固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第42回】「父が駐車場用地のアスファルト舗装部分を長男に贈与して、駐車場賃料を長男に収受させたが、この所得は長男ではなく父に帰属するものであり、賃料収受権を父から贈与により取得したものとみなされた事例」
使用貸借とは、動産や不動産を無償で貸し付ける契約である。たとえば、建物の所有者と土地の所有者が別人で、使用貸借契約を締結した場合、建物所有者には借地借家法が適用されず、貸主は、原則的にはいつでも借主に対して返還を求めることができる。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第57回】「中央出版事件-旧信託法下における外国籍の孫への海外信託贈与-(地判平23.3.24、高判平25.4.3、最判平26.7.15)(その2)」~(平成19年改正前)相続税法4条1項、2項4号、5~9条、(平成18年改正前)信託法1条、(平成18年改正後)信託法2条~
まず、原審の判示について「4条1項は(略)相続税及び贈与税の回避が行われる事態を防止すべく、受贈者課税制度の下でもあえて信託行為時課税の立場を採用して設けられたものであり、同法5条ないし9条とは制定経緯及びその趣旨を異にしているから、これらの規定と同列に解釈することはできないというべきである」として、これを否定した。
日本の企業税制 【第132回】「労務費の転嫁促進など取引価格適正化に向けた取組み」
各政党の選挙公約も公表されているが、多くの政党で、中小・中堅企業における賃上げの促進とそのための取引価格の適正化が掲げられている。
例えば自民党の「総合政策集2024 J-ファイル」では、次のような記述がある。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第66回】「功績倍率と功労加算」
当社は、代表取締役が将来退任する時に、役員退職金に加えて功労加算金を支給したいと考えています。役員退職金に関する規程を設け、例えば、「特に功績が顕著と認められる役員に対しては、役位別倍率に30%を超えない額を限度として特別功労金を加算することができる。」という旨を記載することで損金算入が認められるでしょうか。
相続税の実務問答 【第100回】「先順位の相続人が相続を放棄したことにより相続人となった者の相続税の申告期限」
私の伯父が6月に亡くなりました。伯父の配偶者は既に他界しており、伯父の相続人は伯父の長女甲1人だけでした。伯父の財産は、出身地であるA村の農地と山林、伯父の知人への貸付金などです。ところが、甲は9月に相続放棄の申述をし、B家庭裁判所はこれを受理しました。伯父の子である甲が相続を放棄し、伯父の両親は既に他界していることから、伯父の兄弟姉妹が相続人になります。
B家庭裁判所から甲に送られてきた相続放棄申述受理書に記載された申述の受理日は9月27日ですが、私がそのことを知ったのは、10月15日です。伯父の妹(私の叔母)乙には、10月20日に私から甲が相続を放棄したことを知らせました。
私も乙も相続を放棄するつもりはありません。伯父の遺産を確認したところ、どうやら相続税の申告及び納税が必要になりそうです。私と叔母が相続税の申告及び納税をすることとなった場合、その期限はいつになりますか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第53回】
・本信託の受益権(beneficial interest in the trust)は本件持分に分割される。
・本信託の各本件持分は、本信託の純資産に対する平等な受益権を表しており、各持分保有者は、インカムゲインとキャピタルゲインの分配がある場合にはそれぞれの比例配分額を受け取る権利を有する。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第56回】「中央出版事件-旧信託法下における外国籍の孫への海外信託贈与-(地判平23.3.24、高判平25.4.3、最判平26.7.15)(その1)」~(平成19年改正前)相続税法4条1項、2項4号、5~9条、(平成18年改正前)信託法1条、(平成18年改正後)信託法2条~
X(原告・被控訴人)の祖父Fは、平成16年8月4日に米国ニュージャージー州法に準拠して、Fを委託者、米国の信託銀行G社を受託者(以下単に「G」)、Xを受益者とし、券面額500万ドルの米国債を信託財産とする信託を設定したところ、処分行政庁(以下「Y」)はこの信託行為につき平成19年改正前相続税法4条1項(以下、単に「4条1項」)を適用して贈与税の決定処分等をしたことから、Xがその取消しを求めて提訴した事案である。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第136回】「消費税の性質論(その4)」
本件判決は、「消費者は、消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底いえない。」と断じており、納税者の主張を排斥している。
これは、本件判決が論じるとおり、消費税法にも税制改革法にも消費者が消費税の納税義務者とは規定されていないことからすれば当然の結論のように思われるが、果たして、そもそも、「消費税の実質的負担者ではあるが」とする説示の部分は正解しているといえるのであろうか。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第31回】「国税通則法75条(~77条の2・80条)」-租税不服申立要件-
国税通則法第8章は「不服審査及び訴訟」に関する規定を定めている。同章の規定はいわゆる租税争訟ないし税務争訟に関する規定であり、税法の体系上は、納税義務の成立・承継及び消滅に関する法(租税実体法)に対して目的従属的な関係に立つ租税手続法のうち、成立した納税義務の確定及び履行の過程に関する法(税通第2章~第7章の3及び税徴。租税行政法)と並ぶ納税者の権利救済に関する法(租税争訟法ないし租税救済法)に属する(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【86】参照)。