組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第35回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第5章》 平成18年度税制改正)
(2) 有価証券の譲渡損益
① 取得請求権付株式等の請求権の行使等による株式の譲渡
平成18年度税制改正では、取得請求権付株式、取得条項付株式又は全部取得条項付種類株式が、請求権の行使、取得事由の発生又は取得決議により譲渡された場合において、対価として発行法人の株式のみの交付を受けたときは、譲渡損益を繰り延べることとされた。
これは、平成17年改正前商法における転換株式の転換に足並みを揃えたものであり、
その対価が発行法人の株式のみである場合には、従前の転換株式の転換と経済的効果は変わらず、投資が継続しているという点を考慮し、いわゆる簿価譲渡として課税を繰り延べるとともに、みなし配当課税を適用除外とすることとされたものです。
と説明されている(※1)。
(※1) 『平成18年版改正税法のすべて』272頁。
さらに、取得条項付株式又は全部取得条項付種類株式に対する取得事由の発生又は取得決議により、対価として株式だけでなく、新株予約権も交付される場合には、「株式の取得及び株式の交付という取引と新株予約権無償割当てという取引の2つの取引が同時に行われたものと同様とみることができる」(※2)という理由により、同様の取扱いとなっている。
(※2) 前掲(※1)273頁。
その結果、旧株式の帳簿価額が新株式に付け替えられるため、取得した新株予約権の帳簿価額は零となる。ただし、株式が交付されずに、新株予約権のみが交付される場合には、課税の繰延べの対象とはならないという点に留意が必要である。
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