谷口教授と学ぶ
国税通則法の構造と手続
【第42回】
「国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討」
-国税徴収法の性格の変化:「中間的な通則法」から滞納処分手続法へ-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
1 はじめに
これまで本連載をコンメンタール的「読み物」(第1回1参照)として国税通則法の規定を検討してきたが、前回で国税通則法第9章(雑則)までの検討を終えた。
残すは国税通則法第10章(罰則)と第11章(犯則事件の調査及び処分)となったが、この2つの章は租税処罰法ないし租税制裁法のうち、租税危害犯等の租税犯及び租税罰を定める租税刑法に関する規定並びに犯則事件調査及び通告処分を定める租税犯則手続法に関する規定を置く章である。それらの規定のうち煽動犯及び租税犯則手続法に関する規定(税通126条、131条以下)は、平成29年度税制改正(平成29年3月31日法律第4号)前は国税犯則取締法(明治33年3月17日法律第67号)に置かれていた規定が、同改正によって同法の廃止(平成30年4月1日)に伴い国税通則法に移されたものである。
そこで、それらの章に置かれた規定(税通126条~160条)を本連載でどのように取り扱うかを検討したところ、本連載のタイトル及びその基礎にある本連載の構想を考慮して、税法の体系上租税手続法とは区別される租税処罰法の分野に属する上記の規定は本連載では取り上げないことにした(税法の体系については清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)11頁、金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)28-29頁、拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)【86】等参照)。
本連載のタイトルを「国税通則法の構造と手続」としたのは次のような構想(第1回3)が念頭にあったからである。
国税通則法という実定法の現実の「構造」(本連載では「実定的構造」という)と、租税実体法と租税手続法との目的従属的関係を内包する税法学の体系に基づく「構造」(本連載では「体系的構造」という)のうちいずれから国税通則法の検討にアプローチするかは、同法の規定なり手続をその基礎に立ち返って理解しようとする場合、重要な意味をもつと考えるものであるが、このように考えて、本連載のタイトルを「国税通則法の構造と手続」としたところである。
このような構想からすると、本連載において国税通則法の検討にその実定的構造からアプローチすることは前回で終えたことになるが、その体系的構造からアプローチする場合には、国税徴収法の検討がなお課題として残されていることになる。すなわち、国税徴収法は、国税通則法と同じく、租税実体法に対して目的従属的関係にある租税手続法に属しており、しかも国税通則法の制定前には「いわば中間的な租税通則法」(租税徴収制度調査会「租税徴収制度の改正に関する答申」(昭和33年12月。以下「租税徴収制度調査会答申」という)4頁)ないし「中間的な通則法」(税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月。以下「国税通則法制定答申」という)2頁)としての性格をもつと考えられていたことからすると、税法学の体系の観点からは、国税通則法と「一体として」観察し検討すべきものであり、むしろそうすること(国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討)によって国税通則法の実定的構造の特色もより明らかになるように思われる。
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