〔中小企業のM&Aの成否を決める〕
対象企業の見方・見られ方
【第18回】
「M&AのためのB/SとP/Lの基本姿勢~P/L編~」
公認会計士・税理士
荻窪 輝明
《今回の対象者別ポイント》
買い手企業
⇒M&Aの売り手探しに際して有用な財務面の見方のヒントを得る。
売り手企業
⇒M&Aに備えて財務面のどこに着目するかを知る。
支援機関(第三者)
⇒売り手の財務面の見方のポイントを知りM&Aの助言や支援に活かす。
その他の対象者
⇒売り手に対する視点を通じて対象企業の見方・見られ方のポイントをつかむ。
1 売り手の決算書はM&A情報の宝
中小企業のM&Aにおいて、買い手が売り手候補先の現状を探る情報源として決算書の入手や活用をまったくしないでM&Aを進めることは決してありません。それだけ売り手の決算書から得られる情報は買い手にとって有用なわけですが、一方で、決算書から得られる情報をどれだけ効果的に活用できているかといえば、すなわち、使いこなせているかどうかという点においては、買い手側の経営者や担当者の知見、経験値などに依存します。
これはつまり、売り手の決算書として与えられる情報は同じでも、その情報を活かせるかどうかは、買い手の腕によって大きく異なるということです。
しかも、中小企業のM&Aでは、多くの場合、買い手も売り手もM&Aの経験値が少なく、いわゆる大企業と比べると人材が相対的に不足気味ですので、決算書の内容を深読みできる能力に長けている人材が必ずしも社内にいるとは限りません。ならば、買い手は売り手の決算書を軽視していいかというと、それではいけません。M&Aは、売り手の決算書とともに歩むための決断を含むのですから、少なくとも決算書から読み取れる売り手の特徴、優位性、リスクを知って臨むのが吉というものです。
そこで今回から、売り手の決算書から読み取れる情報について、まずはB/SやP/Lといった財務諸表そのものに着目して売り手を見る際のポイントを紹介します。
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