谷口教授と学ぶ
国税通則法の構造と手続
【第44回】
「国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討の観点(その2)」
-租税債権の立法政策的要素-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
1 はじめに
前回は、国税通則法と国税徴収法との「一体的」観察・検討は、「租税基本法的要請」(中川一郎=清永敬次編『コンメンタール国税通則法』(税法研究所・加除式[1989年追録第5号加除済])E16頁[須貝脩一=清永敬次執筆]。太字筆者)に応えるべく、「租税法律関係の明確化」の観点から行うべきであるとの立場から、租税法律関係のうち国税徴収法の第一次的規律対象としての租税債権について、その本質的要素を検討したが、今回は、その検討を踏まえた上で、租税債権の立法政策的要素を検討することにする(租税債権の立法政策的要素に関する本稿とは異なる観点(「『公法上の債権』論」と「私法からの租税『債権』論」)からの優れた研究として、佐藤英明「『租税債権』論素描」金子宏編『租税法の発展』(有斐閣・2010年)3頁参照)。
ここで租税債権の立法政策的要素とは、租税の徴収確保及び租税負担公平の確保のための立法政策の構成要素(金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)30頁参照)をいうのであるが、そのような立法政策的要素は、「租税徴収制度調査会の答申に盛られた体系的な改革を全面的に実施に移したもの」(吉国二郎ほか共編『国税徴収法精解〔令和6年改訂・21版〕』(大蔵財務協会・2024年)24頁)とされる現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)でも、下記のとおり、自力執行権と一般的優先権である(租税徴収制度調査会『租税徴収制度調査会答申―附参考資料―』(昭和33年12月)1頁。下線筆者。なお、村井正「租税債権と私債権―租税債権の優先性を中心に―」租税法研究15号(1987年)1頁も参照)。この点では、「現行法は旧法を維持している」(雄川一郎ほか『行政強制―行政権の実力行使の法理と実態』(ジュリスト増刊・1977年)26頁[金子宏発言])のである。
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