〈平成28年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「注意しておきたい事項Q&A」~平成28年分から対応が必要となる事項を中心に~
最終回は、平成28年分の年末調整から対応が必要となるマイナンバー関連事項や税制改正事項について、実務上注意しておきたい点をQ&A形式でまとめることとする。
取り上げる事項は以下のとおりである。
【Q1】 退職者のうちに、新たに非課税となる通勤手当のある者がいる場合
【Q2】 配偶者特別控除の対象となる配偶者のマイナンバー
【Q3】 マイナンバーの提供を受けられない場合
【Q4】 平成29年分の扶養控除等申告書へのマイナンバーの記載
【Q5】 「送金関係書類」に関する注意事項
金融・投資商品の税務Q&A 【Q19】「上場株式等償還特約付社債(EB債)が株式に転換された場合の課税関係」
私(居住者たる個人)は、保有している上場株式等償還特約付社債(いわゆるEB債)の償還により、上場会社A社発行の株式を取得しました。償還時に課税は発生するのでしょうか。
なお、このEB債は、税務上「特定公社債」として取り扱われます。また、私はEB債の発行法人の同族関係者ではありません。
マイナンバーの会社実務Q&A 【第22回】「国外居住親族がいる場合の年末調整」
Q 中国人の従業員から中国に居住する中国人の両親を扶養親族にするにはどうしたらよいかとの質問がありました。
平成29年分給与所得者の扶養控除等申告書に両親のマイナンバーを記載する必要があるかどうかと扶養控除の適用を受けるために会社に提出してもらう書類を教えてください。
裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第19回】「租税法上の評価③」
前回では、東京高裁平成12年9月28日判決について解説を行った。本稿では、東京高裁平成17年1月19日判決について解説を行う。
本事件は、形式上、同族関連者に該当しない有限会社が保有している株式に対して、原則的評価方式を採用すべきであるとされた事件である。
税務判例を読むための税法の学び方【94】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その22:「文理解釈と立法趣旨②」(最判平22.3.2))
まず、原告のパブクラブ経営者の、ホステスに対する報酬の計算方法について、以下のように認定している。原告が、報酬の算定要素となるものは勤務時間数であり日数ではない旨主張したが、出勤日毎の管理を基に算定しており業務上の拘束日から切り離して考えることができない旨、判示する(以下、下線は筆者による)。
monthly TAX views -No.46-「アベノミクスのアキレス腱」
安倍政権の本質がポピュリズムであることは、多くの識者が指摘しているところだが、今回の配偶者控除の見直し議論は、それを物語っている。
そもそも安倍政権が自ら掲げる一丁目一番地の政策は、働き方改革だ。同一労働同一賃金のガイドライン作り、無限定正社員システムの見直し、金銭解雇制度の是非など様々な論点があり、大きな議論と強いリーダーシップが必要な改革である。
労働力不足が深刻になりつつある中で、女性の就労を阻害している「103万円の壁」の原因となっている配偶者控除制度の見直しは、働き方改革として極めて重要なことと思われた。
〈平成28年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「今年から適用される改正事項(その2)」
前回に続き、平成28年分の所得税に適用される税制改正事項のうち、年末調整に影響のあるものを取り上げ解説する。
今回取り上げるのは
【1】 給与所得控除額の引下げ
【2】 国外居住親族を扶養控除等の対象とする場合の取扱い
【3】 学資金の取扱い
である。
~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第12回】「形式的には消費貸借契約に基づく金銭の交付であるが、実質は寄附金に当たるとされた事例」
本件の原告(X社)の元代表者である甲は、オランダに所在するA社に全額出資をしている。X社は、A社が2つの銀行から借入をする際、債務保証をするとともに、X社が有するソニー株式(本件株式)を担保として各銀行に提供(本件担保提供)した。しかし、その翌年、本件株式の時価が2分の1以下に下落したため、X社は、各銀行から追加担保を求められた。
なお、A社は、甲が参画するフォーミュラワン(F1)レースに関する事業を行うために、複数の法人を設立するなどして事業資金を必要としていた。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第20回】「共同相続人の連帯納付義務事件」~最判昭和55年7月1日(民集34巻4号535頁)~
被相続人Aが死亡し、X・B・CがAを相続して、所轄の税務署長(Y´)に対し相続税の申告をした。しかし、B・Cが相続税を完納しなかったので、Y´は、Xには連帯納付義務があるとして、Xの所有地の差押えをした。そこで、Xは当該所有地をD社に売却し、D社は、差押えにかかる未納相続税を代位弁済として納付した上、Xに対する求償権とXに支払うべき売買代金債務とを相殺した。
その上で、Xは、国(Y)に対し、Xの連帯納付義務の確定には特別の手続が必要なのにこれが行われていないから、連帯納付義務は不存在であるなどと主張し、D社による納付金は過誤納金であるとして、返還請求を行ったというのが本件である。
最高裁は、Xの主張を認めず、D社による納付金の返還はしなくてよいと判断した。