対応方法(導入or改修)によってさらに次のように、A-1型からA-4型の4種類に分けられる。 これらはレジ本体のほかに、レジ機能に直結する付属機器等(レシートプリンタ・キャッシュドロア・バーコードリーダー・決済端末及びリーダー・カスタマーディスプレイ・ルーター・サーバ)も合わせて補助対象となる。 それぞれの型において、補助額は1台あたり20万円が上限となるが、新たに行う商品マスタの設定や機器設置(運搬費含む)に費用を要する場合は、さらに1台あたり20万円(合計40万円)を上限に支援される。 補助率は原則として導入・改修費用の2/3だが、1台のみ機器導入を行う場合でかつ導入費用が3万円未満の機器については3/4、タブレット等の汎用端末については1/2と補助率が異なる。 なお、複数台数を申請する場合、1事業者あたり200万円が上限となる。   〇B型は「受発注システムの改修等支援」 A型よりも比較的規模の大きい改修として、取引先間での電子的な受発注システムを利用している事業者では、電子的受発注に必須となる商品マスタや、発注・購買管理、受注管理機能のうち、複数税率の対応に伴い改修・入替が必要となるものがある。これらの改修等支援がB型だ。 B型では、電子的受発注データのフォーマットやコード等の複数税率対応に伴う改修や、現在利用している電子的受発注システムから複数税率対応したシステムへの入替が補助対象となる。もともと電子的受発注システムを利用していない企業が新規導入するケースは対象外となっているが、取引先の要請等により新規導入する場合は補助対象となる。 補助上限額は、発注システム側・受注システム側の改修・入替ごとに異なり、(小売事業者等の)発注システムの場合の補助上限額は1,000万円、(卸売事業者等の)受注システムの場合の補助上限額は150万円で、両方の改修・入替が必要な場合の上限は1,000万円となる(補助率は改修・入替に係る費用の2/3)。   〇B型は指定事業者による代理店申請が原則 上記のように改修等の内容によって大きくA型・B型に分かれているが、その申請時期についても、A型は導入・改修後の申請、B型はシステム改修・入替前の申請が必要となる点が異なっている。 (注意) 2016/4/4付け同ホームページにて、受発注システムの改修等支援のB-2型が、事前申請から事後申請に変更となった旨、記載されている。 また、A型は一部販売店等による代理申請等が利用可能である一方、B型はシステムベンダー等の指定事業者による代理申請を原則としている(自らパッケージソフトを購入し導入した場合は除く)。 つまりB型は専門知識を必要とするシステムの改修・入替のため、「指定事業者による代理申請制度」が導入され、申請者に代わって、あらかじめ指定されたシステムベンダー等が申請手続を行うことになる。なお、この申請は、改修・入替に着手する前の「交付申請」と、改修・入替が完了した後の「実績報告」という2段階の制度となっている(補助金の交付決定以前に改修等の作業に着手した場合は、補助対象にならない)。 なお、上記専用ページにはレジメーカー・販売代理店・ベンダー向けのページが設けられ、A型・B型ともに、対象となる製品型番やサービス等の登録受付、B型の指定事業者の登録受付方法等が掲載されている。   〇軽減税率対応のためのシステム改修費の取扱いは? 上記補助金と合わせて、消費税の軽減税率に対応するためのソフトウェア・システム改修費が資本的支出に該当するのか修繕費に該当するのか、その取扱いが気になるところ。 中小企業庁が3月に公表した資料(消費税軽減税率(案)への対応について)によると、当該費用についてはソフトウェアの効用を維持するために行われる支出に該当するとして修繕費に該当、費用処理できる旨の取扱いの明確化を、国税庁に要請しているとのことだ。 (※) 中小企業庁ホームページより (了)

#No. 162(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/03/25

《速報解説》 東京国税局、包括受遺者への相次相続控除適用の可否に関する文書回答事例を公表~相続税法では相続人と包括受遺者を別の取扱いと判断~

《速報解説》 東京国税局、包括受遺者への相次相続控除適用の可否に関する 文書回答事例を公表 ~相続税法では相続人と包括受遺者を別の取扱いと判断~   税理士 齋藤 和助   1 はじめに 国税庁は、相続人以外の者が包括遺贈により財産を取得した場合における相次相続控除の適用の可否の事前照会について、平成28年3月3日付で、「貴見(相次相続控除は適用できない)のとおりで差し支えない」との回答を公表している(ホームページ公表日は3月18日)。 以下、その内容と実務上の留意点を確認する。   2 照会の趣旨 次の相続関係図において、乙の死亡による第一次相続については、甲がすべての財産を取得し、甲が申告と納付を行った。甲の死亡による第二次相続については、遺言により乙の甥・姪であるa及びbがすべての財産を取得することとされており、当該遺言に基づきa及びbが第二次相続に係る相続税の申告と納付を行うこととしている。 この場合、第二次相続におけるa及びb(包括受遺者)に対し、相次相続控除の適用が可能かどうかというものである。 (国税庁HPより)   3 相次相続控除(相続税法20条) 相次相続控除とは、第二次相続に係る被相続人が、第二次相続の開始前10年以内に開始した第一次相続により財産を取得したことがあるときは、第二次相続に係る被相続人から相続により財産を取得した者については、第二次相続に係る被相続人が第一次相続により取得した財産につき課せられた相続税額に一定の割合を乗じて計算した金額を控除できるとするものである。 この規定は、短期間のうちに相続が続いた場合、同じ承継財産に2回の相続税が課税されることになるため、この負担を考慮して設けられたものである。   4 包括受遺者 包括受遺者は民法990条において「包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する。」と規定されている。また、上記相次相続控除に規定する相続には「被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。」とされていることから、包括受遺者に対しても相次相続控除の適用が認められるのではないかという疑問が生ずる。 しかし、相続税法において、包括受遺者にも適用があるものについては「相続人(包括受遺者を含む)」と規定されており、相次相続控除(相続税法20条)にはこのような記載はないことから、相続人に限って認められることになる。   5 実務上の留意点 上記4のように、民法において包括受遺者は相続人と同一の権利義務を認められているものの、相続税法においては別々に取り扱われている。 したがって、相続人だけに適用のあるものと相続人と包括受遺者の双方に適用があるものを区別し、納税者に誤ったアドバイスをしないよう注意すべきである。 (了)

#No. 162(掲載号)
#齋藤 和助
2016/03/25

プロフェッションジャーナル No.162が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年3月24日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.162を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/03/24

山本守之の法人税“一刀両断” 【第21回】「土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第21回】 「土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物」   税理士 山本 守之   〔事 例〕   〔税務調査とその結果〕 A社は本年5月に税務調査を受け、建物除却損1,300万円は否認され、土地の取得価額に計上するように指導を受けました。 この場合に調査官が適用したのは、次のような通達(法人税基本通達7-3-6)でした。 この通達に関する解説(「法人税基本通達逐条解説」(国税庁課税部法人課税課課長補佐、税務研究会出版局))では次のように述べています。   〔通達の役割とその考え方〕 租税法律主義は、次のような内容によって構成されていると考えることができます。 このうち課税要件法定主義とは、課税要件のすべてと租税の賦課・徴収の手続は法律によって規定されなければならないとするものです。もとより、税を課すという行為は国民の財産権を侵害するものですから、国が恣意的に行うことはできず、必ず法律の根拠を必要とするというもので罪刑法定主義とともに近代民主主義の根幹を構成しています。 通達は、国家行政組織法に基づいて発せられるものでありますが、同法第14条第2項では、「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令または示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」としています。 課税要件明確主義において最も問題になるのはこの「通達」の存在です。 「通達」は各行政庁の長ごとのものがあり、上級官庁が下級官庁に発する命令であり、執行通達と解釈通達に区分されます。執行通達は行政における執行手続や行事要領等を定めるものですから、ここでは問題にしません。 租税法の上で問題になるのは、国税庁長官が発する解釈通達です。租税法の適用について各税務署は税務職員ごとにその解釈を異にすると課税の公平を保てないので、解釈の統一を図るために発せられるのが解釈通達です。 もちろん、通達は行政庁の下級官庁への命令ですから、国税庁長官の発する独自の租税法解釈権をもっているので、納税者は通達に拘束されません(昭和38.12.24、最高裁第三小法廷)。裁判所ももちろん通達に拘束されません(昭和35.8.2、東京地裁)。 事例で問題になっているのは、解説で「取得後おおむね1年以内に取壊しに着手した事実があればその土地を利用するために建物等を取得したとみる」と断定していることです。 気を付けなければいけないのは、通達はあくまで法令の解釈するために存在するのです。「規定ではない」ということです。 この段階で「おおむね1年以内」というのは法律規定ではなく、行政上の税務形式基準に過ぎません。 「税務形式基準」はその事実認定について、筆者は著書(『税務形式基準と事実認定』(中央経済社))で次のように述べています。   〔通達の問題点と形式基準〕 法人税法基本通達7-3-6では、法人が建物等の存する土地を建物等とともに取得した場合に、「その取引後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊し費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は、当該金額を控除した金額)は、当該土地の取得価額に算入する。」としています。 この取扱いは、「1年以内の取壊し」としていますが、これが土地の取得価額算入の要件なのか、それとも「当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であった」ことが要件なのかの判定が必要でしょう。 法人が建物等の存する土地をその建物等とともに取得した場合に、その建物等を利用する意思がなく、その土地に建物を新築する計画があった場合は、その法人が必要としていたのは土地だけです。 このため、法人税基本通達7-3-6では次のような事案があるときには、土地を利用するために建物を取得したものとみて、取壊し時の建物の帳簿価額と取壊費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額は控除する)を土地の取得価額に算入することとしています。 このうち、①は「当初から土地だけを利用する目的」と解されるでしょうが、検討すべきは②の場合です。 事例の場合は、土地の存する旅館用建物を事業の用に供することを目的としており、現に事業の用に供していたのですが、近隣に競争相手となる鉄筋コンクリート造のビジネスホテルが新築開業しA社の取得した木造の旅館では競争にならず、このまま放置すれば赤字経営が継続し、立ち直れなくなってしまうため「取得してから1年以内に旅館用建物を取り壊さざるを得なくなった」ということです。 重要なことは、②の「おおむね1年以内に取壊し」を1つの課税要件として租税法の解釈とすべきか、又は「おおむね1年以内に取壊し」は法人の取得目的を判定する場合の簡易な形式基準として置かれたものに過ぎないと考えるかです。 例えば、建物自体を利用する目的で取得し、現に建物を利用していたところ後発的理由によって1年以内に建物を取り壊さなければならなくなった場合は、当初から土地だけを利用する目的で取得したものではありませんから、ストレートにこの取扱い(法基通7-3-6)は適用すべきでないでしょう。 逆にいえば、1年経過後に建物を取り壊したとしても、当初から土地だけを利用することが明らかであれば、法人税基本通達7-3-6の取扱い(土地の取得価額に加算)が適用されるでしょう。   〔税務調査における反論のポイント〕 課税庁は、「取得してから1年以内の取壊し」を問題にするかもしれません。 しかし、法人税基本通達7-3-6を適用する場合の課税要件は、「・・・当初からその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは」ということであって、「1年以内の取壊し」は土地の利用目的を判定するに当たって、仮に置かれている形式基準に過ぎません。また、この場合の形式基準も課税要件として置かれているのではなく、土地の利用目的を判定する場合の便宜的な基準に過ぎません。 問題にしたいのは、市販されている質疑応答集であたかも「1年以内」が課税要件のように書かれていることです。 また、課税庁の担当者の解説書でも、「・・・その建物が1年以内に災害の発生その他後発的な理由により取壊しされたときは、その使用実態をふまえ、その除却損を土地の取得価額に算入しないことができると解されます。」(渡辺淑夫著『法人税基本通達の疑問点』(三訂版)294頁ぎょうせい)としています。 災害の発生という予測できない原因によって取り壊す場合には、もちろん後発理由になるでしょうが、事例のように、当初は建物を旅館として利用するために取得し、現にその目的で利用した後に、ビジネスホテルの開業という予期しない事態が出現し、このままでは経済的に割が合わないため、やむを得ず取り壊さなければならなくなった場合には、それが1年以内の取壊しであったとしても、土地等を利用するために取得したとして法人税基本通達7-3-6の適用をすることはありません。 通達で法解釈の基準となるべき数値―税務形式基準―(事例では「〇年以内の取壊し」)を定めることが許されるかという問題があります。 形式基準は実務や調査担当者にとっては真に便利なもので「この基準に従ってさえいれば税務調査において否認されることはない」と受け取られています。また、このような基準が存在することが税務執行の公正を維持することに役立っていると説く者もいます。 しかし、これらの基準はいずれも法令によって定められたものではなく、一方的に通達に書かれたものである場合は、「課税要件法定主義」に反します。 通達に示された「1年以内」は課税要件ではありません。あくまで、土地を利用するために取得したのか否かによって解釈すべきでしょう。 (了)

#No. 162(掲載号)
#山本 守之
2016/03/24

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例36(消費税)】 「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する事業年度においては、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、課税事業者を選択できたにもかかわらず、これを失念したため、設備投資に係る消費税の還付が受けられなくなってしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例36(消費税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆課税事業者の選択(消費税法9条、46条) 免税事業者が設備投資に係る消費税の還付を受ける場合には、その還付を受けようとする課税期間の初日の前日までに「課税事業者選択届出書」を提出しなければならない。ただし、提出した日の属する課税期間が「事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」である場合には、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出すれば、課税事業者を選択することができる。 なお、本件事故の依頼者は、資本金1,000万円で法人を設立しており、新設法人の納税義務の免除の特例(資本金額が1,000万円以上である法人については、当該新設法人の基準期間がない事業年度については、納税義務は免除されない)により、設立2期目まで課税事業者となっているが、この基準期間がない事業年度においても、課税取引を行っていなければ、当該事業年度は「事業を開始した日」には該当しない。   ◆法人における課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間の範囲(消費税法基本通達1-4-7) その事業者が法人である場合の事業を開始した日の属する課税期間等の範囲に規定する「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」とは、原則として、当該法人の設立の日の属する課税期間をいうのであるが、例えば、非課税資産の譲渡等に該当する社会福祉事業のみを行っていた法人又は国外取引のみを行っていた法人が新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間もこれに含まれる。 なお、設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した場合には、当該課税期間等もこれに含むものとして取り扱う。       (了)

#No. 162(掲載号)
#齋藤 和助
2016/03/24

包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第11回】「創設規定と確認規定⑤」

包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第11回】 「創設規定と確認規定⑤」   公認会計士 佐藤 信祐   前回では、広島高裁昭和43年3月27日判決の解説を行った。本稿では、最高裁昭和54年9月20日判決、最高裁平成16年7月20日判決の解説を行うこととする。 【第7回】で解説したように、この頃から同族会社等の行為計算の否認が確認規定ではなく、創設規定であるという立場が通説になっており、本稿で紹介する事件でも、その影響が見受けられる。   (6) 最高裁昭和54年9月20日判決(TAINSコード:Z106-4467) 本事件では、宇野歌子の役員報酬、加藤修子の役員報酬、交際費、売上計上もれについてそれぞれ否認されているが、同族会社等の行為計算の否認の対象となったものは、宇野歌子の役員報酬のみである。しかしながら、原処分庁が同族会社等の行為計算の否認を適用したものの、第1審(東京地裁昭和51年7月20日判決・TAINSコード:Z089-3832)では、仮装の役員に対する報酬であるということで損金性を否定しており、「同族会社の行為計算の規定によるまでもない」としている。 これに対し、傍論ではあるが、同族会社等の行為計算の否認について、 と判示しており、創設規定であるとしている点が特徴的である。 なお、控訴審(東京高裁昭和53年11月30日判決・TAINSコード:Z103-4287)は第1審の内容を踏襲しており、上告審では上告適法の理由にならないものとして棄却していることから、本稿では詳細な解説は省略する。 (7) 最高裁平成16年7月20日判決(TAINSコード:Z254-9700) 本事件は、平和事件と呼ばれているものであり、別の連載(「貸倒損失における税務上の取扱い」【第11回】、【第12回】)でそれぞれ解説した内容である。そのため判決文の内容はそちらを参照されたいが、矢内教授が指摘されているのは、東京地裁平成9年4月25日判決(TAINSコード:Z223-7906)の被告である課税庁が、 であると主張している点である。 これを受けて、東京地裁でも、 と判示している。そして、この判断は、最高裁まで維持されており、具体的には、以下のように判示されている。 法人税法ではなく、所得税法の世界において、無利息貸付けに対する利息を認定した平和事件に対しては批判が多く、実務においてもほとんど参考にされていない。しかしながら、同族会社等の行為計算の否認の制度趣旨そのものを被告である課税庁ですら創設規定であるとしたという点は非常に重要なものであり、確認規定であるとする考え方を採用することは困難であると言わざるを得ない。 第7回から第11回までは、同族会社等の行為計算の否認が創設規定であるのか、それとも確認規定であるのかについて分析を行ったが、確認規定であるという裁判例は、そもそも事実認定で解決すべき問題を同族会社等の行為計算の否認の問題としていたという特徴が見受けられる。そのため、非同族会社に対して、事実認定で解決できない事件に対して、同族会社等の行為計算の否認を適用したものが多数存在しているのであれば、現在でも参考にできる事件もあったのかもしれないが、あいにくそのような事件を見つけることができなかったため、仮に存在していたとしても少数の事件であると言えよう。 これに対し、最近の裁判例では、事実認定で解決すべき問題なのか、同族会社等の行為計算の否認で解決すべき問題なのかが明確に整理されていることから、裁判例や学説の分析をする際には、その内容が古いものであればあるほど、その点に留意する必要がある。 次回以降では、次の論点である行為計算の主体について、裁判例の傾向を分析する予定である。 (了)

#No. 162(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/03/24
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