組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第7回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第1章》 平成13年度税制改正前の議論)
(4) 各種引当金の引継ぎ等
「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」の「第四 各種引当金の引継ぎ等」では、「会社分割・合併等により移転する資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる場合には、その資産に関して適用される諸制度や引当金等の引継ぎについても、基本的に従前の課税関係を継続させるとの観点から、組織再編成の形態に応じて必要な措置を考えるべきである。」としたうえで、細かな処理方法について、別紙に記載している。この具体的な内容については、平成13年度に制定された組織再編税制の条文を見ながら確認していきたい。ただし、繰越欠損金について、以下のように記載されている点だけは、ここで指摘しておきたい。
(1) 合併の場合には、租税回避行為を防止するための措置を講じた上、被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐことが適当である。
(2) 分割型の会社分割の場合には、移転する事業に係る繰越欠損金の計算の困難性を考慮し、その引継ぎについては、実務的に慎重な検討を行う必要がある。
上記のうち、合併については、平成13年改正前法人税法では、被合併法人の繰越欠損金の引継ぎを認めていなかったところ、平成13年度税制改正により、当該繰越欠損金の引継ぎを認める方向になったことが明らかにされている。しかしながら、どのようなものを租税回避行為と考えていたのかは、この段階では、指摘されていない。この点については、平成13年度に制定された組織再編税制の条文を見ながら確認していきたい。
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