~税務争訟における判断の分水嶺~
課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から
【第14回】
「法人税法上の土地の時価が問題となり原処分の時価が否定された事例」
税理士 佐藤 善恵
本連載の趣旨
課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。
本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。
なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース
◆平成22年10月7日東京地方裁判所[一部認容、一部棄却](確定)
(※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。
〔概要等〕
本件は、法人(原告)がその代表者から土地(本件各土地)の死因贈与を受けたことに関して、それに伴う受贈益がいくらなのかが問題となった事例である。
争点は、本件事業年度の益金の額に算入されるべき本件受贈益の額であり、具体的には、本件受贈益の額とされるべき本件各土地の課税時期(平成14年1月27日)における時価額の合計が、原処分について最終的に認定された5億6,408万2,311円又はこれを超えるか否かである。
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