谷口教授と学ぶ
国税通則法の構造と手続
【第43回】
「国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討の観点(その1)」
-租税債権の本質的要素-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
1 はじめに
前回、本連載の今後の方針として、国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察により、納税者主導型租税手続と税務官庁主導型租税手続とを接合し、かつ、後者の最終段階の手続として国税徴収法による滞納処分手続を検討し(「国税通則法と国税徴収法との『一体的』観察・検討」に基づく「納税者主導型租税手続と税務官庁主導型租税手続との接合論」)、その検討内容・結果をコンメンタール的「読み物」として述べていくことにした(前回6参照)。
そのような方針は、昭和30年代に始まった国税徴収法の改正論議が十分に応えるものではなかった「租税基本法的要請」(中川一郎=清永敬次編『コンメンタール国税通則法』(税法研究所・加除式[1989年追録第5号加除済])E16頁[須貝脩一=清永敬次執筆]。太字筆者。なお、同頁ではこの要請は国税通則法との関係で論じられている)に応えようとする筆者の問題意識に基づくものである。ここで「租税基本法的要請」とは、「納税義務に関する基本的租税債権債務の法律関係が、行政手続によるという他の特徴によつておおいかくされてはならない。その意味において、租税法律関係の明確化が納税者の権利利益の保護に資し、また、行政官庁の手続きを誤りなからしめるために、要請される。」(中川=清永編・前掲書E13頁[須貝=清永執筆])と説かれる場合におけるその「要請」をいうのである。
そうすると、国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討は、「租税法律関係の明確化」の観点から行うべきであるということになろうが、その前提として、まず、租税法律関係の意義ないし特色を明らかにしておく必要があると考えられる。この点に関して、次の見解の説くところは示唆に富むものである。
その見解は、租税及び租税法について、「租税は、私的部門で生産された冨の一部を、公共サービスの資金の調達のために、強制的に国家の手に移す手段であるから、それに関する法である租税法も、それに対応して、他の法の分野(特に私法)とは異なる種々の特色をもっている。」(金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)29頁)と述べ、これを「租税法律関係の特色」について次のとおり述べる見解(同29-30頁)である。
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