組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第38回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第5章》 平成18年度税制改正)
6 欠損等法人
『平成18年版改正税法のすべて』352頁では、欠損等法人の規制に関する制度趣旨について、以下のように記載されている。
法人が有する欠損金はその後の事業年度の所得金額から繰越控除(青色欠損金の繰越控除等(法法57等))されることになりますが、例えば、ある者が欠損金を有する法人を買収した上でその法人の事業を大幅に変更したとしても、その法人の欠損金の繰越控除は何ら制限を受けないものとされていました。最近、このような欠損金の繰越控除の仕組みを利用し、欠損金を有する法人を買収した上で利益の見込まれる事業をその法人に移転することによって課税所得を圧縮するといった租税回避行為が多く見受けられるようになってきたところです。
そこで、今回の税制改正において、このような租税回避行為を防止するため、欠損金を利用するための買収と認められる場合に、その買収された法人の欠損金の繰越控除を認めない措置が講じられたものです。また、このような租税回避行為は、欠損金に限らず資産の含み損を利用しても可能となることから、欠損金を有する法人のみならず、資産の含み損を有する法人も本措置の対象とするとともに、その含み損を実現した場合についてもこれを制限する措置も講じられています。
このように、繰越欠損金や資産の含み損を有する法人を買収し、これらの繰越欠損金や資産の含み損を利用して、法人税の課税所得を圧縮する行為を防ぐために設けられた規定であるということが言える。
ここで重要となるのは適用事由の範囲であり、法人税法57条の2第1項では、以下のものが適用事由に該当するものとされている。
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