〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《自己株式》編 【第2回】「自己株式の処分」
自己株式の譲渡(処分)は、会社と株主との間の資本取引としての性格を有しているため、新株発行の会計処理と同様に貸借対照表の払込資本を直接増加させます。
具体的には、マイナスの自己株式の帳簿価額を減少させ、さらに、自己株式の譲渡(処分)の際の処分差額を、純資産の部の「その他資本剰余金」に計上します。
収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第6回】「収益の認識基準④」-履行義務の識別-
収益認識は、履行義務を充足した時に又は充足するにつれて行うので、履行義務の識別は重要なステップである(収益認識会計基準(案)14項(5))。
「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「収益認識適用指針(案)」という)では、履行義務の識別に関連する設例が多く作成されているので、実務への適用の際に参考になる。
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第38回】「100%子会社間の無対価会社分割」
今回は、100%子会社間の無対価会社分割を解説する。企業グループとして、経営効率化のために会社分割により子会社間で事業の移転を行うことがある。その際に、対価を交付すると手続の手間が増えるため、会社分割の対価を交付しないで会社分割を行うことがある。このことを「無対価会社分割」という。
〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《自己株式》編 【第1回】「自己株式の取得」
自己株式の取得は、実質的に資本の払戻しとしての性格を有しているため、取得価額をもって純資産の部の株主資本の末尾において控除して表示します(中小企業会計指針70(1))。
【設例1】では、A社がb氏からA社株式(自己株式)を1株80,000円で10株購入したので、自己株式の取得価額は800,000円(=80,000円/株×10株)です。
収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第5回】「収益の認識基準③」-契約変更-
「契約」とは、法的な強制力のある権利及び義務を生じさせる複数の当事者間における取決めをいう(収益認識会計基準(案)4項)。
「契約変更」とは、契約の当事者が承認した契約の範囲又は価格(あるいはその両方)の変更をいう(収益認識会計基準(案)25項)。
以下に述べるように、収益認識会計基準(案)は、契約変更について、所定の要件に基づき複数の処理を定め、①独立した契約として処理する場合に加え、②独立した契約として処理しない場合には、既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する又は既存の契約の一部であると仮定して処理することを規定している(「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「収益認識適用指針(案)」という)145項)。
ファーストステップ管理会計 【第15回】「事業部の評価」~ベーカリーがカフェ事業を始めたら~
さて、みなさんが経営するベーカリーが年々規模を拡大したとしましょう。ベーカリー事業が成功したため、ベーカリー経営のノウハウを活かしてカフェをオープンすることにしました。
これまでは、「ベーカリー」という単一事業でしたが、「カフェ」という異なる事業も行うことになったわけです。
企業が成長すると、多角化して複数の事業を営むことが増えてきます。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第62回】株式会社郷鉄工所 「第三者委員会調査報告書(平成29年6月23日付)」 「追加調査に対する第三者委員会中間報告書(平成29年8月8日付)」
6月23日に公表された第三者委員会調査報告書(以下、5月31日に設置された第三者委員会を「第一次第三者委員会」、6月23日に公表された調査報告書を「第一次報告書」とそれぞれ略称する)によれば、郷鉄工所は、平成28年8月に、会計監査人である監査法人アリアから、「金融機関以外からの資金調達における不適切な手形の振出や売上の計上に関する不適切な会計処理について指摘を受けたことを契機として内部調査を開始した」ということであり、その後、「外部の公正中立かつ独立した第三者委員会に事実関係の調査等を委ねることにより、迅速に事実関係を明らかにすることが不可欠であると判断した」ため、第一次第三者委員会が設置され、「X社案件」、「Y社案件」に関する調査が実施された。
収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第4回】「収益の認識基準②」-契約の結合-
収益認識に関する会計処理を行うに際して、①個々の契約を単位とするのか、②関連する契約がある場合には複数の契約を結合すべきなのかについては、次のように議論が行われている(第349回企業会計基準委員会(2016年 11月 18日)の審議事項(4)-2、10項、11項、15項)。
収益認識会計基準(案)を学ぶ 【第3回】「収益の認識基準①」-契約の識別-
前回、「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識会計基準(案)」という)における収益認識のためのステップとして、次の5つがあることを解説した。
今回は、ステップ1の「顧客との契約を識別する」のうち「契約の識別」を解説する。