裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第5回】「募集株式の発行等④」
前回は、大阪高裁昭和51年4月27日決定、佐賀地裁昭和51年4月30日判決について解説を行った。
【第5回】に当たる本稿では、神戸地裁昭和51年6月18日判決について解説を行うこととする。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第9回】「固定資産評価損」~固定資産評価損の計上が認められないと判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた固定資産評価損の否認に係る法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成15年1月28日裁決(裁決事例集65号401頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。
税務判例を読むための税法の学び方【80】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その8:「租税法律主義の意義①」(最判昭30.3.23))
この判例は、かの大島訴訟最高裁判決(【72】参照)がとって代わるまで、ジュリスト別冊の租税判例百選において、巻頭を飾っていた判例である。よって租税判例百選の初版及び第2版はこの判例が巻頭に掲載されている。
このことからも分かるように、憲法84条との関係において、租税法律主義の意義につき、最高裁の大法廷において明らかにした重要な判決である。
monthly TAX views -No.39-「消費増税延期に伴う政治リスク」
消費増税の先送り論が、日に日に強まりつつある。
表向きは内外経済情勢の悪化ということだが、本音は衆議院解散の大義名分、つまり解散するのは「国民に消費税率を法律通り引き上げることが望ましいかどうかの是非を問うため」という政治の論理だろう。
通勤手当の非課税限度額の引上げに関する経過措置について-本年1月から3月支給分の源泉徴収は改正前規定による-
平成28年度税制改正では、通勤手当の非課税限度額の引上げ(10万円→15万円)が行われており、本改正については税制改正大綱公表時に《速報解説》として、下記拙稿にて取り上げたところである。
今回公布された改正所得税法施行令の附則には、通勤手当の非課税限度額の引上げに関する経過措置が設けられており、実務への影響があるため留意されたい。
改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第2回】「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」~あえて「再調査の請求」をする意義とは~
以上の改正により、今後(本年4月1日以降)、課税処分等を受けた納税者は、最初から国税不服審判所に審査請求をするべきか、それとも原処分庁(税務署長、国税局長)に再調査の請求を行うべきかの判断を行う必要があることになる。
そうすると、この判断はどのようにして行うのが妥当か、ということが問題となる。
租税争訟レポート 【第27回】「分掌変更に伴う役員退職金の分割支給(東京地方裁判所判決)」
本件は、原告が、創業者であり、前代表取締役である非常勤取締役(以下「本件役員」という)に対して退職慰労金として支給することを決議した2億5,000万円について、平成19年8月期に7,500万円、平成20年8月期1億2,500万円と分割して支給した退職慰労金のうち、平成20年8月期に支給した役員退職慰労金(「以下「本件第二金員」という」について、(1)退職給与に該当するかどうか、(2)支給した事業年度の損金の額に算入できるかどうかをめぐって、争われた裁判である、
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第12回】「行為計算の主体など」
第7回から第11回までは、同族会社等の行為計算の否認が創設規定なのか、確認規定なのかについて争われた裁判例の分析を行った。
第12回に当たる本稿では、行為計算の主体について判示された事件、「行為」「計算」について判示された事件をそれぞれ紹介することとする。
特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第6回】「〈事例4〉欠損等法人を適格合併又は清算で整理するケース(第4号事由)」
〈事例1〉のように、買収したい会社に、休眠会社がおまけのようについてくる場合、何らかの方法により、休眠会社を整理する必要が生じる。この場合、欠損等法人となる休眠会社を合併法人、事業子会社を被合併法人とした合併をすると、休眠会社及び事業子会社の繰越欠損金と含み損に使用制限が生じてしまう。
そこで、本ケースのように①休眠会社を被合併法人、事業子会社を合併法人とする逆さ合併を行うか、②休眠会社を清算するか、のいずれかについて、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)が適用されるかを検討する必要が生じる。
