組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第62回】
(最終回)
公認会計士 佐藤 信祐
《第12章》
平成29年度から平成30年度までの税制改正
1 平成29年度税制改正
平成29年度税制改正についての解説は、下記拙稿において既に本誌で行っているため、本稿では、財務省が公表した『平成29年度税制改正の解説』から読み取れる内容について、追加的に解説を行うこととする。
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「平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認」(全5回)
まず、スピンオフ税制の制度趣旨は、同書317頁において、
「移転資産に対する支配が再編成後も継続している」かどうかについて、現行の組織再編税制は、グループ経営の場合には、グループ最上位の法人がグループ法人及びその資産の実質的な支配者であるとの観点に立って判断しているという側面もあり(例えば、適格組織再編成における株式の保有関係に関する要件)、この考え方を踏まえれば、グループ最上位の法人(支配株主のない法人)の実質的な支配者はその法人そのものであり、その法人自身の分割であるスピンオフについては、単にその法人が2つに分かれるような分割であれば、移転資産に対する支配が継続しているとして、適格性を認めうると考えられます。
と解説されている。
この点については、やや強引な説明であるとの批判があるが、移転資産に対する支配の継続という概念により組織再編税制を構築しようとした財務省の意図を理解することができる。
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