税効果会計における「繰延税金資産の回収可能性」の基礎解説 【第2回】「繰延税金資産の回収可能性の判断手順」
前回は、企業の状況に応じて繰延税金資産の回収可能性(将来の税額負担を軽減する効果の有無)について検討しなければならないが、実務上その判断には様々な将来の不確定要素を考慮する必要があるため、繰延税金資産の回収可能性が論点になりやすいことを説明した。
繰延税金資産の回収可能性は、企業会計基準委員会より「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」(以下、「回収可能性適用指針」という)が公表されているため、これを指針として判断することになる。
そこで今回は、この回収可能性適用指針をもとに繰延税金資産の回収可能性の判断に関する手順について説明する。
連結会計を学ぶ 【第13回】「連結会社相互間の取引高の相殺消去」
親会社と子会社で取引が行われる場合(連結会社相互間の取引高)、それは企業集団としては内部取引であることから、連結損益計算書の作成に際して、相殺消去する必要がある(連結会計基準35項)。
なお、会社相互間取引が連結会社以外の企業を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するので、注意が必要である(連結会計基準(注12))。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第44回】「平成30年度税制改正とその問題点」-改正ではなく改革を-
現行の所得税では利子、配当等が分離課税になっているので、所得1億円を超えると負担が急激に下がります。
所得税法等の一部を改正する法律(昭和62年法律第96号)附則第51条では次のような見直し規定を置き、平成4年10月までに総合課税を含めた見直しをすることにしていました。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第26回】
ヤフー・IDCF事件では、法人税法132条の2に規定されている包括的租税回避防止規定のみが注目されることが多いが、制度濫用基準を採用していることから、税制適格要件やみなし共同事業要件の制度趣旨についても争われている。
その中で、国側の立場で朝長英樹氏が書かれた鑑定意見書(以下、「本鑑定意見書」という)は、朝長英樹氏が組織再編税制の立案に関与されていたことから、当時の制度趣旨を知るうえで、貴重な文献であることは疑いがない。もちろん、退官後に書かれたものであるため、当時の財務省主税局の見解と一致していない部分もあり得るが、それを差引きしたとしても、組織再編税制の制度趣旨を探るうえで重要な文献である。
「使用人兼務役員」及び「執行役員」の税務をめぐる考察 【第3回】「使用人兼務役員に関する税務上の留意点②」
上記(ロ)の形式基準において、使用人兼務役員の給与のうち使用人としての給与を除いて、役員給与の限度額等を定めている場合、不相当に高額な部分は、使用人兼務役員の給与総額から使用人分の給与の適正額(法基通9-2-23(後述)参照)を除いた役員分の給与と、定款や株主総会等による支給限度額等の比較により判定する(法令70一ロ)。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第14回】「PEがある場合の源泉徴収免除制度は事業的規模に満たない不動産所得でも利用できるのか」
外国人で、日本に恒久的施設のある人がいます。その人が、都心のマンションを1室保有して、法人に賃貸しています。法人への賃貸の場合、10.21%の税率で源泉徴収されると思いますが、源泉徴収の免除証明書の交付を申請した場合は許可されるのでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例59(消費税)】 「設立事業年度に決算期変更することにより、設立事業年度を短期事業年度にすることができたにもかかわらず、その説明をしなかったため、2期目から課税事業者になってしまった事例」
設立事業年度である平成X7年3月期において、期中に決算期変更することにより設立事業年度を短期事業年度にすることができたにもかかわらず、その説明をしなかったため、設立事業年度が短期事業年度に該当しないこととなり、結果として「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」により、2期目から消費税の課税事業者になってしまった。
これにより、設立事業年度に決算期変更することにより短期事業年度として2期目も免税事業者であった場合と当初申告との差額につき損害が発生したとして賠償請求を受けた。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第42回】「寄附金(売上値引・特別拡売費)」~売上値引が寄附金に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「得意先からの特別拡売費の負担依頼を受けて行った売上値引が寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた前橋地裁平成15年9月5日判決(税資253号順号9425。以下「本判決」という)を素材とする。
平成30年3月期決算における会計処理の留意事項 【第1回】
平成30年度税制改正大綱では、単独新設分社型分割及び単独新設現物出資だけでなく、完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合、当初の組織再編成における適格要件の完全支配関係の継続要件は、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定される。
