相続空き家の特例 [一問一答] 【第23回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定⑤(「適用前譲渡」又は「適用後譲渡」が著しく低い価額による譲渡の場合)」-譲渡価額要件の判定-
X(兄)は、昨年5月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地(200㎡)を相続により取得し、その家屋を取り壊し更地にした上で、その敷地の半分(100㎡)を、同年9月に不動産会社へ6,000万円で売却しました。
また、Xは、本年1月に、残りの敷地(100㎡)を通常の取引価額が6,000万円であるところ、Y(妹)へ2,000万円で売却しました。
この場合、Xの譲渡は、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。
租税争訟レポート 【第35回】「専ら従業員の慰安のために行われた「感謝の集い」に要した費用の交際費等該当性(福岡地方裁判所判決)」
本件は、養鶏事業、食肉等食料品の販売事業等を営む原告が、原告の役員及び従業員並びに下請先である協力会社等の役員及び従業員合計1,000人程度が参加する「感謝の集い」を年に1回、大型リゾートホテルの宴会場で行っていたところ、熊本国税局調査課の税務調査において、「感謝の集い」に要した費用は交際費等に該当するとの指摘を受け、処分行政庁である高鍋税務署がその指摘に従った更正処分を行った。当該更正処分を不服とした原告は、異議申立、審査請求を経て、本件訴訟の提起に踏み切ったものである。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第37回】「寄附金(貸倒損失)」~貸倒損失が寄附金に該当すると判断した理由は?~
本件更正処分は、X社が貸倒金△△△円を計上していることを前提としているものの、これが関与税理士A個人の債務弁済のためのものであり、X社とは何ら関係がないので貸倒金としては認められず、A税理士に対する贈与として法人税法37条の寄附金に当たるとするものである。
貸倒金に係る債務は、後で見るように、X社の帳簿書類上、関与税理士A以外に対する債務として記載されていたことを前提とするならば、本件更正処分はX社の帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合に該当する。
《速報解説》 会計検査院、小規模宅地特例や事業承継税制等の適用状況に関する報告書を公表~小宅特例では貸付事業用宅地等を相続税申告期限後に譲渡するケースなど、政策目的との乖離を指摘~
会計検査院は11月29日、「租税特別措置(相続税関係)の適用状況等について」を公表、相続税関係特別措置のうち減収見込額が多額に上っているものの適用状況などを検査、政策目的に沿ったものとなっているか検証を行った。
《速報解説》 名古屋国税局、株主が個人である法人が適格合併を行った場合の未処理欠損金額の引継ぎについて(支配関係の継続により引継制限の判定をする場合)の文書回答事例を公表
名古屋国税局は、平成29年11月7日付(ホームページ公表は14日)で、「株主が個人である法人が適格合併を行った場合の未処理欠損金額の引継ぎについて(支配関係の継続により引継制限の判定をする場合)」の事前照会に対し、文書回答を公表した。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第15回】
平成13年当時は、企業結合会計及び事業分離等会計が導入される前であったため、会計上、現物出資については時価取引、合併については時価以下主義となっていたことを考えると、このような制度が設けられたことは理解できる。しかしながら、平成18年に企業結合会計が導入された結果、現物出資であっても、投資が継続しているとみることができる場合には、現物出資法人において譲渡損益を認識しないことになった(事業分離等に関する会計基準19(1)、31)。
企業の「相談役・顧問」に関する税務上の留意点
相談役や顧問という役職は、我が国の法人においては特段珍しくはない。その存在理由は法人によって様々だが、主に次のようなものであると考えられる。
◆ある程度時間をかけて、新社長への引き継ぎを円滑に行う。
◆新社長は社業に専念し、財界活動は相談役が請け負う。
相談役や顧問といった存在にも一定の合理性があるのは事実であるが、中には単なる名誉職と化しているケースがあったり、逆に新経営陣に対して干渉しすぎるケースもあったりする。
中小企業特別措置の適用停止に係る「平均所得金額」の算定方法 【第1回】「平均所得金額の意義と対象となる租税特別措置」
しかしながら、これらの特別措置はあくまで資本金の額等を基準に形式的に判定する枠組みになっていたことから、例えば、大企業並みの所得がある株式会社であっても、資本政策上、資本金の額を1億円以下にすることにより適用を受けることが可能であり、上記本来の趣旨とは必ずしも整合しない運用実態が散見されるところであった。
そこで、平成29年度税制改正は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税に関し、「平均所得金額」、すなわち、課税所得の3年平均が15億円を超える中小企業者については、特定の特別措置の適用を停止する改正を行った(措法42の4⑧六の二)。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第22回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定④(母屋と離れ等の複数の建築物のある敷地等を譲渡した場合)」-譲渡価額要件の判定-
Xは、昨年3月に死亡した母親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得しました。
相続の開始の直前において、母親は一人暮らしをし、母親が所有していた土地(200㎡)は、用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母親が所有していた母屋:80㎡、離れ:40㎡)のある一団の土地でした。
Xは、その土地全部を更地とした上で、本年7月に1億2,000万円で売却しました。
相続の時から取壊しの時まで母屋も離れも空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
この場合、Xの譲渡は、「相続空き家の特例(措法35③)」の譲渡価額要件(1億円以下)を満たすこととなるのでしょうか。