山本守之の法人税“一刀両断” 【第70回】「違法支出金の損金性」
わが国の多くの学者が、「違法支出金は損金の額に算入できない」とし、大学教育においてはそれが当たり前のようになっています。このような考え方は、アメリカ税法によるものです。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第27回】
法人税法22条の2第2項は、無償による資産の譲渡又は無償による役務の提供の場合にも適用されるのであろうか。例えば、酒井克彦教授は、次のような見解を示される(酒井克彦『プログレッシブ税務会計論Ⅲ』252頁(中央経済社2019)参照)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例85(法人税)】 「建物の取得価額と取壊費用を取壊し時の損金の額に算入できたにもかかわらず、土地の取得価額に算入して棚卸資産として繰越処理をしたため、実効税率の差により、過大納付となってしまった事例」
平成X1年3月期から平成Y1年3月期の法人税につき、転売目的で購入した土地付建物を、販売上の都合により建物を取り壊し、更地として売却した場合には、建物の取得価額と取壊費用は、取り壊した期の損金の額に算入できたにもかかわらず、土地の取得価額に算入して棚卸資産として繰越処理をしたため、損金に算入できた期と、土地を売却できた期との実効税率の差により、過大納付となった物件が複数あることが判明した。
これにより、過大納付となった税額につき損害が発生したとして賠償請求を受けた。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第40回】「従業員の帰国後に会社が支払った外国所得税部分は居住者の所得として会社に源泉徴収義務があるか」
当社では、海外勤務の従業員については、現地での所得税を会社が負担しており、日本での給与の手当を下回らないように支払っています。
このたび、ある従業員が現地で給与の支払いを受け、帰国後にその従業員の給与に係る現地の所得税を海外の事業所が納付しました。この従業員の現地の所得税相当分について、日本の法人は日本の源泉所得税の納税義務がありますか。
《速報解説》 債権法改正等に伴う「国税通則法基本通達(徴収部関係)」及び「国税徴収法基本通達」の一部改正について
本稿においては、国税庁が令和2年4月1日付(ホームページ公表は4月7日)で公表した「国税通則法基本通達(徴収部関係)」(以下「通基通」という)及び「国税徴収法基本通達」(以下「徴基通」という)の一部改正の概要について解説を行う。
《速報解説》 国税庁、法人税基本通達等の改正によりコロナ被災の取引先支援に自然災害時の取扱いを適用する旨を追記
新型コロナウイルス感染拡大やそれを受け発令された政府の緊急事態宣言によって、経営の見通しが立たず苦境に陥る企業や事業者が多い中、国税庁は4月13日付けで法人税基本通達等を一部改正し、取引先支援を行った法人に対し災害時の取扱いが適用されることを明らかにした。
日本の企業税制 【第78回】「緊急経済対策における税制上の措置」
4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されるとともに、事業規模は過去最大の108兆円にのぼる新型コロナウイルス感染症緊急経済対策が閣議決定された。
これは新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発、Ⅱ.雇用の維持と事業の継続、Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復、Ⅳ.強靭な経済構造の構築、Ⅴ.今後への備え、を5つの柱として、様々な施策が盛り込まれている。
相続税の実務問答 【第46回】「新型コロナウイルス感染に伴う申告期限の延長」
私の父が昨年の6月28日に亡くなりました。相続人は、母、兄及び私の3名です。
海外出張から帰ってきた兄に、新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たため、兄は、現在、隔離状態に置かれています。これまで兄が中心になって相続税の申告の準備をしており、申告に必要な資料も全て兄のところにあります。
相続税の申告書の提出期限が迫っていますが、このままでは相続税の申告書を提出期限の4月28日までに提出することができそうもありません。どうしたらよいでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第13回】「業績悪化時におけるストック・オプション制度導入メリット」
2020年4月7日、新型コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令されたこと等から、上場企業である当社も確実に業績が悪化する見通しです。
当該業績の悪化への当社の施策として、CFや固定費の削減を図る目的で役員報酬の減額を決議しました。しかし、単に報酬の減額としてしまったため、外部から招聘している有能な役員のモチベーション低下や流出可能性が懸念材料となっています。
このような問題に対処するために、何か良い方法はないでしょうか。