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《速報解説》 金融庁が令和6年能登半島地震に係る有報等の提出期限の取扱いを公表~実務上の支障が生じている場合、財務(支)局への相談を推奨~

《速報解説》 金融庁が令和6年能登半島地震に係る有報等の提出期限の取扱いを公表 ~実務上の支障が生じている場合、財務(支)局への相談を推奨~   公認会計士 阿部 光成     Ⅰ はじめに 2024(令和6)年1月5日、金融庁は、「令和6年能登半島地震に関連する有価証券報告書等の提出期限について」を公表した。 これは、令和6年能登半島地震の発生に伴う対応である。 その後、2024(令和6)年1月12日に、後述するように、追加の措置が公表された。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 金融庁の公表 次のことについて記載している。 ご質問などについては、遠慮なく所管の財務(支)局までご連絡していただきたいとのことである。   Ⅲ 金融庁の追加の措置の公表 2024(令和6)年1月11日、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づく「令和六年能登半島地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」が公布された。 同政令により、特別措置として、今般の地震の影響により、有価証券報告書及び内部統制報告書、四半期報告書等の金融商品取引法に基づく開示書類を本来の提出期限までに提出することができなかった場合であっても、2024(令和6)年4月30日までに提出すれば、行政上及び刑事上の責任を問われないこととなるとのことである。 次のことについても記載している。 *  *  * なお、国税庁からは2024(令和6)年1月9日付で「令和6年能登半島地震に係る国税の申告・納付等の期限の延長について」が公表されている。 (了)

#阿部 光成
2024/01/09

《速報解説》 国税庁、令和6年能登半島地震を受け国税の申告・納付期限延長を決定~対象は石川県及び富山県に納税地のある個人・法人~

 《速報解説》 国税庁、令和6年能登半島地震を受け 国税の申告・納付期限延長を決定 ~対象は石川県及び富山県に納税地のある個人・法人~   Profession Journal編集部   令和6年2月16日(金)から3月15日(金)までとなる令和5年分の所得税の確定申告受付時期が近づくなか、国税庁は1月9日付けで、1月1日に発生した令和6年能登半島地震を受け、国税通則法第11条に基づき、下記の通り、地域指定による国税の申告・納付等の期限延長を公表した。 なお、今般の地域指定による申告・納付等の期限の延長措置は、近日中に官報で告示される予定となっている。 (了)

#Profession Journal 編集部
2024/01/09

《速報解説》 一定の市場暗号資産に関する期末時価評価等からの除外~令和6年度税制改正大綱~

《速報解説》 一定の市場暗号資産に関する期末時価評価等からの除外 ~令和6年度税制改正大綱~   弁護士 下尾 裕   1 市場暗号資産の期末時価評価等に関するこれまでの経緯 現行の法人税法においては、法人(内国法人又は恒久的施設を有する外国法人。以下同様)が各事業年度末時点において活発な市場を有する暗号資産(以下「市場暗号資産」という)を有する場合、当該市場暗号資産の法人税法上の評価額は時価法により評価した金額となり(法人税法61条2項)、かつ、当該法人がかかる市場暗号資産を「自己の計算」(同条3項)において有する場合には、期末時価評価による損益を当該法人の損金又は益金に算入するのが原則である。 この市場暗号資産に関する期末時価評価益等の制度については、日本国内におけるweb3ビジネスを阻害するとの指摘があり、その結果、先立つ令和5年度税制改正においては、法人が発行し、かつ、その発行の時から継続して有する暗号資産であって、その時から継続して譲渡についての制限その他の条件が付されているもの(特定自己発行暗号資産(※))については、期末時価評価の対象から除外するとの改正が実現していた。 (※) 特定自己発行暗号資産とは、法人がその発行時から継続して有している暗号資産のうち、その発行の時から継続して次の(1)又は(2)の要件のいずれかに該当する暗号資産をいう。 しかしながら、上記改正後も、2023年4月に公表された自由民主党のデジタル社会推進本部web3プロジェクトチームの「web3ホワイトペーパー」では、第三者発行の市場暗号資産についても短期売買目的のものを除き、広く期末時価評価(課税)の対象から除外すべきとの提言がなされ、業界団体からも同様の見直しが要望されていた。こうした要望を受けて、金融庁は、経済産業省との共同要望として、ブロックチェーン技術を用いたサービスの普及やこれを活用した事業開発等のために、暗号資産を継続的に保有するような内国法人に対して、キャッシュフローを伴う実現利益がない(=担税力がない)中でも課税がなされる問題を解消すべく、法人が継続保有する第三者発行の暗号資産についても期末時価評価の対象から除外する方向での税制改正要望を提出していた。   2 令和6年度税制改正大綱における改正内容 令和5年12月22日に閣議決定された令和6年度税制改正大綱においては、法人が保有する市場暗号資産のうち以下の条件が付されているものの事業年度末における評価額について、原価法又は時価法のうち、当該法人が暗号資産の種類ごとに選定し、その暗号資産を取得した日の属する事業年度に係る確定申告書の提出期限までに納税地の所轄税務署長に届け出た方法によるものとするとの改正が盛り込まれた。 なお、当該暗号資産が当該法人自ら発行し、その発行の時から継続して保有するもの及び上記届出がない場合については原価法が適用されるものとされている。 【条件】 これら条件の詳細については、今後公表されるであろう具体的な法令案等を待つことになる。   3 適用時期 以上の改正の適用時期については令和6年度税制改正大綱には特段の言及はなく、改正法令の施行日以降事業年度末を迎える法人に適用されるものと想定される。 (了)

#下尾 裕
2024/01/09

《速報解説》 国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等~令和6年度税制改正大綱~

《速報解説》 国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等 ~令和6年度税制改正大綱~   税理士 石川 幸恵   令和5年12月22日に閣議決定された「令和6年度税制改正大綱」では、プラットフォーム課税の導入とあわせて、国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等が図られることとなった。以下に概説する。   1 改正の背景 令和6年度税制改正大綱ではプラットフォーム課税の導入が示されたが、このプラットフォーム課税は、「国境を越えたデジタルサービスに対する消費税の課税のあり方に関する研究会」における検討に基づいている。 この報告書では、プラットフォーム課税導入後の更なる問題点として、国外のサプライヤーがアプリの提供の場をプラットフォームから自身で立ち上げたサイトに移して消費者に直接販売する方式に切り替えた場合も想定している。この場合、次のような問題が生ずる。 このように、国外事業者が事業者免税点制度や簡易課税制度を本来の趣旨に沿わない形で適用することによる「納税なき控除」を防止するための見直しとして、国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等が図られた。 (※) 国外事業者から提供される消費者向け電気通信利用役務提供にも適格請求書等保存方式が適用され、国外事業者については適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに関するいわゆる8割・5割控除の経過措置(28年改正法附則52、53)の適用がない(平成30年改正消令附則24)ことから、事業者免税点制度による「納税なき控除」は限定的とも考えられる。 プラットフォーム課税については下記拙稿も参照されたい。   2 制度の内容 (1) 事業者免税点制度の特例の適用の見直し 事業者免税点制度については次の3点の見直しが図られた。 (2) 簡易課税制度(消法37)の適用の見直し その課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者については、簡易課税制度の適用及びいわゆる2割特例(28年改正法附則51の2①)を認めないこととする。 (3) 適用時期 令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用する。これはプラットフォーム課税の導入よりも半年早い。 (4) 今後の検討 欧州においては事業者免税点制度の適用を国内事業者のみに認めることとしており、我が国においてもその方向で検討を進めるべきとの指摘が前述の研究会で行われている。国外事業者に対する事業者免税点制度の在り方については今後も検討が続けられる可能性がある。   (了)

#石川 幸恵
2024/01/09

《速報解説》 東証、親子関係にある上場会社等を対象に開示のポイントなどを整理~少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実・開示例等を示す~

《速報解説》 東証、親子関係にある上場会社等を対象に開示のポイントなどを整理 ~少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実・開示例等を示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2023年12月26日、東京証券取引所は、次のものを公表した。 これは、親子関係にある上場会社やその他の関係会社/関連会社の関係にある上場会社を対象に、開示のポイントなどを整理したものである。 2023年11月時点で、親会社を有する上場会社は約310社、その他の関係会社を有する上場会社は約630社あるとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実 投資者から開示が期待される事項として、コーポレート・ガバナンス報告書における少数株主保護やグループ経営に関する開示についての記載上のポイントを整理している。 記載上のポイントや開示が望まれる項目の詳細については、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領(2023年12月改訂版)」に記載されている。 次の上場会社ごとに、記載上のポイントの概要が記載されている。 1 上場子会社を有する上場会社 次の開示項目について記載している。 2 親会社を有する上場会社 次の開示項目について記載している。 3 上場する関連会社を有する上場会社 開示が望まれる項目として、グループ経営に関する考え方を踏まえた上場関連会社を有する意義、上場関連会社のガバナンス体制の実効性確保に関する方策について示し、自社の状況に応じて開示する際の記載上のポイントの概要が示されている。 4 その他の関係会社を有する上場会社 開示が望まれる項目として、その他の関係会社におけるグループ経営に関する考え方及び方針、少数株主保護の観点から必要なその他の関係会社からの独立性確保に関する考え方・施策等について示し、自社の状況に応じて開示する際の記載上のポイントの概要が示されている。   Ⅲ 少数株主保護及びグループ経営に関する開示例 少数株主保護及びグループ経営に関する事項の開示について、上場会社が開示しているコーポレート・ガバナンス報告書から、参考となると考えられる記載例を紹介している。   Ⅳ 支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割 支配株主や支配的な株主を有する上場会社に特有となる独立社外取締役の役割について、具体的な場面も想定しつつ、とりまとめている。 支配株主や支配的な株主を有する上場会社においては(一般の上場会社と異なり)少数株主の利益を保護するという役割が付加されていることを認識し、その役割を意識して職務を行っていただきたいとのことである。 独立社外取締役以外の取締役においては、支配株主からの独立性が必ずしも確保されておらず、支配株主の影響をより受けやすい立場にあるため、少数株主の利益の適切な保護を図る役割・責務は、特に、独立社外取締役に期待されることとなるとしている。 例えば、支配株主と少数株主の間の利益相反リスクを監督する、重要な利益相反リスクを伴う取引・行為ついては独立社外取締役が直接に関与するなどである。 また、事業調整として、取引行為を伴わない形で、支配株主からの指示により新規事業分野への進出の見合わせや既存事業分野からの撤退、事業の棲み分け(顧客の分配など)が行われる場合、上場会社が事業機会・収益機会を喪失するという形で、利益相反が生じることがあり得るとしている。 (了)

#阿部 光成
2024/01/05

《速報解説》 法定調書のe-Tax等による提出義務基準の引下げ~令和6年度税制改正大綱~

 《速報解説》 法定調書のe-Tax等による提出義務基準の引下げ ~令和6年度税制改正大綱~   税理士 齋藤 和助   本稿では、令和5年12月22日に閣議決定された「令和6年度税制改正大綱」に示された、「法定調書のe-Tax等による提出義務基準の引下げ」について解説する。   1 法定調書とは 法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署への提出が義務づけられている資料をいう。   2 現行の提出義務基準 法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであったその法定調書の枚数が100枚以上である法定調書については、e-Tax、光ディスク等又はクラウド等(以下「e-Tax等」という)による提出が義務づけられている。   3 改正の内容 法定調書のe-Tax等による提出義務基準を「30枚以上」に引き下げる。   4 適用時期 上記改正は、令和9年1月1日以後に提出すべき法定調書について適用する。   5 具体例 (※) 「自由民主党税制調査会資料」(令和5年12月12日)の図を筆者一部加工 (1) 令和9年のe-Tax等による提出義務 ① 配当等の支払調書 令和7年に提出した「配当等の支払調書」が30枚であるためe-Tax等により提出する義務がある。 ② 報酬等の支払調書 令和7年に提出した「報酬等の支払調書」が20枚であるためe-Tax等により提出する義務はない。 (2) 令和10年のe-Tax等による提出義務 ① 配当等の支払調書 令和8年に提出した「配当等の支払調書」が20枚であるためe-Tax等により提出する義務はない。 ② 報酬等の支払調書 令和8年に提出した「報酬等の支払調書」が30枚であるためe-Tax等により提出する義務がある。 【参考】e-Tax等による提出義務基準の変遷 (了)

#齋藤 和助
2024/01/05

《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2023」を公表~サステナビリティに関する考え方及び取組に関する開示の好事例を取りまとめ~

《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2023」を公表 ~サステナビリティに関する考え方及び取組に関する開示の好事例を取りまとめ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2023(令和5)年12月27日、金融庁は、「記述情報の開示の好事例集2023」を公表した。 これは、2023年1月31日に改正された「企業内容等の開示に関する内閣府令」において、有価証券報告書等にサステナビリティに関する考え方及び取組の記載欄が新設されたことを踏まえ、当該事項に関する開示の好事例を取りまとめたものである。 今後、「コーポレート・ガバナンスの概要」等の項目を追加して、公表、更新することを予定しているとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ サステナビリティに関する考え方及び取組の全般的な開示のポイント 主な開示のポイントとして、次のことが記載されている。   Ⅲ 全般的要求事項の開示例 主な開示のポイントとして、サステナビリティ全般から説明するとサマリーとしてわかりやすく有用であること、全般的なガバナンス体制が開示されていると、サステナビリティをどの程度重要視しているかが読み取れるため有用であることなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組が記載されている(サステナビリティは、社内で関連する部署が非常に多く、開示する内容や文言の調整に難儀したが、検討の背景や趣旨を粘り強く説明し、最終的に合意を形成したことなど)。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。   Ⅳ 気候変動関連等の開示例 主な開示のポイントとして、Scope3の開示も有用であること、生物多様性や水資源等は、TCFDの次の重要なテーマであり、積極的に開示していくことは有用であることなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組が記載されている(気候関連情報の開示に先立って、まずは、ガバナンスとリスク管理体制の組み立てからスタートしたことなど)。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。   Ⅴ 人的資本、多様性等の開示例 主な開示のポイントとして、目標は、財務と非財務の統合の観点から、例えば中期経営計画の最終年と整合させることは有用であること、人的資本への投資の内容について開示することは有用であることなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組が記載されている(自社グループの企業理念や中期経営計画に沿った人材面における中期課題(ゴール)を先に設定することで、コーポレートストーリーを踏まえたメリハリを利かせた情報になるよう心掛けたことなど)。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。   Ⅵ 人権の開示例 主な開示のポイントとして、想定されるリスクを具体的に開示することは有用であることなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組が記載されている(国連のビジネスと人権に関する指導原則で要請されている人権方針、デュー・ディリジェンス、救済措置といったポイントを明確に伝えることを意識しながら作成したことなど)。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。   Ⅶ 個別テーマの開示例 主な開示のポイントとして、自社の企業戦略、サステナビリティの観点から重要と考えられるトピックについて、サステナビリティの記載欄でストーリーを持って開示することなどが記載されている。 好事例として採り上げた企業の主な取組が記載されている(技術的な内容に偏りがちな情報セキュリティに関する説明を、いかに読み手にわかりやすいように記載できるかなど)。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。 (了)

#阿部 光成
2024/01/05

プロフェッションジャーナル No.550が公開されました!~今週のお薦め記事~

2023年12月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.550を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2023/12/28

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第33回】「重加算税に関する隠蔽・仮装行為主体問題と賦課判断の主観化の意義」-重加算税判例における納税者以外の者との「同視思考」の正当化と「同視要件」の厳格化-

谷口教授と学ぶ 税法基本判例 【第33回】 「重加算税に関する隠蔽・仮装行為主体問題と賦課判断の主観化の意義」 -重加算税判例における納税者以外の者との「同視思考」の正当化と「同視要件」の厳格化-   大阪学院大学法学部教授 谷口 勢津夫   Ⅰ はじめに 前回は、重加算税の賦課要件(税通68条1項)のうち「隠蔽・仮装」要件の解釈適用をいわゆるつまみ申告に関して検討したが、今回は、隠蔽・仮装の行為主体要件としての「納税者」要件の解釈適用を、納税者本人以外の者が隠蔽・仮装を行った場合に関して、検討することにする。 この問題について筆者は以前「隠ぺい・仮装の行為主体問題」として検討したことがあるが(拙著『税法創造論』(清文社・2022年)940頁[初出・2017年]。「隠ぺい」は当時の法文によった)、今回はその検討を基本的にベースにしながらその後考察したところも踏まえて、納税者以外の者が隠蔽・仮装を行った場合における納税者本人に対する重加算税賦課の問題を検討することにする。   Ⅱ 判例による「同視要件」の形成 隠蔽・仮装の行為主体問題に関するリーディング・ケースとして大阪地判昭和36年8月10日行集12巻8号1608頁(以下「昭和36年大阪地判」という)がしばしば引用される。この判決は次のとおり判示した(下線・【】の記載筆者)。 隠蔽・仮装の行為主体問題については、その後、下級審で数多くの判断が示され学説でも様々な議論がされたが(差し当たり前掲拙著944-947頁参照)、判例の立場は、最判平成18年4月20日民集60巻4号1611頁及び最判平成18年4月25日民集60巻4号1728頁(両判決を以下では「平成18年最判」という)の次の判示(両判決の判示は次の限りで同じである。下線・【】の記載筆者)で確立された。 昭和36年大阪地判と平成18年最判は、判断枠組みの定立に当たって、基本的には同じ論理構成を採用したものと解される。その論理構成は次のようなものである。すなわち、隠蔽・仮装の行為主体は納税者本人に限定されないという解釈を重加算税制度の趣旨・目的(①)から導き出すという目的論的解釈を基本に据えながら、その導出過程に弊害防止論の観点(②)を織り込むことによって、納税者以外の者の行為を納税者本人の行為と「同視」することができるという考え方(以下では「同視思考」という)を構想し、同視思考によって上記目的論的解釈の結果を正当化する、というような論理構成である。 この論理構成にいう「弊害防止論」は、隠蔽・仮装の行為主体は納税者本人に限定されるという解釈を採用した場合に生ずる弊害を防止しようとする考え方であるが、その意味内容は、昭和36年大阪地判と平成18年最判とで異なる。 昭和36年大阪地判における弊害防止論は、前掲判示中の下線部(②)で説示されているように、納税申告等の「実状」に関する認識に基づく制度機能不全防止論である。制度機能不全防止論は、同視思考の動機やそれに基づく立法論の論拠とはなり得るとしても、解釈論において同視思考を規範化しそれに基づく要件(同視要件)を正当化する根拠としては、不十分かつ薄弱であるといわざるを得ない。 しかも昭和36年大阪地判が、納税申告に係る他者の隠蔽・仮装の事実について、「[納税者本人が]本件確定申告に当り右事実を知つていたことを肯定するに足る証拠はない」と認定しつつ、その事実に関する納税者本人の認識を不要とする立場(以下「認識不要説」という)を前提にして示した判断であったこと(次のⅢでみるように、この点でも平成18年最判と異なる)とも相俟って、同判決の同視思考は、隠蔽・仮装行為主体の範囲を、したがって重加算税賦課の範囲を、無制限に拡大するいわば「無差別爆撃的な『同視』」(須貝脩一「判批」シュトイエル6号(1962年)45頁、48頁)をもたらすものとして、厳しく批判されたのである。 にもかかわらず、その後も、認識不要説が「多数説」(小貫芳信「連載課税訴訟研究 附帯税をめぐる訴訟(1)~重加算税の賦課要件を中心として」税理38巻14号(1995年)198頁、199頁)であった。ただ、学説判例においては、同視要件の正当化をめぐって様々な議論がされてきた。その議論の詳細にはここでは立ち入らないが、そこでの理論構成は、㋐「関係性理論」(納税者本人と隠蔽・仮装行為者との一定の事実上の関係又は法的な関係を根拠にして同視要件を正当化する理論構成)、㋑「帰責性理論」(関係性理論を前提にしながら、納税者本人の有責性によって同視要件に対して更なる根拠及び制限を付与・付加しようとする理論構成)及び㋒「個別具体的判断理論」(関係性理論や帰責性理論と同じレベルでの「理論構成」とはいえないが、それらの理論構成を採用する種々の見解で考慮されている要素も含め「同視することを正当化するに足りる個別具体的な特殊事情」(田中治「判批」シュトイエル365号(1992年)1頁、11頁)の個別具体的検討が必要であるとする「理論構成」)という3つに整理することができる(詳しくは前掲拙著945-946頁参照)。   Ⅲ 「同視思考」の正当化と「同視要件」の厳格化 これに対して、平成18年最判における弊害防止論は、前掲判示中の下線部(②)で説示されているように、昭和36年大阪地判における制度機能不全防止論とは異なり、制度趣旨・目的没却防止論であり、その意味で、重加算税制度の趣旨・目的を考慮する目的論的解釈の枠内に収まりやすく、同視要件を正当化する根拠として説得力をもつものである。換言すれば、平成18年最判は昭和36年大阪地判に比べて目的論的解釈を「純化」したものといってもよかろう。 しかも、平成18年最判は、最高裁が隠蔽・仮装の行為主体問題について初めて判断を示した最判平成17年1月17日民集59巻1号28頁(以下「平成17年最判」という)を踏まえて、従来の裁判例における認識不要説の立場ではなく、認識必要説の立場に立つことによって、昭和36年大阪地判に対する前記の「無差別爆撃的な『同視』」というような厳しい批判を免れようとしたものと解される。 平成17年最判は、次のとおり判示し(下線筆者)、「意思の連絡」論を説いた。 この判示にいう「意思の連絡」は、税理士の隠蔽・仮装による税負担減少の企図に関する納税者本人の「了知」及び「容認」と当該税理士による納税者本人の「容認」の「認識」という双方の主観的要素によって、構成されるものと解される。平成17年最判は「意思の連絡」を、これらの主観的要素によって基礎づけ、もって「重加算税賦課の制限要素」(神山弘行「判批」法学協会雑誌125巻5号(2008年)1133頁、1153頁)としたものと解される。 もっとも、平成17年最判は、「国税通則法68条1項の解釈上、納税者以外の第三者による隠ぺい・仮装行為について、いかなる場合に納税者本人に対し重加算税を賦課し得るのかという一般論に立ち入ることなく、・・・・・・、同項の適用の前提となる事実についての原審の認定に経験則に違反する違法があるとして、原判決を破棄したものである。」(増田稔「判解」最判解民事篇(平成17年度(上))24頁、35頁。下線筆者)と解説されていることからすると、「意思の連絡」論は、隠蔽・仮装の行為主体問題に関する「一般論」ではなく、「重加算税の賦課において納税者本人の主観的側面を重視するという最高裁の態度」(神山・前掲「判批」1153頁)の現れと解すべきであろう。その態度は、次にみるように、平成18年最判において、より明確な形で現れることになる。 平成18年最判は、納税者以外の者が税理士である場合について、次のとおり判示し(下線・【】内の記載筆者)、隠蔽・仮装の行為主体問題に関する「一般論」(川神裕「判解」最判解(平成18年度(上))579頁、600頁)を述べた。 この判示は同視要件をⓐ~Ⓒの要件として個別具体化したものと解されるが(Ⓒは隠蔽・仮装の行為主体問題固有の要件ではないが。神山・前掲「判批」1148-1149頁も参照)、そのうちⓐで認識必要説の立場を明確にし、かつ、ⓑで(関係性理論を前提とする)帰責性理論に基づき納税者本人の防止措置の期待可能性を要件とする旨を説示することによって、平成17年最判で示された最高裁の態度を「一般論」としてより明確にし、もって同視要件を厳格化したものと解される。 もっとも、最高裁が隠蔽・仮装の行為主体問題に関して納税者本人の主観的要素ないし主観的側面を重視する態度を示すに当たって、何ら制約なしにそのような態度を示したものとは解されない。このことは、平成18年最判が前掲判示の中で税理士の選任・監督責任の問題をⓑの要件と明確に区別していることからも明らかである。また、そもそも、認識必要説については次のような「疑問」(小貫・前掲論文199頁)が指摘されてきたところであり、それらが一定の合理性をもつと考えられることから、最高裁もそれらを無視したものとは解されないのである。   Ⅳ おわりに 今回は、重加算税の賦課要件に関する隠蔽・仮装の行為主体問題について、判例による同視要件の形成を検討した。同視要件は、当初は、重加算税制度に関する目的論的解釈と制度機能不全防止論によって、認識不要説を前提にして形成されたが、後に最高裁において、目的論的解釈が「純化」されるとともに、認識必要説の立場が採用されることによって、厳格化された。 同視要件のこのような形成過程は、判例における重加算税賦課判断の「主観化」の傾向と無関係ではないように思われる。ただし、重加算税賦課判断の「主観化」は、前回みたように、いわゆるつまみ申告の場合には厳しい批判を受けたところであるが、隠蔽・仮装の行為主体問題に関しては、むしろ認識不要説に基づく重加算税賦課の範囲の拡大を制限する考え方として肯定的に評価されているように思われる。 重加算税は刑罰ではないものの、過少申告加算税に比して「主観的責任の追及という意味での制裁的な要素」(平成18年最判のうち4月20日判決)が強い以上、重加算税賦課判断の「主観化」は、確かに、隠蔽・仮装の行為主体問題に関しては一定の合理性をもつ考え方であろうが、ただ、認識必要説について前記のような「疑問」がある以上、厳格かつ慎重に検討・適用していくべきであろう。 (了)

#No. 550(掲載号)
#谷口 勢津夫
2023/12/28

令和5年分 確定申告実務の留意点 【第1回】「令和5年分の申告から適用される改正事項」

令和5年分 確定申告実務の留意点 【第1回】 「令和5年分の申告から適用される改正事項」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   -はじめに- 令和5年分の確定申告の受付は、令和6年2月16日(金)から3月15日(金)まで行われる。還付申告は、令和6年2月15日(木)以前でも行うことができる。 なお、e-Taxを利用する場合は、令和6年1月4日(木)から3月15日(金)の間であれば、メンテナンス時間(3月11日を除く毎週月曜日午前0時~午前8時30分を予定)を除き、24時間(※1)申告書を送信することが可能である。 (※1) 1月4日(木)は8時30分から、3月15日(金)は24時まで 今回から3回シリーズで、令和5年分の確定申告に係る実務上の留意点を解説する。 第1回は、令和5年分の確定申告から変更となる次の事項を取り上げる。 なお、確定申告に係る下記の拙稿も併せてご参照いただきたい。 (注) 上記の記事については、掲載後の税制改正等により、解説内容が現在の規定に基づくものとは異なるケースがある。過年度の記事内に順次コメントを入れるので留意していただきたい。   【1】 控除対象となる国外居住親族の範囲の見直し 令和2年度税制改正により、令和5年分の所得税から扶養控除の対象となる国外居住親族の範囲の見直しが行われた。 見直しの詳細については、下記拙稿をご参照いただきたい。 扶養親族が国外居住親族である場合には、確定申告書第二表「配偶者や親族に関する事項」の「国外居住」欄の「   」に、国外居住親族の区分に応じて該当する数字(下記《表1》参照)を記入する。 なお、扶養親族が国外居住親族に該当し、年末調整において扶養控除又は障害者控除の適用を受けている場合には、「年調」に〇をつける。 《表1》 (注1) 「5」に該当する場合は、扶養控除の適用外である。 (注2) ①及び②の両方、②及び③の両方又は①~③のすべてに該当する場合は「3」を記入する。 (注3) ②に該当せず、①及び③の両方に該当する場合には、添付又は提示する書類が「留学ビザ等書類」であれば「2」を、「38万円送金書類」であれば「4」を記入する。 国外居住親族について確定申告で扶養控除の適用を受けるには、「親族関係書類」、「送金関係書類」(※2)を添付又は提示する必要がある(所法120③三)。 (※2) 「   」に「2」を記入した場合には「留学ビザ等書類」、「4」を記入した場合には「38万円送金書類」を添付又は提示する。外国語で作成されている書類の場合には、その翻訳文も必要である。 ただし、給与所得者や公的年金等の受給者が、源泉徴収又は年末調整の際に源泉徴収義務者に対して提出又は提示した書類については、確定申告書に添付又は提示する必要はない。   【2】 申告の利便性の向上 令和5年分の確定申告から、国税庁の確定申告書等作成コーナーにおいて、以下のサービスが開始される(令和6年1月上旬予定)。 ◎マイナポータル連携の範囲の拡大 令和5年分の確定申告からマイナポータル連携(※3)の対象に、「給与所得の源泉徴収票」、「国民年金基金掛金の控除証明書」、「小規模企業共済等掛金控除証明書(小規模企業共済掛金と個人型確定拠出年金掛金(iDeCo)に限定)」が加わる。 (※3) マイナポータル連携:マイナポータル経由で控除証明書等の必要書類のデータを一括取得し、各種申告書の該当項目へ自動入力する機能 ただし、「給与所得の源泉徴収票」については、給与等の支払者(勤務先)が税務署にe-Taxで源泉徴収票(マイナンバー、氏名(カナを含む)、住所、生年月日等の情報が漏れなく正しく入力されているもの)を提出している(※4)必要がある。 また、控除証明書については、証明書の発行主体がマイナポータル連携に対応している(※5)ことが前提となる。 (※4) 「給与所得の源泉徴収票」は、一定の提出基準を満たしたもののみ税務署に提出することとされている。なお、提出基準に該当しないものをe-Taxで税務署に提出している場合には、それもマイナポータル連携の対象となる。 (※5) マイナポータル連携に対応している発行主体は、国税庁の「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」で確認することができる。 令和5年分の確定申告において、マイナポータル連携の対象となる控除証明書等をまとめると次のとおりとなる。 (注) が令和5年分の確定申告から対象となるもの。 なお、マイナポータル連携を行うには、事前の準備が必要となる。事前の準備については、下記の国税庁ホームページを参考にされたい。   【3】 その他 その他、令和5年から適用される改正事項として次のようなものがある。 (1) 特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失に係る純損失の繰越控除及び雑損失の繰越控除の特例の創設 (2) 給与所得者の特定支出控除の特例の改正(キャリアコンサルタントによる証明制度)   (了)   

#No. 550(掲載号)
#篠藤 敦子
2023/12/28
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