公開日: 2024/02/01 (掲載号:No.554)
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租税争訟レポート 【第71回】「税理士懲戒処分の取消請求事件(第1審:大阪地方裁判所令和3年5月27日判決、控訴審:大阪高等裁判所令和3年12月2日判決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第71回】

「税理士懲戒処分の取消請求事件
(第1審:大阪地方裁判所令和3年5月27日判決、
控訴審:大阪高等裁判所令和3年12月2日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈第1審判決の概要〉

大阪地方裁判所令和3年5月27日判決
懲戒処分取消請求事件
大阪地方裁判所令和元年(行ウ)第174号
TAINSコード:Z999-2173

[原告]

大阪市に事務所を置いていた税理士

[被告]

[争点]

(1) 原告の行為が税理士法36条、45条1項の規定に該当するか否か。具体的には、原告の行為が「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為」に該当するか否か〔争点1〕

(2) 本件処分が、考慮すべき事情を考慮せず、過度に重い処分を課すものとして、比例原則に反し、処分行政庁の裁量権の範囲を逸脱し、又はその濫用があるか否か〔争点2〕

[判決]

棄却(控訴)

〈控訴審判決の概要〉

大阪高等裁判所令和3年12月2日判決
懲戒処分取消請求控訴事件
大阪高等裁判所令和元年(行コ)第74号
TAINSコード:Z999-2176

[控訴人]

大阪市に事務所を置いていた税理士

[被控訴人]

[判決]

棄却

 

【事案の概要】

税理士である原告は、東京都新宿区に本店を置く株式会社A(以下「A」と略称する)の平成25年4月から平成26年3月までの事業年度(平成26年3月期)の法人税の申告に当たり、Aの関与税理士であったB(横浜市に事務所を置く税理士。以下「B税理士」と略称する)からAの所得金額を圧縮することの相談を受けた。

原告は、Aの代表取締役であったC(平成26年死亡。以下「亡C」という)がAに対する貸付金債権のうち4億1,300万円について生前に債権放棄していたにもかかわらず、亡Cの死後に債権放棄額を3億円に減額する旨の債権放棄通知書を作成しAの債務免除益を1億1,300万円減少させることによって、その相談に応じたが、その行為は税理士法36条、45条1項の規定に該当するとして、処分行政庁から、令和元年6月6日付けで、税理士業務の禁止の処分を受けた。

本件は、原告が、原告の行為は税理士法36条が禁止する脱税に関する「相談」に当たらないから処分は違法であるなどと主張して、被告を相手に、処分の取消しを求める事案である。

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【第71回】

「税理士懲戒処分の取消請求事件
(第1審:大阪地方裁判所令和3年5月27日判決、
控訴審:大阪高等裁判所令和3年12月2日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

〈第1審判決の概要〉

大阪地方裁判所令和3年5月27日判決
懲戒処分取消請求事件
大阪地方裁判所令和元年(行ウ)第174号
TAINSコード:Z999-2173

[原告]

大阪市に事務所を置いていた税理士

[被告]

[争点]

(1) 原告の行為が税理士法36条、45条1項の規定に該当するか否か。具体的には、原告の行為が「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為」に該当するか否か〔争点1〕

(2) 本件処分が、考慮すべき事情を考慮せず、過度に重い処分を課すものとして、比例原則に反し、処分行政庁の裁量権の範囲を逸脱し、又はその濫用があるか否か〔争点2〕

[判決]

棄却(控訴)

〈控訴審判決の概要〉

大阪高等裁判所令和3年12月2日判決
懲戒処分取消請求控訴事件
大阪高等裁判所令和元年(行コ)第74号
TAINSコード:Z999-2176

[控訴人]

大阪市に事務所を置いていた税理士

[被控訴人]

[判決]

棄却

 

【事案の概要】

税理士である原告は、東京都新宿区に本店を置く株式会社A(以下「A」と略称する)の平成25年4月から平成26年3月までの事業年度(平成26年3月期)の法人税の申告に当たり、Aの関与税理士であったB(横浜市に事務所を置く税理士。以下「B税理士」と略称する)からAの所得金額を圧縮することの相談を受けた。

原告は、Aの代表取締役であったC(平成26年死亡。以下「亡C」という)がAに対する貸付金債権のうち4億1,300万円について生前に債権放棄していたにもかかわらず、亡Cの死後に債権放棄額を3億円に減額する旨の債権放棄通知書を作成しAの債務免除益を1億1,300万円減少させることによって、その相談に応じたが、その行為は税理士法36条、45条1項の規定に該当するとして、処分行政庁から、令和元年6月6日付けで、税理士業務の禁止の処分を受けた。

本件は、原告が、原告の行為は税理士法36条が禁止する脱税に関する「相談」に当たらないから処分は違法であるなどと主張して、被告を相手に、処分の取消しを求める事案である。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第30回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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