「教育資金」及び「結婚・子育て資金」の一括贈与非課税措置に係る平成31年度税制改正のポイント【前編】
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置(以下、教育資金の一括贈与の非課税措置)は平成25年度税制改正において、平成31年3月31日までの時限措置として創設された。同制度は、平成31年度税制改正において一部見直しのうえ、適用期限が2年延長された。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第6回】「資産と債務をセットにした信託契約」
私Aは、個人事業主として「建物及び土地(以下「賃貸不動産」とする)」の賃貸事業をしていますが、80歳を迎え、最近は物忘れがひどくなってきており、賃貸不動産の管理や銀行との融資条件の交渉等が難しくなっていると感じています。なお、賃貸不動産は銀行借入で取得しました。
私としては、できれば長男Bに賃貸事業を承継してほしいと考えています。ただし、贈与による事業承継をする場合、多額の贈与税が生じ、現実的ではありません。
この場合、どのようにするのが良いか悩んでいます。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q46】「非居住者による上場内国法人株式の譲渡の課税関係」
私は日本人ですが、数年前から海外に居住しており、日本国内には住所を有しておらず、税務上、日本の非居住者に該当します。
このたび、以前から海外の証券口座において保有している日本法人発行の上場株式(保有割合は1%未満)を譲渡しました。この譲渡により生じた利益については、日本で課税されますか。
なお、私は日本において事業の拠点等は有しておらず、いわゆる恒久的施設(Permanent Establishment)は有していません。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第5回】
法人税法22条4項は、当該事業年度の収益の額及び原価・費用・損失の額は、公正処理基準に従って計算されるものとすることを規定している。この規定は、1967年(昭和42年)に、法人税法の簡素化の一環として設けられたものであって、法人の各事業年度の所得の計算が「原則として」企業利益の算定の技術である企業会計に準拠して行われるべきこと、すなわち企業会計準拠主義を定めた基本規定であると解されている。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第48回】「相栄産業事件」~最判平成4年10月29日(集民166号525頁)~
X社は、青色申告書による申告の承認を受けていた。X社は、ある事業年度につき、所得を106万円として法人税の確定申告をした。Y税務署長は、X社からその代表者への借地権の贈与があったなどと認め、所得は242万円であるとして更正処分を行った(第1次更正処分)。なお、更正通知書の更正の理由の欄には、「寄附金127万円」とあるのみだった。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第87回】株式会社スペースバリューホールディングス「第三者委員会調査報告書(2019年4月11日付)」
SVHは、調査開始から第三者委員会設置までの間に3度、適時開示を行っている。特徴的なことは、特別調査委員会が調査を開始してから約1ヶ月後に、調査の対象範囲が拡大されて、最後は、第三者委員会にほぼフリーハンドの「件外調査」を行うことを認めた点である。
時系列に沿って、問題となった事案を見ておきたい。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編- 【第27回】「収益性の分析(その1)」
対象会社の収益性及び収益力を理解するためには、損益計算書の分析は欠かせない。売上高に対する変動比率や固定費項目などで収益構造を把握し、併せて売上から売上原価を引いた売上総利益やさらに販売費及び一般管理費を引いた営業利益などの水準を把握し、市場規模や競合他社の数値をベンチマークとして比較分析することになる。
monthly TAX views -No.77-「税の取れない『AI時代』」
デジタルエコノミーの発達や、多様なプラットフォーマーの出現は、税金の将来に予想しがたい事態をもたらす可能性がある。以下では、筆者がそう考える根拠をいくつか挙げてみたい。
小規模宅地等特例に関する令和元年度(平成31年度)税制改正事項
令和元年度(平成31年度)税制改正関連法については、去る3月27日の参議院本会議において可決・成立し、同月29日付官報において「所得税法等の一部を改正する法律」が公布された。本稿では、本件改正のうち小規模宅地等の特例に係る論点について解説を行う。
《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第2回】「養子縁組に関する税務上の実務論点と実務上のリスク把握」
相続税の節税目的のために、実務上、養子縁組を適用する場面は多いと推測される。2017年1月31日最高裁第3小法廷にて「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」との初判断を示したことは記憶に新しい。
ただし、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格及び相続税額を計算することができることには、引き続き注意を要する(相法63)。
