事例で検証する最新コンプライアンス問題
【第2回】
「中国業者から仕入れた期限切れ肉事件」
弁護士 原 正雄
2014年7月21日、上海の食品加工会社「F食品」が、日本の会社に対して、期限切れの加工肉食品を大量に供給していたことが報道された。本件は、食の安全に関わる重大問題であるが、リスク管理の観点からも注目すべき点が多い。
そこで、本稿では、本件が発覚した経緯について説明するとともに、輸入食品を取り扱っている各社の初期対応を分析する。また、輸入食品の自主管理ガイドラインについて説明したうえで、海外から食品を調達する場合の検査体制について解説する。
1 本件が発覚した経緯
本件は、地元テレビ局が2ヶ月ないし3ヶ月に及ぶ潜入取材を経て、7月20日に番組として報道したことによって、世間が知るところとなった。
報道によれば、同番組では、品質保持期限を半月以上経過した食肉を原料として加工するシーンが映し出された。記者が指摘したところ、作業員らは「関係ない、運べ」と指示したという。また、別の作業員は、期限切れの食肉を混ぜることについて「混ぜる割合がある。多すぎると食感が変わる。普通は5%だ」などと語ったとのことである。期限切れで「臭いがする」牛肉が使用されていたこともあった。作業員の一人は「期限切れを食べても、死にはしない」と語っていた。
他にも、冷凍肉を箱に詰め替える際、常温で作業を行う、床に落ちたハンバーグや鶏モモ肉を生産ラインにそのまま戻す、カビが生えて青く変色した牛肉を原料に使う、ということもあったようである。
本件は、日本では「期限切れ肉」として報道されているが、海外ではより直接的な表現として“rotten meat”、すなわち『腐った肉』として報道されている。
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