事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第55回】「公益財団法人へすべての財産を遺贈した場合の課税関係」
私は上場会社X社の創業者であるAです。私は、現在、X社の役員を退任していますが、X社の株式を15%所有しており、その時価は15億円になります。
私には妻がいましたが、5年前に死別しており、また、子供、両親及び兄弟姉妹もいませんので、私には相続人となる親族がいません。そのため、私が所有する財産は、X社の関連団体である公益財団法人Yへすべて遺贈することを考えています。なお、私は、公益財団法人Yの評議員を務めています。
私の所有する財産のすべてを公益財団法人Yへ遺贈するため、遺言書を作成するにあたっての留意点や課税関係について教えてください。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第88回】「神奈川県臨時特例企業税事件」~最判平成25年3月21日(民集67巻3号438頁)~
Y県は、平成13年3月、臨時特例企業税条例(本件条例)を制定・施行し、県内に事務所等を有する資本金5億円以上の法人に特例企業税を課することとした。X社は、Y県内に工場を有する資本金5億円以上の株式会社であり、特例企業税の納付義務が生じる要件を満たしていたため、平成15・16事業年度につき所定の特例企業税を申告・納付した。しかし、その後、X社は、Y県に対し、本件条例は、法人の行う事業に対する事業税の課税標準である所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を定めた地方税法の規定に違反し、違法、無効であると主張して、納付した特例企業税に相当する金額の誤納金としての還付・還付加算金の支払を求める訴訟を提起した。
リース会計基準(案)を学ぶ 【第1回】「基本的な考え方と適用範囲」
2023年5月2日、企業会計基準委員会は、企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」(以下「リース会計基準(案)」という)等を公表し、意見募集を行っている。
意見募集期間は2023年8月4日までである。
リース会計基準(案)は、リースの識別をはじめ、これまでとは異なる実務を求めることとなる部分もあることから、実務への適用に際しては、十分な理解が必要となる。
本シリ-ズは、公開草案の段階ではあるものの、リース会計基準(案)について基本的な理解に資するように解説を行うものである。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第143回】株式会社ジオコード「調査委員会調査報告書(2023年5月26日付)」
株式会社ジオコード(以下「ジオコード」と略称する)は、2005年2月に有限会社ジオコードとして設立。翌年5月、株式会社へ組織変更。Webマーケティング事業及びクラウドセールステック事業(クラウド業務支援ツールの提供サービス)を主たる事業とする。売上高3,453百万円、経常利益196百万円、資本金351百万円。従業員数117名(2022年2月期実績)。創業者で代表取締役社長の原口大輔氏(以下「原口社長」と略称する)と同氏の個人資産管理会社である株式会社ディーグラウンド(東京都新宿区)が発行済株式の61.9%を保有する筆頭株主である。本店所在地は東京都新宿区。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は2022年2月期までEY新日本有限責任監査法人東京事務所(以下、「新日本監査法人」と略称する)、2023年2月期からはアーク有限責任監査法人(以下「アーク監査法人」と略称する)。
〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2023年6月】
2023年6月1日から6月30日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
monthly TAX views -No.125-「進む税務行政のDXと日本版記入済み申告制度」
令和3年6月に公表していた「税務行政の将来像2.0」をアップデートしたものだが、目指すべき方向性や最新の取組内容等が盛り込まれており、ここまで進んだのかと評価できる内容である。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例53】「建築工事に係る簿外で支出したコンサルタント料の損金性」
私は、中国地方の政令指定都市に本社を置き総合建設業を営む株式会社X(資本金2億円で青色申告法人)において、経営企画部長を務めております。首都圏や近畿圏、中京圏といった三大都市圏の政令指定都市ほどではありませんが、中国地方の県庁所在地ではサラリーマン向けのマンション建設が堅調であり、おかげさまでわが社も常に受注工事を抱えている状況であります。
とはいえ、取引金額が大きくなる不動産については、有象無象の輩が介入して分け前をくすねようとする行為が後を絶たず、わが社の場合もその対応には苦慮しております。マンション建設の場合、その敷地として、ある程度まとまった広さの土地が必要となりますが、権利関係が複雑で当事者が多い場合、それらの意向をまとめるまでには紆余曲折があり、担当者はストレスで胃がやられるケースも珍しくありません。また、駐車場へのスムーズな通路確保や接道要件を満たすためにどうしても必要な土地を入手する目的で、その持ち主に対し相場よりも相当高い金額で売却してくれるよう依頼するケースもあります。そのため、蛇の道は蛇ということで、地方ごとに存在する不動産取引のエキスパートと称する仲介者に、コンサルタント料を支払うこともあります。
