公開日: 2021/09/02 (掲載号:No.434)
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〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第18回】「M&AのためのB/SとP/Lの基本姿勢~P/L編~」

筆者: 荻窪 輝明

〔中小企業のM&Aの成否を決める〕

対象企業見方見られ方

【第18回】

「M&AのためのB/SとP/Lの基本姿勢~P/L編~」

 

公認会計士・税理士
荻窪 輝明

 

《今回の対象者別ポイント》

買い手企業

M&Aの売り手探しに際して有用な財務面の見方のヒントを得る。

売り手企業

M&Aに備えて財務面のどこに着目するかを知る。

支援機関(第三者)

売り手の財務面の見方のポイントを知りM&Aの助言や支援に活かす。

その他の対象者

売り手に対する視点を通じて対象企業の見方・見られ方のポイントをつかむ。

 

1 売り手の決算書はM&A情報の宝

中小企業のM&Aにおいて、買い手が売り手候補先の現状を探る情報源として決算書の入手や活用をまったくしないでM&Aを進めることは決してありません。それだけ売り手の決算書から得られる情報は買い手にとって有用なわけですが、一方で、決算書から得られる情報をどれだけ効果的に活用できているかといえば、すなわち、使いこなせているかどうかという点においては、買い手側の経営者や担当者の知見、経験値などに依存します。

これはつまり、売り手の決算書として与えられる情報は同じでも、その情報を活かせるかどうかは、買い手の腕によって大きく異なるということです。

しかも、中小企業のM&Aでは、多くの場合、買い手も売り手もM&Aの経験値が少なく、いわゆる大企業と比べると人材が相対的に不足気味ですので、決算書の内容を深読みできる能力に長けている人材が必ずしも社内にいるとは限りません。ならば、買い手は売り手の決算書を軽視していいかというと、それではいけません。M&Aは、売り手の決算書とともに歩むための決断を含むのですから、少なくとも決算書から読み取れる売り手の特徴、優位性、リスクを知って臨むのが吉というものです。

そこで今回から、売り手の決算書から読み取れる情報について、まずはB/SやP/Lといった財務諸表そのものに着目して売り手を見る際のポイントを紹介します。

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〔中小企業のM&Aの成否を決める〕

対象企業見方見られ方

【第18回】

「M&AのためのB/SとP/Lの基本姿勢~P/L編~」

 

公認会計士・税理士
荻窪 輝明

 

《今回の対象者別ポイント》

買い手企業

M&Aの売り手探しに際して有用な財務面の見方のヒントを得る。

売り手企業

M&Aに備えて財務面のどこに着目するかを知る。

支援機関(第三者)

売り手の財務面の見方のポイントを知りM&Aの助言や支援に活かす。

その他の対象者

売り手に対する視点を通じて対象企業の見方・見られ方のポイントをつかむ。

 

1 売り手の決算書はM&A情報の宝

中小企業のM&Aにおいて、買い手が売り手候補先の現状を探る情報源として決算書の入手や活用をまったくしないでM&Aを進めることは決してありません。それだけ売り手の決算書から得られる情報は買い手にとって有用なわけですが、一方で、決算書から得られる情報をどれだけ効果的に活用できているかといえば、すなわち、使いこなせているかどうかという点においては、買い手側の経営者や担当者の知見、経験値などに依存します。

これはつまり、売り手の決算書として与えられる情報は同じでも、その情報を活かせるかどうかは、買い手の腕によって大きく異なるということです。

しかも、中小企業のM&Aでは、多くの場合、買い手も売り手もM&Aの経験値が少なく、いわゆる大企業と比べると人材が相対的に不足気味ですので、決算書の内容を深読みできる能力に長けている人材が必ずしも社内にいるとは限りません。ならば、買い手は売り手の決算書を軽視していいかというと、それではいけません。M&Aは、売り手の決算書とともに歩むための決断を含むのですから、少なくとも決算書から読み取れる売り手の特徴、優位性、リスクを知って臨むのが吉というものです。

そこで今回から、売り手の決算書から読み取れる情報について、まずはB/SやP/Lといった財務諸表そのものに着目して売り手を見る際のポイントを紹介します。

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連載目次

〔中小企業のM&Aの成否を決める〕
対象企業の見方・見られ方

【第1回】~【第40回】

【第41回】~

筆者紹介

荻窪 輝明

(おぎくぼ・てるあき)

公認会計士・税理士
荻窪公認会計士事務所 代表
太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター

東京都出身。立命館大学法学部卒業後、証券会社、監査法人、コンサルティング会社で勤務。主な業務分野は、上場・非上場会社や医療法人等に対する会計監査、株式上場、組織再編、事業再生、事業承継、株式価値評価、財務デュー・ディリジェンス等の支援業務、税務相談など。びわ湖放送のTV番組「滋賀経済NOW」にレギュラー出演中。神戸大学非常勤講師(2020~2023年)、関西学院大学非常勤講師(2024年)。

【著書】
・「youのたっくす、meになるカイケイ?~あなたの税金、身になる会計!~」(税務研究会出版局、2020年)
・「経営陣に伝えるための「税効果会計」と「財務諸表の視点」」(税務研究会出版局、2019年)。
・「平成31年3月改訂/Q&A 企業再編のための 合併・分割・株式交換等の実務-その法律・会計・税務のすべて-」(共著、清文社、2019年)
・「事例でみるスタンダード債権回収手続-専門家の視点と実務対応-」(共著、新日本法規出版、2019年)

関連書籍

プロフェッショナル グループ通算制度

公認会計士・税理士 足立好幸 著

会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

詳解 組織再編会計Q&A

公認会計士 布施伸章 著

中小企業の事業再生等ガイドラインの実務

弁護士 福岡真之介 著 弁護士 片井慎一 著 公認会計士・税理士 松田隆志 著

Q&A 中小企業における「株式」の実務対応

東京中小企業投資育成株式会社 公認会計士・税理士 中野威人 著

サクサクわかる! M&Aの税務

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

M&A 無形資産評価の実務

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 編

【電子書籍版】会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

経営危機に陥った社長さんを守る最後の救済策

公認会計士・税理士 橋口貢一 著

中小企業の運営・承継における理論と実務 ファミリービジネスは日本を救う

大阪弁護士会・日本公認会計士協会近畿会・ファミリービジネス研究会 著

非公開会社における少数株主対策の実務

弁護士法人ピクト法律事務所 代表弁護士 永吉啓一郎 著

詳解 グループ通算制度Q&A

デロイト トーマツ税理士法人 稲見誠一・大野久子 監修

相続・事業承継に役立つ生命保険活用術

税理士法人レディング 税理士 木下勇人 著

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