解説一覧
税務・会計分野に関する各種制度や実務論点を体系的に解説した記事をまとめたカテゴリです。法人税・所得税・消費税・相続税などの主要税目に加え、財務会計・管理会計・監査分野の解説や実務対応のポイントまで幅広く掲載しています。条文の趣旨や通達、判例・裁決事例を踏まえながら、制度の背景と実務上の留意点を整理し、専門職や企業担当者が実務判断に活用できる内容を提供しています。分野別の詳細カテゴリもあわせてご参照ください。
連結会計を学ぶ(改) 【第14回】「未実現損益の消去」
親会社と子会社で取引が行われる場合(連結会社相互間の取引高)、それは企業集団としては内部取引であることから、連結損益計算書の作成に際して、相殺消去する必要がある(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)35項)。
連結グループ(企業集団)の外部に、連結会社相互間の取引の対象となった棚卸資産などが売却されていない場合には、当該売却による利益は未実現ということになる。
今回は、未実現損益の消去に関する会計処理について解説する。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第55回】「「譲渡所得課税の趣旨」法理と「趣旨内競い合い」の遅れ挽回」-土地譲渡代金割賦弁済事件・最判昭和47年12月26日民集26巻10号2083頁-
本連載の方針(第1回Ⅰ参照)に従い拙著『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)の叙述の順に、今回からは、譲渡所得課税に関する判例をいくつか取り上げ検討することにする。まず、譲渡所得課税の趣旨に関する最高裁の考え方からみておこう。
最判昭和43年10月31日訟月14巻12号1442頁(以下「昭和43年最判」という)は譲渡所得課税の趣旨について次のとおり判示した(下線筆者)。
グループ企業の税務Q&A 【第1回】「グループ通算制度を適用していて譲渡損益調整資産が通算子法人株式の場合」
P社を通算親法人とするグループ通算制度を適用しており、当社(A社)は通算子法人に該当します。当社はC社(通算子法人)株式を同じく通算子法人で兄弟会社にあたるB社に対して譲渡しました。この場合に譲渡損益の繰延べはどのように処理することになるのでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例154(法人税)】 「中小企業者の適用除外事業者に該当していたにもかかわらず、これに気付かず、中小企業者の特例を適用して申告したため、税務調査で否認されてしまった事例」
X4年3月期の法人税につき、中小企業者の適用除外事業者に該当するため、中小企業向けの各租税特別措置の適用を受けることができないにもかかわらず、原則と中小企業者の特例の双方の適用を満たしていた「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下「賃上げ促進税制」という。)は、中小企業者の特例を適用し、税率は、中小企業者等の法人税率の特例(以下「法人税率の特例」という。)を適用して申告してしまった。これを税務調査で指摘され、結果として「賃上げ促進税制」及び「法人税率の特例」を否認されてしまった。これにより、原則による「賃上げ促進税制」の適用が受けられた場合と修正申告との差額につき過大納付が発生し賠償請求を受けた。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第56回】「中古の機械及び装置について、設備の相当部分が中古資産によって成り立っていると評価することができる場合に該当しないから、簡便法による耐用年数での償却が認められなかった事例」
有形固定資産には、時の経過や使用により価値の減少するものと、このような理由により価値の減少しないものに分かれる。時の経過や使用により価値の減少するもの(減価償却資産)については、使用可能期間に応じ、一定のルールにより価値の減少部分を費用化する減価償却という方法が用いられる。
減価償却を行う際に、必ず決めるものが、使用可能期間、すなわち、耐用年数である。この耐用年数は、資産の種類や使用状況等により変化するため当初に見積もることは難しい。
しかし、耐用年数を恣意的に決めると租税回避に利用されかねないので、税務上、損金又は必要経費に算入できる減価償却費や耐用年数については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令で定められている。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第85回】
CARFにおける情報交換の対象となる税務情報には、暗号資産の残高情報は含まれていないものの、利用者や事業体に係る実質的支配者の氏名、住所・所在地、居住地国、納税者番号、生年月日、出生地のほか、報告対象となる暗号資産の種類、法定通貨による購入や売却、暗号資産の交換、受領及び移転に係る暗号資産の名称、総額、総数量、件数などが含まれる(本連載第73回の29(1)参照)。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第89回】「外国子会社配当益金不算入規定における外国子会社の判定基準(地判令3.9.28)(その2)」~法人税法23条の2第1項、法人税法施行令22条の4第1項~
施行令22条の4第1項2号の「議決権のある株式又は出資の数又は金額」については、①「議決権のある株式の数」、②「議決権のある株式の金額」、③「議決権のある出資の数」及び④「議決権のある出資の金額」の4通りを意味すると解しても、いずれも不合理なものとはいえないから、上記の4通りと解するのが文理上は自然ということができる。
有価証券報告書における作成実務のポイント 【第19回】
本連載の最終回となる今回は、有価証券報告書のうち、第6【提出会社の株式事務の概要】から第二部【提出会社の保証会社等の情報以降】までの作成実務ポイントについて解説する。
なお、本解説では2025年3月期の有価証券報告書(連結あり/特例財務諸表提出会社/日本基準)に原則、適用される法令等に基づき解説している。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第180回】株式会社ジェイアール東日本企画「外部調査委員会調査報告書(2025年5月30日付)」
JR東日本企画は、2020(令和2)年度から2023(令和5)年度にかけて、経済産業省資源エネルギー庁から、「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業のうち自治体における防災の拠点となる施設向け自家用発電設備等利用促進対策事業に係るもの)」(以下「防災インフラ補助事業」という)の補助事業者(執行団体)として採択され、補助金の交付決定を受けた。そして、2022(令和4年度(2023(令和5)年度への繰越分を含む)の防災インフラ補助事業において、補助事業に従事していない従業員が作業していたかのように作業時間が計上されていたこと(以下「不適切な作業時間の計上」という)が、2024年7月以降の会計検査院の検査において判明した。これを受けてJR東日本企画は、同年12月4日、外部法律専門家による外部調査委員会を設置し、防災インフラ補助事業における不適切な作業時間の計上に関する事実関係の解明等を目的とする調査を行うこととした。
日本の企業税制 【第147回】「OECD/G20のBEPS包摂的枠組みが共存システムに関する合意を公表」
147ヶ国・地域で構成されるOECD/G20のBEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework)は、新年早々の1月5日、デジタル化・グローバル化した経済環境におけるグローバル・ミニマム課税制度の協調的運用に向けた道筋を示すパッケージの主要要素について合意したことを公表した。
2025年6月28日にG7の財務省がグローバル・ミニマム課税に関する共同声明を公表したことで、米国連邦議会に提出された税制改正法案に当初盛り込まれた報復措置が撤回されて以降、数ヶ月にわたる緊密な協議を経て発表された「共存システム(side-by-side system)」に関する包括的合意は、国際税制の安定性と確実性の基盤を築く重要な政治的・技術的合意である。これにより、グローバル・ミニマム課税の枠組みで従来までに達成された成果が維持され、特に開発途上国を含む全ての管轄区域が、自国で生み出された所得に対する第一課税権を確保する能力が保護される。
