企業不正と税務調査
【第6回】
「経営者による不正」
(3) 不正防止・発見のための
手法と防止策
税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝
ここまで2回にわたり、経営者による典型的な脱税・裏金作りスキームとして、売上の一部を除外する事例と、架空(水増し)人件費を計上する事例を、これらの手口と税務調査により発覚するプロセスを中心に見てきた。ここでは、こうした経営者・組織トップが主導する不正について、
1 従業員である管理部門の社員が経営者の不正を発見した場合
2 税理士・公認会計士のような外部の職業会計人が、顧問先の不正を発見する手法
3 内部監査部門が業務監査を通じて、経営者(子会社経営者を含む)の不正を発見する手法
の3つのパターンで、税務調査により不正が発覚する前に、こうした行為を止めさせるためにはどうすべきかを検討したい。
もちろん、上記1から3の発見者たちには、「質問検査権」という税務調査における大きな武器はなく、経営者の不正を暴くことが自らの収入を途絶えさせることを意味する場合も少なくない。しかし、不正(脱税)が発覚して、資金繰りや風評被害により、事業継続が困難になってしまうことも十分に考えられ、決して看過しておいていいというものではない。
1 管理部門社員による経営者不正の発見
経営者である社長、又はその一族が、出納業務をはじめ、一切の経理業務を行っている場合、他の従業員には、経営者の不正を発見することは困難である。
一方、出納業務を任されている従業員であれば、遅かれ早かれ、社長による売上除外や架空人件費の計上に気付くことになる。説明のつかない入出金、不可解な金銭の流れなどを目にしたとき、彼らはどうすべきか。
そうした端緒に気付いたとしたら、経営者の不正を止めさせることができる者・部門に対して、これを通報することを検討したい。親会社の管理部門・内部監査部門に話を持ちかける、あるいは、監査役や顧問税理士に相談することも有用であるかもしれない。
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