経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第32回】税効果会計①「税効果会計の目的」─企業会計と税務の相違について
当社はX1年3月期において会計上、棚卸資産について30の評価損を計上しました。この棚卸資産評価損については税務上損金算入が認められないため、課税所得計算上加算しました。当該棚卸資産をX2年3月期に処分し、X1年3月期に計上した会計上の評価損が税務上損金算入されました。
X1年3月期及びX2年3月期に必要となる会計処理を教えてください。
設備投資減税を正しく活用して強い企業をつくる~設備投資における管理会計のポイント~ 【第3回】「設備投資における実務上の問題点」―意思決定~回収―
筆者の経験上、営業部門や製造部門の立場では、売上維持・拡大や品質水準の維持が最優先され、例えば、取締役会や稟議書などで、「新規受注」「受注維持」「品質管理(維持)」が、経営者やマネジメントの耳に心地よく響く、いわば“殺し文句”となっている場合が多いと感じている。しかしながら、財務や経理部門の立場からは、その設備導入効果がトータルとして、企業の正味キャッシュを増やす効果があるか否かを様々な角度から慎重かつ客観的に検証すべきである。
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第1回】「資産除去債務~計上から履行まで~」
資産除去債務とは、「有形固定資産(投資不動産を含む)の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの」をいう(「資産除去債務に関する会計基準」(以下「基準」という)3(1))。
資産除去債務の会計処理は、簡潔にいうと、将来、法令や契約等で義務付けられた除去費用が発生する(可能性がある)場合、その除去費用を将来ではなく、現時点で負債に計上するというものである。
具体的な資産除去債務の会計処理の検討は、以下の4つのステップに分けることができる。
林總の管理会計[超]入門講座 【第19回】「目指すべき原価計算システム」
〔林〕最初に考えてもらいたいことは、「なぜ原価計算システムを導入するのか?」ということだ。これは「原価計算の目的」を明確にすることでもある。
〔Q〕原価計算の目的は・・・財務諸表目的、正しい製品原価目的、原価管理目的でした。
〔林〕そうだね。これを「外部報告目的」と「内部管理目的」の視点で区分したらどうなるだろう。
設備投資減税を正しく活用して強い企業をつくる~設備投資における管理会計のポイント~ 【第2回】「「節税」と「課税の先送り」の違いを正しく理解する」
前回は、「節税」ありきの設備投資は本末転倒になるおそれがあることについて解説したが、そもそも「節税」とは何を意味するのであろうか。
今回は「節税」をきちんと定義することから始めてみたい。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第31回】企業結合会計③「株式移転の会計」
P社及びP社の80%子会社であるS社は、X2年4月1日に株式移転により株式移転設立完全親会社HD社を設立しました。
このときのHD社、P社の会計処理について教えてください。
減損会計を学ぶ 【第7回】「減損の兆候の例示②」~使用範囲・方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合~
「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損適用指針」という)では、減損の兆候として、資産又は資産グループ(以下「資産等」という)の使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化があるケースを例示している。
日本の会計について思う 【第1回】「IFRS任意適用拡大への期待」
最近、IFRS(国際会計基準)の議論にかつての熱気が感じられない。
民主党政権下の2011年6月、自見金融担当大臣がそれまで既定の路線と思われたIFRSアドプション案を撤回して議論を白紙に戻して以来、熱気は失われたままである。
その際、日本公認会計士協会は白紙撤回に反発したが、日本経団連会員企業の一部有志は白紙撤回を歓迎するなど、IFRS導入をめぐって日本国内でも意見が分かれてしまった。
一定の条件下でIFRSを導入することに賛成の立場を一貫してとってきた私にとって、白紙撤回は日本の会計の将来にとって憂うるべきことと思われた。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第30回】企業結合会計②「会社分割の会計」
A社はX1年3月31日に吸収分割によりグループ外のB社に甲事業を移転し、その対価としてB社株式を受け取りました。その結果、B社はA社の子会社となりました。このときのA社及びB社の会計処理について教えてください。