〔会計不正調査報告書を読む〕【第9回】椿本興業株式会社・ 元従業員による不正行為に係る「第三者委員会調査報告書」
(1) 不正発覚の経緯
中日本営業本部東海東部SD(Sales Division)における元SD長が関与する取引において、多額の棚卸残高が計上されていることから、平成24年1月以降、経理部門。コンプライアンス室を交えた打合せが行われてきたが、改善されなかった。
平成24年12月末の棚卸資産残高が1,303百万円に達したことから、平成25年2月、経理部門責任者から中日本営業本部長にあてて、以下の理由から、元SD長が関与する一連の取引を中止させるよう、勧告が行われた。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第8回】株式会社クロニクル・ 過去の会計処理の訂正に係る「第三者委員会調査報告書(最終報告)」
平成20年6月、前代表取締役会長が中心となって進めた会社買収に絡み、契約書を作成することなく、買収予定会社及びその親会社に対して608億円の貸付金が発生することとなった。
クロニクルは、買収予定会社の株式を親会社が売却した代金300百万円を受け取り、残額を債権放棄することで合意していたにもかかわらず、当該損失を平成21年9月期に計上することを避けるため、日付を遡って金銭消費貸借契約書を作成し、会計監査人からの残高確認依頼に対しては虚偽の返信を行わせた。
その上で、平成23年9月期に貸付金308百万円に対して個別引当で全額につき貸倒引当金を設定すべく、債務免除を依頼する書面を作成させた。
その結果、本来、平成21年9月期に計上すべき債権放棄による損失308百万円が貸付金として計上されたまま、有価証券報告書が作成された。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第7回】株式会社マツヤ・不適切な会計処理に係る「第三者委員会調査報告書」
12月25日、マツヤの会計監査人に対し、告発文書が送付された。
その告発文書では、以下の不適切な会計処理が指摘されていた。
(1) 過大なリベートを計上した結果、未収入金が増大し、役員が穴埋めを行ったこと
(2) 仕入れた商品を隠し倉庫に放置していること
告発文書受け取った監査法人は、28日にまでに告発の事実をマツヤに伝えた。これを受けて、マツヤは、12月28日、取締役会を開催して、調査委員会の設置を決めた。
監査基準の改訂・不正リスク対応基準の設定について~平成25年3月26日付 “意見書”のポイント~
平成25年3月26日、企業会計審議会は「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」(以下「意見書」という)を公表した。これにより、平成24年12月21日に、公開草案を公表し、意見募集を行っていたものが確定したことになる。
公開草案では、「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」の表題であったが、意見書では「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」の表題となり、「監査基準の改訂に関する意見書」と「監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」(以下、「監査における不正リスク対応基準」を含め、「不正リスク対応基準」という)から構成されている。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第6回】ネットワンシステムズ株式会社・元社員による不正行為「特別調査委員会調査報告書」
NOSでは、国税局による税務調査をきっかけに、社員Aが、取引先である金融機関の行員B、システム会社の社員Cと共謀して、金融機関との商談の原価として、NOSに対し、架空外注費を支払わせ、これを騙取した疑いが生じた。外部の弁護士も参加したNOS調査チームは、社内調査だけでは限界があると判断し、金融機関に共同して調査を進めることを申し入れて、調査を進めた。
その結果、NOSが調査結果を公表した日に、株式会社十六銀行(以下「十六銀行」という)は、自行の元行員が関与していることを認めるリリースを出し、ITホールディングス株式会社は、子会社であるTIS株式会社の元社員が関与していたことを認め、どちらも特別調査委員会により調査中であるとコメントしている。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第5回】明治機械連結子会社・不適切な会計処理「第三者調査委員会調査報告書」
明治機械は、2012年10月、金融庁証券取引等監視委員会から、ラップ社における不適切な会計処理の疑義について指摘を受けたことから、自社において不正会計の実態と責任の所在の解明及び再発防止策立案等が必要であると判断し、第三者委員会を設置した。
訂正報告書に見る不適正会計処理の現状(2)
不適正な会計処理を行い訂正報告書を提出した会社を業種別に見ると、情報・通信業、建設業、卸売業が比較的目につく。
訂正報告書に見る不適正会計処理の現状(1)
金融庁においては、オリンパスをはじめとする相次ぐ会計不祥事で損なわれた我が国証券市場の信頼回復を目指し、次の2つの検討がなされている。
〔会計不正調査報告書を読む〕【第4回】オリバー架空・循環取引「社内調査委員会・第三者調査委員会調査報告書」
取引先C社の社長以下がオリバーを訪問し、同社の売掛債権が1億円以上あり、かつ、当該債権について執行役員医療福祉営業部長(以下「元部長」という)が作成した念書があることを説明した。
オリバーのC社に対する買掛債務は100万円であったため、事実関係を確認しようとしたが、元部長は、その前日から出張に出かけ不在であった。
なお、元部長の所在は、現在に至るまで分かっていない。