公開日: 2013/02/21 (掲載号:No.7)
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企業不正と税務調査 【第2回】「不正のトライアングル」―不正発生のメカニズムとは―

筆者: 米澤 勝

企業不正と税務調査

【第2回】

「不正のトライアングル」

―不正発生のメカニズムとは―

 

税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝

 

Dan Arielyの近著“The (Honest) Truth about Dishonesty”、櫻井祐子訳『ずる』(早川書房)は、不正の発生メカニズムに対する行動経済学の実証実験の結果と知見を集めた興味深い著作だが、その中で、「シンプルな合理的不正モデル」という合理的経済学の考え方を紹介している。

それは、「人は自分の置かれたそれぞれの状況を合理的に分析し、それをもとに不正を行うかどうかを決める」というものであり、この考え方に沿って、社会が不正に対抗する手段がとられていると説明されている。

この考え方が正しいとすれば、不正によって失うものが大きいと判断すれば、人は不正に手を染めることはない。大部分の経営者や経理責任者は、不正の発覚によって失うものの大きさを考えれば、不正を行うことはないはずだ。

しかし、本当に人は、そんなに合理的なのだろうか?

アリエリー教授は、そうした疑問を解き明かすべく、大学生を使ったさまざまな実験を行い、前2作同様、人間の行動の不合理さを示す。

私たち、公認不正検査士(Certified Fraud Examinar)にとっても、合理的経済学の考え方よりは、アリエリー教授の説く不合理な人間―誰でもが不正をしてしまうものである―という観点から不正を考える方がなじみやすい。

公認不正検査士協会(ACFE)では、今ではすっかり有名になってしまった感のある、不正のトライアングルという概念を使って、不正の発生メカニズムを説明してきた。

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企業不正と税務調査

【第2回】

「不正のトライアングル」

―不正発生のメカニズムとは―

 

税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝

 

Dan Arielyの近著“The (Honest) Truth about Dishonesty”、櫻井祐子訳『ずる』(早川書房)は、不正の発生メカニズムに対する行動経済学の実証実験の結果と知見を集めた興味深い著作だが、その中で、「シンプルな合理的不正モデル」という合理的経済学の考え方を紹介している。

それは、「人は自分の置かれたそれぞれの状況を合理的に分析し、それをもとに不正を行うかどうかを決める」というものであり、この考え方に沿って、社会が不正に対抗する手段がとられていると説明されている。

この考え方が正しいとすれば、不正によって失うものが大きいと判断すれば、人は不正に手を染めることはない。大部分の経営者や経理責任者は、不正の発覚によって失うものの大きさを考えれば、不正を行うことはないはずだ。

しかし、本当に人は、そんなに合理的なのだろうか?

アリエリー教授は、そうした疑問を解き明かすべく、大学生を使ったさまざまな実験を行い、前2作同様、人間の行動の不合理さを示す。

私たち、公認不正検査士(Certified Fraud Examinar)にとっても、合理的経済学の考え方よりは、アリエリー教授の説く不合理な人間―誰でもが不正をしてしまうものである―という観点から不正を考える方がなじみやすい。

公認不正検査士協会(ACFE)では、今ではすっかり有名になってしまった感のある、不正のトライアングルという概念を使って、不正の発生メカニズムを説明してきた。

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連載目次

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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